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4分の1がマニュアルなし=取り違え防止、徹底不十分−不妊治療施設の安全調査
時事5月15日14時39分配信

 体外受精を実施する医療機関で、不妊治療の安全管理のためのマニュアルを整備している施設は4分の3にとどまることが15日、厚生労働省の調査で分かった。複数患者の受精卵を同時に扱わないことはほとんどの施設で徹底していたが、取り違え防止のため必ず複数の職員で確認する「ダブルチェック」は、約16%が未実施だった。

 調査は、香川県立中央病院(高松市)での受精卵取り違え問題を受け、不妊治療費助成の指定施設564カ所に対し緊急に実施した。

 不妊治療の安全管理について、器具への氏名記入など受精卵・精子・卵子の識別は555施設、複数患者の受精卵などの同時操作の禁止は558施設で徹底していた。

 一方、ダブルチェックは88施設(15.6%)が未実施。マニュアルは145施設(25.8%)が無しと回答した。


<受精卵取り違え>学会は医師を処分せず「安全管理の問題」
毎日2月28日20時3分配信

 香川県立中央病院(高松市)の受精卵取り違え疑惑で、日本産科婦人科学会(日産婦、吉村泰典理事長)は28日の理事会で、担当医の川田清弥医師(61)への処分はしないことを決めた。会見した星合昊(ひろし)・倫理委員長は「今回のことは病院の安全管理上の問題で、学会の処分はなじまない」と説明。学会としては全国規模での調査や指導など再発防止を徹底する方針を明らかにした。

 日産婦は27日、川田医師から直接事情を聴き、対応を検討。「各施設に対し安全面に格別の注意を要請する」などの声明文を28日発表した。さらに▽厚生労働省と共同で、全国の生殖補助医療実施施設に医療安全管理の実態などを問う調査を実施▽実施施設登録の要件に「安全管理講習の実施」を追加▽日産婦にリスクマネジメント委員会を新設−−などの再発防止策を打ち出した。

 川田医師については「専門家として考えられないミスで、関係者への説明が遅いなど問題点はある」としたが、病院が新たな再発防止策を実施していることも考慮し「安全管理上のミスは学会として処分の対象にならない」と判断した。一方で「今後、同様の問題が起きた時の対応は新設のリスクマネジメント委員会で検討する」とした。

 また川田医師が「受精卵移植は原則1個」とする日産婦の会告を知りつつ複数の受精卵移植を続けたことについては「会告は理想的な努力目標で、抵触イコール処分ではない、という方針が事前に決まっている」として処分対象にしなかった。【三上健太郎、奥野敦史】


社説2 生殖医療の安心を確保せよ
日経2009年2月27日

 香川県立中央病院で受精卵を取り違えた疑いから妊娠9週目の女性が中絶を余儀なくされた事故は、不妊に悩む人に衝撃を与えた。産婦人科の男性医師1人が作業し、台の上に置き忘れた別の患者の容器と混同した初歩的なミスが原因とされる。

 この医師はまた、多胎妊娠を防ぐため日本産科婦人科学会が「受精卵の移植は原則一つ」と定めた倫理規定に違反し、中絶したこの女性に3個の受精卵を移植していた。複数の受精卵移植はほかにも20回以上行ったという。治療に使わなかった受精卵の廃棄数も記録していなかった。あまりにずさんな治療行為だ。

 晩婚・晩産化で不妊治療を受ける人は増え、年間約2万人の新生児が体外受精で誕生している。「我が子を抱きたい」という切実な願いにこたえるには、安心して治療できる体制を確保しなければならない。

 少子化対策の面からも見逃せない。国の支援に加えて企業では不妊治療のための休暇制度や給付金を整備するところも増えている。肝心の医療機関が信頼できなければ支援も功を奏さない。

 日本産科婦人科学会は受精卵の識別や確認、管理を厳重に行うよう通知をだしているが、各医療機関の審査は書面のみだ。妊娠に至らないまでも今回の取り違えと同様のミスはこれまでも起きている。治療に携わる医師からは受精卵を管理する専門の培養士を配置すべきだとの指摘もあるが、多くの病院では人手不足などから担当医が行っている。

 生殖医療に携わる医師には医療技術と同時に、命を扱う緊張感と畏れが求められる。事故を起こした病院にはミスを防ぐためのマニュアルすらなかった。急速に進む生殖医療に現場の意識と体制が追いついていないのではないか。

 日本には人の細胞や組織を医療や研究に用いる場合の生命倫理を定めた法律がない。人としての尊厳はどう守られるべきかといった基本的認識を欠いたまま、場当たり的に生殖医療に向き合ってきた結果が今回のミスにつながったとみることもできる。不妊治療の広がりを考えれば基本理念を医師が共有し、必要なルールを整備、徹底することが避けられない問題になっている。


49歳女性が体外受精出産 自分の卵子では国内最高齢か
朝日2009年2月26日11時25分

 札幌市の49歳の女性が市内の産婦人科医院で、自分の卵子と夫の精子を使った体外受精で妊娠し、昨年11月に女児を出産していたことが分かった。日本生殖医学会理事長の田中俊誠(としのぶ)秋田大教授(産婦人科学)は「自分の卵子を使った体外受精で出産した例としては、国内最高齢の可能性が高い」と話している。

 不妊治療をした「神谷レディースクリニック」の神谷博文理事長によると、女性は昨年2月、卵子に精子を直接注入する顕微授精を行い、妊娠した。48歳6カ月の時に採卵した卵子だった。11月、市内の別の病院で体重約2400グラムの健康な女児を出産したという。

 女性は00年から同クリニックで治療を受けていた。神谷理事長は「40歳を超えると卵子の老化が進み、妊娠・出産が難しくなる。この女性の場合は、卵子の活動が活発だったため成功した」と話す。

 田中教授は「不妊に悩む人の希望になる。ただ、今回のように妊娠・出産に至るのは非常にまれで、いたずらに長期間の治療をすれば、患者にとって精神的にも経済的にも負担になる危険性がある」と指摘する。

 厚生労働省の人口動態統計によると、45歳以上の高齢出産は増えているが、卵子の活動の衰えや閉経などのため、他人から卵子の提供を受けるケースが多いとみられる。


[社説] 受精卵取り違え―命を扱う緊張感忘れずに
朝日2009年2月21日

 体外受精で念願の子を授かった20代の女性が実は別人の受精卵を移植されたらしいとわかり、人工中絶した。

 あってはならないことが香川県の県立病院で起こったのは、昨秋のことである。妊娠の喜びから一転、つらい選択を迫られたカップルの苦しみはいかばかりか。知らぬ間に受精卵をほかの人に移植され、中絶されたカップルにとっても、あまりにむごい話だ。

 体外受精で誕生する赤ちゃんはふえており、今や国内で1年に約2万人いる。ほぼ50人に1人の割合だ。卵子や精子をとり出す不妊治療では、こうした人為ミスの危険が常にある。急速に広まる医療に、間違いを防ぐ態勢づくりが追いついていないのではないか。

 今回の事件は、そんな現実への警鐘としてとらえるべきだ。

 病院によれば、このカップルの受精卵はそれまでの治療では状態が悪かったが、このときは順調に妊娠して育った。疑問を感じた医師が調べ直し、取り違えの可能性に気づいたという。

 シャーレに入った受精卵を検査のために作業台に並べた際、別人のものが交じっていたらしい。シャーレのふたに識別用のシールが張ってあったが、入れ替わってしまったようだ。

 同じ作業台には1人分しか載せない、担当医だけでなく何人かが確認する、シャーレの本体にもシールを張る、といった手順が守られていれば食いとめられたはずだ。

 この病院には、こうした手引書が整っておらず、医師が1人で作業するのがふつうだったという。

 こんな実態はおそらくここだけの話ではあるまい。体外受精の実施施設は全国に500以上もある。

 妊娠前に気づいたものの、別人の受精卵を移植したり、人工授精で誤って夫以外の精子を使ったりといった事故もこれまでに明らかになっている。

 100施設余りが回答した民間のアンケートでは、約半分がこうした事故の危険を身近に感じたことがあると答えたが、約8割が間違い防止のための手引書を備えていなかった。

 こうしたなかで事故は起こるべくして起こった、ともいえる。

 04年からは政府による不妊治療への費用助成が始まった。厚生労働省には、不妊カップルが安心して治療を受けられるようにする責任がある。

 同様の事故はないか。ミスを防ぐ態勢はどうか。関係する学会とも協力して、まず実態を調べることだ。そのうえで再発防止を徹底させるべきだ。

 体外受精による赤ちゃんは1978年、世界で初めて英国で生まれ、日本でも83年に第1例の出産があった。それが今ではごく当たり前の医療になった。しかし、人の手を介して新しい命を芽生えさせるという性格をもつ医療だ。緊張感を忘れてはならない。


別人の受精卵で妊娠・中絶、医師が培養容器取り違え…香川
読売2009年2月19日18時21分

 香川県は19日、県立中央病院(高松市)で昨年秋、不妊治療中の20歳代の女性患者に、別の患者の受精卵を誤って移植する医療ミスがあったと発表した。

 受精卵を培養する容器を別の患者のものと取り違えたのが原因としている。妊娠した女性は、体外受精から約2か月後に人工中絶をした。受精卵の取り違えは、2000年に石川県内のクリニックで発覚したが、取り違えによる妊娠が明らかになったのは国内で初めて。

 県によると、同県在住の20歳代の女性で、昨年4月から同病院産婦人科で不妊治療を開始。担当の男性医師(61)が受精卵の成熟状況を確認した際、誤って別の患者の受精卵を培養容器に戻し、気づかないまま同9月中旬に移植したという。

 男性医師は、同病院に約20年間勤務し、約1000例の体外受精を経験したベテラン。男性医師は病院に、「注意不足で、別の患者の受精卵を移植してしまった。非常に反省している」と説明しているという。

 女性患者側は精神的苦痛を与えられたとして、県に2000万円の損害賠償を求めて高松地裁に提訴している。


<体外受精>提供卵子で出産2例…根津医師以外で初
毎日2009年2月5日21時22分

 全国20の不妊治療クリニックで作る「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」は5日、友人や姉妹から提供された卵子による2例の体外受精で、男児2人が出産したと発表した。母子、卵子の提供者とも健康という。非配偶者間の体外受精による出産は長野県の根津八紘医師が実施しているが、他医療機関で明らかになったのは初めて。

 2例はいずれも妻が若年で排卵が止まる早期閉経症の患者。08年3〜4月、広島HARTクリニック(広島市)で妻(44)に友人(32)の卵子を、セントマザー産婦人科(北九州市)で妻(36)に姉(38)の卵子を体外受精し、移植した。それぞれ昨年11月と今年1月に男児が誕生した。

 妻以外からの卵子提供は03年、厚生労働省の部会が匿名の第三者からの提供に限り認めたが、法制化は進んでいない。一方、同機関は「匿名の卵子提供者をボランティアで見つけるのは難しい」として昨年6月、独自に指針を策定。友人、姉妹などから提供を認める内容で、同時に今回の2例の妊娠を公表した。

 出産した2組のカップルは結果に満足し、「将来は子供に自分の出自を伝えたい」と話しているという。加盟クリニックでは現在、2組の夫婦が実施のための倫理審査を待っている。同機関理事長の高橋克彦・広島HARTクリニック院長は「学会などで適切な指針ができれば、従うつもりだ。生まれた子供の出自を知る権利を尊重し、カウンセリングを続けて母子、卵子提供者を支えていく」と話す。【奥野敦史】

◇解説…法整備へ早急に議論を

 非配偶者間の体外受精をめぐっては、長野県の根津八紘医師が卵子、精子提供を合わせて百数十人を誕生させたことを公表している。また海外で提供を受けたカップルも多い。そんな中、日本生殖補助医療標準化機関(JISART)が発表した友人や姉妹の卵子による体外受精は、法整備が進まず、「事実を重ねて現状を打開」という方法が続く日本の生殖補助医療の現状を如実に示している。

 妻以外からの卵子提供で「匿名の第三者」に限って認める厚労省部会の報告書に対し、同機関は「実際にそんな提供者はほとんどいない」と言う。打開策として独自に卵子提供の意思のある人を登録する「卵子バンク」のような取り組みも検討したが、事故時の補償などが難しく、実現のめどは立っていない。

 また非配偶者間体外受精で生まれた子供は将来、自分の出自に悩む可能性がある。専門のカウンセラーによる支援が必要と言われるが、その数は全く足りない。だが国や法律の支えなしに人材養成を進めるのは困難だ。

 現在の国の方針と医療の現実に差があるのに、その差を埋めるための法整備の手続きは止まったままだ。この国の対応の鈍さは、現実に生まれてくる子供たちの不利益になる。議論を早急に深めるべきだ。【奥野敦史】


非配偶者間の体外受精、クリニック団体も2例の出産成功
読売2009年1月20日21時18分

 全国21の不妊治療クリニックで作る「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」が妻以外の卵子を使って2例実施した非配偶者間の体外受精で、無事出産したことが20日分かった。

 JISARTは、第三者の卵子提供による体外受精に関する国の規制がないため、これを容認する独自のルールを策定。昨年、西日本の2施設で、体外受精を1組ずつ実施した。

 厚生労働省の生殖補助医療部会は2003年、卵子提供を「匿名の第三者」に限り認める報告書をまとめた。これに対し、JISARTは「無報酬で匿名の提供者を探すのは難しい」として、夫婦の友人や姉妹からの提供を認めている。

 非配偶者間の体外受精は、長野県の根津八紘医師が卵子、精子の提供を合わせて「百数十人の子どもを誕生させた」と公表している。今回、JISARTも実施したことで、既成事実化がさらに進み、改めて法制化の必要性が議論されそうだ。


胚の呼吸量に着目、体外受精の妊娠率を2倍に向上
読売2008年12月20日14時35分

 精子と卵子を体外で受精させる不妊治療(体外受精)で、受精卵(胚(はい))の呼吸量を測り、呼吸が安定しているものを子宮に戻すことで、妊娠率を大幅に向上させ、流産も減らせることが、セント・ルカ産婦人科(大分市)と山形大大学院理工学研究科などの共同研究でわかった。

 体外受精では複数の胚を培養し、顕微鏡で細胞の形などから良好な胚を選び、子宮に戻す。しかし選別を見た目に頼っているため確実性に欠け、妊娠率は20〜30%にとどまる。出産に至るまでには、数回の体外受精が必要になることも多く、患者の負担は大きい。

 同産婦人科の宇津宮隆史院長は、胚が呼吸することで、酸素を消費することに着目。東北大と山形大が開発した、培養液中の酸素濃度のわずかな変化を測定する技術を用い、ヒトの胚の呼吸量を測定した。

 見た目が良好な胚が複数ある患者で、顕微鏡観察だけで胚を選んだグループ21人と、呼吸量評価を加えたグループ20人の2年間の成績を比べた。従来法では妊娠率38%だったのに対し、呼吸量が安定した胚を戻したグループは60%と高く、流産率は従来法が25%に対し8%と低かった。先月の米生殖医学会で発表した。

 多胎妊娠による母体の危険を減らすため、日本産科婦人科学会は今年示した指針で、子宮に戻す個数を原則一つに制限。良好な胚を客観的に選別する技術開発が求められている。宇津宮院長は「見た目は良好な胚でも、呼吸量には大きな差がある。さらに多施設での研究を進めたい」と話す。


夫婦以外の精子・卵子使った体外受精容認へ…生殖医学会方針
読売12月13日14時47分配信

 不妊治療を行う医師らでつくる日本生殖医学会(岡村均理事長)は、夫婦以外の第三者から提供された精子・卵子を使った非配偶者間の体外受精を認める方針を決めた。

 兄弟姉妹や友人からの精子・卵子提供も認める。学会の倫理委員会は来年3月までに実施条件を定めた指針を策定する。

 非配偶者間の体外受精は、厚生労働省の生殖補助医療部会が2003年、「匿名の第三者」に限り精子・卵子提供を認める報告書をまとめたが、その後の法制化は進んでいない。学会による初の指針が策定された場合、国の規制がないまま、非配偶者間の体外受精の実施が医療現場で一気に進む可能性も出てきた。

 倫理委員会は昨年3月から、9回にわたりこの問題を検討。自分の精子や卵子を使って子どもを得ることができない夫婦を対象に、精子・卵子の提供を受けることを認めることで合意。「匿名の第三者」だけでは精子や卵子の提供が得られにくいため、提供者の範囲を兄弟姉妹や友人にも広げることにした。


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