入笠山ノボレ

天気晴朗なれど、人波多し


あんまり暑いもんだから、木陰を探して潜り込んでみた。
山の頂上というものはどこも木がないから、木陰も二三箇所しかない。
少しの間はいいのだけど、草で風が遮られて快適とまでは言えない。


キャッホー! こいつぁ最高だァ!
岩場に登ると峰風が通って気持ちがいい。



日差しを除けるのに、お父さんにシャツを広げて立ってもらった。
これは快適だった。
あまりにも気持ちがよくて、20分ほど居眠りをしたが、お父さんは「おかげで腕が痛くなった」とぼやいていた。
待てよ? 確か軽量折畳みテントを買ったんじゃなかったっけ?
こういうときに使わないなんて、宝の持ち腐れだろう。

ここまではよかったのだが、下りは難儀した。
ただでさえ急登の下りは神経を使って大変なのに、ここは巣鴨地蔵通りか浅草仲見世通りかというぐらい次から次へと団体登山客(それもみな山登りなんかしたことのないような小中学生や年寄りばかり)が登ってくるし、下る人も列をなした。
嫌気がさして「もうぼくは下りないぞ!」と何度かだだをこねた。
すると、その都度ひょいと抱っこされた。
これはらくちんだった。
このまま抱っこで下まで…と思ったら「15キロは重い! くろはもっと減量させないと」とすぐ下ろされた。
だだをこねたのはやぶ蛇だったか。

いつもより下山時刻が遅かったのと、途中でお母さんが「温泉、温泉!」とわがままを言うもんだから、中央高速で数回渋滞に遭ってしまった。
これさえなければ快適な一日だったのに。

夕方の散歩は規定通りこなして、後はぐっすり。
お父さんたちもさぞかし疲れて…と思いきや、一緒に行ったおばちゃんたちに誘われてカラオケに出かけて、0時頃帰ってきた。明日は会社だというのに。
恐るべし中高年パワー。
ぼくも彼らには負けられないぞ、と決意を新たにした一日だった。

(陰の声)
シャツの日陰で気持ちよさそうに寝ているくろを見て、こいつとここに来られるのも今年が最後かなあと思ったら目が潤んでしまった。
犬も高齢化が進んでいるんだ。せいぜい養生して来年も再来年も5年後も一緒に入笠山を登ろうな、くろ。