昨年の夏、マレー半島の西側、アンダマン海に浮かぶリゾート島「パンコール・ラウ」に行ってからワタシは南の島のツボにはまってしまった。
 
  それまでの7回の旅行は、歴史の表舞台に登場するような、行く前にいろいろな参考文献を読んで勉強したくなるような、そんな史学科卒の血が騒ぐような国々だったのに。
 

  なんということだ。青い海、白い砂、照りつける太陽、そよぐ風、くっきり落ちるヤシの影・・・こんなもんに憧れては、まるっきり頭がからっぽで、ブランドに身をかためてハワイにくりだす都会のOLではないか。
 
  と、そこで気がついた。ああ、そうなのね。それはワタシのことなのね。
 
  はいはい、ワタシもヴィトンのソーミュールをさげ(時にはサン・クルーに持ちかえ)財布とキーホルダーとめがねケースとを持っていて(探せばフェラガモの財布と靴とスカーフもどこかにある)そしてそのうえ間違いなく、ただのOLだ。

 
  彼女らと違う所といえば、都会ではなく「田舎」だということと、頭がからっぽというよりかはむしろ「頭をからっぽにしたい」ところか。

 ところで、南の島への憧れがワタシの中で種まかれたのは、単純だが 大好きな小説によってだ。
 
  その中で主人公は、いっときの逃げ場としてハワイに行く。そしてビーチでピナ・コラーダを飲む。
 

  そのときのワタシは、確かエジプトに行こうとしていたはずだけど、生まれて初めて、それまで馬鹿にしていたハワイを見直した。ハワイというよりかは、南の島を、ということだけれど。