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ゲシュタルトというのは耳慣れない言葉だと思います。
その言葉自体が専門用語なので、名前からはどんな心理学か想像がつきませんね。 簡単に言うと、「それ以上、バラバラにすると意味をなさない一塊りとして、扱うべきもの。」の事です。 それでも、簡単ではないですね。
右の絵を見てください。この絵は点の集合です。 でも、1つ1つの点には何の意味もありません。 この点が、この絵のように集まって初めて、「1万円」という文字が浮かび上がります。 この絵では、点がいくつあるかが重要ではありません。 点の集まり具合が重要ですね。 一つ一つの点は意味がありませんが、たくさんの点が集まった、その全体の形に意味があります。 つまり、この絵は1つ1つの点に分けてしまうと意味をなさないのです。 このような集まりの事を「ゲシュタルト」と言います。 音楽もゲシュタルト性があります。 音を1つ1つに分解してしまうと、音楽ではなくなってしまうからです。 この言葉の言い出しっぺは、オーストリアの心理学者エーレンフェルスという人です。 ◆
このゲシュタルトという考え方は、言うまでもなくゲシュタルト心理学の基本的理念です。ゲシュタルト心理学流の言い方を借りると、「全体とは、部分の単純な総和(合計)以上のものである。」 心の部分的な事を取り上げて研究するやり方では、心を把握できない。 ◆
ゲシュタルトという言葉は耳慣れなくても、結構みなさんおなじみの内容があります。
例えば、右の絵を見てください。トロフィーのような絵があります。 よく見ると、トロフィーの軸の部分では、二人の顔が向き合っているようにも見えます。 心の中で、トロフィーをクローズアップすると、向かい合った顔はただの背景に見えます。 向かい合った顔に注目すると、トロフィーは背景に見えます。 何か一つものを意識すると(図と言う)、その他のものは背景(地と言う)と感じる性質があります。 人間が物事を知覚するときの性質です。
次の絵は、二つの図のうち横棒の長さは同じです。でも、人間が知覚する横棒の長さは、くっついている矢印の影響を受けます。 上の方が長く見えますね。 横棒の長さを見ようとするとき、この図全体の影響を受けてしまいます。 その部分は、どのような全体の中に組み込まれているかによって、見え方が変わってしまうのです。 これも、人間が物事を知覚するときの性質です。
次の絵は、三角形ではありませんが、三角形だと感じます。辺がとぎれた部分を補ってとらえてしまいます。 つまり、人間が物事をとらえるとき、単純化と最小限の操作でおなじみの形に変化させてとらえます。 ◆
このような知覚の性質の研究から、記憶、思考の研究へと、人の心を探っていこうというのがゲシュタルト心理学です。 |