モドル

■一分間劇場 ドラゴンクエスト4  サントハイムの人々編

国王
「赤字だな、今年も。」
ブライ
「はぁ。」
国王
「今年は豊作だったし、災害もない平穏な一年だったはずだが。」
ブライ
「その通りです、陛下。」
国王
「なのに、サントハイムの国庫にはどうしてお金がないのだろう?」
ブライ
「…大変申し上げにくいのですが、姫様が一日一回の割合で壁を破壊しておられまして…。」
国王
「な、なんと!」
ブライ
「その修繕費が…50万ゴールドを超えております。」
国王
「ご、50万ゴールドだと!?」
ブライ
「はぁ。だいたい、一回の破壊で平均2000ゴールドの修繕費がかかっておる計算ですな。」
国王
「サントハイムの一年の支出の1/2ではないか!」
ブライ
「おかげでサントハイムの街では、”姫様が脱走すれば、左官屋が儲かる”という言葉まで流行る始末…嘆かわしいことです…。」
国王
「う…いや、国民に還元されているというのなら、それはそれで…しかし…。」
ブライ
「で、国庫は空っぽですが…このままでは兵士の給料も払えなくなるかもしれませんなあ。」
国王
「冷静にいわんでくれ、ブライ。」


クリフト
「姫様〜〜、もうやめましょうよ〜。」
アリーナ
「何を言うの、クリフト。ここをやぶらねば私は城の外に出られないのよ!」
クリフト
「壁を蹴り破って外に出なくても、もう陛下とて姫様が外出されるのを禁止しておいでではないのですから、普通に城門からでられればよろしいではないですか。」
アリーナ
「ふ…甘いわね、クリフト。私も武道家の端くれ。目の前に立ちふさがる壁を蹴破らなければ、面目が立たないわ!」
クリフト
「…壁を蹴破って保たれる面目なんて、意味があるんですか…。」
 アリーナの拳が、いきなりクリフトの腹に叩き込まれる。たまらず、体を折るクリフト。
クリフト
「ぐふっ!」
アリーナ
「よく聞こえなかったわ、もう一回言ってくださるかしら?」
クリフト
「な、なんでもありません…」
アリーナ
「それじゃあ、行くわよ、クリフト!」
クリフト
「え?わ、私も行くんですか?!」
アリーナ
「当たり前でしょう?お城の外は姫である私には危険な場所。そんな場所に、あなたは私を一人で行かせるつもりなの?」
クリフト
「…姫様に手を出すような命知らずな輩は、この国にはいないと思いますが…。」
 アリーナは黙って、指の骨を鳴らしてみせる。
アリーナ
「何かおっしゃって?」
クリフト
「い、いえ!なんでもございません!」
アリーナ
「よろしい、それじゃあ、行くわよ!クリフト!」
クリフト
「ああ、姫様、どうかお手柔らかに…。」

 アリーナの必殺蹴りが、修理されたばかりの壁を完璧なまでに破壊する!!


兵士
「王様に申し上げます!!」
国王
「どうしたか?!」
兵士
「は…先ほど姫様がお部屋の壁を蹴破られて…お城の外に出られたと警備兵より連絡がありました!」
国王
「なんだと!?私は姫に外出禁止を指示した覚えはないぞ!普通に城門からでればよいではないか?!」
兵士
「は…はぁ。」
ブライ
「…どうやら、癖になっておられるようですなぁ。」
国王
「れ、冷静にいわんでくれ…ブライ…。」
モドル