農 業 体 験 塾


日本の食文化に直接触れる体験を子供たちに
第四回農業体験塾

〜田植え・防空壕体験・そうめん流し・バーベキュー ・紙芝居・神社参拝〜

第三回農業体験塾の様子はこちら


講義・意見交換
 第四回目となる農業体験塾が、平成18年5月28日(日)山口県周南市の太華山の麓の大島居守(いもり)にて開催された。この居守という地名は、学問の神様菅原道真公が千百年前に大宰府に流される際、暴風雨に遭いこの地に流れ着き、 地元の漁師たちが漁の網を敷いてもてなした。そして道真公は自分の死後もこの地を居て守ってやるという言葉が残っていることから この地名がついたとされる。小雨のぱらつく中、広島県・山口県内各地より集い、総勢32名で開講された。

【開会〜講義】
 まず、最初に祖先から受け継いだ日本の土地に感謝して、子どもたちの手による国旗掲揚を行った。 次に参加者の出欠を元氣な「ハイ」の返事で確認した。その後、参加者間の交流を深めるため、 親同士、子供同士で自己紹介、参加の目的など意見交換を行った。子供たちは、「田植えをしたことがないので楽しみ、 そうめん流しをしたい、自然の中でいろんな遊びをしたい」と思いを表現していた。
 早速、講師より「お米が出来るまで」の農業講話を聞いた。最近では、農業体験が修学旅行で取り入れられたり、体験型教育の時代が きたことも紹介。実際の苗一株が八十から百二十粒の米にまで成長する過程を学び、昨年収穫した籾(もみ)、玄米、白米などを見ながら 今から植える苗がどのように変化していくのか流れを学んだ。

 【田植え体験】
太陽が出ていないため、水もひんやりと冷たくなっている田んぼに親子で裸足になって入った。「ヌルヌルして冷たい」「足が抜けない」 という声や初めての感触に子供達に笑顔も見られた。
 今日は昔ながらの手植えである。横一列に親子が並び、目印に合わせて苗三株を目安に手で植え、声を掛けながら一歩一歩ゆっくりと 進んでいった。田んぼの途中で苗がなくなると、苗を投げる係りの人が投げ入れるが、しぶきがあがりそれも新鮮。両端から二組に 分かれて植え付けを行ったが、田んぼの真ん中で無事合流すると労をねぎらう喜びの声と笑みが漏れた。機械で行うと数十分で済むが、 さすがに手植えでは約一時間かかったが、昔の人たちの大変さと仲良く助け合う日本の文化を感じ取ることができた。
 田んぼの中には、おたまじゃくし、カエル、イモリ、あめんぼ、タニシ、そしていろいろな微生物がいた。泥一グラムには微生物が 一億個もいるという。その微生物のおかげで苗が稲になり穂が実る。最近除菌の砂場もあるというが、菌と共に生きているのが 人間である。ヌルっとした泥の感触から何かを感じ取ったのではないだろうか。

【バーベキュー・玄米百%おにぎり・そうめん流し体験】
食材を親子で切ったり、むすびを一緒に握ったり、火をおこしたり竹による器を準備するのも貴重な体験である。 ドラム缶を半分にしたコンロで採れたての地元野菜、魚を焼く。やはり地産地消が本来の人間の食事かもしれない。 また山から切ってきた竹で講師が製作した「コップ、箸、取り皿」も風流である。竹は火力の強い燃料にもなるので無駄がない。
 玄米には健康の秘訣がある。白米と比べて玄米の方がビタミン、ミネラル、食物繊維などが多い。その訳は白米を覆う皮の部分の糠 (ぬか、米に健康の康と書くほど)にある。糠に成分が多く含まれる。ぬかの用途も多く、ぬか味噌、ぬか漬け、ぬか石鹸、 ぬかのてんぷら粉など。ぬかを捨て白い米を食べているのが現在(米に白と書いて粕(かす)と読む)である。昔の人は玄米を 主食としており、玄米は硬いので良く噛んで食べていたので(噛むことで唾液がでて免疫力を高め、脳に刺激を与えることができる) 健康であったという話も聞いた。玄米食で便秘が改善され、美容と健康に良いという実践者から体験談も聞いた。
 くり抜いた竹と冷たい井戸水を使った「そうめん流し」を楽しみにしていた子どもも多かった。毎回人気行事のひとつである。

【紙芝居】
 最近は見ることがなくなった紙芝居を参加者にしてもらった。山口の昔ばなしから菅原道真公にまつわる「紫の紫雲(しうん)」という お話を声優顔負けの語り口に子供達は聞き入った。その後、道真公が詠んだ和歌二首が紹介された。 日本の文化である和歌に触れるのも貴重な体験であった。

 心だに 誠の道に かないなば 祈らずとても 神や守らむ
 東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ

 その後、講師よりカブトムシの幼虫のプレゼントが。近所に約百匹もの幼虫がいるという。子供たちはうれしそうに手のひらサイズの 大きな幼虫を持って帰って、成虫まで育てることに。

【防空壕体験】
 戦前に裏庭に掘られた防空壕の中に入ってみる体験である。徳山湾は戦艦大和が最後に立ち寄った軍港でもあり、また、 向かいの下松では陸軍の訓練施設があったため度々空襲があった模様。その空襲を避けるための防空壕である。 今では、天然の冷蔵庫代わりであるが、ヒンヤリとした内部に入り、講師より六十年前の戦争体験に耳を傾けその時代に思いを馳せた。

【山の散策〜菅原道真公を祀る居守神社参拝】
カブトムシがいるくぬぎの木はどんな木なのか?また段々畑や田んぼを見ながら、昔の人々が共同作業で石組みをした偉大な事業を 想像したり、高齢化が進み、農業を辞める人も増えてきている実情も聞いた。お地蔵さんがある場所でそのお地蔵さんにまつわる話も 聞いた。道端によく「ごりんどう」と言われる石を積んだお墓があるが、それを大切にしないとたたりがあるという話を信じないある 人がその石を蹴ったところ・・・その晩高熱にうなされ、這いながらその場所に行ってお詫びをしたところ、治ったという話も紹介。 ものには魂が宿るというのも日本の大切な精神文化ではないだろうか。
 日本では昔から人は死ぬと神になると教えられてきた。菅原道真公も死して天神様と感謝の気持ち呼ばれ各地で天神祭がある。 道真公を祀っている居守神社(地域ではこの神社を天神様と呼ぶ)を参拝し、子供の学業成就、家族の健康祈願を行った。

【竹細工製作〜記念撮影〜閉会】
最後は、竹をのこぎりで切って、本日使ったような食器を作った。貯金箱、虫かごなど想像力豊かな発想に講師も驚いた。 竹をのこぎりで切るのも初じめての体験。のこぎりの使い方もコツがあることを学ぶ。日本は物を加工して作るのが得意な民族である。 子供たちも親子で物作りの楽しみを味わった。
 大雨に降られることなく、また怪我もなく終える事ができたことに感謝して国旗降納を行い、全員で笑顔の記念写真を撮り 午後五時半閉会した。


田植え体験

田植え体験

記念撮影

その後の生育状況(7/8撮影)


【玄米百%を美味しく炊くコツ】
一、玄米を磨いで白米を炊くより水を少し多めに。天然塩を少々、またもち米を入れると更にやわらかくなります。
二、最低五時間水につけておく(十時間つけておくと胚芽米になる)
三、炊き上げてから二時間蒸らす
四、黒ごま、味噌で味付けすると更に美味しい(主食としてお米を味わえます)
五、しっかり噛んで食べること。(噛むことで脳に刺激が行き、体の司令塔としての脳の機能が活発化)

※ 圧力鍋で炊くともち米のようにやわらかくなります。
※ 本来米ぬかの部分にビタミンやミネラル、食物繊維が多く含まれているので、ぬかを食べても玄米を食べるのと
  同じ。ぬかは肥料になる程の栄養価あり。天ぷら粉にも可。やぬか石鹸でお肌つるつる、お風呂に入れてのぬか
  風呂で美容と健康。

【米にまつわる漢字の不思議と日本語の秘密】
・ 氣(玄米を食べると氣がでる)
・ 元氣(産まれ持った元の氣を保つこと)
・ 粕(白い米は玄米から大切な糠を取り去ったもの)
・ 糠(米に健康の康、ぬかに健康の秘訣があり)
・ 噛む(玄米は硬いのでしっかり噛まなければ飲み込めない、米を口の中で止めると書く。噛むことで唾液が出る。
 この唾液が免疫となって癌などを予防する)
・ 癌(病だれに口(品)が山のようにと書く、食べ過ぎ、取りすぎがガンの元、腹八分が健康の元)
・ こめかみ(米をしっかり噛むからこめかみという、白米はそんなに噛まなくてものどを通る、しかし玄米は良く
 噛まないと飲みこむことができないので自然と噛む、噛むことであごが発達する)
・ 産巣日(霊)(むすびは全てを産み出だす命の源、太陽、卵の形)
・ あ、ん(居守神社にもあったこま犬、片方は「あ」の口の形をしており、もう片方は「ん」の口の形。あいうえおから
 始まる日本語の「あ」は生きている世界、「ん」で終わる「ん」は死後の世界を表す。つまり神社は生きている世界と
 あの世の世界が渾然一体となった神聖な場所を表している。こま犬の間「あ」と「ん」を通るとは、今からその神聖な
 場所を通るという意味だとか。