■間桐館の三人組 その参
かりや
「ひい、ふう、み、よ・・・。」
ばーさーかー
「おや、カリヤ。何をなさってるんですか?」
かりや
「ん、いや。こないだの稿料が幾ら残ってるか数えてるんだけど・・・。」
ばーさーかー
「ほう。実家住まいにもかかわらず、家にお金を納めてもいない現状に耐えかねて、ついにお金を入れる気になったのですか?よいことです。」
かりや
「ちげーよ。大体、ここで俺の肩身が狭いのはお前が居候の分際で馬鹿食いするからだろ。騎士様ならもう少しマスターの立場を考えて行動してほしいんですけど?」
ばーさーかー
「それはそれは申し訳ありません。本来サーヴァントはマスターからの魔力供給だけで十分現界可能で、余分のエネルギーを摂取する必要などないはずなのですが、いかんせんカリヤからの魔力が十分とはいえませんもので。まあ、必要魔力が莫大なのは、ばーさーかーのクラスの宿命。これをカリヤにすべて賄えというのはあまりにも酷な話。ええ、ええ、私もそんな100%無理な欲求などいたしませんよ。足りない魔力分は今まで食事で補わせていただいておりましたが、これからはさくらにご協力をいただいて・・・。」
かりや
「わかった!今まで通り食べていいから!」
ばーさーかー
「お許しいただき、ありがとうございます、カリヤ。ところで、先ほどの話の続きですが、食費でないとすると先ほどのお金は何のために?」
かりや
「うーーん、さくらちゃんにさ、洋服でもプレゼントしたいなあと思ったんだけど。ほら、こないだは、さくらちゃんの誕生日だったろ。」
ばーさーかー
「さくらの誕生日は一か月前に終わったかと思いますが。」
かりや
「いいんだよ!こういうのはハートが大事なんだ。」
ばーさーかー
「はあ。で、予算はいくらなのですか?」
かりや
「三千円くらい。」
ばーさーかー
「ユニ●ロかし●むらレベルですね。」
かりや
「うぐぐ、なんで子供服が俺のパーカーよりも高いんだよ。畜生!」
ばーさーかー
「昨今の親は、子供に金を惜しみませんからねえ。」
かりや
「間桐の家に来てから、さくらちゃんは着古しの服のままとか・・・俺、葵さんに顔向けできないじゃないか・・・。なあ、おまえ、お金持ってないよな・・・もし持ってたら、少し貸してくれないか?来月の原稿料が入ったらすぐに返すからさ。」
ばーさーかー
「サーヴァントに金をせびるなどと、マスターとしてどうかと思います。」
かりや
「!せびってないだろ!貸してくれ、って言ってるんだよ。なあ、持ってないか?」
ばーさーかー
「私などは戦闘以外役に立たない、無駄飯食いのバーサーカーの身ですから・・・本来の私も騎士としての誉は円卓の騎士の名に恥じませんが、こと商才でとなりますと余りお役には立てないように思われます。私は戦場でしか生きられない人間なのです、カリヤ。申し訳ありません。」
かりや
「やっぱそうだよなあ、サーヴァントがアルバイトなんてしてるわけないよな。こうなったら、いっそ手作りで・・・。」 ばーさーかー
――手作り!!??半身不随で子供服に挑戦なんて、無計画どころの話では・・・。さくらの平穏のためにもなんとか諦めてもらわねば・・・。アルバイト・・・アルバイト?
ばーさーかー
「・・・ふむ。アルバイト・・・ですか。ああ、そういえば、少し前に少々年配の御婦人から、御礼をするから一晩お付き合いしてもらえないか、という依頼をされた覚えが。あの話がまだ有効なら、幾ばくかのお金を得ることができましょう。カリヤのお許しさえ頂ければ、今からでもその御婦人を訪ねてみようと思いますが。」
かりや
「え゛。それはどういうお付き合いなんだ??」
ばーさーかー
「さて、どうなのでしょう。ですが、御心配無用です、カリヤ。女性につくすことは騎士の務め、我が名に恥じぬよう行動するつもりですから。」
かりや
「いや、心配とかそういう問題じゃなくて。それってどうなんだ。」
ばーさーかー
「????」
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