6時半に芝浦を出たときには雨が降っていたが、釈迦堂SAに着いたときには上がっていた。
入笠山登山口の駐車場では、ぼくに会いたかったのだろう、太陽も時々顔を出していた。
梅雨の季節にしては珍しく、そう蒸し暑いこともない。絶好の登山日和。これも普段のぼくの心がけがいいからに違いない。


あら、さっきの…
  だれ?君。
ほら、中央高速の釈迦堂SAで会ったじゃない。
  そういえば…
やっぱりこの山を登りに来たの?
  ああ…
お名前は? 何ていうの?
  黒兵衛さ。人はくろって呼んでる。
ちょっと匂い嗅がせて?♪
  忙しいんだ。悪いが、ほか当たってくれ。

この歳になって、逆ナンパされるとは思わなかったぜ。ふー…
なんかの報道で知ったのだろう。お母さんが入笠山のスズランが見ごろだというので来てみたが、2週間遅かった。
草の陰にちらほら残っているだけだった。
こんなかわいい顔してるけど、猛毒だという。そばに寄らないことにした。
きれいな花には毒があるって、お母さんの口癖はほんとなんだ。
でもそのくせ、きれいになりたいらしい。
お父さんにも毒があるぞ。あ、それは口だけか。
ま、そんなことをブツブツ言いながら、ひたすら登り始めた。
ツツジの後ろに発見!
何を発見したかは、内緒にした。
誰にも教えなかったのはケチだからではなくて、無用の騒ぎを起こしたくなかったからだ。
お〜い!
頂上はもうすぐだぞ〜
がんばれや〜
ツツジもきれいだよ〜

  ふう…引っ張り上げるのも苦労だぜ。
  少しは食生活を改めてはどうなのか。
  人間用のシニアフードって売ってないのか?