生方 たつゑ

明治37年〜平成12年(1904〜2000) 

冬山の痩せたる襞におきわたす
根雪のひかりきびしこのくに

沼田城址下公園から
冬の厳しい谷川岳を望

沼田城址公園内にある
生方たつゑ歌碑

冬やまの痩せたる襞におきわたす根雪の光りきびしこの国

 早い年は11月のはじめに降雪がおそってくる山国でした。雪を刷いたように置きわたす初めて
の雪が、いつ消えることもないまま根雪になり、またそのうえに新雪が重なります。
 冬山は落葉樹が葉を落としたあとは、骨をむき出したような削ぎ立った山容を見せますから、雪
はそのきびしい形を一層きわだって押し出した風景をつくります。
 どこを見ても山に囲まれたきびしい谷あいの町の沼田に、私は住みつかねばならなくなりました
とき、覚悟はしていましたけれど、この閉じられたために一層きびしい山相にむかいながら、いく
たび自然のきびしい鞭を嘆いたことでしょう。
自然というより、自然以上にし峻烈な人生を思っていたのです。
そこには逃避がありませんでしたから。
                                (生方たつゑ 「私の歌自注百首」より)

生方 たつゑ 本名 生方 たつへ
 明治37年(1904)三重県宇治山田市(現伊勢市)に
生まれ、大正15年日本女子大学卒業後、
生方誠と結婚、沼田町(現沼田市)で生活するようになる。
生方家は400年余り続く大家族の旧家で、若い主婦に課せられた荷は重かった。好きな歌が
生の支えとなっていった。昭和10年第1歌集「山花集」を発刊、昭和33年「白い風の中で」で読
売文学賞受賞、昭和55年「野分のように]で迢空賞受賞、平成元年沼田市名誉市民に選ばれる。
 平成12年95歳で没す。 

生方記念文庫

沼田市

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晩年の生方たつゑ

代表歌集
 野分のように





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