アーサー
「菊が文化祭の演劇に出演してくれたら、漫画同好会の予算を三倍にしてやろう!!」
菊
「!!本当ですか!!?部員数三人、漫画甲子園毎回予選落ちのわが同好会に!!」
ルートヴィッヒ
「本田……そんなことは言ってはいかん…。」
アーサー
「タイトルはスリーピング・ビューティ。菊はオーロラ姫の役で、王子は俺だっ!!」
菊
「!!!!!」
フェリシアーノ
「うわーい、いいねー、菊はきっと女装も似合うと思うなー、俺も出演させてよー」
菊
「ちょ、ちょっと!!いやですよ、そんな条件!なんで私が女装しないといけないんですか!!」
フェリシアーノ
「いいじゃん、ちょっとくらい。部費三倍だよー?」
菊
「フェリシアーノさんが女装すればいいじゃないですか!だいたい、眠り姫ってあれでしょ?お姫様をキスで起こす王子様!なんですよ」
フェリシアーノ
「別に構わないんじゃない?ファーストキスでもないんでしょ、何事も経験だよー。」
菊
「!!!」
ルートヴィッヒ
「馬鹿者!本田はお前のように節操もなくあいさつ代わりにキスなどせん!!」
フェリシアーノ
「!ひどいよー、まるで俺が誰構わずキスしてるみたいじゃないか。」
ルートヴィッヒ
「お前はいい加減自覚しろ!もっと真っ当な学園生活を送るために日々努力を怠るべからずだ!」
アーサー
「おまえら、いい加減無駄話はやめろ!菊!さあ、どうなんだ!」
菊
「なんで、そんなに強気なんですか?…まさか、アーサーさん、酔っていらっしゃる!?」
アーサー
「んなっ!んなわけねぇだろう!」
菊
「じゃあ、どうしてそうも強引なんです!?いつもはもっと真面目な方ではありませんか・・・」
アーサー
「おっ、俺は生徒会長だからな!文化祭の成功のためには色々と手を尽くさなけりゃならねぇんだよ!」
フェリシアーノ
「アーサーが真面目とかってありえなくない?いっつもこんなんだよね〜?ルート?」
ルートヴィッヒ
「う、うむ。本田は体が弱くて学校行事に参加できないことが多かったからな・・・あまり生徒会長のおうぼ・・・もとい職務遂行の様子をみていないんだろう。誤解してもしかたあるまい。」
菊
「私が女装して何で文化祭の成功なんですかっ!?もっと理論的に説明して下さい!」
アーサー
「…お前の女装見たさに、俺が頑張るからに決まってるじゃないか。」
菊
「は?」
アーサー
「な、だから俺のために演劇のヒロインを引き受けてくれ。」
じりじり。真顔で菊に迫るアーサー。
菊
「きょっ、今日から文化祭終了まで、登校拒否し(引きこもり)ますっっっ!!!」
王耀
「菊ー、ちゃんと学校に行かないと駄目あるよ。文化祭前なのに、何やってるあるか?ほんとに協調性がないあるねー。」
菊
「いやです。だって、文化祭に出たらアーサーさんに何されるか…。大体、なんで私が女装でファーストキスの相手がアーサーさんなんですか…ぶつぶつ…」
王耀
「!?アヘンがまた何か言ってきたあるか!?大体なんであんなのが生徒会長やってるあるか、人選ミスもはなはだしいある。次の選挙では絶対にあいつの足を引っ張って…」
菊
「とにかく!誰が迎えにこようが、絶対に文化祭が終わるまでは登校拒否です。」
王耀
「駄目あるよ!!お前、また留年する気あるか?馬鹿なことをいってないで、学校に行くある。」
菊
「いやです!!初キスくらい好きな人とさせて下さい〜〜!」
王耀
「キスなら、昔我としたことあるから、初めてではないある。だから気にしなくていいあるよ。」
菊
「そーゆー問題ではありません!!」
イワン
「菊君、いい加減、学校に出てきてくれないかな。僕、別に君のことなんて心配でもなんでもないけど、君が登校してこないと、文化祭したくないって言ってる人がいるから。」
菊
「……」
(細目にあけた引き戸の隙間から、イワンの様子をうかがっている。)
イワン
「僕は待ってないけど、他の人が待ってるみたいだよ。」
菊
「………」
(おびえた目つきで引き戸を閉めようとしたが、イワンが足先を挟んでいたので閉まらなかった。)
イワン
「明日から学校に来てくれるよね?」
菊
「………」
(引き戸の前から逃げ出そうとしている。)
イワン
「……………………コルコルコルコルコルコルコルコルコルコル………」
アルフレッド
「菊ーー、菊ーーー!!きーーーーくーーー!!」
菊
「!!ちょ、ちょ、ちょっとアルフレッドさん、朝っぱらから何を考えてるんですか!?いい加減近所迷惑なことやめてください!!」
アルフレッド
「あ、でてきた。さぁ、一緒に学校へ行くんだぞ!」
菊
「嫌です!文化祭が終わるまでは鎖国(ひきこもり)します!」
アルフレッド
「君が来ないとアーサーのやつあたりで、学校が暴力事件だらけで大変なんだよ。」
菊
「………だからって、なんでアルフレッドさんが私の家に来るんです?」
アルフレッド
「え?学園のトラブルは俺が解決するのが当たり前だろ?だって、俺はヒーローだからね。」
菊
「あー、はいはい、わかりました。」
アルフレッド
「じゃあ、学校に行こう!」
菊
「わかりましたから、帰ってください。」
(ピシャ。アルフレッドの前で扉を閉める。)
フェリシアーノ
「菊ーー、菊ーー、ごめんよー、俺が悪かったよーー、一緒に学校へ行こうよーー。ヴェー(TT)」
ルートヴィッヒ
「本田、俺だ。あの時はお前の気持ちも考えず、本当に悪かったと思っている。いくら部費のためとはいえ、あのような申し出に一時でも心を動かされるとは…。」
バッシュ
「菊、出てくるのである。生徒会長がお前に無礼な申し出をしたことは、吾輩も聞いたのである。お前のことは責任を持って吾輩が守ってやるのであるからして、案ずることはないのである。」
サディク
「菊さん、出てきて下せぇ。あんたがいねぇと、俺は学校にいても何一つ楽しみがないんですぜ。文化祭の劇は俺が何としても阻止しますから…。」
ヘラクレス
「サディク、うるさい。菊…学校、行こう。サディクは俺が始末…する。」
サディク
「!!なんだと!!始末するならあのエロ生徒会長からだろうがっ!!」
ヘラクレス
「そいつも、始末…する。においうつる…から、サディクもついでに…」
サディク
「どうしても俺に喧嘩を売りたいようだな、てめぇ…」
グプタ
「菊、この壺を買うといい。きっと大丈夫だ」
サディク
「じっさま…脈絡なく適当なこというなよ…」
フランシス
「アーサーと共演するのがそんなにいやなら、おにーさんと一緒に出ないかい?」
アーサー
「何言ってんだ!馬鹿!あー、…菊、そんなにいやだとは知らなかったんだ…一言いってくれれば…」
フェリクス
「女装で劇に出てくれって言われたら、ふつー嫌がるしー。」
トーリス
「フェリ!余計なこと言わないほうがいいよ…いくら本当のことでも…」
ヨンス
「女装の起源は俺なんだぜ〜〜〜!」
王耀
「お前はいい加減そのネタやめるある!!!」
菊
(………………ど、どうしよう。どうしようどうしようどうしよう。)
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