詩歌

2006年 9月25日(月) 晴れ


◇小笠原から北上した台風は東へ大きくそれ、沿岸に高波がよせたほかは、被害がなくすんだようです。


 その高波も、昨日に比べるとだいぶおさまってきたようです。
下の写真は昨日の真鶴港の様子です。



◇今日は南の海や伊豆、箱根の山々など、「空の裾」にあたる部分は少々雲が多いのですが、「空の高み」は秋の青空、穏やかな日和です。


みなさまの地方、今日のお天気はいかがでしょうか。
お元気ですか。


◇昨日24日の早朝。
台風へ吹き込む風が空の塵を吹きさらってくれたのか、江の島、三浦半島をはじめとする相模湾沿岸の各地、背後の丹沢山塊、そして遠くに横浜の高層ビル…一番高いのはランドマークタワーだと思うのですが…、茅ヶ崎あたりの丘陵の背後に見えていました。


◇こちらは、相模湾沿岸をパノラマでとった写真です。

クリックすると。拡大されます。残念ながら写真では横浜のビルは確認できませんが…。
ちなみにバーチャルリアルなパノラマ表示はこちら→
http://earth-friend.eco.to/panolama/2006_0925.htm



◇この写真はそんな風景をバックに高鳴き(冬のテリトリー宣言)をするモズです。対岸に見える街は小田原市です。



私たちの宿の上の尾根道から見下ろす海は「根府川と真鶴の間の海」と呼ばれます。


戦後を代表する詩人のひとりが、こんな作品を作っています。


根府川と真鶴の間の海のあのすばらしい色を見ると、いつも僕は
生きていたのを嬉しいと思う、
僕の眼があの通りの色なら
すべての本は投げ棄ててもいい。
沖のほうはパイプの煙のような紫で、
だんだん薄い緑が加わりながら岸へ寄せてくる、
岸辺にはわずかに白い泡波がたち、
秋の空の秋の色とすっかり溶けあって、
全体がひとつの海の色をつくっている、
猫のからだのようなやわらかさの下に、
稲妻の鋭さをかくしている海、
ああ、この色を僕の眼の色にできるなら、
生きていく楽しさを人にわかつこともできるだろう。

(中略…第二次世界大戦南方のビルマ戦線で亡くなった友人を回想する部分)

イラワジ川の水の色がどんなだったか、僕は知らない、知ろうとも思わぬ。だが
蜜柑の皮をむきはじめると
蜜柑のうえに涙が落ちた、君の好きだった蜜柑、
いちどきに十以上もたべた蜜柑。
僕の心はこわれかけた眼覚まし時計のように 鳴りだし、
湘南電車はそれよりももっと鋭い音を発して
僕の心をえぐった。
いま過ぎたのがどこの駅か、
僕は知らない、知ろうともせず蜜柑の皮をむいていた。

中桐雅夫…『海』 『中桐雅夫全詩』より

2006年09月25日(月)   No.68 (詩歌)

ゆめのうき橋…

2005年10月10日(旧暦九月八日) 天候:雨のち曇り、また時々雨 気温15.9℃(午後1時51分現在)

■  いまから800年ほど前の歌人 藤原定家( ふじわらのていか)に、こんな歌があります。

春の夜の ゆめのうき橋 とだえして
峰にわかるる 横雲のそら (新古今集)

 季節はいま秋ですが、今日の外の景色はちょうどこんな風でした。

 夜があけ、夜通し降っていた雨が時間とともに小降りになると、雨と雲の帳(とばり)のなかから周囲の景色が、はじめはぼんやりと、次第にはっきりと浮かんできました。
その様子はちょうど「横雲」、横に長くたなびく雲が「峰にわか」れ、つまり帳(とばり)=カーテンが開かれるようでした。

 定家の歌は春の夜明けを読んでいて、もしかしたら、その後空は晴れていったのかもしれません。
しかし今日の私たちの空は、「峰にわか」れた雲が行きつ戻りつしながら、結局「曇り時々雨」の一日になりました。みなさまの地方はいかがでしょう、お変わりはありませんか。

そうそう、歌の前段の話もあります。
春の夜の ゆめのうき橋」というのは、おそらく恋人と過ごしたロマンチックな夜を前提にしているはずです。「ゆめ」と「うき橋」というのが、閨(ねや)の中での男女の心と体の繋がりの仕方を絶妙に表現しています。
そう受け取ると、「峰にわかるる 横雲のそら」という後段の表現も、単なる風景をあらわしたものではないことが見えてきます。

思い浮かべてみて下さい。
夜が明けて、朝がはじまる気配がする。「ゆめ」と「うき橋」の繋がりがとだえて(別れて)、起き出さなければならない。平安時代は妻問い婚といって、男が女の家へ通うのが一般的でしたから、男は朝になれば自分の家や職場へ帰らなければなりませんでした。

でも、「別れがたいよね」といって、朝の風景を眺めているふたり。
峰にわかるる 横雲のそら」というのは、そんなふたりの心の有様も表現していると思われます。

 ところで、今日の私。
いつものように朝5時前に目が覚めたのですが、外は雨だし少し寒さも覚えて、寝床を離れるのがおしい。窓の外で寝ていたイソヒヨドリはもうとっくに起き出しただろうな。
枕元のラジオをつけ、パキスタンの地震やイラクの政情不安、日本のモデルガンやら強盗事件やらを報じるニュースを聞きながら夢うつつ。結局6時半前まで寝てしまい、枕元のラジオ体操の音にびっくり! 
「仕事だ、仕事だ」とあわてて飛び起きました。
情けない…。

2005年10月10日(月)   No.15 (詩歌)

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