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■一分間劇場〜シードとクラウス3
シード

「新年だし、なんか、暇だよな。クラウスもそう思わないか?」

クラウス

「のっけからそれですか、シード。もう少しピシッとしていただかないと、下のものに示しがつかないですよ。」

シード

「ピシッとっていったって……やることもないのに、ピシッとできる訳がないだろうが。」

クラウス

「そうですよね……。でも、三が日があけるまでは基本的に仕事はしないというのがハイランドのお約束ですから。そういえば、クルガン殿はどうなさったんです?」

シード

「家族サービスだよ。ちっ、あいつ相棒の俺をあっさり置いていきやがった。俺、まだあいつの嫁さんと顔をあわせたこともないんだぜ。水くさいとおもわねぇか?俺にあわせたら減りそうな気がするとか何とか、適当なこといいやがって。」

クラウス

(”シードに会わせたら減りそう”てのは判るような気が……。)

シード

「ったく、なんか腹立ってきた。クラウス、ちょっとつきあえよ。」

クラウス

「ととっ、シード!急に引っ張るのはやめて下さいよ、一体どこに行くつもりなんです!?」

シード

「大人の遊び場!クラウスもそろそろ大人の仲間入りだしな、俺がお前に色々教えてやるよ。」

クラウス

「!それって、自分が遊びたいだけでしょう?」

シード

「まあ、堅いこというなよ。キバ将軍には内緒にしとくから。ほら、行くぞ!クラウス。」

クラウス

「大人の遊び場って……。」

シード

「うん、カジノだ。酒場にしようかなと思ったけど、それは前につれてったろ?とにかく、みろよ、クラウス。この景気のいい雰囲気!俺、今日は勝てそうな気がするんだよな。クラウスもやってみたらどうだ?ほら、ポーカーでもルーレットでもスロットでもなんでもあるぜ。あ、いっとくけど王国公認だから、違法じゃないからな。」

クラウス

「新年早々、なんでこんなに流行ってるんですか……。」

シード

「そりゃあ、みんな暇だからなあ。軍もお店も基本的に三が日はお休みだろ。みんなすることがないんだろうさ。」

クラウス

「カジノや酒場はウハウハってことですね。」

シード

「?ああ、まあ、そうだろうな。」

クラウス

「シード、帰りましょう。今日は勝てる確率が低いですよ。」

シード

「なんでだよ、きたばっかりじゃないか。それに勝てるか勝てないかは俺の運次第…。」

クラウス

「今日みたいに何もしなくても客が来る日に、お店がそうそう勝たしてくれるわけがないでしょう?あっちだって商売なんだから。」

シード

「だーいじょうぶだって!ったくお前は心配性だなあ。俺は今日はついているんだ。絶対に勝てる。じゃな、クラウス、ちょっと勝ってくるから、少しここで待っててくれ!」

クラウス

「あ。あ、あ!ちょっと!シード!やめたほうが……!……あー、もう。人の話全然聞いてませんね。やっぱり自分が遊びたかっただけじゃないですか……こんなところに私一人おいていくなんて、何考えてんだか。」


一時間経過


クラウス

「で、どうでしたか?」

シード

「おまえ性格悪いなあ。俺の顔を見れば勝ったか負けたかくらいわかるだろ。畜生、俺のボーナスが……。」

クラウス

「…………みたところ、負けてるのはシードだけだけではなさそうですね……。」

シード

「あーあ、しょうがない。次の給料まで我慢するか。」

クラウス

(……なるほど、兵士に多少高い給料を払っても、大抵こういう場所を経由して王家に還元されるわけか、上手いシステムですね。)

シード

「ん?クラウス、なんかいったか?」

クラウス

「…………いいえ、何も。」


(2006/05/05)


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