誰でもわかる連続照明講座〜蛍光ランプ編
「第二回 照明器具のスペックを理解しよう」
照明器具には色温度やRaといったスペックがありますが、いまいち理解されていない面が多いようです。
特に色温度は明るさの単位と勘違いされていることも多く、正しい照明器具選びの障害になっています。
ここでは、そうした各スペックの意味について解説することにしましょう。
なお、アクア用の蛍光ランプはスペックの一部しか解説表記されないのが普通ですが、一般蛍光ランプのスペックが参考になることも多いので、そのあたりも書いていきたいと思います。
色温度(単位 K ケルビン)
アクアリウムでもっとも馴染み深く頻繁に登場するスペックであるにも関わらず、正しく理解されていることが極めて少ないものでもあります。分光分布
色温度の正確な定義は極めて難しいので割愛しますが、大雑把には光の色を数字(絶対温度)で表したものだと思ってください。
赤っぽい色は色温度が低く、青白い色は色温度が高い。
要するに、色温度の***Kという表記は、その蛍光ランプが赤っぽい温かみのある色の製品か、あるいは青っぽいクールな色の製品化を見分けるために表記されているのです。
一般家電用のランプの場合は、3800k前後の”電球色”、5000k前後の”昼白色”、7000k前後の”昼光色”が販売されています。
5000〜6000k程度の色温度は日中の太陽光に近く、色合いが比較的自然に見えるのが特徴です。
それより低い場合は温かみのある色に、高い場合は青白いクールな色合いになります。
アクアリウム用で知られている12000kなどは晴天の青空と同じ真っ青な色で、あまりにも不自然なために一般的な用途に利用されることはありません。
これらの色温度の違いによる水草育成への影響ですが、実は大した関係はありません。アクアリウムでは8000kや12000kが水草育成に良いと信じられていますが、科学的根拠はありません。本来色温度は”人間のためにある”もので、要するに用途や各人の好みで選択するものなのです。青白い色が好きなら高色温度製品を、温かみのある製品が好きななら低色温度製品を、ナチュラルな色が好きなら5000〜6000kの製品を選べばよいわけです。
蛍光ランプを購入すると、パッケージにグラデーションのかかったグラフが印刷されていることがありますが、これが分光分布です。平均演色評価値(単位 Ra)
このグラフは、ランプがどの波長の光をどの程度放出しているかを示すもので、水草育成の効率化を考える上で重要なものです。
例えば植物が光合成でもっとも多く必要とする光は650〜660nmあたりをピークとする赤い光ですが、分光分布を見ればこのあたりの光がどの程度放出されているか一目瞭然というわけです。
これは蛍光ランプで照らされた物体が、いかに正確な色合いに見えるかを示す数字です。全光束(単位 lm)
数字が高いほど水槽内の景色も自然で、違和感の無いものに見えるというわけですね。
Ra88以上あれば不自然な色合いに見えにくいといわれ、一般の三波長形蛍光ランプは85〜89程度、高演色型と呼ばれるものはRa90〜99となっています。
Ra99の製品は色評価用などに利用され、非常に正確な色表現が可能となっています。
ただし、正確な色=美しいとは限りません。熱帯魚観賞用ランプなどはRaが非常に低い(通常は非表示)のですが、赤・青系の魚などは非常に美しく見えます(それ以外の色が美しくないのですが)。
魚の赤や青、水草の緑など特定の色の鑑賞だけを重視するなら、Raは重要な数字ではありません。
蛍光ランプから放出される光の総量、すなわち明るさを示すものです。波長(単位 nm)
蛍光ランプ全体から出る光の総量なので、すべてが水槽内に降り注ぐわけではありませんし、レフ板の性能などに左右される面はありますが、大まかに明るさの違いを把握することができます。
アクアリウム用の製品で表示されているものはありませんが、これはジャンル(三波長形・植物育成用など)による違いが大きく、個別の製品ごとの違いは少ないので、大体のところは把握できます。
以下20W型ランプの全光束例
三波長形 1450〜1500
高演色形 900前後
食肉用 700前後
植物育成用 400前後
太陽の光をプリズムで分解すると、青紫−青−緑−黄−オレンジ−赤という連続した色になります。水中透過率について
いわゆるスペクトルというものですね。
こうした光は一種の電磁波であり、可視光は380〜780nm(1nmは10億分の1mm)の波長*1を持っています。
青紫ほど短く、赤いほどに長い波長なわけですが、人間の目に最も明るく感じるのは555nmの緑色の光となっており、ちょうど三角形のように短い波長、長い波長は見えにくく(要は暗く)なります。
植物は逆に400〜500nm、600〜700nmの光を必要とするので、人間の目(鑑賞)とは一致しません。植物育成用ランプが極めて暗く見え、鑑賞に適さないのは、これも原因となっています。
アクアリウムでは青い光が水草に重要という根拠として、「赤い光は水に吸収されやすく*3、青い光の方が水底に届く」と言われています。定格寿命
これは事実研究結果として出ていますが、物事を一方から見過ぎていて十分とはいえません。
まず重要なのは、光が目的地まで届く間に弱ってしまう”減衰”は、吸収だけではなく”散乱”もあるということです。
散乱とは光が微粒子などにぶつかって散る現象で、空が青いのは波長の短い青い光が空気中の水分や微粒子などによって散乱するためです。
海も同様に青く見えますが、こちらは水によって赤い光が吸収されるとともに、水中物質によって青い光が散乱するためと言われています。
こうした散乱は吸収とは逆に、青い光が赤い光の10倍も高い水準といわれています。
このためか、微粒子が非常に多い飼育水(目では透明に見えても微粒子は多い)で光の透過率試験をすると、吸収とはまた違った側面も見えてくるようです。
この件について詳しくはkasimaruワールドの<水中における光透過率実験>を参照ください。
いろいろ書きましたが、結論として30〜45cm程度の水深しか持たない水槽では、光の減衰について考慮する必要はなさそうです。
5時間点灯、2時間消灯を繰り返し、蛍光ランプの光が点灯100時間後*2の光を基準に70%まで低下するか、あるいは点灯しなくなるか、どちらか早いほうが訪れる点灯時間の平均値です。
ランプのW数によっても異なりますが、20Wの三波長形で7000〜8000時間が定格寿命となっています。
一日8時間の使用で1000日ということですが、だいたいこのくらいの期間は70%の明るさを維持すると考えて問題ありません。
定格寿命は高温にさらされると短くなる傾向がありますので、水槽のようなガラスブタと照明器具に挟まれた状態では若干定格寿命が短くなります。
密閉型蛍光ランプの例を参考にするなら、8000→6000時間程度の減少があるものと推測されますが、確実なところは不明です。
照明器具を多少でもリフトアップし、空気が通るようにすることで、若干の寿命延長が期待できると思われます。
このほか蛍光ランプは点滅時の消耗が大きく、一回点滅するごとに1時間寿命が短くなるとも言われています。
電源投入時のチカチカっという点滅はもっとも消耗が大きく、これを軽減するためにはインバーター方式の照明器具を使用するか、あるいは電子点灯管を使うという手があります。
電子点灯管は従来の点灯管と入れ替えて使うものですが、スパッと一瞬で明かりが点く上に、点灯管自体の寿命も長いというスグレものです。通常の点灯管よりかなり高価ですが、メリットは大きいでしょう。
*1可視光より短い波長、長い波長はそれぞれ紫外線や赤外線となっています。
*2蛍光ランプは交換時の印象を良くするため、点灯開始後100時間は特に明るく発光するように作られています。このため明るさや寿命は点灯開始後100時間経過した状態が基準となります。
*3水による光の吸収実験は多くの場合不純物を含まない蒸留水で行われている。