影の國
影はあらゆるところに湧き出て
おまへのその白い手足を喰い
つやつやとした肌を蝕む
…影よ
もしも一握の影に変ずることができるなら
私は青白い焔の射すやうな
おまへの肌の上に留まろう
着物のうへに
それからいっさう青白さを輝かせている
ぬめる太腿の間へ
まろやかな肌の隅々までも舐め尽し
しみじみと言って聞かせる
影は光の前に潰えようとも
決してなくなることはないのだと
…光あれ
さうして影の國が
今夜もおまへを攫いに来る
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Frutta di paradiso▲
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