■手。 「手。」 ぽつんとあたしが落とした言葉に、奴の手の動きが止まった。 「手?」 ぽかんとしている顔は、さっきと違ってすごくお間抜けで、 「手、大きいね。」 「そうか?今まで考えたことがなかったな。」 あたしが両手で包み込もうとしたって、どうやったってはみ出してしまう。大きな手だ。父親の手に似てる、と言いかけて、やめた。 「大きな手って好きだよ。」 そういうと、奴はまたまた間抜けな顔になった。いつもいつも真面目な顔しか見られないし、こんな表情が見られるなら、驚かす言葉、もっといっぱい捜してみようか。こんな時でしか、あたしは奴よりも優位にたてないんだもの。 あたしは奴が思ってるみたいな、お子様じゃないのよ、ってところ、見せ付けてやるのだ。 そう考えることは、かなりあたしを楽しい気分にさせてくれた。ベッドの中できゅーっと丸くなって、あたしはくすくすと笑い出す。 「おい・・・。」 わかんないでしょ?わかんないよね、あたしの気持ち。 抱きしめられても、キスされても、あたしの笑いは止まらない。 「ね、も一回しよ?」 あたしが奴の肩に手を回す。そうすると、憮然としながらもあたしの体に触れてくる。あたしはこみ上げてくる笑いを必死で殺しながら、奴にもう一回キスをして、そして。 「手が大きいから僕のことが好き、っていうんじゃないだろうな。」 その後の奴のこのセリフは、更なるあたしの大笑いを誘って。とーってもプライドを傷つけられた奴に機嫌を直してもらうために、あたしがかなり苦労することになるのは、またまた後の話だったりする。 |
(2002/3/29)
※私はリューネが好きなんです。んで、EXの二人の会話が好きなので、SRWのノーマルカップルの中では、ダントツにこの二人が好きです。マサキより彼にしない?…とマジでリューネに勧めたいです。