乗鞍のトレッキングから別荘に帰ってすぐ、ジミーの様子を見に行った。
ぼくが到着していることは、直線距離で500メートル先から、彼らはとっくに気がついていて、早く顔を出せよと盛んに呼んでいた。

ちびくろこと、ジミーの兄弟分たち。
右端に黒っぽいのが見えるだろうか。ビーグル系だ。ぼくが近づくと真っ先に吠えるので、近づかないことにしている。かわいい目をしているけどぼくは苦手だ。
左の白っぽいのは体の割に大変な甘えん坊だ。横になってお腹を見せる。でも力があまり余っていて、相手をするのは難儀なので、これまたうかつにそばに寄れない。
大きい小屋が二つあるが、これは彼らの寝床ではない。
繋がれっぱなしで、楽しくはないだろうと問うと、田舎の犬はたいていこんなものだよと、達観していた。いつ会っても、結構それなりに元気な顔をしているから、ぼくが心配するほどのことでもないのか。

道路を挟んで左側がおばちゃんち。右側にジミーたちが住んでいる。

この日、ジミーのお尻を嗅いでいる大きなのがいた。
ジミーをいじめているのではないかと心配して急行すると、とっとっとっ、と道路を渡って向かってきた。
体も大きいのでちょっと先制の脅しを掛けたら「喧嘩なんかする気は全然ないよ」と離れていった。内心、ほっとした。

気のいい奴らしく、夕闇迫る自動車道を淋しげにとぼとぼと歩き去っていった。
自動車が危ないから、早く家に帰れよと、このときは思った。

翌11日、帰りしなにまた彼に出会った。
このときはジミーのおばちゃんから、彼は捨て犬だって聞いて知っていたものだから、ぼくは掛ける言葉もなかった。
こんなに大きくて、しつけもぼくなんかよりずっときちんとしているようなのに、それでも捨てられてしまうとは。人間にどんな事情があるのか知らない。飼い主を未だに信じて止まない彼の心情を思うと、やるせない。
「一緒に乗っていかないか?」って言ってやりたいところだが、悪いけどぼくはオスと同居する気はないのだ。幸運を祈るしかない。
ジミーのおばちゃん、彼が来たらご飯の一つもあげてちょうだい!
(その後、11月14日に、ジミーたちの母屋の玄関先に座っているのを見かけた。飼われているわけではなく、たまに来てはなにかおばちゃんにもらっているようだ。)
これは捨て犬ではない。迷子犬だ。
こんなに大きな迷子も珍しい。
白樺湖から上田方面にちょっと下ったりんどうの郷と言う別荘地で、1999年8月11日からいなくなった。
10月13日現在も行方が分からない。
心当たりがあったら電話してあげて欲しい。
悪い奴に掴まっていなければいいが。