■一分間劇場〜シードとクラウス シード 「く〜ら〜うす!」 クラウス 「?どうしたんですか、シード?」 シード 「金貸してくれ。」 クラウス 「……女遊びもほどほどにしないと、終いには病気をうつされますよ。」 シード 「今回は女じゃねぇよ。」 クラウス 「じゃあ、賭け事?」 シード 「そっ。みてな、クラウス。今日は負ける気がしねえんだ、勝ったらなんか奢るからよ。貸してくれ。」 クラウス、呆れ顔で、それでも懐から財布を取り出して、紙幣を何枚かシードに渡した。 シード 「さんきゅ。」 ばたばたと立ち去るシードを見送るクラウス。 ――後日 クラウス 「どうでした?」 シード 「聞くなよ、馬鹿。」 クラウス 「……賭け事にはまってるのがばれると、ソロン・G殿に怒られますよ。」 シード 「お前がいわなきゃばれねえだろーが。」 クラウス 「シードさえその気になれば、賭け事よりももっと確実にお金を稼ぐ方法なんていくらでもあるんじゃないですか。」 シード 「うるせー。大体、俺はちまちま小金を稼ぐよりも一発当ててーの。」 クラウス 「ま、ほどほどにしてください。」 シード 「ちぇっ、判ってるよ。」 ふてくされて立ち去るシードを見送るクラウス。 一人残されたクラウスの視界に、柱の影に佇む怪しげな黒服が映る。平然とその男に近づいたクラウスは、黙って手を差し出した。男が厚みのある封筒をクラウスに手渡す。中身は札束のようだ。 男 「賭場の今日の上がりの1割だ。」 クラウス 「確かに。」 ふいとその場を立ち去る男の背中を見送りながら、嫣然と微笑むクラウス。禁じられている私設の賭場、それを黙認し、多少の便宜をはかってやる対価がこれだった。 クラウス 「……こっちのほうが確実にお金が儲かるんですけどねえ……」 |
(2002/04/08)