No122 田島秀男 『まだら』569手 詰棋めいと2001年5月



 本作は馬鋸による再帰手順を実現した。田島氏の作品構成力は傑出しており、
実現困難な大型趣向作を数々発表している。なお、再帰手順については
別項【再帰的手順についての考察】を御覧ください。
 本作は56-92斜めに並ぶ歩を剥がす。そして、97成桂を龍で取り収束する。
以上が大まかなストーリーである。まず、46手目までを見て頂きたい。
【作意】
61馬、27玉、71香成、38玉、39歩、(イ)37玉、82馬、27玉、72馬寄、37玉、
73馬、27玉、63馬、37玉、64馬、27玉、54馬、37玉、55馬、27玉、
45馬、37玉、46銀、(ロ)26玉、35馬、27玉、72馬、16玉、34馬、26玉、
35銀、37玉、73馬、27玉、63馬、37玉、64馬、27玉、54馬、37玉、
55馬、27玉、45馬寄、37玉、38歩、同玉、でA図(46手目)
(イ)48玉は58成桂、同玉、25馬、47香、49銀、57玉、47馬、同玉、48香、57玉、
  46銀、68玉、78龍、59玉、58龍迄
(ロ)48玉は58成桂、同玉、49銀、68玉、78金迄

       A図


本作は二枚馬を巧みに運用する。34-61斜めライン、45-81斜めライン、46-82
斜めラインに二枚馬は自由に行き交う事が出来る構図になっている。A図では
34、45に二枚の馬が並んでいる。この二枚馬が連結した状態で、初めて56歩が
はがせる。馬で歩を剥がし、同金同馬と次の馬で取り返す狙いである。以後の
歩ハガシも同様で馬二枚が協力できる斜めに連結した状態でなければならない。

56馬、(ハ)27玉、45馬行、38玉、39歩、37玉、55馬、27玉、54馬、37玉、
46銀、26玉、35馬、16玉、43馬、27玉、45馬、26玉、35銀、37玉、
55馬、27玉、54馬行、37玉、38歩、同玉、65馬、56歩、でB図(74手目)
(ハ)同金は同馬、47角、39歩、48玉、47成桂、同銀成、26角、37香、49金迄

       B図


二枚馬をやりくりし、65歩を剥がす。金で取り返せない玉方は56歩と合駒をす
る。すると、攻方は56歩をまた、ハガシに行かねばならない。

39歩、27玉、54馬行、37玉、55馬、27玉、45馬、37玉、46銀、26玉、
35馬、27玉、54馬、16玉、34馬、26玉、35銀、37玉、55馬、27玉、
45馬寄、37玉、38歩、同玉、でC図(98手目)

       C図


C図の局面はA図から65歩が無くなった局面である。歩を剥がすとその一路前
に歩合をされ、局面が部分的に還元してしまう。それは剥がす位置が遠ざかれ
ば顕著になる。詰将棋でハノイの塔のパズルを解くわけである。

56馬、27玉、45馬行、38玉、39歩、37玉、55馬、27玉、54馬、37玉、
64馬、27玉、63馬、37玉、46銀、26玉、35馬、16玉、52馬、27玉、
45馬、26玉、35銀、37玉、55馬、27玉、54馬、37玉、64馬、27玉、
63馬行、37玉、38歩、同玉、でD図(132手目)

       D図


74馬、65歩、39歩、27玉、63馬行、37玉、64馬、27玉、54馬、37玉、
55馬、27玉、45馬、37玉、46銀、26玉、35馬、27玉、63馬、16玉、
34馬、26玉、35銀、37玉、64馬、27玉、54馬、37玉、46銀、26玉、
35馬、16玉、43馬、27玉、45馬、26玉、35銀、37玉、55馬、27玉、
54馬行、37玉、38歩、同玉、でE図(176手目)

       E図


65馬、56歩、39歩、27玉、54馬行、37玉、55馬、27玉、45馬、37玉、
46銀、26玉、35馬、27玉、54馬、16玉、34馬、26玉、35銀、37玉、
55馬、27玉、45馬寄、37玉、38歩、同玉、でF図(202手目)

       F図


56馬、27玉、45馬行、38玉、39歩、37玉、55馬、27玉、54馬、37玉、
64馬、27玉、63馬、37玉、73馬、27玉、72馬、37玉、46銀、26玉、
35馬、16玉、61馬、27玉、45馬、26玉、35銀、37玉、55馬、27玉、
54馬、37玉、64馬、27玉、63馬、37玉、73馬、27玉、72馬行、37玉、
38歩、同玉、でG図(244手目)

       G図


83馬、74歩、39歩、27玉、72馬行、37玉、73馬、27玉、63馬、37玉、
64馬、27玉、54馬、37玉、55馬、27玉、45馬、37玉、46銀、26玉、
35馬、27玉、72馬、16玉、34馬、26玉、35銀、37玉、73馬、27玉、
63馬、37玉、46銀、26玉、35馬、16玉、52馬、27玉、45馬、26玉、
35銀、37玉、55馬、27玉、54馬、37玉、64馬、27玉、63馬行、37玉、
38歩、同玉、でH図(296手目)

       H図


74馬、65歩、39歩、27玉、63馬行、37玉、64馬、27玉、54馬、37玉、
55馬、27玉、45馬、37玉、46銀、26玉、35馬、27玉、63馬、16玉、
34馬、26玉、35銀、37玉、64馬、27玉、54馬、37玉、46銀、26玉、
35馬、16玉、43馬、27玉、45馬、26玉、35銀、37玉、55馬、27玉、
54馬行、37玉、38歩、同玉、でI図(340手目)

       I図


65馬、56歩、39歩、27玉、54馬行、37玉、55馬、27玉、45馬、37玉、
46銀、26玉、35馬、27玉、54馬、16玉、34馬、26玉、35銀、37玉、
55馬、27玉、45馬寄、37玉、38歩、同玉、でJ図(366手目)

       J図


56馬、27玉、45馬行、38玉、39歩、37玉、55馬、27玉、54馬、37玉、
64馬、27玉、63馬、37玉、73馬、27玉、72馬、37玉、82馬、27玉、
81馬、37玉、38歩、同玉、でK図(390手目)

       K図


92歩を剥がす局面になった。なお、92歩を剥がす時は取り返しはないので、
馬は単独でよい。

92馬、83歩、39歩、27玉、81馬、37玉、82馬、27玉、72馬、37玉、
46銀、26玉、35馬、16玉、61馬、27玉、45馬、26玉、35銀、37玉、
55馬、27玉、54馬、37玉、64馬、27玉、63馬、37玉、73馬、27玉、
72馬行、37玉、38歩、同玉、でL図(424手目)

       L図


92歩を剥がせば、すぐ収束に入る事ができそうだが、それは実現しない。収束
の変化に備えて、34馬45馬の局面にする必要がある。実に巧妙な構成である。

83馬、(ニ)74歩、39歩、27玉、72馬行、37玉、73馬、27玉、63馬、37玉、
64馬、27玉、54馬、37玉、55馬、27玉、45馬、37玉、46銀、26玉、
35馬、27玉、72馬、16玉、34馬、26玉、35銀、37玉、73馬、27玉、
63馬、37玉、46銀、26玉、35馬、16玉、52馬、27玉、45馬、26玉、
35銀、37玉、55馬、27玉、54馬、37玉、64馬、27玉、63馬行、37玉、
38歩、同玉、でM図(476手目)
(ニ)同金は同馬、65歩、39歩、48玉、58成桂、同玉、49銀、47玉、38銀、58玉、
  49龍、67玉、97龍、77金左、同龍、同金、79桂、57玉、58金、以下。

       M図


74馬、65歩、39歩、27玉、63馬行、37玉、64馬、27玉、54馬、37玉、
55馬、27玉、45馬、37玉、46銀、26玉、35馬、27玉、63馬、16玉、
34馬、26玉、35銀、37玉、64馬、27玉、54馬、37玉、46銀、26玉、
35馬、16玉、43馬、27玉、45馬、26玉、35銀、37玉、55馬、27玉、
54馬行、37玉、38歩、同玉、でN図(520手目)

       N図


65馬、56歩、39歩、27玉、54馬行、37玉、55馬、27玉、45馬、37玉、
46銀、26玉、35馬、27玉、54馬、16玉、34馬、26玉、35銀、37玉、
55馬、27玉、45馬寄、37玉、38歩、(ホ)同玉、でO図(546手目)
(ホ)48玉は58成桂、同玉、49銀、68玉、78龍、59玉、79龍迄

       O図


56馬、27玉、45馬行、38玉、16馬、(ヘ)同成桂、39歩、(ト)37玉、46馬、27玉、
28馬、36玉、46成桂、25玉、36成桂、同玉、46馬、27玉、97龍、同金、
28歩、17玉、29桂、迄569手

     詰上がり


(ヘ)27桂生は同馬右、同成桂、39歩、48玉、58成桂、同玉、49銀、68玉、78龍、
  59玉、58龍迄
もし、45馬が他の位置なら、(ヘ)の変化で27桂、同馬右、同成桂、39歩、37玉、
xx馬、36玉で逃れる。
(ト)48玉は58成桂、同玉、49銀、47玉、46馬迄

実に雄大な馬鋸ハガシであった。最近まで、伝統ルールの下では再帰手順は難
しいとの声が大きかった。『天月舞』で初めて再帰手順は実現した。そして、
本作の登場で、その完成度は頂点に達したと言えよう。詰将棋でここまで実現
可能であったかと、感嘆し、詰将棋の奥深さを改めて認識させられた。本作の
構想を発想し、実現した作者に敬意を表したい。


      【解説:近藤真一】