「ほんま疲れる一日でした。」
「刺繍糸足らんがな〜〜〜〜!」
お客さんから支給された(日本からの支給)刺繍糸が全然足りません。
納期は目前に迫ってるのに〜・・・・・
縫製工場の工場長さんは、縫製の部分は24時間工場動かして協力するけど、刺繍が上がってこないことにはどうしようもないって・・・・・
刺繍工場の工場長さんは納期間にあわすんやったら中国の刺繍糸使わないと絶対無理です!って・・・。
もともとうちの会社は縫製工場との契約で、刺繍工場は縫製工場が手配した外注さん。
その外注さんが全然協力的ちゃうやん!
縫製工場さんとは仲良しで全面的に協力してくれるんやけど、今回は刺繍工場の頑固な姿勢に困ってる様子です。
「かつさん、中国の刺繍糸使ったらダメですか?」 うちの会社の中国人スタッフです。(女性)
「使えんから日本から刺繍糸支給してるんやで。 う〜〜〜ん、まあしゃあないな。 お客さん説得するわ。
」
「ちょっとお客さんに国際電話するわな。」
プ〜〜〜〜〜、プ〜〜〜〜〜、プ〜〜〜〜カチャ
「はい○○でございます。」
「社長? 今中国から電話してるんやけど、刺繍糸全然足らんがな! 納期間に合わんで! どうすんねん!」
なぜかお客様にタメ口の私です。
「あんたー! 納期絶対に間にあわさなあかんで!」
なぜかお客様もタメ口です。 なんという・・・・
お客さんは、ミシン一台から女手一つで会社を作った大阪のえげつないおばちゃん社長です。
なぜかこの社長が私をかわいがってくれるんですなあ。
「足らん分すぐ送るからなんとかしいや!」
「今ごろから日本で手配して送っても無理や! 中国の糸使わせてえや!」
「中国の糸使って色合うんかいな」
「そんなもんやってみなわからんわ! とりあえず同じ色の糸探して無かったら糸作るわ!」
「ほんまにいけるんか?」
「いけるもなにも納期間にあわそうと思ったらそうするしかないやんか!」
「う〜〜〜〜〜ん。 わかったわ。 あんたに任すわ。 そのかわり色合わしや!」
「出来る限りベスト尽くすから、任したからには絶対文句ゆうたらあかんで!」
「わかったわかった。 がんばりや!」
「がんばるでー! ほな日本戻ってからまた報告するわ!」
まずは第一関門突破!
任されてしまった・・・・・。 さあどうするか。
あんなん言うたけど、色合わんかったらしばかれるやろなあ。 う〜〜〜ん。
考えててもはじまらん。
まずは糸メーカーに糸探しにいこか!
「お客さんに中国の糸使ってもええって了解もらったから早速糸メーカーに糸探しにいこか!」
「かつさんありがとうございます。」
「ありがとうって・・・・・そんなもん納期間に合わす目処立ってからや! とにかくすぐいこ!」
縫製工場から糸メーカーまでは車で40分ほどの道程です。 めっちゃ近い!
車中で・・・・
「かつさん、本社にこちらで刺繍糸手配するって報告しておかないとまずいですよねえ。」
「こんなもんでいちいち本社に話し通してたら納期ナンボあっても足らんわ! たいした金額や無いし、文句言われたらわしが全部責任取ったるから本社なんか放っとけ! 事後報告で十分や!」
(当時私は入社1年目の新入社員でした ははは!)
「でも・・・・・・」
(今でこそ中国全土どこへいっても携帯電話ですぐに国際電話を掛けれるようになっていますが、当時は
田舎で国際電話掛けるのは至難の技でした)
もうそろそろ着くかな?と思ったあたりから細い道をぐんぐん進んで行きよる。
「かつさん着きました。」
「糸メーカーってどれやねん!」
「これみたいです。」
これって・・・・・・ちびっこい長屋やん・・・・トホホ。
まあそんなもんどうでもええわ。 糸があるかないかが問題問題!
「かつさん、この中から合う色探してくださいって言ってます。」
当然日本のように各色在庫を持っているというシステムは出来あがっておらず、以前作ったことのある糸の残りをそれなりに色分けしている程度です。
「こっこっここからか・・・・・・・よし! みんなで手分けしてこの色と近いのん集めて!」
そうして5種類ほどの糸が集まったのでした・・・・
「あか〜〜〜〜〜〜ん。 合う色無いで〜〜〜〜!」
「かつさん、この色なんてどうですか? 縫製工場の人も糸メーカーの人もこれでどうですかっていってますが。」
「こんなもん全然色違うがな。 あかんあかん! こうなったら今から糸作りに行くで!」
「いっいっ今からですか?」
「今からや! 今すぐ動かなどないすんねん! 糸メーカーさんに、今から糸作りに行くから工場に連れて行ってもらえるように話しつけて!」
「わっわかりました。」
「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
「かつさん、工場遠いし、今すぐ行っても糸作れないって言ってますが・・・・」
「あかんあかん、今すぐに糸作らな納期間に合わんがな。 ペナルティ食らったら誰がその金払うねん! なんとか連れて行ってもらえるように交渉してえな。 縫製工場の工場長さんからもプッシュしてもろてえな。」
「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
「かつさんやっぱりダメです。 どうしても連れて行ってもらえません。」
「そんなアホな話しあるかい! なんであかんねん? 遠いとか、すぐに作られへんとかゆうてるけど、ほんまの理由はなんやねん?」
「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
「かつさん、どうやら工場があまりに田舎で汚いところなんで、日本人に見せたくないって言ってます。 面子が立たないって・・・・・」
「あほか〜〜〜〜〜! 面子もくそも無いわい! わしは日本みたいな遠いところからなにしに来てる思うとるねん! どんな汚いところでもええ糸作れるんやったら関係無い! そこで作る糸も汚いんか! 今わしがゆうたことそのまま通訳してくれ!」
あまりのあほらしさに怒鳴り散らしてしまいました。
(私っていつもは温和な平和主義者ですからね! ほんまですよ! って念を押せば押すほど信じてもらえそうに無い・・・トホホ)
「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
「かつさん、今からすぐに工場行きましょうって言ってますよ! でもほんとに汚いですからねって。」
お〜〜〜〜〜! 私の思いが通じてくれたのねん! ありがと〜〜〜〜!
「で、工場って車でどれぐらいかかんの?」
「2時間半ぐらいだそうです。」
「にっにっにじかんはん・・・・・往復で5時間か・・・・・もう昼やん・・・・トホホ。
かまへんわ! 行ってまえ!」
〜つづく〜
いざ、糸工場へGO!GO!GO!
田舎方面に走るので、当然道は舗装されてるわけも無く、ガガガガゴッガガゴッガガガ・・・・・・
がたがた道を時速100kmほどで飛ばして行きよる。
相変わらず中国人の運転は恐ろしい。
体中痛いっちゅうねん。
もうええやろ〜〜〜〜!と言うほど走った頃には民家もまばらで、視界が広々〜〜〜!
予想していたこととはいえ、やれやれ。
工場の敷地ってどこからどこまで? 塀が無いからだだっぴろ〜〜〜い空き地に古古の、一応コンクリートで出来た建物が2〜3棟ポツン。
「かつさん着いたようです。」
「着いたみたいやね。」
どんな田舎でも汚のうてもかまうかい!っと啖呵切った手前、文句も言えずにおとなしい私です。
でもひどすぎるんちゃう?
ただ田舎なだけやったらええんやけど、工場の敷地?らしき所はあっちこっちゴミだらけ。
思ったことはすぐ口に出る私がどれだけ固くお口にチャックしたことか・・・・・
お〜〜〜〜〜〜〜! 叫びたい〜〜〜〜〜!
そこはぐっとこらえて・・・・・
「さあ色出そか!」
※糸や紐、布などは、まずビーカー出しと言って、ビーカーやフラスコの中に素材の切れっ端を入れて、希望する色の染料をぶっ込んでぐつぐつ2時間ほど煮込んで染めます。
染料の配合をいろいろ検討して、希望する色が出たらOKOK!
その染料の配合で本番の染めに入ります。
とりあえず日本製の糸を見せ、
「これとまったく同じ色出してちょうだい!」
「らじゃー!」
ってな感じで、ちびっこいビーカーで糸が染め上がる2時間後に期待!
さあ2時間何しようか?
なにするもかにするも、昨日の昼からバタバタ過ぎてなんにも食べてないから腹減った〜〜〜〜。
もう3時やん! いったい何時間メシ食ってないんやろか????
まずはメシ食わせろ〜〜〜〜〜〜!
「腹減ったなあ。 とりあえずメシ食わんか?」
「ほんとお腹すきましたね。 どこか食事できる所無いか聞いてみます。」
「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
「かつさん・・・・・・・・・。 レストランまで車で1時間かかるって言ってます。」
「いっいっいっいちじかん・・・・。 嘘や〜〜〜〜〜〜!」
「かつさん、ほんとにお腹空いて倒れそうです。 レストラン行きませんか?」
「あかんあかん! ええ色出すのに何回ビーカー出しせなあかんかわからんのに時間ないで。 他になんかメシ食えるとこ無いんか?」
「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
「あのう・・・この工場に従業員用の食堂があるそうなんですが、当然皆さん食事終わってますから、皆さんが食べた残り物だったらあるそうですが・・・たぶん食べれる物じゃないと思います。」
こんな田舎のちびっこい工場の従業員用食堂で、しかも残り物・・・ 大変いやな予感がいたします。
「まあそう言わんととりあえず見に行こか。見てから考えたらええがな。」
「え〜〜〜! ほんとに?」
「こんな所で嘘ゆうてもしゃあないわ。 はよ行くで! 食堂どこや?」
と言うことで、大変いやな予感をぐっと押さえ込み、たのむ!っとばかり数%の希望を胸に食堂へ。
ゲッ!
そこには鍋の底に残った芋の煮っころがしみたいな料理とご飯があるだけやん!しかも・・・鍋に蓋してないからハエの大群が狂喜乱舞!
残り物って残飯やん! いやや〜〜〜〜〜〜!
そんなすさまじい光景を見た女性スタッフは当然のことながら・・・
「かつさんこんな物絶対に食べられないです! 病気になりますよ!」
「そうゆうけど今これ食わんとほんまにいつメシ食えるかわからんで。 これ以上メシ食わんかったらほんま倒れるわ! こんなもんがんがん火通したら食える食える! 食うぞ!」
「かつさんほんとに食べる気ですか?」
「食わいでか! とりあえずご飯はフライパンでいためて、この芋料理の鍋は思いっきり火い通すようにゆうてくれ!」
「ほんとですか?」
「ほんまやゆうとるがな。 ええからはよゆうてくれ!」
「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
数分後・・・・・
残飯が2人分、お皿に盛られて一応中華料理の出来あがり!
「いっただきま〜〜〜〜〜す! ガツガツガツガツ・・・・ うまい! うますぎる!」
私の食いっぷりの良さに、頑なに私は食べません!と主張していたスタッフさんも、お腹が空きすぎてかなりの誘惑!
「本当においしいんですか?」
「中国に来てこんなうまいもん食ったんはじめてや! めっちゃうまいぞ! 食ってみ!」
「でも〜〜〜。」
「いやなら食うな! おかわり!」
えげつない勢いでおかずもご飯も平らげた私を見たスタッフさんは、おかわりまでするんやったらまんざらでもないんだろうと思ったのか、恐る恐る口をつける。
「おいしい! かつさん、本当においしいです。」
「だからさっきからうまいっちゅうとるがな。 ぶつぶつ言わんとはよ食わなわしが全部食ってまうぞ!」
その瞬間スタッフさんもガツガツモード! 人間食わんとあきませんな。 ははは!
「あーおいしかった。 私こんなおいしい料理食べるの久しぶりです。」
「ほんまうまかったなあ。 腹減りすぎてたからなんでもうまいんや! えらいもんやなあ。 あとは腹こわさんかったらええねんけど・・・・・まあその時はその時や!」
そうこうしているうちに一発目のビーカー出し終了! はたして出来は・・・・
「全然色ちゃうがな! あかんあかんやり直しや! もっと青み抑えて黄色入れらなあかんで!」
出したい色は緑色です。 まあビーカー出しの一発目はいつもこんなもんですな。
こっから染料の配合を微調整して希望の色に近づけて行くもんです。
さあ次のビーカー仕上がるまで2時間・・・・こんな田舎で何することも無く、延々延々スタッフさんと他愛も無いおしゃべりを延々延々・・・・・・。
2回目のビーカーが出てきました!
「う〜〜〜ん、まだまだやなあ。 ハイもう一回行ってみましょ!」
「かつさん、もう7時ですからみんな帰るって言ってます。 この色のどこが悪いんですかって・・・」
「何をゆうとんねん! これが同じ色やったらカラスも白うなりよるわ!(なんのこっちゃ)わしが納得する色出すまで絶対に帰らんぞ! みんな帰ってもええけどビーカー出しの担当さんだけは絶対に帰さんぞ!」
「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
「もう一回だけやるって言ってます。」
「もう1回でも100回でも色出すまでわしは帰らん! 気合入れて次でばっちり出すようにゆうてくれ!」
って言ったものの、こんな工場で3回目で色出るとわ思えんがな・・・・ひょっとしてひょっとして・・・この工場でお泊まり???? いやや〜〜〜〜〜!」
日もとっぷり暮れ、ますますやること無さ過ぎる! 皆さんがんばってるから仮眠するのもなんやから、やっぱり延々とスタッフさんとペチャクチャペチャクチャ・・・・
「出来た? ビーカー出来たんか? わしが見る前に一回見てきて自分で色の判断してみ! 勉強勉強!」
「見てきました。」
「どうやった?」
「たぶんいけると思うんですが、かつさん見てください。」
「たぶん???? いけるかあかんか答えは二つに一つや! どっちやねん!」
「私が判断するの難しいです。かつさん判断してください。」
「なにを気弱なことゆうとんねん! 通訳だけでうちの会社入ったんちゃうやろ? わしが日本に帰ったら、ここで出したビーカーの色と本番の糸の色と合ってるか自分が判断せなあかんねんで! そんな調子で責任もてるか? 自信持て! あとはわしがなんとかしたる!」
「じゃあたぶん大丈夫です。」
「たぶんって・・・・まあええわ。 見せてみ!」
「・・・・OK! 全く同じっちゅう訳や無いけど、これぐらい色出てたらまあOKやろ。 ビーカー担当さんにゆうたって!」
「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
みんな笑顔笑顔! この日本人のおかげで一時はお泊まりか?と表情を曇らせていた工場のみなさんも、私がOK出したから満面の笑みを浮かべとる。
「みなさんありがとう! 後はこの色で糸を大至急染めて刺繍工場に糸届けてください!」
と気がつけば夜の9時。
長い一日はやっと終わった!と思った私が甘かった。
中国をなめとったらあかんで〜〜〜〜!
まだまだ長い一日は続くのでした。
〜まだつづく〜
「今日はどこに泊まんの?」
「こんな時間までこんな所にいるとは予想していなかったので、ホテルは取っていませんよ。」
「え〜〜〜〜! ほんならこれからどうする?」
「まずは縫製工場に戻って糸の手配状況を報告して、それからホテルに行きましょう。 ホテルは縫製工場さんに手配してもらうように電話しておきます。」
「そうか。 ほんならとりあえず縫製工場まで帰ろか。ってまた2時間半ほどがたがた道を帰るんやね。 いやや〜〜〜〜〜〜〜!」
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苦労してがたがた道をぶっ飛ばしたかいあって、なんとか縫製工場さんもニコニコ笑顔! これで納期間に合いそうや〜〜〜〜〜ヤッホ〜〜〜〜!
で、どこ泊まんの?
「街まで出るのにまた1時間ぐらい車でかかりますから、この近くでホテル予約したそうです。」
「この近く? こんな田舎にホテルあんの?」
「私も知りませんが、縫製工場さんが言ってるので大丈夫大丈夫!」
大丈夫大丈夫って・・・・・誰かに似てきてないか? んっ?
まあえっか。 あんまりちびっこいことにこだわってもしゃあないしゃあない。 とにかくゆっくり寝させろ〜〜〜
では早速行きましょか!
「かつさん着きましたよ」
ほとほと疲れ果て、車の中で爆眠していた私は“ここはどこ?”ってな感じで記憶を辿る。
ああそっか、ホテルに向かっていたんやな。 ホテルに着いたってことか?
頭の中でそんなことを考えていたことを悟られまいと、いつもの調子で
「ほうかほうか。 やっと着いたか。」
見ると・・・・お〜〜〜〜! 予想を見事に裏切るホテルやん!
予想って??
田舎では日本人が泊まれるようなホテルは町に1件ほどしかありません。
ここは田舎の町外れ。 そんな場所には・・・・恐ろしい。
汚い汚いホテルしかないと腹をくくっていたのに、3階建てで部屋数も60室ぐらいあるんちゃう?
めっちゃまともやんか〜〜〜〜〜〜〜!
これでゆっくり寝れる寝れる!
「はよ行こはよ行こ!」
心も弾むで、うっきうき!
入り口を入ると一応ロビースペースもあり、左奥にフロントがって・・・・・
なんやこのホテル薄暗ないか? 全然人もおらんし・・・・
まあ夜の12時前やから、照明は節電、人もみんなお部屋で寝てるんやな。
フロントにも私服のおばちゃんが一人いてるだけやけど、こんな遅くに客も来んやろうからこんなもんか。
その私服おばちゃんがお部屋までご案内〜。
部屋は2階やから薄暗い階段をとことこと私服おばちゃんの後に続く私と女性スタッフさん。
2階に着いて廊下を見ると・・・・・長〜〜〜〜〜〜〜〜い廊下はやっぱり薄暗く、一番向こうが薄ぼんやりと・・・
廊下の絨毯何色や? 薄暗いから赤かエンジか茶色かようわからん。
はっきりわかることは・・・・・染みだらけやん!
気色悪ぅ〜〜〜〜〜!
心も沈むで、とほほほほ。
「「○△□×☆○△□×☆○△□×☆○△□×☆・・・・・・・・・・」
「かつさん、シャワーのお湯は12時に止まるそうなんで、まずお風呂に入ってくださいね。」
12時ってあと20分しかないやん!
「ぎりぎりセーフってところやな。 そうしよそうしよ! 今日はお疲れさんやったなあ。 ほんまいろいろと助かったで。 ありがとう! ほなまた明日! お休み!」
労いの会話もそこそこに、まずは風呂入ろうと、二人とも急いで部屋へ・・・
部屋もやっぱり薄暗い。 点けれるだけの照明を全部点けてもやっぱりどよ〜〜んと薄暗い。
なんかこう、もっちゃいというか、しゃきっとしてないというか、とにかくどよ〜〜〜んとしたお部屋です。
窓の外を見たら、静まり返った暗黒の林が広がってるし・・・・
ここ2階やろ? 外から人が這い上がってきて、こんな建付けの悪い窓ガチャガチャっとやったら簡単に侵入できるんちゃうの?
まあえっか、その時はその時や。 それより風呂風呂!
・・・洗面台も便器もバスも何もかも古いなあ。
ホテル建って何年になるんやろか? 多分ホテル建てて以来一切補修とか交換とかしてないんやろなあ。
こんなんでほんまに水出るんかいな?
キュッキュ・・・蛇口をひねるとブッシュ〜〜〜〜〜〜〜!って水出るもんちゃうの???
ドボドボドボドボ・・・・シャワーヘッドぐらい変えんかい! ちくしょ〜〜〜〜!
ドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボ・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつになったら湯ぅでんねん?
ドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボ・・・・・・・・・・・
コンコン! コンコン!
「誰やー!」 (夜中に轟くマイボイス)
誰かがノックしとる。 こんなくそ忙しいイライラ時に誰やねん!
「かつさん〜〜ん! 私です!!」 (廊下に響くユーボイス)
「お〜〜〜! ちょっと待ってや! すぐ行くわ!」
ガチャ
「お〜〜〜〜〜! なんじゃこりゃ!」
廊下は真っ暗闇でございます。 さっきまでかろうじて点いてた白熱球も消えて、まさに真っ暗闇でございます。
私とスタッフさんはお先真っ暗闇でございます。 トホホ。
「私達が部屋に入ったらすぐに電気消したんでしょうね。 それはそうと、かつさんの部屋お湯出ます?」
「水がドボドボ出るだけで、いつまでたっても湯ぅでんで。」
「私の部屋も出ないんです。 フロントに電話しても誰も出ないし。」
「まだ12時まで10分あるで。 フロントまで直接行って文句言おか!」
「そうですね。 こんな暗いところ私怖いんで、かつさん一緒に行ってもらえます?」
「おおええよ! 行こ行こ!」
真っ暗闇の階段を二人で月明かりを頼りに降りていく。
ちょびっと降りた所でフロントが見えてきたけど・・・・
「フロントも真っ暗やん! 誰もおらんで。 このホテルどないなっとるねん!」
「従業員さんはもうどこかの部屋で寝ているか、ひょっとして家に帰ったかもしれませんね。」
「家に帰ったって・・・・・・」 (ラララ無人君♪ でございます)
「こりゃあ我慢してドボドボ水シャワー浴びらなしゃあないなあ。」
「そのようですね。かつさん大丈夫ですか?」
「冬やのうて良かったなあ。 ちょっと我慢したらいけるやろ」
ほんまに・・・・私服おばちゃん12時まで湯ぅ出るゆうたやん! 今は・・・・11時55分。
まだ5分あるで! ひょっとして湯ぅでんやろか?
キュッキュ
ドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボドボ・・・・・・・・・・・・・・・・・
結局お水がドボドボ出たまま12時を回ってしまいました。 The End
人間諦めが肝心か? 成せば成るか? こういう場合は・・・・・“出ないなら そのまま浴びよう ドボドボシャワー” お粗末!
わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
なんじゃこりゃ??
湯船の中が砂利でジャリジャリやん! どうやったら湯船に砂入んの?
「ちくしょ〜〜〜〜〜! ドボドボシャワー攻撃やー!」
独り言も出るっちゅうねん!
なんとか湯船の砂を一掃し、いざドボドボシャワータイム!
「冷え〜〜〜〜〜〜!」
ヒエー!って悲鳴がありますが、これは漢字で書いたら絶対「冷えー!」やで。 間違いなし!
なんぼ冬やないっちゅうても真夜中のお水は冷え冷えですな。
なんとか気合でドボドボシャワーをねじ伏せて、まずはやれやれ。
バスタオルバスタオル・・・・・あったあった。
ん? 嘘でしょ? まさか嘘やろ? 嘘って言って!・・・・・・嘘や〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
同僚君が言っていた伝説のバスタオルちゃうの?
いやや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
注:伝説のバスタオルとは、前に入浴した人が使用し、そのまま取り替えられずに綺麗に畳まれて当然のようにそこに鎮座しているバスタオルです。
まさかこんな所で伝説のバスタオルと遭遇するとは・・・・・・
そう言えば・・・・・ちびっこいミニミニタオル持ってきてたよなあ。
お〜〜〜〜! あれ使おう!
体中ボトボトに濡れたまま、なぜか抜き足差し足でバスルームを抜け出し、かばんの中からミニミニタオルをひっぱりだしてまた来た道を抜き足差し足・・・・・
あ〜〜〜〜〜〜さっぱり! 気持ち良い〜〜〜〜! やっぱり風呂は良いですな!
さっきまでの悪夢は完全に忘れ去り、風呂上りの爽快感を満喫している私です。 なんと単純なやつでしょう。
さすがの私も今日は疲れた。 今日はこのままなんもせんと寝ましょうか。
では早速・・・・・・・
ん? 待てよ? ひょっとして???????
これって伝説のシーツちゃうの? まさかね。 シーツまではないよな? やめて〜〜〜〜〜〜〜!
注:伝説のシーツとは、前にベッドインした人が使ったシーツがそのまま取り替えられずに、ベッドメイクさんが2人掛かりで“どりゃ〜〜〜〜!”っとちぎれんばかりに引っ張ってばんぱんに伸ばして綺麗にし、当然のようにそこに広がるシーツです。
掛け毛布をめくってシーツをじ〜〜〜〜っと見てみると・・・・
アイロン掛かっている風ではないけど皺になっている風でもない。
微妙や〜〜〜〜〜!
ベッドのまわりをグルグル回りながらじっくり観察しても決め手になるようなところも無いし・・・・・
まあえっか。 寝てもうたらわからんは!
細かい事を気にしていたら(って細かいことか?)中国では生きて行けませんな!
意を決して一気にベッドに滑り込み!
あ〜〜〜〜気持ち良い〜〜〜〜〜〜! やっぱりベッドは良いですな! (やっぱり私は単純ですな。)
しかしまあ今日はほんまに疲れる一日やったなあ。
さあゆっくりと寝て、明日も元気にやりまっせ! zzzzz.........
〜完〜