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解 題素庵とは、江戸初期の強豪、別所素庵のことと考えられる。別所素庵は寛永年間(元禄時代より60年も前)に二代宗古名人との対局譜があり、民間棋士の詰将棋が書物に登場する元禄時代にはすでに故人だったと思われる。 「素庵作物集」が素庵自身のものとすれば、二代宗古とか初代宗看などの古い時代の作品集であるが、本書は後世(元禄時代)の人が何となく「素庵作物集」と称した曖昧な作品集の様である。 それは「素庵作物」の過半数が、元禄〜宝暦時代に出版された、他の作者の作品と重複している(福田稔氏の研究)からである。特に『諸国象戯作物集』とは42題も重複または類似作が見られる。 本書の多くの作品には素庵を含めて作者名が注記してあるが、その中に素庵の名は少なく、無名の作品が多いが、それらの内の数題は『諸国象戯作物集』の他人の作品であり、無名の作品が素庵作とも言えないようである。 作品の内容は、元禄期の他の多くの民間人の作品と同じで、草創期風の素朴な作品が多い。 |