政宗は酒が大好きである。しかしその酒好きも過ぎると現代の人々とまったく変わるところ無く、「失敗」をする。「酔っぱらった勢いで・・・」という話は小生も含め、誰でも恥ずかしい話があるのではなかろうか。さて、政宗の酔った席での話しの中にはこんなことがあった。
小姓達を相伴させて酒を飲んでいたときらしい。政宗自身が認めて小姓頭にさせていた善兵衛が仕事の不出来について政宗に言い訳をした。その言い訳の内容がどうも政宗は気にくわなかったらしく、酔った勢いも手伝って、なんと刀の鞘で善兵衛の頭をかなり強く打って折檻したらしい。あげくに「しばらく謹慎しておけ!」と言ったという。
翌日になると、酔いから冷めていた政宗は自己嫌悪に陥り、次のような手紙を同じ小姓頭である青木掃部と佐々若狭に送った。

「昨晩は酔った勢いとはいえ、自ら小姓頭に命じた善兵衛の頭を鞘で打ったことは私の誤りだ。しかしどうも酒を飲むと、ついつい君臣の間柄を忘れてしまう。善兵衛には頭の傷が癒えたらあらためて私の所へくるように言っておいて欲しい。」この手紙の内容より、政宗はけっしてワンマンな人物ではなく、自分の過ちを悟るとすぐに認める人物であったことがわかる。「ついつい君臣の間柄を忘れてしまう」とは正直な気持ちであったろう。なぜなら伊達家は身分の隔たりなど問題とせず、この人間はと思った者は進んで家臣に召し取り、さらに政宗は戦国の世においても家臣を信じ、兄弟のように接してきたのであるから。
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