Albino − アルビノ −















 エルという町に、ぬいぐるみを作る工場がありました。



 あなたはそこで生まれました。



 その年、工場は、まいにち黒い猫のぬいぐるみを作っていました。



 ところが。



 工場で事故がおきました。



 あなたは、最後の黒猫のぬいぐるみには、なれませんでした。



 機械があなたを黒くぬる前に、壊れてしまったのです。



 あなたは、黒猫として生まれたのに、白い猫になってしまいました。 

























 おもちゃ屋さんは、一匹だけ白いあなたを置いてはくれませんでした。



 あなたは、工場で働く人に、引き取られました。



 胸には「黒猫」という名札がついているのに、あなたは、白い猫のぬいぐるみでした。



 そんなあなたのことを好きになってくれる人はいません。



 デキソコナイと呼ばれました。



 フリョウヒンと呼ばれました。



 白猫と呼ばれることはあっても、だれも黒猫とは呼んでくれません。  



 やがてあなたは、ごみ箱に捨てられました。
























 あなたは、たくさんのごみと一緒に運ばれました。



 しかし途中で車から落ちてしまいました。



 女の子が拾ってくれました。



 女の子は、あなたのことを大切にしてくれました。



 あなたは、女の子とせかいを旅しました。



 でも、女の子は、あなたのことを、黒猫とは呼んでくれません。



 そして。



 あなたは、また捨てられました。

























 今度はだれもあなたのことを拾ってくれません。



 あなたは、踏まれました。



 あなたは、川に投げられました。



 雨が降りました。



 雪が降りました。



 たくさんの、せんそうがありました。



 あなたは、どんどん汚くなっていきました。



 だれも拾ってくれませんでした。

























 ようやくあなたは、おとなに拾われました。



 おとなは、あなたのことを黒猫と呼んでくれました。



 白くて綺麗だった毛は、ひどく汚れて真っ黒になっていました。



 とうとうあなたは黒猫になれたのです。



 あなたは嬉しくてぽろぽろと涙をこぼしました。



 やっと、あなたは、あなたを黒猫と呼んでくれる人に出会うことができました。



 とても寒い日でした。



 おとなは、あなたのことを火の中に投げ入れました。



 あなたは、いなくなりました。















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