子供が一生懸命操ろうとする一本のオールの水面をたたく音が、遠くに聞こえる喧騒を打ち消すかのように耳に入ってきます。その音と同時に数滴の水しぶきが私の露出している肌に当たり、その冷たさに体が反応してしまいます。向かいでは、小さな娘がいっぱいの笑顔で何か叫んでいます。
その視線の先には船着場で手を振る母親の姿が小さく見えています。この池は、高台から見下ろしたときには小さく見えましたが、真中に浮かんでいると、すごく広く感じるのが不思議です。ボートはゆっくりとゆっくりと、池の上をゆらゆら進んでいきます。
〜おわり〜