<硝酸塩(イオン)、リン酸塩(イオン)蓄積状況調査>
アクアでよく語られる事として硝酸塩or硝酸イオンは蓄積するので水槽外に排出しなければならない。
というのが有りますが、どれくらい蓄積するか換水周期はどれくらいが適切か、例として水槽の実測データを示して説明した例はあまり見た事が有りませんでした。
そこで、我が家のタイプの異なる3つの水槽を例に挙げて、換水後の日数と硝酸塩(イオン)濃度(NO3)、更に焦点を当てられる事は少なかったのですが、もうひとつの重要な水槽内蓄積物質であるリン酸塩(イオン)濃度(PO4)にポイントを絞って調査しましたので報告致します。
<硝酸塩(イオン)とリン酸塩(イオン)>
水槽内に蓄積し、水草の肥料ともなるが、水質悪化の要因とされている硝酸塩(イオン)とリン酸塩(イオン)について簡単に説明します。
1. 硝酸イオン:NO3^−
水槽内で生体の排泄物として出されたアンモニア(NH3)はニトロソモナス属バクテリアの酸化作用で亜硝酸イオン(NO2^−)に、そしてニトロバクター属バクテリアの酸化作用で硝酸(HNO3)となり、電離した硝酸イオン(NO3^−)または、他のカチオンと結合した硝酸塩の形となり、最終生成物として水槽内にとどまる。
脱窒還元濾過が機能していれば、一部または大部分が窒素ガス(N2)として大気中に放出される事もある。
2. リン酸イオン:PO4^3−(オルトリン酸ともいう)
残り餌からの溶出物などによって生成され、水槽内に蓄積される。
生物の成長には欠かせないものだが、バクテリアが増殖する時に取り込まれて固定されたり、一部はCa,Mg,Fe,Al等と結びついた不溶性無機リン酸として汚泥の形で水槽内にとどまる為、窒素のように大気中には放出されず、掃除、換水によって水槽外に取り出す必要があると言われる。
<調査内容>
我が家にある9つの水槽のうち、比較的過酷な環境と思われる2本の過密水槽(2)、(3)と水草密度の最も高いメイン水槽(1)の計3本の水槽において、換水後からの硝酸イオン、リン酸イオン濃度の変化を28日間、毎日調査しました。
測定は、PO4測定試薬(RedSea)、N03測定試薬(ドギーマン)を使用し、高濃度測定の為PO4(リン酸)測定は水槽水を精製水にて36倍希釈したもの、NO3(硝酸塩)は同じく2倍希釈したものを測定し、測定値をおのおの36倍、2倍したものを測定結果と致しました。
各水槽の環境一覧と画像を次に示します。
| 項目/水槽名 | (1)メイン水槽 |
(2)ランチュウ水槽 |
(3)過密水槽 |
| 水槽サイズ | 60cm曲ガラス水槽 | 60cmランチュウ水槽 | 35cm水槽 |
| 水量 | 約58L | 約30L | 約16L |
| 生体の種類数量 | カージナルテトラ、ラスボラエスペイ、赤コリ、プレコ、ミナミヌマエビ数百匹 計:30匹+α(エビ)水槽負荷:約2L/1匹 | 雄グッピー、アカヒレ、ゴールデンハニーグーラミィ、オトシン、赤コリ、白コリ等 計:50匹水槽負荷:約0.6L/1匹 | 雌グッピー、オトシン、赤コリ、白コリ等 計:50匹水槽負荷:約0.3L/1匹 |
| 底床材 | 大磯(1分)約14kg | 大磯(0.7分):塩酸処理済約8kg | 大磯(0.7分):塩酸処理済約3kg |
| フィルター構成濾材 | エーハイム2213New(スポンジ濾材)+プレフィルタ, エアリフト底面濾過 | プライムパワー10(スポンジ濾材)+プレフィルタ, エアリフト底面濾過 | エアリフト底面濾過, エーハイムスポンジフィルタ,投げ込みフィルタ(サンゴ砂入り) |
| 餌 | あやしい堂フレーク+GROW(B)+アルテミア等ブレンド乾燥飼, スピルリナ1錠, ヒカリキャット4粒以上、1日1回, キョーリンビタミンアカムシ2日に1回 | あやしい堂フレーク+GROW(B)+アルテミア等ブレンド乾燥飼, ヒカリキャット4粒以上、1日1回,キョーリンビタミンアカムシ2日に1回 | あやしい堂フレーク+GROW(B)+アルテミア等ブレンド乾燥飼, スピルリナ1/2錠l ヒカリキャット2粒以上、1日1回, キョーリンビタミンアカムシ2日に1回 |
| 照明機器点灯時間 | 20Wx2灯:1.5H,20Wx4灯:5.5H(インバータ改造品) | 20Wx1灯:7H(インバータ改造品) | 15W1灯:7H(インバータ改造品) |
| 水草 | クリプト、ミクロソ、ハイグロ、アマゾンフロッグビット等水草面積:80% | ミクロソ活着流木x2本、アマゾンフロッグビット水草面積:30% | 無し |
| その他設備 | 底床内、デニボール埋め込みテトラUV400殺菌灯 | 底床内、デニボール埋め込み | 底床内、デニボール埋め込み |
| 通常換水周期 | 30〜60日 | 14日 | 7日 |
(1) メイン水槽(60cm水槽) (2)ランチュウ水槽(60cmランチュウ水槽) (3) 過密水槽(35cm水槽)
<実験結果>
(1)メイン水槽(60cm水槽)
・初期換水前硝酸塩(イオン)濃度 :80ppm
・初期換水前リン酸塩(イオン)濃度:29ppm
2)ランチュウ水槽(60cmランチュウ水槽)
・初期換水前硝酸塩(イオン)濃度 :100ppm
・初期換水前リン酸塩(イオン)濃度:29ppm
(3)過密水槽(35cm水槽)
・初期換水前硝酸塩(イオン)濃度 :200ppm
・初期換水前リン酸塩(イオン)濃度:18ppm
<考察>
全水槽ともに換水前後では、換水量にほぼ比例して硝酸、リン酸各イオン共に減少しているのがわかる。
換水後、日数と共に硝酸、リン酸ともに上昇して行くが、4〜6日ほどでほぼ飽和する。
ところが、飽和後ほとんど濃度が上昇しなくなる事がわかった。
これは通常のアクアの常識とは相容れない結果である。
(アクアの一般常識)
最終生成物である硝酸塩、リン酸塩は蓄積するので換水によって水槽外に排出しなければならない。
私も今回の実験を行なうまではそのように思っていた。
しかし、デニボールの効果による脱窒還元濾過が働いたとしても、砂に埋めただけのデニボールにこれほど高濃度の硝酸塩を処理する脱窒効果があるとは信じがたいし、リン酸まで飽和しているところを見ると、他の要因が働いていると考える方が適切と思われる。
(NO3、PO4飽和要因についての推論)
各水槽にはその環境に応じた硝酸塩、リン酸塩のイオンとして存在できる上限値が有り、その値を越えると水中に存在する陽イオンと結びついて汚泥の形で沈殿する為、イオンを検出する検査方法では検出できない。
理論的裏付けがないのであくまでも推論であるが、仮にこの推論が正しいとすれば、蓄積とはイオンの状態ではなく無機物もしくは有機物と結合した状態で起こり、たとえ餌等で外部から供給しなくても蓄積した硝酸塩、リン酸塩が徐々にイオン化して溶けだし、ほぼ一定の濃度を維持することになる。
そして、トータルの量を減らすには、飽和する前の3日に一度のペースで換水を続けるしかないという結論になる。(ただし、濾過バクテリアに対するダメージを考えると現実的では無い。)
この推論については私のレベルでは解明できないので、より詳しい方々のご検討を期待したいと思います。
<使用測定キット>
硝酸塩(NO3)濃度測定:硝酸塩テスター(ドギーマン製)
リン酸塩(PO4)濃度測定:リン酸塩測定キット・ミニラボ(RedSea製)