バインのライブについて思ってることを......
 「SouthBound」終了記念ということで、現時点で私が思ってることを書いてみたいと思います。ただこれお断りしておきたいのが、既にお気づきのこととは思いますが、私のバイン観はかなり特異です。こんなファンもいるんだな、くらいの気持ちで読んで頂きたいです。


 このツアーは図らずも、『私は一体バインのライブに何を求めているんだろう』みたいなことを考えさせられるものとなりました。始まる前はそんなことになるなんて思いもしなかったんだけどね。全ては”あの”磔磔が初バインライブだったってことに端を発してて。なまじあんなすごいものだったために、ちょっと過剰な期待を持ってしまって、その後のが素直に受け止められなくなってしまったってことなんですが。


 そもそも私がこういうのが観たいと思ってるライブと私が好きなバンドが演るライブって何故かいつも開きがあって、これまでにもいくつかライブとか行ってるけれど、これと思えるものに出会ったことがなかったんです。あのねえ、ライブって演奏の善し悪しがどうとか、まあそれもあるでしょうけど、それだけでは絶対ないと思うんです。なんていうのかなあ、ここにいる人達とこの空気を共有しているという実感?そういうのがピンとこないとライブだなあって感じることができない。だってそうでないと部屋でCD聴いたりライブ映像観たりするのと変わらへんやん?それに私はライブでは、ちゃんとした演奏とか泣いて泣かされてナンボみたいな雰囲気とかそういうものはあまり求めてなくて。どっちかというと、逆にそこから外れたところにあるもの、和やかさというか、アットホームさというか(←なんか変だな)・・・うーん、うまく言えないなあ。ともかくそれを一番求めてるような気がする。で、いっつもなんだか腑に落ちない感じがしてたんですね。


 とか思ってたところへあの磔磔。震えましたね。『ずっと求めてたのはこれだったのーーー!!!』っていう、そんなライブで。バインってもっと気張った、ちゃんとしたライブをするバンドだと思ってたんですよ、それまで。色んな筋からの情報とかで(笑)。それがこんな、まさに私が理想としているライブをするバンドだったなんて!『いいかげんな程かっこいい』ってよく聞く言葉なんですけど、まさにそれ。いいかげんなかっこ良さってのがぴったりの、そんなライブでした。その時は、『バインってこういうのを演るバンドなんだ!』って、すごく嬉しかったんですけどね。


 大阪は確かにいいライブでした。流れもしっかりまとまってて、曲の聴かせ方も確立されてて、なにより田中氏のうたへの思い入れがものすごく伝わってきました。『磔磔よりずっとずっと良かった』との声も聞きました。でもね、前述したような腑に落ちない感じ、それがどうしても残った。私の好きな、完璧でないからこその良さってのがなかった。同じ場所にいるってことが実感できなかった。そりゃ30本もやってたらまとまってもくるし、あんなに熱くなられたら圧倒されもする。成長したなあって思いました。でもそれがかえってちょっと寂しかった。
 

 磔磔はツアー始まって5本目ってこともあったし、あの感じは偶然の産物だったのかもしれない。でも私は、『ついに理想のバンドに出会えた』って思ったし、このままの方向性でいって欲しいと思いました。結局はやっぱりそこからは逸れていってしまったわけで、私の勝手な願いは叶わなかったんですけど。でもだからといって落胆はしてないです。バインがああいう面も持ってるってことがわかったし。それだけでもついて行く価値はアリ。これからバインがどういう方向に向かって行くのか、非常に気になるところ。今後が楽しみです。またあんなライブが観れたらいいな。
 

 それから。このドサクサでちょっと言っておきたいことがあって。これはバインのライブに限ったことじゃないんですけど、客席コーラスとか捧げとか振りつけとかいわゆる「お約束」ってやつ、あれなんであんなに忌み嫌われるのかわかんないんですけど。私アレ大好きよ、はっきり言うけど。合唱畑・合奏畑、プロ野球の応援団(笑)で育った人間としてはあれはもう脊髄反射的に出て来る自然なものなんです。「ライブは合唱フェスでも球場でもない」って言われそうだな。っていうか、楽しいじゃないですか。そういう楽しさがあるライブとないライブとでは充実感が全然違うんですけど。
 
 10年ほど前にも、私が好きだったバンドのライブについて、『曲に合わせて一緒に歌ったり、同じ振り付けで踊り出したり、気味が悪い』『彼らは何をしにライブに来てるのだろう。彼らにステージで鳴ってる音は届いていない』みたいなことがいつも言われていまして、私はそれを見ては激怒していました。自分の感覚だけで判断しないで、と。そういう行動をしてる人はバンドを軽くしかとらえていないなんてどうして言えるの、と。いつも言いたかったね。今もだけど。あのー、誤解のないように言っときますけど、だからといっていつでもどこでも節操無しにやっていいって思ってるわけではありませんよ。私もバインではやってないし(南行きは除く(笑)。これもねえ、こんな曲なんだからウダウダ言わずにとことん遊べばいいと思うんですけどね)。でも別に誰かがやってたとしても私は全然オッケーです。否定派の人は、『そういうライブがいいなら他所へどうぞ』ってことかもしれませんが、可か不可かその線引きを誰ができる?って話ですよ。一緒にやれと言ってるんじゃないんだから(そらそうだ)、せめてそんなウチらを蔑むのはやめてって言いたいぞワタシは!!!