木酢液を考える


水槽内の藻類退治等で良く使われている木酢液ですが、その使われ方としては、水槽から取り出した流木などに数倍から数10倍に薄めた木酢液溶液を塗布したり、水槽内の藻類に原液かそれに近い濃度の溶液を直接吹き付けたりと、いろいろとあるようです。
水槽内に直接投入した場合、水草や生体に悪影響を及ぼしそうに思いますが、適量であれば逆に好影響を及ぼすという不思議な液体“木酢液”について考えてみましょう。
1.5リットル680円

1.木酢液とは
2.木酢液の成分
3.木酢液の効能
4.水槽内に及ぼす効果
5.木酢液を考える


1.木酢液とは
木酢液とは、炭焼き窯で炭を焼く際に出る白煙を冷却し、水滴となった液体を集めて精製したものです。
きちんと精製された良質の木酢液は、飴色や少し赤味がかったロゼワインのような色をしています。
精製する前の木酢液は茶褐色をしており、これを数ヶ月間静置し、底に沈殿したタール状、及び上面に浮いた不純物を取り除くことにより前述したような綺麗な色になります。
白煙を冷却して液化する際に、温度コントロールが確実に行われていない炭焼き釜では、ベンツピレン等の発ガン性物質が検出されることもありますが、これは精製した木酢液を蒸留することにより容易に除去することが出来ますので、実際に使用する際には蒸留されたもののほうが無難でしょう。
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2.木酢液の成分
木酢液はその名が示すように“酢酸”が主成分となっており、pHは3程度の弱酸です。
木酢液に含まれる全成分は200種類ともそれ以上とも言われていますが、全成分を特定するまでには至っていないようです。
主な成分は以下のようなところで、これらで全成分の約40%程度を占めます。
  1. 酢酸を含む有機酸類
  2. アルコール類
  3. フェノール類
  4. エステル類
  5. アルデヒド類
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3.木酢液の効能
木酢液の代表的な効能としては、殺菌力、土壌改善力があげられます。
木酢液は、農業(園芸含む)、漁業(養殖)、畜産業などで使用されていますが、ここではアクアリウムに関係がありそうな農業と漁業について考えます。
「農業」

1.葉面散布で害虫駆除
これらのような考え方がありますが、どれも経験的な実践結果からこう考えられているにすぎません。
高濃度の木酢液は確かに優れた殺菌効果がありますが、適度に薄めたものでは殺虫効果は認められていないどころか、農薬による影響で弱っていたミツバチが木酢液を地上散布した結果元気に飛び回るようになったという事例もあります。

2.土壌改善
このような土壌を活性化させる原因は、木酢液が土中の微小生物の増殖をもたらすパワーを持っていることによるものと考えられています。
木酢液の微小生物の増殖効果についてはいくつもの実験報告がなされています。
変わったところでは、有機栽培をしている水田で木酢液を使用しているある農家では、水田の排水溝にドジョウがあふれるようになったようです。
これは木酢液によりドジョウの餌となる微小生物の大量発生をもたらしたことが原因であると考えられます。
微小生物が増殖した土壌では、蓄積された肥料を含む有機分が十分に分解され、酸素を多く含む通気性のよい状態となるため、植物の根が健康に発達し、その結果植物が元気になると考えることが出来るでしょう。
「漁業」
1.ウナギの養鰻場で、ウナギの綿かむり病が蔓延した際、ウナギの餌に木酢液を混入した所、病鰻の死亡率が飛躍的に減少し、綿かむり病も治ったという実験結果があります。
2.ブリの養魚場で、餌に混入して養殖した魚体成分を分析した所、天然ブリのものに近づいていたとの結果もあります。

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4.水槽内に及ぼす効果
私は藍藻を退治するために木酢液を水槽内に投入しましたが、藍藻退治に成功するとともに、水槽内に興味深い変化が見られたので、自分の経験をもとにその変化について考えてみます。

藍藻が発生している部分数ヶ所に注射器状のスポイトで直接木酢液を噴射しました。
1ヶ所に付き0.5ml程度で、3〜4箇所、すなわち一度に1.5〜2ml水槽内に投入し、これを1週間ほど続けました。(水槽は36cmの22リットルです)
木酢液を投入して3日目ぐらいに水草が今までに見た事も無い鮮やかな緑色になり、まさに勢いづいたという感じになりました。
(その時の水草の状況はアクアな落書きのコーナーの「その11 水草元気!」をご覧下さい)
その後、藍藻の増殖が落ち付いたので、木酢液の投入を止め、しばらくすると水草の勢いも落ち付き、逆に水草の元気が無いような状態になりました。
それと同時に藍藻も姿を見せなくなりました。
その様な状態が10日間ほど続き、その後また水草がいつものような健康な状態になっていき、安定しました。

この間の水槽内でのコケの状態はというと、木酢液を投入した当初はガラス面に緑色のスポット状コケが目立ち、僅かずつではありますが、増殖していたのですが、水草が元気を無くすのと同時期に増殖がぴたっと止まり、藍藻も見られなくなりました。
その反面同じく水草の元気が無くなった時期あたりから黒髭が増殖していきました。
水草が元気を取り戻してからは、黒髭の増殖も止まり、その後は全てのコケの増殖が落ち着いたという感じです。
これらの流れを見て行くと、木酢液を投入することにより、ある特定の微小生物(バクテリア)が急激に増殖し、葉緑素を多く持つ植物(藻類を含む)に有効な栄養分が生成される。
木酢液の投入を止めると、水槽内のバクテリアの勢力の均衡を取り戻そうと、急増したバクテリアと違う種類のバクテリアが急増し、そのバクテリアの影響により黒髭のような葉緑素を多く持たない藻類に有効な栄養素が生成される。
数種のバクテリア同士がシーソーゲームをしながらバランスを取り戻し、その後はバクテリア勢力の均衡がとれ、水槽内が良い状態になったと考えられるのではないでしょうか。
生体への影響としては、木酢液を投入し出してから死んでしまった生体は以内ということから、悪影響は無いものと考えられます。
ここまで書いてきた木酢液の水槽内に及ぼす影響は、あくまでも推測の域を出ないということをお断りしておきます。
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5.木酢液を考える
結局のところ、木酢液はその成分や効能について科学的に分析、検証されたのはほんの一部分に過ぎず、大部分は経験的な事例や推測の域を出ないようです。
このような木酢液について現時点ではいっそのこと割り切ってこう考えてみてはどうでしょうか。

樹木は、炭焼き釜の中で焼かれ、その命が完全に失われようとする直前に体中に残っている“命の源”を白煙という形で発散させます。
この、樹木の“命の源”を集めて凝縮したものを私達は木酢液と呼んでいます。


子孫の為に自分の命を分け与えようとしているのでしょうか?

そんな木酢液が、動植物に活力を与えるとしても何ら不思議なことではないように思います

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