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7.10.00

●BioStationのプログラムも3週目に入りました。生態学のクラスでは先週末に今までした3つの実験の内の一つをとりあげての論文の提出がありました。生態学のクラスでは何をしているかというと毎回2,3時間の生態学の講義があってからそれにもとづくデータ集めをしに野外に出て、データ収集作業を約3時間くらいします。そして帰ってきてからの3時間はそのデータの集積と分析が行われます。その日のデータとその結果をもとに毎週一回10分程度のプレゼンをしなくては行けません。こういった作業は完全に生物系の研究職のライフスタイルなのでこんなライフスタイルがあまりしっとりこなければまぁ将来でも生物系の研究者にはならないほうがいい、とよく比較されるクラスでもあり、ハードコアな統計学がきっちりとベースに入った授業形態となっています。何せこの最近で私がおもに勉強しているのは統計学ばっかりですので、この生態学のクラスの内訳がわかってもらえると思います。

●科学形態の論文を今までで5,6回くらいしか書いたことがないので、今回の論文の作成もかなり悪戦苦闘しました。単なる英語のライティングのクラスと違い、明確な科学英語や文体を使わないと行けないので、そのような文体を“書くこと”自体あまりなれていない私は、まわりの奴らとくらべても2,3倍以上の時間を費やさないとそういった論文がまだかけません。ちなみにあまり興味もないかもしれませんが、今回私が取りあげたトピックは小川に生息する通称名watercress、(オランダガラシ)のChemical Defenseと、その付近にいる小さい無脊椎動物、Gammarus pseudolimnaeus、との関係です。基本をいうとこのオランダガラシがもっているグリーンの葉は、食べられたりひきちぎられたりしたら、phenylethyl isothiocyanateという、この無脊椎動物に対して毒素となる成分を作り出します。この毒素の味覚がからしの味覚となっているそうですが、とにかくもこれにたいしてのデータとにらめっこしながらの論文をやっとのこさなんとか期日までに仕上げることができました。なにせ私以外のクラスメイトはすべてが生物学専攻、そしてそのなかの9割が医学部志望というハードコアな生物野郎のかたまりでこのクラスができあがっているので、ひ弱な環境スクール出身の私にとって結構くるしい競争相手となっています。提出した論文も、もちろん長さだけではなにもはかれませんが、私がようやく出した論文が14ページだったんですが、彼らは平気で20ページを越す論文をぺらぺらと書いてきます。遺伝学などをとっている彼らは、私が取っているもう一つのクラスの進化生物学(遺伝学のトピックがそのほとんどを今のところ占めている。)のクラスでも結構余裕をぶっこかれています。・・・ま、こういう状態にいいわけをしていてもなにも先に物事がすすまないのでとりあえずも彼らに追いつけるようがんばります。

上に書いた通りに授業はかなり厳しいのですが、それにもまして結構きついのは朝がやたらと早いことでしょうか。鳥類学のクラスでは毎回なんと朝の5時から授業がありますし、生態学のクラスでも8時15分きっかりに授業が始まります。あまりにもやはいので、どうしても規則ただしい生活をしていないと、一日でも夜更かしをしてしまうなどしたら大変なことになります。なにしろ朝の8時から5時まで昼休みの一時間をのぞいてまったく休みがないもんですから(とくに生態学のクラスは。)その日につかれていたり、寝不足だったりした日にはかなり悲惨な1日となります。しかも外にいって実際にデータ収集をするので、この作業でも結構体力を取られてしまうという状態です。したがって、夜の12時までにはかならず寝るということをこころがけ(あまり成功例がなかったりしますが・・・。)、7時45分まで(!)の朝飯にまにあわすように不眠症の体を振り絞って眠りにつくことを目指しています。

したがって1日全体の自由時間・勉強時間も必然的に絞られてくるわけで、5時までの授業で一時間後には晩御飯、そして11時には寝たほうがいいので、授業のあるにはすべてをあわせても自由時間が4時間くらいしかないという、結構時間制限のきつい生活とも言えます。オフの日でも生活のスケジュールはそれほどかえられないので、Ann Arborのキャンパスにいるときなどよりは健康的ではありますが、やや1日の勉強時間があまりとれていないような錯覚を覚えてしまうスケジュールとなっています。

●先週には論文の提出がありましたが、おなじ生態学のクラスの中間テストが今週の金曜日にあります。もうひとつのクラス、進化生物学もそうなんですが、かなりの生物・遺伝話しばかりなので、私が1年前に生物の教科書に費やした恐ろしいくらいの時間をまた使わないと行けないと思うと結構気持ちがげんなりしかねません。生物関連の教科書というのは語彙の種類もそうだけど、内容そのものの説明が当然の事ながら遺伝学などを詳しく知っていないとついていけないような内容になっているため、その入門をしてきただけの自分にはかなりの難関です。・・・などなど、結構こうやってハードコアな生物状態を書き連ねているこの文章で、いかにここの場所が私にとって厳しいかがわかっていただけると思います。

●場所が場所だけに授業と少ない自由時間に湖のまわりで遊ぶこと以外にしていることがないので、このHPにもなかなか新しいことが書きにくい環境となっています。でも写真はいままでちょっとずつ取りつづけているのでまた近いうちにその写真をみなさんにお見せしたいと思っています。そのなかでも湖の夕焼けが特に綺麗です。ということでまたおたのしみに。

6.29.00

●ということでやっとLAN接続が可能になりました。これからまた時間を見つけ次第、このHPの更新を始めたいと思います。

●当然のようですが、いままでいたミシガン州のAnn Arborとは大違いのここPellston。この町の人口は冗談でも200人くらいと言われているほど小さなまちです。場所を言うとミシガン州の本州の一番北の湖から南に20キロくらいのところにあります。通りの名前もそのものずばりのBiological Roadという通り(というかあぜ道。)に、私がこれから2ヶ月間滞在することとなるBiological Stationはあります。今私がすんでいるキャビンから約10mくらいには湖(直径3キロほど。)があったり、その湖を取り囲むように木々がうっそうと茂っています。この湖の透明度はそれほどないのですが、周りの景色と合わさってか、ものすごく綺麗です。インデックスに貼った写真はこのダグラス湖の夕焼けの時に取った写真です。写真も少しずつ取り始めていますのでまたお楽しみに。

●ここでいったいどういう(勉強以外の)ことができるかというと、まずこの目の前の湖では3人のりくらいのボートが常に配置してあり、自分の好きなときに好きなだけ湖に出かけることができます。天気のいい日は湖上で勉強、なんていうこともできます。それともちろん泳ぐこともできます。昨日私も早速泳いできました。やはりミシガンのかなり北にあるためか、夏でも長袖がないと少し寒い気温なので、湖の温度は少し寒いものがありましたが、何しろキャビンを出てあるいて10秒というのがかなりの魅力です。もちろん泳いだ後は運動不足のため完全に筋肉痛になってしまいましたが・・・。

BioStationが湖岸の中心部にあるとしたら、そのまわりを2本のトレイルが左右に出ていて、各4キロくらいの長さになっています。左のほうにいくと小高い丘に上がっていく感じで右側の眼下には木々の間からみえる湖の風景がとても神秘的に見えます。右のほうに行くとこれは湖岸を沿うようにしてあり、平坦な道が多いのですが、すこし道をそれるとすぐに岸にたどり着くことができます。湖岸は少し荒めの砂があり、そこで日光浴ができるくらいの幅はありませんが、それでも十分広さの砂浜があります。自転車があれば4,5キロのちょうどいい長さのサイクリングが楽しめますし、こっちにきてから個人的に始めたようにトレイルでのジョギングなんていう手もあります。

ではいったいなぜ私がジョギングや水泳を始めようとたくらんでいるのか、と申しますと、あと2ヶ月後には欧州入り、そして3ヶ月後にはドイツでの留学生活が始まるわけですが、そのときに運動不足という状態であれば現地でサッカーをするときに支障があるのではないか、と思い出したことが原因です。なるべく現地ではサッカーを、ついた直後から始めたいとおもっているのですが、なになにそこはサッカーの本場ドイツの大学生たちですから、いくら大学の代表チームレベルのやつらとは試合はしないとしてもみんな玄人じみているだろうとの予測があるわけです。実際ミシガン大での3,4人のドイツ人はまさしくその典型でしたし、現地に行ってもまぁそんなものだろうという目測を働かせている状態です。また今回の私のドイツ留学の理由は、学問を究めていくような目標を置いている米国のではなく、日常会話の習得を目指した語学留学的なイメージがあるため、手っ取り早く現地人と知り合う方法はやはりサッカーだろうと考えているわけです。ということで長い前置きでしたが、まぁドイツに行くまでに体調をもどそう、というのがここでの一つの目標です。

●さて今いるBiological Stationの新たな情報はというと、この研究施設はなんと1909年設立という、世界で最古の野外研究所だそうです。ですから今回の私たちが93番目のセッションの参加者となるわけです。この施設が設立されたころは、ミシガン、オハイオ州などの北西部の州で材木業がはやり、これらの州にあった土着の種はもちろんのこと、すべての木々が完全に伐採されていたころで、したがってこの設立当時は表面の木々がなく、土壌学や地理学者達の絶好の研究場所になり、設立されてからの数十年はここは地理学者の研究所だったらしいです。それからしばらくたった20世紀の半ばからは、設立当時から近辺の州で始まった植林事業が成果をあげ始め、60年代以降になるとその植林された木々が完全にこの施設を覆うようになりました。そのせいでそれまでいた地理学者達は、当時新しくできたワイオミング州の地理学野外研究所に移行し始め、それにともなって全米の生物学者がこの施設に集まり出した、というのがおおまかな流れです。全米でもこのような施設は4,5箇所にしかないらしく、そのなかでミシガン大が所有するこの施設は全米で一番の規模を誇ります。湖沼学、河川学、そしていまでは大気・気象化学などの研究が世界的に初めて始められた施設でもあるようです。最近の目玉的な、新しくできた施設というのは高さ100メートル以上あるタワーでしょうか。このタワーでは大気圏のそれぞれのレベルのCO2の量、そしてそれが生態系に与える影響の研究が行われています。全世界とまではいきませんが、全米からの生物・化学学者がここにあつまってそれぞれの研究を行っています。

●すでにこの場所がかなりの田舎にあるということは書きましたがその内容をいうと:

1・日が暮れた(かなり北にあるためいつも夜の10時くらい。)あとは、まわりに何の光源もないためほんっとうに真っ暗。目を閉じている状態と外の状態がまったく同じという、よく就寝時に電気を消して一時的に得られる感覚が永遠に続きます。しばらく30分くらい動けずつったっていると、まわりの木々がどこにあるかくらいはわかります。・・・がそれほど役に立つ情報でもなく、懐中電灯をわすれた夜の帰り道は大体半歩ずつあるいてひたすら時間をかけてキャビンを探さないといけません。

2・各キャビンには電話はもちろん、大方のキャビンにはトイレやシャワーなどはなく、10畳くらいの広さの小屋にすまなくてはいけません。私と私のルームメイトの場合はラッキーで、ヒッピー系の私の友達が、トイレシャワーつきのキャビンを、「文明くさい」とかで気に入らなかったらしく、私のもといたその小屋キャビンとのトレードを申し込んできたことがあり、今我々のいるところは、前いたところよりもさらに湖に近く、トイレシャワーつきという贅沢なキャビンと相成っています。

3・各キャビンには電話がないので、この施設での外部とのコンタクトはこの施設内にある3つの公衆電話を通じてなされます。それとTVとか映画とかも論外です。

●かといってコンピューターなどのテクノロジー系の施設はどうなのかというとこれはかなり充実していて、今回参加している生徒60人に20台くらい、ミシガン大にあるような最新のPCがちゃんとLANにつながった状態で利用できます。そして私がしているみたいに空のLANのスロットがあるため、設定さえすればこのあいた場所からLANに接続することができます。このHPの更新はなにせ日本語の情報のためどうしても自分のPCからの更新の必要性があるのでこういう環境はとても便利でいいです。コンピュータールームはこのようなど田舎でも研究施設内にあるためか24時間使え、同じく24時間あいているここの図書館とあわせて、それこそ四六時中研究できる環境がそろっています。

●3日前からはじまった授業に関して書くと、今回私がとっているクラスは2つで、General Ecologyと、Evolutionary Biologyです。それぞれのクラスはもちろん通常のミシガン大の1時間くらいの授業とはまったく違い、共通するスケジュールとしては、週それぞれ2日ずつあり、時間帯はずばり朝の8時から晩の5時までの、昼食や小休憩を除いたノンストップの8時間という授業形態です。これまであった形態としては朝の2,3時間教室で授業がありそのあと5時間くらいの野外実習という形をとります。授業が終わった後もそれぞれのプロジェクト、プレゼン、レポートをまとめないといけないため通常の4ヶ月分の授業を2ヶ月間でしているんだなとなっとくのいく濃度となっています。しかも個人的にいってこれから始まる生物学関連の勉強にがんばってやっていこうという気持ちはありますが、果たしてどうだろうかという気持ちもまたあります。なんていったってこのセッションに参加している生徒の9割以上が生物学専攻で、その内のまた7,8割くらいが医学部志望という、超ハードコア生物人間の集まりですので、2学期前にあじわった生物学のクラスの競争の厳しさがまた始まるのかと思うと少しぞっとします。(いやぁそれにしてもあの生物のクラスはきつかった・・・。あのクラスでも日本からきた文系出身の生徒1人を除いた全員が医学部志望だったこともあり、あの授業の厳しさは半端じゃなかった・・・。もう二度と生物は取らないと誓った半年後にこのように必修の生態学・生物学のクラスをとっている自分がいるのであった。・・・憐。)

●ところで、こっちにくる前に香港出身のパックマンという友達と話してをしていたら彼が今度の9月から始まる香港の国会(?)議員選挙に立候補するということがわかり驚きました。まだよくわかっていないのですが、香港には上院下院という区別はないらしく、彼が当選すれば歴代最年少の22歳で議員になるということです。彼の父親が有力な弁護士らしいのでコネもまぁまぁあるらしく、本人が選挙の運営にこの数年間かかわっていたらしいので経験がまったくないというわけでもなさそうです。結構言うことはいつも大きい癖がある彼なのですが、今回もかなりの確立で当選するだろうと吠えておりました。彼はそれとは他にギャンブルのオンライン会社を設立・運営しているのですが、とにかく彼の言動のスケールの大きさにいつも圧倒されっぱなしです。ともあれ今年9月公布の香港選挙、ちょっと注目してみましょう。(・・・って本当に立候補するんだろうか?)

●ということで第一回の報告でした。次回は一体いつになるでしょう。・・・がんばります。

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6.19.00

●6月24日から始まる、Biological Station(通称BioStation)の夏学期の授業のため、当日の土曜日(24日)の朝には北ミシガンにあるPellstonという町に出発しなくては行けません。このプログラムは6月24日から8月19日までで、またこのプログラムの直後の8月20日にフランクフルト行きの便に乗りこむという結構込み入った予定です。ドイツのフライブルクで暮らし始める前に近くのヨーロッパの国に立ち寄ろうという考えです。

しかしそのための整理・荷造りが結構大変で、いうなればBiostation用の荷造りと、ドイツ用の1年分の荷造りと、アパートからの引越しようの荷造りを一度にしなくては行けません。前回帰国するときに大体の分は実家においてきたのですが、それでも結構かたづけるものがあります。幸い私のアパートの地階にある倉庫のようなスペースに私の分の荷物はすべて入りそうなので日本に船便でおくらないと行けない、ということまではしなくてよさそうです。

これは何回してきてもまだまだ慣れないのですが、一体何をもっていって何を持っていかないのか、という判断が非常に難しいです。旅、引越しなどのときのコツは“おもいきること”なんてことを聞いた覚えがあるようなきもしますが、それにしても特に書籍などは選ぶのが本当に難しい。特にドイツに行ってからの生活が一体どう言う風になるかがまったく検討がつかない(どの程度の自由時間、授業の厳しさ、など。)こともあり、この取捨選択には最後の最後まで迷っていそうです。ミシガン大にいるときは忙しすぎて読んでこれなかったような本もひょっとしてドイツでは・・・なんて考え始めたらどんどん持っていく書籍の量がインフレを起こし始めそうです。

●で、これから2ヶ月間を過ごすBiostationの授業を受けるためにはかなりたくさんの物を用意しなくてはいけません。ちょこっと例をあげると、ナイフ、双眼鏡、レインコート、防水ズボン、防水ブーツ、コンパス、非常時の外傷薬、統計をデータ処理が出来る計算機、タイムウォッチ、教科書などです。またBiostationとはまた別でヨーロッパの旅行用のスーツケース(3年前に購入したのがついにがたがきてしまったため。)と、ヨーロッパを回るためのバックパックなども追加で購入しなくては行けません。

●Biostationのある、北ミシガンの小さな町、Pellstonはなにしろど田舎のよう(タクシーというサービスが存在しないらしく、Pellstonの空港からはBioStationのスタッフが迎えに着てくれるらしい。)なので、現地についてからのPC環境は一体どうなるのかと不安ではあったのですが、現地のスタッフに聞いてみたところ、各部屋には電話線すらないけれど、コンピュータールームにはLAN環境がととのっているブースがあるから、そこにLaptopをもっていっていけばEthernetを通じてのネット環境がえられる、との回答を受けました。もちろん現地に行ってみないとわからないのですが、でもしたがってうまくいくと現地からのHPの更新をすることが出来そうな感じです。うまくいけばいいです。また皆さんお楽しみに。

●BioStation付近は北ミシガンの本当に綺麗な自然たっぷりの場所(らしい)ので、すくなくとも前回の記念の初作品からすすみ、第二作目の油絵を描いてみたいなと思っています。それと日によってはなんとオーロラが結構見えるらしく、これは生まれて一度も見たことがないのでかなり楽しみにしています。でも本当に見えるのかどうかはわかりませんけど、とりあえず行った人達がそう言っているのだからそうなんでしょう。

●この間CD Burnerをかいました。また手元には届いていないのですが、これでmp3などの音楽ファイルをCDに焼いてCDウォークマンなどからそれらを聞くことが出来るようになります。なにしろCD-Rのメディアが今じゃ1ドルを切っているので容量が少なく汎用性がないmp3Playerを買うよりもCDに焼いていったほうが経済的だという風に思い、購入にいたりました。普通の音楽CDも簡単にコピーできますし、またいろいろ友達のソフトなんかも・・・(ここは書いてはいけないんですな。)・・・と考えております。ただ、まだやっぱりmp3Playerの小ささ、安定性などにはまだ惹かれていますが・・・。

●最近ハリウッドに進出して結構たつジャッキーチェンの最新映画、“Shanghai Noon”を見に行って来ました。感想は、「・・・えっ、これだけ!?」です。なにかというとアクションの量や質が、昔香港にいたころのジャッキーチェン映画に比べ“圧倒的に”激減していたのでした。なにしろ私が見なれていた香港、とくにカンフー映画では何の変哲もない、たとえば単なる回し蹴りの場面でも、ハリウッド化されたこの映画ではスローモーションがかかってしまっており、しかもこの映画終始この言う調子だったので、ジャーキーチェンの映画とおもって期待してはいたのですが、かなり消化不良を起こしてしまいました。もちろんジャッキーチェン本人の年が年なので往年の姿はないにしてもあまりにも消化不良・・・・・・

・・・消化不良すぎて私の中で反動がおき、昨日、「ポリスストーリー」シリーズ(!)の二作をビデオ屋から借りてきてしまいました。第一作を見終わったのですが、いや、まったくちがいましたね。やっぱり。ハリウッド版の映画は、この映画にあるアクションの量の5%もないんじゃないかとついつい思ってしまいました。それはそうとやはりポリスストーリー。その昔、手に汗握り、なぜカンフーを俺は習ってこなかったのかと死ぬほど後悔しながら見たジャッキーチェンの映画がそこにはありました。「いやぁ映画ってほんっ・・・(中略)・・・ねぇ〜。」

●映画といえば近頃話題の「Gladiator」(日本版では剣奴、剣闘士、となるんでしょうか。)をみにいってきました。少しアメリカ臭くなっている場面もありますが、それを補うに多いにたりるくらいにこの映画はものすごくいい映画でした。

(この下の文は史実ではありますが、それでも映画のストーリーと酷似しているため、この映画を楽しみにしている人は読まないでください。)

時代は180ADのローマ帝国で、(辺境諸族との戦いと、ストア派の哲学者としても有名な)マルクス・アウレリウス・アントニヌス帝が現在のオーストリアのウィーンの戦場で病死するところに始まり、専制政治を繰り広げたことでしられるその息子と、後に剣闘士となる主人公とでストーリーは始まっていくのですが、この映画で気に入ったところはかなり史実に近く、実際にあったことを実に豊かな想像力を加えて展開しているところです。

・・・歴史学者でもないので、この息子の皇帝、ルシウス・アエリウス・アウレリウスがレスラーのナルキサスに絞め殺されるという以上のこと以上は一般人の私として手に入れられない状態ですが、その史実を見事に活かして浮かび上がらせているところがものすごく気に入りました。

個人的に近・現代史よりも古代史のほうが私は断然好きで、その理由の一つに、一つ一つの古代史にはわからない部分がやはりたくさんあり、その空白部分に当時の生活や戦場での鯨波(トキ)の声などをふんだんにいれこみ、自分で想像するのが好きだということがあります。この映画でもそういう趣味が見られ、個人的には本当に気に入りました。それにしてもあたらめて確認したことは歴史の重さ、でしょうか。歴史の教科書の1行分の出来事でも想像を絶するようなドラマが繰り広げられているわけで、私も1人の人間として歴史というものを過去のテキストとして見てしまうときがまだまだあるため、この映画を見たあとこの“重さ”に結構感銘を受けたりしていました。ということでこの映画、おすすめです。