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3.09.00

●あっという間に春休みも終わり、またまた悲しく厳しい授業が戻ってきました。つぎの波がもうそろそろきそうな雰囲気です。ビジネススクールのプログラムのしめきりが来週の水曜日に迫り、春休み中の環境関連の宿題は今週の木曜日までに、ドイツ語のたまったリーディングも木曜日までに追いつかなくては行けません。

●このビジネススクール関連で話すと、一ヶ月前くらいに、推薦状を書いてもらうつもり予定で必要な書類をファックスで送ったアディソン教授に、“おぼえてますか?”と、先日メールを送ったんですが、案の定先生は忙しすぎですっかり忘れていたらしく、しかもこの前送ってきてくれた書類は家のほうに有るから大学のほうにもう一回その書類を送ってきてくれとの要望を今さっき叶えにKinko'sというコピー屋さんにいってきました。イギリスまでのファックス代はこの前と変わらず値段は12ドル。・・・高い。

●ついこの間、去年のサッカーチームで知り合った、トルコ人のムラートという私の友達が、スタンフォードと、プリンストンの航空工学の博士過程に受かったとの連絡を受けました。しかもプリンストンにいたっては300万近くする授業料は全額免除、おまけに年間150万近いお小遣いまでもらえるという破格の待遇です。まだまだこれから合否発表は続くようですけれど、本人の第一志望、第二志望両方から合格通知をもらったので、多分どっちかに行くことになるだろうと話していました。もちろん、彼の受験の際、8人の教授から最強の推薦状をもらい、成績も抜群なら当然だろうなとはおもいましたが、それにしてもやっぱりすごいです。

彼は私と多分同い年くらいなのですが、おっそろいくらいの勤勉家です。現地生徒も含めても、1学期間に18単位(大きいクラスを5つくらい。)取っているという学生はまぁほとんど見かけませんし、しかももしとってる生徒がいたとしてもそれでいて成績を維持できている、なんていう状態を維持している生徒には今だかつて会ったことがありません。・・・が、この彼だけが私の知っている限りの例外で、なんと言っても彼は18単位が彼にとっての一学期間の“最低”単位数なのです。基本的にミシガン大学では一学期間に18単位以上取ることは認められていないのですが、彼のような超特例の場合のみ、学部の教授の認証や事務手続き(成績などをしっかりとチェックされる。)をとおれば、彼がいつも取っていたような23単位(!)なんていう単位数を一度に取ることが出来ます。彼の専攻は物理と航空工学で、今回受かった大学も航空工学の権威中の権威の大学ばかり・・・。いやぁ、彼などを見てるとちっぽけな私の存在がますます小さくなってしまいます。トルコの小さな村(すなわち、このミシガン大によくいるトルコのエリート層ではないということ。これを考えるともっとすごい。)から政府の奨学制度をへてミシガン大にきて以来、この鬼のような日程を生きぬいてきたことをおもうと、同じ英語圏から来ていない留学生として自分の非力さを感じざるを得ません。しかも彼は、ミシガン大にたまにいる(私のルームメイトのような)まったく“天才っぽい”部分が見当たらなく、この彼こそ本当の秀才・勤勉家の結晶のような気がします。本人も敬虔なイスラム教徒なので、本当に、人生をまじめにしっかり生きているなという、なんだかちょっとしたオーラさえ彼からは感じてしまいます。しかも常に人に対して尊敬の念を失わず、一緒にいてとてもたのしく、本当に優しく、出来あがった人間です。この合格を聞いてなんだか善人が報われているって言うような感じがし、私自身とても胸がスカッとして、とても嬉しくなりました。しっかしここにいると私のもっている能力のかけらなどなんだか馬鹿らしくなってきます。でもなんだかんだいって、やっぱりこういう人間に出会えているっていうことだけでもすごいことなのかもしれません。

●その話しでおもいだしましたが、ここの周りをよく見渡すと、本人だけでなくその周りの環境のすごさによく驚かされます。

その@:うちのルームメイトはフィリピン出身の華僑なのですが、広東語、北京語、福建語、トイサン語(もう一つの中国の地方言語)、スペイン語、英語、タガログ語(フィリピンの公用語)、ヴィサヤ語(フィリピンの南部の地方言語でマレー語系)の8カ国語は完全に話し、また日本語は二年目、ヒンディー語は一年目と、どこどこと言語数を増やしていっているというおっそろしい人間です。しかも彼の親戚にはフィリピンの大統領の側近がいるらしく、小さいころの思いでは現地の知事や市長と夜な夜なマージャンをして遊んでいたことなんて言うおまけ付き。

そのA:覚えている方もいるかもしれませんが、リチャードというチェコ共和国出身の彼はとにかくの酒・パーティ好きで、彼は去年卒業したのですが、4回生の時などは登録しているクラスはすべてが昼の2時以降という、毎夜のパーティ用の完全臨戦体制をしいており、また見事にほとんど毎日飲みに出かけており、彼をあまりよく知らない生徒からは“単なる大酒のみ”と完全にレッテルを貼られていました。・・・が、実際は異常なまでの切り替えと集中力で試験という試験をほとんど学部内(彼の専攻は政治学)トップでとおり、ミシガン大の一番大きな生徒協会の会長、留学生センターのディレクター、レジデンスアドバイザー、政治学の名誉協会の会長、スポーツでもサッカーやバレーボールなどのチームを自分で作り上げ・・・と、彼が代表をしていた課外活動をあげると本当に切りがありません。しかも彼の家族は彼と同じで、もっと面白く、まず彼の母親はかの有名な「プラハの春」の革命リーダーの内の一人で、アメリカに亡命せざるを得なくなったそうです。亡命後はアメリカのFBIで働き、いまは精神科医として働いているそうです。彼の父親は今チェコの与党の政治家、祖父は国で5本の指に入るといわれた名弁護士。そして彼の叔母さん方はチェコの王族の出身と、ある意味彼はヨーロッパの完全な上流・知識階級のうまれです。彼の家族にはしたがって教授・博士ばかり。

そのB:エミリーというユダヤ系アメリカ人の友達は世界最大の学生による非営利団体で、AIESECという国際インターンシップの派遣協会のような団体のアメリカ代表のうちの一人です。ミシガン大での専攻はスペイン文学・フランス文学のダブルメージャー。父親はリベラルアーツカレッジの超名門スミスカレッジの核物理学の教授、その他の家族周辺はそのほとんどがノースカロナイナ州立大学のチャペルヒル校(ここも南部の超名門)に教授、博士として在籍中。

・・・って書くのがだるくなってきました。でもその他をまだちょっとかくと、兄弟がハーバード大をでて、今している仕事はクリントン大統領の外交先の段取りや事前交渉の担当で、当然のように大統領とは顔見知りの人。とある友達の父親はジョージタウン大学医学部の癌科の教授。ほかの父親はミシガン州立大学のビジネススクールの教授。とある人はインドの最高裁判所専属の弁護士、その父親は国の産業省の長官。インドネシアの客家でとにかくのけた違いの金持ちで、本人がインドネシアに帰ると殺されるかもしれないのでアメリカに残っている人・・・と、あげたら切りがありません。

ミシガン大学といっても、他のアメリカのエリート中のエリート校からはランクが落ちます。もちろん生徒の質もミシガン州からの生徒が全体の半分以上をしめており、私立のトップ校と比べてもかなり雰囲気が違うと思います。が、このミシガン大においてすらすこしまわりを見渡すと上に書いたくらいの関係図がみえてきます。なにがいいたいかというと、私の大学などからはまだランクがずっと上のハーバードやその他の、アメリカの頂点に君臨する私大がいったいどのような生徒を選んでいるかの、かなり具体的な予想がつくような気がするのです。日本の場合は、偏差値と親の収入が完全に比例している(もちろん東大がトップ。)という事実はありますが、まだその点は日本のテストのみで決着するやり方が使われていますから、米国のように本人のすべてのデータを含め、プラスその周辺の関係図をも考慮に入れて合格判定をだすという一流校とは少し勝手が違います。少し考えると見えてきますが、アジアの大統領、首相レベルの子息はそのほとんどがアイビーリーグ、そしてとくにハーバードへと合格しています。とくにハーバードの考え方は、単に優秀というだけではなく(そんなことは当然だから)、これからハーバードの門をくぐってくる生徒たちが将来どのような力関係を国レベルや、そして実際には世界レベルで維持していけるのか、という未来の戦略図をつねに持っていることで有名です。なんかこのようなことを考えると今アメリカが国内外で(その賛否をのけて)持っている力のほんの少しがわかったような気になります。

●天気の話しを突然しますが、この2,3日、Ann Arborは20度くらいの完全春日よりです。キャンパス内ではこんなに生徒がいたっけか?と思ってしまうほどの生徒でキャンパス中溢れかえっています。みんなフリスビーをしたり、ねっころがって本を読んだり、太鼓をたたいたり、居眠りしたりと、部屋にいるのがかなり億劫になってしまうような陽気です。この天気もあまり続かないらしい(なんと金曜日には雪が降るらしい!?)ですが、どのみちこれからは春になっていくので気分的には嬉しい限りです。

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3.01.00

●ただいま春休みの真っ最中です。いままでの授業の嵐がまったくの嘘のように、そしていままでいたがやがや騒がしい生徒たちが嘘のように忽然と姿を消しております。私の不摂生もこの春休みに来てその栄華を極めており、明け方の5時くらいにやっと眠りにつくという、はたしてこんなので春休みが終わった時点で生きていけるのだろうかという疑問を抱かざるを得ない生活形式に陥っています。・・・ってま、春休みだし。

●最近私が何をしているかというと、なんとこのHPの改造を行っておる次第です。これがまたいろいろとめちゃくちゃ時間がかかっていますが、また近いうちに「ちょっとフレームバージョンにしてみましたでHP」が出来あがる予定でいます。最近自分のHPをみてておもってたんですが、かなりわけわからなく、なんだか単にインデックスに押しこめただけのHPがいつのまにか出来あがってしまっていたので、今度はなんとかいろいろと見やすく出来ればなと思っています。といってももちろんこれは外側の話なので、いつもマンネリのごとく更新されているお決まりの内容は作成者の熱望により、そして彼の怠慢な性格という名のもとにその原型をしっかりとどめておりますのでどうぞご心配なく。(?)

●いやぁそれにしても春休みの現在まったくといっていいほど人の姿が見えません。あたりまえといっちゃあたりまえなんですけど、いざこういう風にしてガラガラのキャンパスをみてると日頃のかしましい喧騒が嘘のようです。そういえば去年の今ごろは友達とフロリダまでバンで30時間もかけていってたような気がします。(そのときの写真はPixarchiveのFlorida Keyなどにあります。)

・・・あれからもう1年かいな、おい。(正直な感想。)

かなりオジンくさいようですけど、最近は時間がたつのが早くて早くて・・・、もうミシガンに来てから2年になるのかと思うとう〜ん、と私の年を確認せざるを得ません。しかし振り返ってみても、この4年間はおっそろしいほど濃い人生を歩んできたなぁと自分でも思います。ま、春休みが終わると、あまりそういう感慨に浸ってるような時間もとれないような気がします。春休み中にはもちろん宿題もありますが、その量も質も平常と比べると冗談のようなレベルなので、ちょっとずつ毎日しておけばクリアできる感じです。ですので、それに関する心配はあまりしていません。読書など、自分のしたいことが出来るというのはなんとありがたいことなんでしょうか。この気持ちを忘れないようにしたいものです。(ま、無理だと思いますけど。)

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2.25.00

●プハァ・・・。ということで今週に吹き荒れたMid-termの嵐をなんとかのりきることが出来ました。あったことはというと今週の一週間で1つのペーパーと、4つのテストが一度に来てしまったという状態でした。

-Sustainabilityに関するクラスのNRE270ではワシントン州(米国北西部)にある、ダム建設に関する提言書を実際に環境団体、政治家、電気会社などに書くというものでした。Snake Riverや、Columbia Riverという川がワシントン州にあるのですが、そこにつくられた多数のダムが、その川にいるサケの数種を絶滅に招いているという提言やキャンペーンが繰り返されており、その内容をしらべて自分で活動をしてみなさい、というような趣旨のペーパーで、もちろんこのクラスをおしえている先生(Lisa Curran助教授。私が尊敬してやまない、エネルギーの権化のような異色の先生。インドネシアの現地で、20年近くもつづけられた彼女の研究に関してははここをどうぞ。)もかんたんな、竹を二つに割ったような論をのぞんでいないこともあり、結構広範囲(あまり広げすぎると肯定→否定の恒久につづく過程にほおりこまれてしまいますが。)をカバーしなくてはならず、このペーパーだけでもかなり時間がとられました。私が一応書いたのは合衆国における初の中国系アメリカ人のワシントン州知事宛てに書きました。

もうひとつのこのクラスからのTake-Home Exam(持ち帰りテストってな感じ。←こうかくと結構簡単に見えますが、現実を言うとこのTake-Homeのほうが当然ですが、実際の考査よりも格段と難しく設定してあります。)は、これまたこのクラス独特の現実問題を実際に考えて実際にうごいてみるという雰囲気のもと、インドネシアのボルネオ島、カリマンタン島などでおこっている森林伐採問題や、ラオスで起こっているダムの建設事業の、実際に起こっている問題をとりあげ、自分自信の言葉で(もちろん”正しい解答”などはないという前提のもと。)考えて回答を出していくというものでした。しかし実際の問題といっても、本当のリサーチプロジェクトではない(それこそ、テスト方式で、情報はすべてその問題文からくみ出すという形をとる。)こともあり、いったいどこまで仮定して書いたらよいのか、またどのようなベクトルを先生が望んでいるのか、が最後まであまりつかめずこれまた結構てこずりました。

-NRE239のテスト・これはGIS(Geographical Information System)に関する授業で、前半期の今はデータベースの仕組み、地図の概念、GISの特徴、統計学などをしてきましたが、内容がかなり私には難解(地図関連は私はあまり得意ではなかったりする。)で、このテストも(って結局全部なんですが・・・。)苦労しました。

-NRE370、環境・都市計画のクラスのテスト・このクラスも結構特殊で暗記方式のテストは課されず、そのかわり実際に自分が都市計画のコンサルタントになったという仮定のもと、これまた現実問題を自分の角度からの回答をこころみる、という(もちろん授業で習ったことを利用して答えないといけませんが。)考えのテストです。ちょっと思い出すトピックをいうと、historic preservation, zoning ordinances, neighborhood development, real-estate development, homelessness, urban sprawl, urban design & planningなどでしょうか。結構このクラスも楽しめています。

-GER232、ドイツ語のテスト・この文化人類学のクラス。文化人類学と、響きは重いですが、単にドイツ語の文献をちょこちょこっと読んでいるにすぎません。・・・が、その文献がやたらめったらむずかしいのなんのって。クラス(9名)でもハテナマークが続出しているとこの前書きましたが、この最近はその”?”が倍増した感じです。というのも最近我々が読んでいるカントの文献にそもそも原因があります。カントといえば哲学者というイメージが強いですが、このクラスの先生にいわせれば文化人類学者としてもかなり高名をはせたひとらしく、最近の文献はそのカントのヨーロッパ文化を通じた人類学の文献を使用しています。カントの文章の読解は、このクラスの先生も、「自分でちゃんと原本を読解しようとするときは英語の訳本をよんで、いったんイメージをつくってからでないとまったく手がつけられません。」と豪語して憚らないくらいの難易度らしく、実際のこの先生の周りの学者も結構この方法を利用している場合が多いそうです。もちろん理由は、訳本の場合だと解釈がその翻訳者の考えたものになって、訳そのものもその彼の解釈に基づくように訳されており、読む側にとってはそっちのほうが、解釈をし始めれば永遠に終わらないような原本から入るよりも結構いいとの事なのでしょう。

でも個人的にはこの授業をかなり気に入っております。基本的に屁理屈好きですのでこういった思想・考えをこねくり回すという行為が大好きなこともあり、このカントの文章も自分なりの解釈をつけてこねくり回しながら楽しんでいます。(なにも学者になるわけでもないからそんなんでいいじゃろ、と自分ではおもっています。)

●この前に読んだ邦書でかなり気に入ったのがあります。ー「日本社会でいきるということ」著・阿部謹也、朝日新聞社ーという、常に日本で売れつづけるトピックの日本人論関連の本ですが、強引に内容を言うと、いかにして日本人が「世間」という、日本独特の社会をとおして自分たちや、社会や人生をみているのか、またそれからの影響がどのようなものなのか、を書いたものです。私達が日頃何気なく考えているような、恥の概念や、所属しているグループ(世間)における自己確立化の内容や行程などが書かれています。これを読んで、私が驚きまじりに改めて確認したことは、日頃クラスなどで私がふと感じる感情(とくに”引っ込んでしまう””周りのことを考える”思想や行動など)は、私が勝手に、自分の中で現地のクラスメイトを私の”世間の一員のように、深層的であれ、扱っているのではないかということでした。そのほかこの本ではいかに、現在に起こっている経済格差などから生じる差別とはまた別個の、中世まではびこっていたヨーロッパにおける被差別階級がなくなっていったか、などについて書かれてもいました。日本に結構いたせいもあるでしょうが、私がいかにアメリカの大学にいるとはいえ、架空の世間、または自分の存在を、その大部分において、常に投射する対象を深層的であれ、今でももちあるき、私の言動に影響を及ぼしているかということに改めて、わかってはいたつもりでしたが、気づかされました。この本、またよろしければ。

●来週の一週間は、休みがあまりないミシガン大での休暇がやっとやってきます。たった一週間ですが、それでもいままでたまりにたまったリーディング、例のビジネススクールのアプリケーションなどにとりかからなくては、とおもっています。って結局することはかなり大学関連となりますが・・・。いやいや、この一週間はがんばっていままで読む機会を逃してきた本などにも手を出していきたいと思います。趣味でよむ本ほど心が休まるものはありませんし。

ということで、一応の生存報告とこの一週間の抱負まで。