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体外受精児を追跡調査へ 人工操作加えるほど体重増生殖医療で加えた操作と体重
朝日2011年12月24日

 体外受精で生まれた赤ちゃんの体重は、凍結保存など人工的な操作を加えるほど重くなることが、厚生労働省研究班の調査でわかった。遺伝子の働きを調整する仕組みに異常が出ている可能性もあり、将来、がんなどのリスクが高くならないか、15年間、数千人を対象に健康影響を調べていくことにしている。

 研究班(主任研究者=吉村泰典・慶応大教授)は2007〜08年度に、体外受精により正常な週数で生まれた赤ちゃん約2万7千人の出生時の体重を調べた。

 その結果、受精卵をそのまま子宮に戻した場合は平均3003グラムだったが、受精卵を胚盤胞(はいばんほう)という段階まで体外で培養すると3025グラム、凍結保存すると3070グラム、体外で培養し、凍結保存した後に戻した場合は3108グラムと、受精卵に操作を加えるほど重くなっていた。凍結保存した場合は、正常な週数で生まれた平均体重3060グラムよりも重く、いずれも統計的に有意な差があった。これらの操作は、妊娠率を高めるために行われるようになった。


男女産み分け目指しタイへ 日本人急増、年に約30組男女の産み分け方法
朝日2011年9月25日

 子どもを望む日本人夫婦がタイに渡り、受精卵の染色体を調べて、男女産み分けをするケースが増えている。朝日新聞の取材で、この1年間で少なくとも30組の夫婦が利用していたことが分かった。受精卵の診断は「命の選別につながる」として、日本では重い遺伝病などに限られており、倫理的な課題が多い。

 受精卵診断はもともと遺伝病の有無を調べるために行う。体外受精卵が4〜8個の細胞に分裂した段階で、1〜2個の細胞を取って、遺伝子や染色体の異常がないか調べて、子宮に戻す。遺伝病だけでなく、性別も判定できるため、男女の産み分けにも使える。

 タイでは近年、医療技術が向上し、海外の患者にも人気の医療先進国になりつつある。受精卵診断も約15の医療機関が実施している。朝日新聞が、日本人が多く行く2施設に取材したところ、2〜3年前から日本人が増え、この1年で計約30組が男女産み分けで受精卵診断を受けたと回答した。診断には体外受精が必要なため、不妊でない夫婦でも体外受精をしている。不妊夫婦が卵子提供を受け、男女の産み分けをする例もあるという。


排卵誘発剤の自己注射、通院と同様の効果 日産婦が調査
朝日2011年8月25日

 不妊治療で使う排卵誘発剤は、患者が自分で注射しても通院治療と同じか、それ以上の効果があることが、日本産科婦人科学会の調査で分かった。卵巣が腫れたり、双子以上の妊娠になったりするリスクが減るケースもあった。自分で薬剤を少しずつ注射して、ゆっくり卵子を育てることができるのが理由のようだ。毎日の通院が難しい女性にも安心できる結果だ。

 体外受精や排卵障害で使う排卵誘発剤は2008年から患者自身が自宅などで注射できるようになった。以前は、月経の開始から10日間前後、毎日、不妊クリニックや産婦人科に通院する必要があった。しかし、通院の回数を減らそうと、一度の投与量を多くすることもあり、卵巣の腫れや多胎妊娠のリスクを高めることもあったという。

 同学会の生殖・内分泌委員会小委員会は09、10年の2回、約600の不妊治療施設で排卵誘発剤の使用状況を調べた。09年は回答施設の53%にあたる186施設で、10年は65%の242施設で、患者の自己注射を取り入れていた。10年の調査では、自己注射の治療成績について、回答施設の9割以上が、通院治療と比べて「変わらない」「よい」と答えた。自己注射で多胎が「減少した」は11%、「変わらない」は89%で「増加した」はゼロだった。卵巣が腫れる副作用も、23%が「減少した」、77%が「変わらない」と回答した。


卵子提供へ日本人女性海渡る 100人超、謝礼60万円
朝日2011年7月27日

 日本人の若い女性が日本人の不妊夫婦に卵子を提供するため、韓国やタイに渡っていることがわかった。この1年間で100人以上が、60万〜70万円の謝礼で提供していた。日本国内では第三者による卵子提供は認められていない。一方、韓国やタイの両政府も規制強化に乗り出した。

 日本人の卵子提供者を韓国やタイに送るあっせん業者は、東京やバンコクに少なくとも4業者ある。朝日新聞が3業者と、採卵で協力している現地の医療機関に取材したところ、2010〜11年に100人以上が提供していた。

 提供者はインターネットで募集している。約2週間の現地滞在中、排卵を誘発する注射を打つ以外は自由に行動できる。提供者への報酬は、銀行口座に振り込まれる例が多い。


インド・タイで代理出産、日本人不妊夫婦が急増
朝日2011年2月19日5時8分

 インドやタイで代理出産を望む日本人の不妊夫婦が急増し、2008年以降、少なくとも30組が依頼、10人以上の赤ちゃんが誕生していることがわかった。米国より安く済み、日本人向け業者がこの1、2年に相次いで、あっせんを始めた影響が大きい。

 一方で、代理母は貧しく、妊娠中は集団生活を求められる例が多く、倫理面から批判もある。インド、タイ両国政府は、代理出産をめぐるトラブルを避けようと、法整備に乗り出した。

 インド、タイの医療機関やあっせん業者に取材すると、08年以降、インドで20組以上、タイで10組以上の夫婦が代理出産を依頼し、計10人以上が生まれていた。夫婦の受精卵を代理母に移植するほか、第三者からの提供卵子と夫の精子で受精卵を作り、代理母に移す例も多かった。

 これまで、日本人が代理出産を依頼するのは米国が中心だった。インド、タイで日本人の依頼が増えた背景には、08年にインドで代理出産で生まれた日本人の赤ちゃんが無国籍状態となり一時出国できなくなった問題が、大きく報道されたことがある。

 これをきっかけに「安価なアジアで代理出産が可能」と知られるようになり、インド向けの3社、タイ向けの2社のあっせん業者が、主にこの1〜2年の間に東京やバンコクで取り扱いを始めた。現地の診療所と提携、代理母の紹介、出産後の法的手続き、通訳を代行している。

 費用は、代理母への報酬も含め500万円前後のところが多く、米国の3分の1程度で済む。

 代理母への報酬は、両国とも日本円で平均60万円程度。代理母は経済的に貧しい女性が多く、インドでは5〜10年分の年収に当たるという。また「健康な子どもを手渡せるように」と、宿泊所での集団生活を求められ、食事や行動も管理する施設が多い。

 インド、タイ両国とも現時点では代理出産を規制する法律はないが、いずれも昨年、合法化を目指し法案が提出された。インドの法案では、依頼人の出身国が代理出産を認めるという証明書の提出を求めている。日本は認めていないため、法施行後は日本人は依頼できなくなる可能性がある。タイでは金銭のやりとりは禁止する方向で調整中だ。

 日本では代理出産を規制する法律は無いが、日本産科婦人科学会が指針で禁止している。しかし海外でのあっせんに関する規定はなく、強制力もない。日本学術会議は08年、第三者の体を生殖の手段として使うことは問題があると、代理出産を原則禁止する報告書をまとめた。(岡崎明子)


体外受精「お墨付きではない」 ノーベル賞選考委員長
朝日2010年12月8日

【ストックホルム=竹石涼子】ノーベル医学生理学賞選考委員会のクラス・シャッレ委員長は7日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。体外受精技術の開発に対する今回の授賞について、「不妊治療に対する功績を純粋に評価した」としたうえで、「議論するべき倫理的な問題は今もあり、お墨付きを与えたというわけではない」と慎重な姿勢を示した。

 体外受精技術を開発し、医学生理学賞を受賞する英ケンブリッジ大名誉教授のロバート・エドワーズさんについて、「基礎医学の研究を進めるだけでなく、実際の治療を可能にするために自ら医師を探して協力を求めるなど、実用的な治療法の開発における功績は大きい」と評価した。

 一方で、体外受精が開いた新しい医療が不妊治療以外の分野にまで応用されていると指摘。「気に入った容姿や知能や性別などを選ぶ産みわけに使われるなど、倫理的な側面も大きくなっている。新しい技術が生まれるたびに社会として、受け入れるべきかどうか、常に議論していくべきだ」と語った。

 7日の記念講演会には、エドワーズさんとともに世界初の体外受精児を誕生させた医師のステプトーさん(故人)の家族も招かれ、「生きていたら彼も受賞したかもしれない」との声も聞かれた。


卵子ビジネス、米で浸透 特定の提供者に高額謝礼も
朝日2010年12月6日

 「子どもがほしい」という夫婦の思いを他人からの卵子提供でかなえる。日本では家族関係が複雑になるなどの懸念からほとんど取り組まれていないが、米国では保険もきく一般的な不妊治療として定着している。提供者への謝礼が300万円近くに達することもある。日本からも多くの人が向かう、そんな「卵子ビジネス」の現場を見た。

 「他の女性が妊娠できるよう助けてあげてください」

 ニューヨークにある名門大学、コロンビア大のキャンパスには、こんなポスターが張られている。同大学産科婦人科学教室が、学生に卵子の提供を呼びかけるものだ。

 提供できるのは21〜32歳で謝礼は8千ドル(約66万円)。米生殖医学会の倫理委員会は2007年、「5千ドルを超える謝礼は正当化する必要があり、1万ドルを超える謝礼は不適切」との指針を出している。にもかかわらず、最近の調査では、有名大の学生相手に3万5千ドル(約290万円)という広告さえあり、特定の卵子に高い価値を認める市場ができている。同大のデボラ・スパー教授は「卵子を『売る』という考え方が定着してきた」と話し、一定の歯止めが必要との立場だ。

 「749番、白人、両親はルーマニア人、肌の色は(白人と黒人の)中間、瞳の色は緑……」

 ワシントン近郊の医療機関はこんなリストをインターネットで公開している。卵子提供者の特徴の一覧だ。

 メリーランド州の自営業リチャード・ボイドさん(58)と、エイミーさん(55)夫婦もそんな卵子を利用した。

 結婚して10年たっても子どもができず、エイミーさんが44歳になったころ、医師から養子や卵子提供による妊娠を勧められた。

 ボイドさん夫婦は卵子提供を選んだ。「片方の親だけでも遺伝子を引き継ぐことができる。養子の費用は約3万ドル(約250万円)だが、保険適用になる卵子提供は1万8千ドル(約150万円)だった」という。

 リストを見て女性を選んだ。「私たちは目の色が違うので、どちらに合わせようかよく話し合ったわ」とエイミーさんは振り返る。

 妊娠・出産は順調で、男女の双子が生まれ、10歳になる。だが、卵子提供を受けたことを彼らに告げる心の準備は、エイミーさんにはまだできていないという。

 米国で卵子提供が盛んなのは、養子縁組が多く遺伝的なつながりのない親子関係に抵抗感が少ないことや、規制の少なさなどが背景にある。

 一方、採卵は以前のように腹部に針は刺さないが、ホルモン剤で強制的に排卵させるなど提供者に負担がかかる。親子関係が複雑になる懸念もあり、日本産科婦人科学会は原則的に認めていない。国内法の整備も進んでいない。

 96年以降、一部の大手不妊治療クリニックが独自に姉妹や友人から卵子を提供してもらう体外受精を始め、今年8月までに約70人が誕生しているが、これらは例外的だ。

 そのため、8月に妊娠を発表した野田聖子衆院議員(50)のように卵子を求めて渡米する日本人も少なくない。日本人向けあっせん機関も10以上あるとみられる。

 サンフランシスコに本拠を置くIFCは今年で16年目。昨年末までに約600組に卵子提供をあっせんした。受精卵を子宮に移植する費用は5万ドル(約410万円)で、妊娠する確率は8割という。

 年間150組ほどにあっせんしているというロサンゼルスのLAベイビーの岡垣穣二代表は「45歳まで自分の卵子で頑張ったが妊娠に結びつかず、47〜48歳で希望してくる人が多い」と話す。

 LAベイビーでは、希望者は最初の訪米でリストから提供者を選ぶ。提供者の準備ができれば再び訪米し、受精卵の移植を受けて帰国し、日本で出産する。IFCの川田ゆかり社長は「女性は、卵子提供者に自分の面影や共通点を探すようです」と話す。

 1回目の受精卵移植で300万〜400万円の費用がかかり、妊娠に至らなかった場合、2回目以降には追加の費用がかかることが多い。これらに加えて、渡米のための航空運賃やホテル代もかかる。

 岡垣さんによると、6〜7割が子どもには告げないというが、「隠し通せるものではないということも説明している」と話す。(勝田敏彦=ワシントン、大岩ゆり)


社説:生殖補助医療 今度こそ国会で議論を
毎日2010年10月15日2時32分

 卵子、受精卵、子宮。かつてこれらは1人の女性の体の中で完結していた。別々に扱えるようになったのは「体外受精」が登場してからのことである。

 この技術を開発した英国のロバート・エドワーズ博士に今年のノーベル医学生理学賞が贈られる。78年にルイーズ・ブラウンさんを誕生させて以来、世界で400万人近くがこの技術で誕生したことを思うと、確かに波及効果は大きい。

 カップルの間の体外受精にとどまらない。8月、衆院議員の野田聖子さんが49歳で妊娠を公表した。米国で卵子提供を受け、事実婚の夫との間で体外受精したという。

 自然妊娠が難しい年代の女性が第三者の卵子で出産できるのも、女優の向井亜紀さんのように代理出産で子どもをもうけることができるのも、体外受精があればこそだ。

 しかし、こうした技術の使い方は「福音」とばかりは言えない。

 卵子提供や代理出産については、10年以上前から厚生労働省の部会などが議論を重ねてきた。その中で「女性の体を道具として扱うことにつながらないか」「子どもの幸福より親の願望を優先しているのではないか」といった懸念が論じられた。

 卵子が遺伝情報を担い、その提供が肉体的負担を伴うことを考えると懸念は当然だ。事実、米国では卵子提供者に対価が支払われる。

 野田さんは「体を酷使していただいたことへの謝金」との考えを示しているが、日本で合意があるとは言えない。03年に厚労省の部会がまとめた報告は、匿名の第三者からの卵子提供を認める一方、卵子提供に当たり実費・医療費以外の対価のやり取りを禁じている。

 生まれてくる子どもの出自を知る権利も気にかかる。部会の報告は、子どものアイデンティティー獲得を重視し、卵子や精子の提供者を名前まで含めて知る権利を認めた。しかし、米国で卵子提供を受けた場合この権利は保障されない。

 そもそも、厚労省部会の報告は生殖補助医療の法制化に向けてまとめられたにもかかわらず、たなざらしにされ実効性がない。08年に日本学術会議がまとめた代理出産の原則禁止も同様だ。野田さんはこうした規制的な法律に反対してきた。

 生殖補助医療には卵子提供や代理出産以外にもさまざまな課題がある。国のルールがないまま既成事実が先行していくのは問題だ。

 野田さんは養子縁組も考えたが難しかったという。養子制度に柔軟性を欠く部分があるのなら改善することも重要だ。そうしたことも念頭に、今度こそ国会で生殖補助医療を総合的に議論してほしい。


不妊治療中の夫婦に無担保ローン 大垣共立銀、全国初
朝日2009年12月13日5時4分

 大垣共立銀行(本店・岐阜県大垣市)は、不妊に悩む夫婦を対象とした無担保ローン「ライフプランFutari-de(フタリ・デ)」の取り扱いを、28日から始める。不妊治療にかかる費用に限定した融資制度で、全国初という。出産した場合、大手信販会社のギフトカード5万円分を「子育て応援金」として贈る。

 同行によると、20〜65歳の既婚者が融資対象で、借り手は夫婦どちらでもいい。検査、投薬、治療の費用について、30万〜200万円を無担保で融資する。健康保険の適用外である体外受精や顕微授精にも利用できる。

 融資期間は1〜5年。金利は短期プライムレート(最優遇貸出金利)に2.5%を上乗せした水準。同行の他のローンを使うより、低めの金利に設定した。

 申し込みは、窓口だけでなく、同行のホームページからもできる。不妊がデリケートな問題であることに配慮した。治療費の見積書の提出も不要なので、治療内容を細かく報告しなくてすむ。

 この無担保ローンを発案したのは、女性行員だけの専門チーム「エルズプロジェクト」。岩田かおり担当部長は「不妊治療は精神的、肉体的な負担に加え、経済的負担も大きい。この融資で負担を和らげ、子どもを授かりたい夫婦を応援したい」と話す。

 厚生労働省の研究班は03年、不妊治療の患者数を約46万7千人と推計。「10組に1組の夫婦が不妊」とみる専門家もいる。体外受精や顕微授精の費用は、1回あたり30万〜40万円程度とされる。(木村裕明)


4分の1がマニュアルなし=取り違え防止、徹底不十分−不妊治療施設の安全調査
時事5月15日14時39分配信

 体外受精を実施する医療機関で、不妊治療の安全管理のためのマニュアルを整備している施設は4分の3にとどまることが15日、厚生労働省の調査で分かった。複数患者の受精卵を同時に扱わないことはほとんどの施設で徹底していたが、取り違え防止のため必ず複数の職員で確認する「ダブルチェック」は、約16%が未実施だった。

 調査は、香川県立中央病院(高松市)での受精卵取り違え問題を受け、不妊治療費助成の指定施設564カ所に対し緊急に実施した。

 不妊治療の安全管理について、器具への氏名記入など受精卵・精子・卵子の識別は555施設、複数患者の受精卵などの同時操作の禁止は558施設で徹底していた。

 一方、ダブルチェックは88施設(15.6%)が未実施。マニュアルは145施設(25.8%)が無しと回答した。


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