私が自分のことを「アマチュア天文家」と言うと、地道に観測を続け、天文界に貢献しているアマチュア天文家に怒られるかもしれません。
気が向かないと1〜2年まったく天体望遠鏡を箱から出さない期間があり、特にこの2年ほど体調を崩したり、すぴかの世話に夢中になり、高価な観測機材を箱の中に収めたまんまです。
でも、夜間、外に出る機会があるときはふと立ち止まり、しばらくの間夜空を見上げ、「あ〜、○○座が見え始めたなぁ…」とか「今日は空が澄んで、シーイングが良いなぁ、望遠鏡で見たいなぁ…」とか、心の中でつぶやいています。
すぴかが無事に1歳を迎え手がかからなくなってきたので、そろそろ観測機材を引っ張り出して夜が明けるまで観測する機会を持ちたいと思っています。
しかし、夜逃げをするのかと思われるくらい多くの観測機材を車に載せて出かけるのは大変なので、もっと手軽にできる星空散歩に出かけたいと思います。
星を見てみたいけど、望遠鏡を買う予算も無ければ知識もないというあなた、あきらめないでください。天体望遠鏡がなくても星空散歩はできます。
双眼鏡一つあれば、肉眼で見るよりもずっと迫力のある星空を楽しむことがでします。それも、高価な双眼鏡でなく、ホームセンターなどで売られている数千円のもで大丈夫です。
こだわれば、数万〜十数万円の機種もありますが、とりあえず星空散歩を楽しむのであれば、高価なものでなくても十分楽しめます。
ちょっと心が動いた人は、双眼鏡を使った星空散歩を試してみませんか?
1.双眼鏡の選択
購入する双眼鏡は、ホームセンターなどで売られている数千円のもので十分です。
しかし、とてもコンパクトなものや倍率が極端に高いものは避けましょう。
一般的には、口径(対物レンズの直径)が50mmで倍率が7〜8倍のものが最適です。
なぜなら、視野が広く(7度前後)、手持ちでも手ブレがあまり気にならないからです。
コンパクトなものは視野が狭くなり、その分手ブレで星が大きく揺れて見え、イライラします。
次に、倍率も高くなるほど視野が狭くなり、その上、星が暗く見えてしまいます。
どうしても、昼間は野鳥観察などでズーム機能付きの双眼鏡が欲しいという方は、星を見るときは倍率を一番低くして使ってください。
※豆知識 星がよく見える望遠鏡=高倍率 は間違い
初心者の方は、望遠鏡の能力というか、よく見える望遠鏡=高倍率 と思われる人が多いのですが、それは間違いです。
倍率といのは、接眼レンズの焦点距離を短くすれば、理論上は、いくらでも高くできます。
正確には対物レンズの焦点距離によって違うのですが、単純に見て、その望遠鏡が一番能力を発揮できる倍率は、対物レンズの直径(mm)と同じ程度、例えば、50mmの直径(口径)なら、50倍が有効倍率と考えてください。
もし、双眼鏡よりも望遠鏡にしたいという方は、通販などで倍率をウリにしているものは避けましょう。
2.双眼鏡の調整
双眼鏡を持っていても、正しい使い方をしている人が案外少ないものです。せっかくの能力を殺しているようなもので、調整をするかしないかで見え方がまったく違います。
@目幅の調整
まず、双眼鏡は中心軸である程度折れ曲がるようになっているので、双眼鏡を覗いて視野の円が1つに重なるように、接眼部の幅を自分の両目の幅に合わせます。
この幅が合っていないと、星を見ていて船酔いしたような感覚になります。
A視度調整
双眼鏡は、両眼で見るものですから、左右の視力差を調整するための「視度調整」という作業が必要です。
視度調整は、昼間に遠くの目標物(アンテナや看板など)を決めて行ってください。
接眼部(覗く側)の根元あたりを見てください。 左右どちらかに目盛りが刻印されていて、目盛りがある側の接眼部が回るようになっているのが一般的です。
メーカーや機種により、中心軸にダイヤルが付いている場合もあるので、説明書を読んでください。
ここでは、接眼部が回転する場合で説明します。
まず、目盛りがついている側の目を閉じるか、対物レンズにキャップをして、片目でピントを合わせます。
ピント合わせは、中心軸のダイヤルで行います。
次に、反対側の目を閉じるか対物レンズにキャップをして、接眼部を回してピントを調節します。
これで左右の視力差が調節できました。
この調節をするだけで、ずいぶんとクリアに見えるようになります。
何人かで回して見る場合は、その都度視度調節が必要になります。
できれば、一人ひとりのマイ双眼鏡を持ちたいですね。
3.姿勢
双眼鏡を持つ姿勢は、カメラの構え方と同じです。脇を締めて手ブレを防ぎます。
また、車や構造物などに背中を寄りかからせて、体が揺れるのを防ぎます。
4.その他
星空散歩をするには、できるだけ街の灯りが少ない場所が良いので、高い場所へ行かれると思います。
夏と言えども、山の上は案外寒いことがあるので、冬ほどの防寒対策は必要ありませんが、薄手でも長袖のものを持っていってください。
もうひとつ、夏場は蚊などの虫がいますので、携帯の蚊取り線香や、最近は電池式のものもあるので、防虫対策をしてください。
冬場は、オーバーすぎるくらいに防寒対策をしてください。私などは、極地にでも行くのかというくらいに着込みます。