モドル

■一分間劇場〜シーナとクラウス〜



 クラウス
「シーナ、いい加減に不特定多数の方々と関係を結ぶのはやめたらどうです?」
シーナ
「あぁ?いいじゃん、人の勝手だろ?」
クラウス
「風紀が乱れます。」
 形のよい眉をひそめて、クラウスは更に言葉を続けた。
クラウス
「それに、リーダー殿を悪い遊びに誘うのはやめて下さい。」
シーナ
「はいはい。ったく、おまえ最近なんか口うるさくなってない?」
クラウス
「好きでなってるわけじゃありませんよ。」
 最近とみにシーナのそういう行動があからさまになっていて。毎日毎日違う相手と寝ているとか、女性ばかりでなく男性とも関係があるとか。シーナのそんな風評を耳にするたびに、クラウスの眉間のしわは深くなるのだ。一体、シーナはどうしてしまったのだろう。以前は、まだ節度があったように思う。今のシーナはまるで手当たり次第、ではないか。
 目の前で飄々と笑っているシーナを見つめていたクラウスは、一歩彼に近づいた。シーナだけに声が届く距離になるように。
クラウス
「一体、どうしたんですか?」
シーナ
「何が?」
 シーナが一歩離れた。クラウスはそれを追う。
クラウス
「変です。最近のあなたは、何かあったとしか思えない。」
シーナ
「そーかな。俺はいつも通りだけど。」
 また、逃げる。だから、追いかける。
クラウス
「逃げないで下さい。」
シーナ
「逃げてねーよ。」
クラウス
「嘘つき。どうして、私が近づくと離れるんですか?」
シーナ
「そんなに近づかれたら、誰だって逃げるって。」
クラウス
「シーナ。」
シーナ
「くんなよ。あんまりおまえに傍にいて欲しくないし。」
クラウス
「!」
シーナ
「あ…。」
クラウス
「………。」
シーナ
「……。」
クラウス
「…す、すいません。私が…無神経でした。」
 知らなかった。嫌われているなんて思いも寄らなかったから。浮き草のようなシーナを放っておけない自分がとった行動は、彼にとって疎ましかったのだろうか。…友達だと思っていたのに。
シーナ
「………。」
クラウス
「……。」
シーナ
「………なあ、クラウス。」
クラウス
「……はい?」
 シーナがクラウスを見ている。
シーナ
「おまえ、俺のこと、好きか?」
クラウス
「え?……あ、はい…好きですよ?」
シーナ
「……おまえならそう言うと思ってた。…俺もおまえが好きだよ。だけど…。」
 言葉の続きを待っていたのに、それっきり、シーナは何もいってくれなかった。

(2002/09/16)


※表側からの移動です。シーナが別人です(涙)
モドル