ずきんの「極私的『Circulator』」
 遅くなってしまった(汗)。Circulatorについてです。
 
 このアルバムを初めて聴いた時、正直戸惑いました。自分がイメージしてたものとあまりにもかけ離れてて・・・。
 それまでのシングルの流れ(カップリング含む)やE.ツアーを経て、『今バインはきっとこんな感じなんだろうな。じゃあアルバムはこんな感じになるんだろうな。おお、めっちゃいい感じやん!』って思ってたんですね。それがいざ蓋を開けてみての第一声が『・・・・・・・・・は!?(固)』だなんて。こんなことがあっていいものか(涙)。
 とにかくそれまでに聴いてた分の曲(シングル+B.D.S.・Yellow)とアルバムで初聴きした曲とのギャップがすごいんですよ。そのギャップに混乱させられたって感じ。既出曲は前述の通りすっごいいい感じでまさに私の期待通りに進んでたのに対して、アルバム曲は完全にその路線をはずれた、いわば異色作のオンパレードで。
 決して嫌いな訳ではないんです。むしろかなり好きな部類に入ります。ただその時点でバインに対して持ってたのが、Hereを聴いた時からの、『ああ、バインはやっと辿り着くべきだった場所に辿り着いたんだな。で、これからはそこからしっかり地に足を付けて歩いて行くんだな』っていう思いだったんで、せっかくその地に足の付いた感があったものをまた捉えどころの無い世界に(詞にしても音にしても)行ってしまったような感じが、全然予想してなかったというのもあって戸惑ってしまったんです。
 でまたそんな両極端なイメージの曲が混在してるというのもあって聴いててなんかどうも落ち着かない。あんなに燃えてたふれていたいとかB.D.S.の印象まで変わってしまったというから重症だ(T T) あーショック。Circulatorが思った通りのアルバムではなかったという事より、そうやってストンと受け入れることができなかったということ自体がショック。なまじリリース前に『今のバインが大好き。今度のアルバムもバインで一番好きなアルバムになると思う』って豪語してただけにね(や、だからそれ位いい感じで来てたもんで)。
 
   というのが聴いてまず持った感想。でもでも。それから3ヵ月、これ書いてる現在まだまだヘビーローテーション中です。全然飽きないの!確実に今までのどのアルバムよりも多く聴いてます。”聴けば聴くほど味が出る”とかいうんじゃなくてただただひたすら飽きが来ないという。ほとんど中毒症状です。何なんだこれは(怖)。
 
 はっきり言ってこんなに聴いててもまだ具体的にこのアルバムの魅力を語る言葉が見つかりません。間違いなくとてつもなく強い引力を持ってるのにもかかわらず。そして残念ながらそれでもCirculatorが一番とは言い切れないです。”好き”でゆったらやっぱりHereが一番だし、”バインの代表作は?”と言われればLifetimeを挙げると思う。でもだからと言ってこのアルバムが劣ってるとは断じて思わない。存在感という点ではむしろ上回ってる。
 今までの作品と同じ次元で見れないんです。単純に比較することができないの。別格っていうか。そういう風に思わせる風格が滲み出てる。
 何がこんなにまで心を引き付けるのかさっぱりわからない。でもなんか凄いんです。問答無用に五感に捻り込んでくるものがある。理屈じゃない圧倒的な迫力を感じる。とにかく『凄いアルバム!』って思うんです。そういうアルバムです、Circulatorは。
 
 あと個々の曲に対して思うところを少々。
 
■壁の星・・・あぁそうか、私のCirculator観って気が付けばこの曲に象徴されてると言っても過言ではないな。この捉えどころのない混沌とした妖しい魅力。『コーヒー付(ライブVer.)』や『パブロフ』辺りから浮かんできた方向性がここへきて開花!といったところでしょうか。
 上で書いたCirculatorショックのA級戦犯ということになるんだけど、基本的には大絶賛です。田中氏のボーカルってこういう曲にピッタリじゃないですか。Aメロの幻想的かつ壮大なスケール感に圧倒されます。バインにおける”ボーカルが秀逸な曲”部門最有力候補曲ですな。ふれていたいやB.D.S.を吹っ飛ばしただけのことはある(笑)。
 
■lamb・・・周囲での評判は高いようですが、私は今イチ。例によって二番煎じ的印象が拭えないので。『昔のような歌詞も書いてみた』とのことですが、Here万歳な者にとっては『わざわざそんなことせんでええのに・・・』といったとこでしょーか。
 
■フィギュア・・・すいません、パス;;;;;これっぽっちも引っ掛かるところが無い。私のMDからも早々に姿を消しました(爆)。
 
■ふれていたい・・・相変わらず大好き。もう1年以上引っ張ってるんだ。でもまだまだいける(笑)。
 アルバムのこの位置に置かれたのは大正解。フィギュアのダークな空気から一転、立ち込めてた霧が晴れ渡るかのようなこの切り替わりがお見事。またイントロのギターが、閉じた世界に終わりを告げる鐘の音みたいで。なんか神々しいですね。
 
■波音・・・もうもうもうもう、溜息しか出てきません。素敵過ぎ。アルカイックのアウトロからの流れもまたいいですね。このアルバムで一番虜になった曲です。何がどうとかいう前に心が震えるんです。遺伝子に組み込まれたスイッチを押されたように。心の琴線に触れるってこういうことを言うんでしょうか。この曲に関してはこれ以上何も言えません。言うだけ無駄。
 ちなみにこの曲を聴くと、私の脳裏にはFF8の時間圧縮世界の光景が浮かぶんですがどうしましょう(爆/マニアックですいません)。
 CDの演奏の静かなる海って雰囲気もいいし、ライブでの壮大な波が打ち寄せてくるかのようなアレンジもまた絶品です。
 
■B.D.S.・・・去年夏のイベントで出会って以来、この日(リリース日)を待ち焦がれてました。ようやくこの曲について堂々と語ることができるよ!
 この曲は私にとってのバインそのもの。決して道は平坦ではないけれど、そんなもの吹き飛ばしてしまえるパワーに溢れてる。イントロのフレーズを聴く度に自分の中の熱も上がる感じがする。伸びやかなボーカルに『バインを好きでいて良かったー!』って想いで胸がいっぱいになる。間違いなくこの曲がバインで一番の曲・・・になるはずでした。でした。過去形(笑)。
 ・・・なんか違うーーー!!!(怒)。もっとこう、来るものがあったはず。もっともっと”誰にも止められない”って勢いがあったはず。E.ツアーで感じたあの身も心も攫われてかれる感じはどこに行ったのよー(号泣)。なんか妙に優等生にまとまってるしツインドラムなんて余計な小細工してるし。道のど真ん中を思うままにかっ飛ばしてくようなシンプルストレートさが最大の魅力だったのに(泣)。もったいないったらありゃしない。
 とは言うものの「バインで一番好きな曲は?」と訊かれたらやっぱり「B.D.S.」って答えるかな(^^ゞ
 
 こんなとこです。
(2001/11/14)