樺細工について


▲ヤマザクラ類の樹皮を用いて作られる工芸品を樺細工(かばざいく)といいます。

独特の技法によってヤマザクラの樹皮特有の光沢を生かした、

渋くて奥深な色合いが、名実ともに伝統的工芸品として広く愛用されています。

▲ヤマザクラの樹皮を使うのにどうして「樺細工」というのでしょうか。

「樺」の字から白樺を連想される方がいらっしゃいますが、

使っている材料はヤマザクラ及びカスミザクラの種類の樹皮だけです。

どうして「カバ細工」と言うようになったのかはいろいろな説があり、

はっきりしたことはわかりませんが、

「カバ」とは、もともと、すべての木の樹皮を意味する言葉だったようです。

▲角館でも、むかしは「サクラカバ」と呼んでいたのが、

今ではカバといえば桜の樹皮をさすようになりました。

桜皮を使っていることをわかりやすく示すために

「桜皮細工」と書いて表示している場合もあります。

▲樺の語源は、古く万葉集の山部赤人の長歌にたどることができます。
ここではヤマザクラを「かには(迦仁波)」と表現しているが、
これが後に「かば(樺)」に転化したものと思われます。

▲またヤマザクラを樺とした使用例は、万葉集以後早くも平安中期、
紫式部が著した「源氏物語 幻」の一節に見られます。

「外の花は、一重散りて、八重桜咲く花盛り過ぎて、樺桜は開け、・・・。」

  この樺桜は白色単弁、開花時期から推察してカスミザクラと考えられるが、
いずれにしろこの時代山桜を樺と言い表していたと想像される史料のひとつであります。

▲以上のようなことを考え合わせると樺という字には山桜の意味が包含されており、
この皮を原材料にして作った工芸品が樺細工です。

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