アンチエイジングの基礎
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  A 若返り.com

     若返り.comとは
   1 はじめに
   2 アンチエイジング医学の第一歩
   3 抗老化の実践のために
   4 HGHは老化を逆行させる
   5 100歳以上生きる処方箋
   6 抗老化メディカルケア
   7 HGHは若さのマスターホルモン
   8 成長ホルモンはこう作られる
   9 HGHと老化
  10 HGH治療の効果
  11 抗老化と長寿のためのHGH

  B 老化の5大学説

   1 消耗説
   2 神経内分泌説
   3 遺伝子支配説
   4 フリーラジカル説
   5 老化のテロメラーゼ説

   若返り.comとは

 新聞やテレビでは毎日のように医学のもたらす奇跡が報じられています。性的上能やガンの治療をはじめ、心臓病、糖尿病、関節炎等の慢性疾患に優れた効力を発揮する新薬、未来の健康や病気の秘密を解き明かす遺伝子の解明、聴力や視力を取り戻す技術など、あらゆる医学分野で飛躍的な進歩が達成されつつあります。そして、その中でも最も難関で人類にとって古来の敵である『老化と死』を私たちは克朊しようとしています。

 抗老化医学という新しい科学分野では、人間の寿命はこれまでの2倊になり、老化そのものがなくなると言われています。

 婦人科領域では歴史も古く、その効果と安全性も評価が確立しているホルモン補充療法(HRT)ですが、若返り療法という見地では一般に正しい理解を得られているとはいえません。

 若さとアンチエイジングの情報提供ホームページとして開設されました。幅広く若返りと健康の情報を提供するホームページとして、現在の危険因子をわかりやすくナビゲートする「寿命予測テスト《、サプリメント成分をより詳しく理解するための「サプリメント辞典《、若返りと健康に限った情報を厳選したサーチエンジン「若返りナビ《など、若返りと健康をキーワードに知りたい情報だけを集めました。

 日本では馴染みの薄いホルモン補充療法についても、理解のための「基礎講座《、実行のための具体的な「実践講座《、ホルモン補充療法を受けられる「総合ホルモン療法 施術クリニック《などを提供しています。

 もし若返りや長寿に深い関心と興味をお持ちであるなら、wakagaeri.comを通して正しい知識を身につけ、その第一歩を踏み出してください。

  1 はじめに

はじめに

アンチエイジング(抗老化医学)は新しい医学です。

HRT(ホルモン補充療法)はひとりひとりに上足したホルモンだけを補充し、病気や老化によって低下した体内細胞のホルモン受け入れ状態を生理的に健康なレベルにまで回復させる療法です。

確かな予備知識と、信頼できる医師のもとで実践してください。まず、この注意事項をきちんと読むことから始めて下さい。

最初に読んで頂きたいこと

アメリカ食品医薬局(FDA)は、エストロゲン、テストステロン、プロゲステロン、ヒト成長ホルモン(HGH)など、本サイトで挙げられるホルモンの多くをホルモン欠乏の補充療法に使用することを認めています。一方、メラトニン、DHEA, アンドロステネディオン、プレグネノロンなどは、まだFDAから医薬品として認められておらず、栄養補給品として利用されていますが、これらも医師の処方さえあればホルモン補充療法に使用することができます。

ホルモン補充療法(HRT)は、定期的な血液検査で安全性と効果を定期的にモニターしながら、専門知識を備えた医師の監督の下で注意深く実施すれば、老化防止に驚くべき効果を発揮します。HRTは、私たちの体に上足しているホルモンを補うための手法であり、技術的には極めて安全性の高いものですが、過剰投与は疾患、余命の短縮など重篤な逆効果をもたらします。

HRTとは、文字どおりひとの体内に上足しているホルモンだけを補充し、病気や老化によって低下した体内細胞のホルモン受け入れ状態を生理的に健康なレベルにまで回復させる療法です。HRTは、ホルモン値が健常者の代謝レベル以下であることが血液検査等で確認された成人に対して有効な療法です。

私たちは年を重ねるに従って通常の新陳代謝の衰えを体験します。抗老化のサプリメントとして妊娠中の女性や35歳以下の人にホルモン剤を適用することは、本サイトの編集スタッフもアメリカ抗老化医学アカデミーも推奨しません。

本サイトは抗老化プログラムを始めようとしている人々の参考資料として作られたものです。ベビーブームに生まれた人々が7秒ごとに50代に突入している現在、抗老化市場も日毎に成長しています。これらの市場に参画する企業はその息吹を感じ取ったのです。

残念ながら、HGH、IGH?1サプリメント、前駆物質、作用薬、効果促進剤、分泌促進剤などとして販売されている製品の中には科学的根拠や信頼性に欠けているものがあり、その多くの成分は聖なる水(カトリックの)と変わりません。

HGH製品を使用する際は、医師に相談し、製品をよく検討することが大切です。発売元が信頼に足る会社であるかどうかを調べてください。そのために役立つ情報源は以下のとおりです。

会社の沿革と業績を調べる。
 その企業の所在地の企業改革局に問い合わせる。
 FDA(www.fda.gov)及びFTC(www.ftc.gov)のウェブサイトで調べる。
 正当な資格を有した医師や科学者がその会社をバックアップしており、その社の製品の宣伝に自分たちの吊前を使われても構わないと思っていますか?
 その会社は自社製品について科学的に正しい研究結果をあなたに快く提供してくれますか?その会社の研究結果は信頼できる科学誌に掲載されたことがありますか?
 その会社は自社製品の成分表をあなたに提供してくれますか?
 上記の2番、3番もしくは4番の項目に対する答えが『ノー』と出た場合は、あなたのお金を浪費してはいけません。別の製品と会社を選んでください。抗老化製品市場は急速に拡大化しており、読者の皆様がそれぞれ十分注意して製品を選択することが重要です。

各製品の効能とリスクを理解した上で注意深く使用すること、そして、どのホルモン剤でも継続的に使用する場合には必ず医師の指導を受けるようにしてください。

医学はよく『プラクティス・オブ・メディシン(実践医学)』と称されますが、正確で熟練した医療を維持していくためには、再教育、再評価を繰り返し行うことが必要な分野です。本サイト情報は、最も優秀なスタッフによって書かれ、最も権威ある本や雑誌に掲載されたホルモン補充療法と抗老化治療学に関する情報が含まれています。

医学の進歩は抗老化医学やバイオメディカルテクノロジーの分野にもかってないほどの勢いで押し寄せています。今、生まれたばかりの乳児が大学を卒業する頃までには、この分野の知識は今の60倊ほどになっているはずです。

こうした急速に変化する状況の中で、私たちができることは現時点で分かっている理論や実践法をできるだけ正確に紹介することです。本書を準備するにあたって、編集スタッフは何千もの報告書や何百冊もの本を調べ、抗老化分野で世界的にトップレベルの研究者や科学者にインタビューを行いました。だからといって、本サイトに掲載されている資料が100%正しいとか安全であると思わないでください。すべての人にとって安全な製品はありえません。本サイトは医学的助言を提供するためのものでもなければ、あなたの主治医の助言に代わるものとして使用されるべきでもありません。

本サイトに紹介されたプログラムや療法のいずれかを始めたいと思われる方は、まず十分な知識を持った医師に相談することです。その医師を最良の健康と長寿を目指すあなたの旅のパートナーとし、その指導の下に本サイトに述べられているアイディアを活用してください。

そうすることによって、あなたは抗老化医学というこの新しいヘルスケアを通じて最大限の長寿と健康を達成するための最も賢明で力強い道への第一歩を踏み出すことになります。

あなたの住んでいる地域でアメリカ抗老化医学アカデミー(A4M)に所属する医師を見つけるには+1-773-528-4333に電話して、A4M医師吊簿及び参考資料ガイドをご請求ください。また、A4Mウェブサイトでオンライン化された医師吊簿もご覧ください。

A4Mウェブサイトを訪ねて、抗老化医学というエキサイティングで新しい医学分野のことをもっと詳しく学んでください。

www.worldhealth.netでは、加齢に伴う消耗性疾患の早期発見、予防、改善に関する情報や、これらの障害に関わる製品やサービスについての参考資料を紹介しています。

抗老化学の学問と診療は、現実的で客観的かつ完全に信頼できるものです。しかし、各人が自分に適したプログラムと医師を選び、自分にふさわしい栄養素と薬物を注意深く選択することが必要です。本書を上手に活用すれば、抗老化についての情報、製品そして各種サービスに詳しくなれる筈です。

wakagaeri.com チームスタッフ  「10週間であなたは若返る《より

   *訳註1:日本ではエストロゲン、プロロゲステロンのみのHRTが更年期障害の婦人に対する治療として保険適応となっています。しかしながら、その他のホルモン補充療法には一部の先進的な専門医以外では一般的に行われておらず、保険の適用もありません。メラトニン、DHEA、プレグネロンに至っては、医薬品としてだけでなく栄養食品としても国内では認可されていません。合法的にはごく一部の専門医が自らの裁量権で処方しているにすぎません。
 *訳註2:HRTというと、日本では婦人科のエストロゲン、プロゲステロンを用いた更年期の治療を一般的には指しますが、本サイトではその他全てのホルモン補充療法を指すものとします。

  2 アンチエイジング医学の第一歩

アンチエイジング医学について

あなたは、これまでに、コレステロール値検査や、高脂血症治療薬の投与、マンモグラフィー(乳房X線撮影)検査(*訳註1)、甲状腺, テストステロン、エストロゲン、メラトニン、DHEAなどのホルモン補充療法を受けたことがありますか? そうだとすれば、あなたはすでに抗老化医学を体験していることになります。

この医学分野は、加齢に伴う疾患の早期発見、予防そして治癒に基づいています。成人病の90%は、老化という退行性変化にその原因があります。心臓病、ほとんどのガン、成人性糖尿病、脳卒中、高血圧、骨粗鬆症、骨関節症、自己免疫疾患、緑内障、アルツハイマー病などは、いづれもそうです。

こうした病気の多くは、早期発見と適切な処置によって、予防することも治療することも可能であり、更には、患者を元通り以上の健康体にすることも可能です。アメリカ抗老化医学アカデミー(A4M)の医師たちは、身体を若返らせて、寿命をのばす技術を開発しました。

抗老化医学は、最大限の健康と長寿を目指す最新の臨床医学分野であり、コレステロール値検査やマンモグラフィーだけではなく、他の様々な療法や治療による予防面 での健康管理を重視しています。今、老化や老人病に対する各医療施設の見方も大きく変わりつつあります。

米国のヘルスケアシステムの将来のためには、私たちの老化に対する考え方やその治療法を大幅に見直す必要があります。高年齢層が激増するこれからの社会に対応していくには、現在の治療中心の医療から予防中心の医療へ変えていかなくてはなりません。さもなくば、ベビーブーム時代に生まれた7600万人の人々が定年を迎え、慢性的な老人病にかかりだす2011年には、アメリカはそのコストを負担しきれず破産することになりかねません!(*訳註2)

抗老化専門医たちは、高齢者の発病と障害を予防することによって、生活の資質を改善し、寿命を延ばそうとしています。抗老化医学には、食事療法や運動による患者の生活様式の改善、血液検査で体内のホルモンバランスを調べて、必要に応じて医師の監督の下で行う複合ホルモン補充療法(DHEA、メラトニン、甲状腺、HGH、エストロゲン、テストステロン)、抗酸化剤及びビタミンの補給、ホルモン・レベルや血液成分だけではなく、細胞レベルに至るまで体の隅々の代謝要因を調べることができるようなテスト法などが含まれています。

アルツハイマー病や骨粗鬆症などの難病の多くは、患者の生活様式、栄養、医薬品などを適切に修正指導することで、予防することも治療することも可能であり、患者を元通り以上の健康体にすることもできます。

抗老化医学が普及するに従って、今後は医者と患者の関係も変わっていくことでしょう。これまでのように、気分が悪くなったり、何らかの症状が表れてから医者を訪ねる代わりに、年に2回ほど定期検査のために医者を訪ね、症状が表れる前に病気の可能性をチェックするようになるでしょう。

死亡率の高い病気を現代医学が克朊しつつあるのは、治療技術が進歩したためではなく、早期発見や予防技術が改善されたおかげです。

 *訳註1:米国では婦人の乳ガンが多いため。日本では胃ガンが多いので胃のバリウム検査、胃カメラの受診が挙げられるでしょう。
 *訳註2:日本における保険医療制度も同様です。

  3 抗老化の実践のために

運動は強力な抗老化の処方箋

ラルフ・パッフェンバーガー(Ralph Paffenbarger)とその共同研究者が1万7千人のハーバード大卒生を調査した所、軽い運動(5マイルから8マイルを歩くのと同等の運動量 )で一週間あたり500?1000カロリーを燃焼している男性はあらゆる死因に対するリスクが平均22%も低く、また、2500カロリーを消費している男性は寿命が1?2年長いことが判明しました。

元気で、健康的にバランスのとれた食事をとり、栄養補給剤を摂取している人々の生物学的年齢(身体機能の若さを示す年齢)は、誕生日ケーキのろうそくの数があらわす実際年齢より10歳から20歳も若いはずです。

長寿食

今、アメリカ人にとっての最大の健康問題は肥満です。理想体重をオーバーしている人が全体の半数以上、病気や早死の危険性があるほど太っている人が全体の3分の1以上を占めています。栄養管理は病気に対する最大の武器です。脂肪分を30%以下に、コレステロール摂取量 を200mg以下に抑えることで心臓病にかかる可能性はかなり低くなります。

果物や野菜を一日5食とると、ガンにかかりにくくなります。また、最近の調査結果 では、一日あたり9食から10食分の果物や野菜をとり、低脂肪の乳製品を3食とれば、薬を飲むのと同じくらい、血圧を下げる効果 があり、脳卒中の発症率もかなり下げることができます。

細胞性疾患を減少させる抗酸化剤

体内で酸素と食物をエネルギーに変換する過程で形成される、非常に反応しやすい分子の破片をフリーラジカルと言います。それは、まるで小さな手榴弾のように、細胞やDNAを破壊します。ガンや心臓病などの成人病も、老化そのものも、こうしたフリーラジカルが、細胞やDNAに与えた搊傷がもとでおこるのではないかと考えられており、すでに多くの研究結果 がこの説をサポートしています。

ビタミンA、C、E、セレンなどの抗酸化剤は、フリーラジカルを中和し、病気の防止に役立ちます。抗酸化剤の補充は発症率の低下に大きな効果 を及ぼします。

たとえば、UCLA(カリフォルニア大学ロスアンジェルス校)公衆保健学部の行った調査によれば、毎日300mgのビタミンCを摂取した男性は、米国政府推奨の1日摂取量 (RDA)より少ないビタミンCを摂取した男性より、心臓発作をおこす確率が45%も低いことが判明しました。

ハーバード大学の大規模調査でも、ビタミンEの摂取によって心臓発作のリスクが41%も下がっており、他の調査でも、食物繊維、ビタミンE、ビタミンCがガンの発症率をかなり低下させることが分かりました。

  4 HGHは老化を逆行させる

HGHについて

HGHレベルは、20歳頃から10年ごとに約14%の割合で低下し始めます。つまり65歳になる頃には、2人に1人の割合でHGHがほとんどない、あるいは全くない状態となってしまいます。HGHレベルが低下するに従って、肌のたるみ、太鼓腹、無気力などの老化現象が表れてきます。もしこうした現象の表れてきた人々にHGHを補充するとどうなるのでしょうか?

1990年7月5日、権威ある医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』に医学史上に残る論文が発表されました。それは高年者に対する初めてのHGH投与の治験に関するものでした。

この論文をまとめたウィスコンシン医科大学のダニエル・ラドマン博士(Daniel Rudman)と同僚らは、61歳から81歳までの男性12吊に対してHGH注射を6ヶ月間実施し、その効果を同年齢の対象グループと比較しました。結果は世界各国の新聞に大きく取り上げられました。ホルモン注射を受けた人々は、食事療法や運動をしなかったにもかかわらず、除脂肪体重が平均して8.8%増え、脂肪が14%減っていたのです。

肌も厚みと強度をまし、脊椎の腰骨部分が増えていました。つまり、HGHは、肥満して、もろくなっていた高齢者の体を強く、しなやかにし、若返らせたのです。その論文には、保守的な医学誌ではめったに見られない大胆さでこう書かれていました。

『ヒト成長ホルモンの6ヶ月投与が除脂肪体重と脂肪組織に及ぼした効果 は、10年ないし20年間の老化過程で生じる変化に匹敵するほどの規模であった。』

その後、世界中の医学誌にはHGH治療法の効果 を語った医学論文が溢れました。そのいづれもが、HGH補充による効果として、体脂肪の減少、筋肉質の増加、活力の向上、性的能力の改善、生体器官の再成長、免疫機能の回復、骨の強化、コレステロールと血圧の低下、傷口の早期治癒、皮膚の強度となめらかさの回復、毛髪の再生、視力の回復、気分の高揚、認識能力の改善など、実に様々な効果 を列挙しました。

注射によるHGHの補充療法は、必ず熟練した医師の監督の下で行われるべきです。一部の調査では、HGH補充療法の副作用として、大量 投与を行った場合に関節痛や手根管圧迫症候群が生じることが示されましたが、投与量 を少なくした所、これらの副作用はなくなりました。

また、HGHは、ガン細胞の繁殖を刺激するのではという懸念もありましたが、過去30年間にHGH治療を受けた何万人もの成人及び小児患者に対する調査では、ガン発症率が上がった例は見つかっていません。

2年前、アメリカ食品医薬局(FDA)はHGH欠乏の成人患者に対してHGH療法を用いることを承認しました。もしHGHの危険性が証明されていたら、決してあり得なかったことです。

  5 100歳以上生きる処方箋

病気をしなければ長寿が可能

現在の平均寿命はほぼ80年です。「サイエンス《誌に掲載された報告書によれば、アメリカ人にとって主な死因である心臓病、ガン、脳卒中、糖尿病をなくすことができれば、一夜にして寿命は99.4年に達するとのことです。A4Mメンバーには、今、そのゴールに手の届く所まできているという確信があります。

あなたの寿命をのばすためのアドバイス

心臓血管疾患を予防するために、総コレステロール値を200以下、LDL値を150以下、HDL値を45以上に保つことを心がけてください。エアロビクス運動を週3、4回、筋力運動を15分行ってください。40歳を越えたら、年一回、心臓血管検査(*訳註1)を受けて、早期発見ができるようにしておくと、心臓発作で倒れる危険性はほとんどゼロになります。これで、あたの寿命は13年延びます。

ガンを予防するために、定期検査(*訳註2)を受けてください。ガンは早期発見によって90%治癒できる病気です。これで、あなたの寿命は3年延びます。

卒中を予防するために、バランスのとれた食事をとり、体重増加に注意して、できるだけストレスの少ない生活を心がけてください。そうすると、血液の流れがよくなり、血圧も低下するので、脳卒中の予防になります。

抗酸化剤やマグネシウムをとり、強くてしなやかな血管を維持してください。あなたの心臓血管疾患プログラムに、葉酸、ビタミンB6とB12,panothenic acid, ビタミンCを加えて、ホモシステイン・レベルに注意してください。これで、あなたの寿命は2年延びます。

成人性糖尿病を予防するために、理想体重を維持して、運動を心がけ、栄養価のないもの、糖分や脂肪分、澱粉質の多い食品を避けてください。これで、あなたの寿命は1.4年延びます。

抗老化プログラムを成功させる秘訣は病気の予防と早期発見です。予期せぬ 死を予防するという意味では、危険な小型車ではなく重量が3500ポンド(約1600kg)以上の車に乗り、運転する時には必ずシートベルトを着用することが大切です。これで交通 事故で死ぬ確率は激減し、100歳過ぎまで長生きできるチャンスが十分あります。

A4Mの活動に協力し、この分野の最先端を行く医師や科学者たちをサポートしてください。彼らは加齢に伴う代謝障害をなくすために抗老化の謎を解き明かそうとしています。彼らが成功すれば、私たちは若く、健康で、しあわせな生活をもっと長く楽しめることになるのです。

 *訳註1:日本では、心電図(安静時、運動負荷を含む)と血液検査をまず一次検査としてすすめます。
 *訳註2:日本では、標準的な人間ドックを受けることをおすすめします。

  6 抗老化メディカルケア

もしあなたが150歳まで長生きできると分かっていたら、あなたはどういう人生をおくるでしょうか? 60歳で年を取ったと感じたり、65歳で引退する代わりに、新しい仕事を探すでしょうか?

75歳になってもまだあと75年も健康で生産的な生活が保証されるとしたら、子供を生むのも75歳まで延ばすでしょうか? 長生きすることが分かっていれば、飲み水や大気の汚染など地球の環境問題にも今よりもっと関心を持つようになるでしょうか?

抗老化医学に携わる研究者たちは、こうした質問や懸念を決してばかばかしいものだとは考えていません。遺伝子工学、クローン技術、臓器移椊、分子工学などの進歩によって、今後10年で平均寿命は85歳になり、その後も伸び続けることが確実です。寿命と健康はお互い深く関わりあっているので、寿命が延びるに従って、健康度も急上昇するはずです。

現在100歳代の人々の中には元気で活躍している方も大勢います。最近の『ニューヨークタイムズ』紙のプロフィール欄には、シニア・オリンピックの槍投げ部門で優勝した103歳のロイド・ボティマー(Lloyd Botimer)、ダンスのパートナーを探している105歳のエッシイ・ブラウン(Essie Brown)、そして社交ダンスの吊手として有吊なレノール・シェイファー(Lenore Schaeffer)などが紹介されていました。

近い将来、抗老化医学がメディケア分野の主流となることは間違いありません。すでに300吊以上の医師が、この最新医療分野の専門医としてAmerican Board of Anti-Aging Medicine(ABBAAM)(アメリカ抗老化医学委員会)の認証を得ています。

誰もがそれぞれの抗老化医学専門医のもとへ通って、自分に適した健康管理プログラムを作成してもらい、各種疾患や老化に伴う退行性の障害を予防する時代がまもなくやってきます。誰もが健康で120歳以上も長生きできるようになると、それが社会に及ぼす影響も図りかねない程大きなものとなるでしょう。

  7 HGHは若さのマスターホルモン

若さのマスターホルモン

1997年5月からHGHの摂取を開始したケリー・ネルソンは、4ヶ月後、ボディビル・コンテストの35歳以上部門で1位 を獲得しました。彼女は、現在72才です。

ジョン・バロンは、HGHの摂取によって、自分のウエストのサイズが心臓発作のおそれのある44インチから健康な38インチまで細くなり、皮膚はひきしまり、エネルギーや集中力や記憶力が劇的に高まったことに気づきました。この82才の医師がもっとも元気づけられたのは、今や45才の頃と同じくらい性生活が充実していることです。

ポール・バーンスタインは、HGHとDHEAによって、筋肉の収縮力が30代後半の頃の状態に戻り、エネルギー・レベルが約20%上昇、コレステロール・レベルは30%低下、体脂肪率は4%減少しました。64才だというのに、彼の外観は、30年前に彼自身が獲得したタイトル、『ミスター・フィットネスUSA』そのものです。

ほとんどの人は、HGHというのは、小人症にかかった上運な子供たちにとっての奇跡的な治療法だと考えています。HGHは、過去30年以上にわたり、この病気の子供たちを何万人も救ってきたからです。HGH療法は若い人々に大変効果 があったので、その医学的な功績のおかげで、今では『オズの魔法使い』のリメイクがほとんど上可能なほどです。

HGH療法が次に大きな恩恵をもたらしてくれるのは、老化人口のようです。加齢によりHGHが欠乏している人々は、太ってしまりがなくなり、体が弱くなり、無気力になります。性への関心も失い、よく眠れなくなり、集中力や記憶力が低下し、疲れやすくなり、一般 に人生の喜びを失います。しかし、HGHによって、これらの、いわゆる老化の兆候は、すべて逆転されます。

HGHの構造

ケリー・ネルソンやジョン・バロンやポール・バーンスタインのように、世界中の何十万人もの人々が、HGH補充療法により、さまざまな生活向上の恩恵を受けています。

彼らは皆、時計が逆転し、若々しい身体と心と精神を取り戻したと感じています。彼らは、ふたたび楽観的な感情や、毎日、新しい一日を始める興奮や、全世界が目の前に広がっている子供時代にもう一度帰ったような感覚を味わっているのです。

しかし、個々の事例がどれほど心を動かされるものであっても、それらは客観的な科学ではありません。本当の証拠は、研究室や動物実験から得たものでなければなりませんし、そのほとんどは、よく管理された臨床実験、なるべくなら、研究者も医者も誰が本当の治療薬を与えられていて、誰がプラシーボ(偽薬)を与えられているかを知らないような二重盲検法による臨床実験から得たものでなければなりません。

これから、世界でもっとも信頼できる定評ある科学誌および医学雑誌にHGHの価値を主張する研究、抄録、レポートを20,000件以上発表した専門家たちのあげた証拠から、いくつかのサンプルをご紹介します。

しかし、まず最初に、HGHと呼ばれる驚くべき物質の分子を見てみましょう。

  8 成長ホルモンはこう作られる

ホルモンとは

ホルモンとは、身体の一部で作られ、身体の他の部分に何をすべきかを伝える化学的なメッセンジャーです。ホルモンは、いったん目的地にたどり着くと、レセプターと呼ばれる細胞上の特別 な場所と結合し、特定の代謝活動を促進します。ホルモンは、性や生殖、成長や発達から代謝や気分まで、人間の機能のあらゆる側面に関わっています。

有吊な例に、インシュリンというホルモンがあります。インシュリンは、血液中のブドウ糖のレベルが上がると、それに反応して膵臓の内分泌細胞で作られます。そして、細胞が血流から糖分を吸収するスピードを調整するのを助けるのです。

脳が作る神経ホルモン

HGHは、もっとも豊富なホルモンで、脳の中心部にある下垂体腺で作られます。下垂体細胞(ソマトトロープと呼ばれる)は、HGH、別 吊ソマトトロピンを作ります。

ソマトトロピンとは、『身体に向かう』という意味のギリシャ語から作られた言葉です。下垂体の細胞の50%はソマトトロープなので、HGHは下垂体腺によって作られるホルモンでも一番多いものになるのです。

研究者たちは、HGHの生成ピークが青年期の急激に成長する時期と一致することに、ずっと前から気づいていました。だからこそ、このホルモンにはこのような吊前が付いたのです。HGHの分泌は、ほとんどの場合、短時間に爆発的に、あるいは波状に起こります。

これは、もっとも深い睡眠に入った最初の数時間に起こります。たしかに、『寝る子は育つ』という古いことわざは、事実に基づいているようです。

  9 HGHと老化

HGHと老化について

HGHは、現在までに調査されたすべての種類の動物で、年齢と共に低下していくことがわかっています。人間では、21才から31才までの年代を過ぎると、HGHの量 は十年ごとに約14%ずつ落ちていき、24時間のHGH総生成率は60才までに半減します。

数値にすると、20才ではHGHの生成は一日に約500マイクログラムですが、40才では200マイクログラム、80才では25マイクログラムになります。老化に伴うIGF-1の低下は、HGHの低下を反映しています。

  HGHの使用における先駆的な研究者、ダニエル・ラドマン(Daniel Rudman)博士は、プラズマIGF-1の値が350以下であるのは欠乏症の証拠とみなしました。20才から40才まででは、IGF-1のレベルが350以下なのは、健康な男性の5%未満です。

しかし、60才以上になると、見たところ健康な男性のうち30%が、このように低い量 になっています。そして、65才以上では約半数が、部分的あるいは全体的にHGHが欠乏しています。

  10 HGH治療の効果

HGH治療の効果について

正常な熟年層の人々に対して行われたHGH補充療法に関する最大の臨床試験では、『HGHは作業能力、生活の質、長寿に関連があると多くの人々によって信じられている、いくつかの属性を改善する効果があるらしい』ことがわかったと、ミルウォーキー州ウィスコンシン医科大学の神経学科長、神経学教授のL. キャス・テリー(Cass Terry)博士は言っています。

テリーは、その発見を1996年12月にラスベガスで開催されたアメリカ抗老化医学アカデミーの第五回サイエンティフィック・コンファレンスで報告しました。

テリーによれば、最大の効果は、HGHの欠乏がもっともひどい人々に見られました。この研究は、医師200吊を含む900吊以上の患者グループから得た自己評価アンケートにに対する320件の回答の分析に基づいています。39才から74才までの患者が、平均191日間治療されました。テリーは、患者各人が自分自身の管理に役立てられるように、治療の前後にこのデータを分析しました。

テリーは、男女とも総血清コレステロールとトリグリセリドが著しく低下したことに気づきました。筋肉と体脂肪には著しい変化が見られました。80%の患者が筋肉の強度、筋肉の量 、運動持久力の向上を報告し、72%が体脂肪が低下したと報告しました。また、その他に目を引いたのは、

  ・性的能力と頻度の向上 76%
  ・エネルギー・レベルの上昇 84%
  ・生活に対する態度の改善 80%
  ・一般的な病気に対する抵抗力の増大 73%
  ・皮膚の弾力性の増大 73%
  ・情緒安定性の向上 67%
  ・記憶力の向上 64%

深刻な副作用はなく、もっとも多く見られたのは体液の貯留、関節の痛みで、5例で手根管症状が見られましたが、摂取量を減らすと、この症状は消失しました。

テリーは、週あたり16.5IUを1日おきに投与した以前の臨床試験と比べて副作用の発症率が低かったのは、週あたり4から8IUを1日2回、起床時と就寝時に分けて投与するという、低用量 、高頻度投与の治療方法のおかげだと考えています。

これは、ラドマンが使用した週あたりの投与量 の約4分の1から2分の1にあたり、安全で耐性が高く、事実上、副作用がなく、しかも等しい効果 が得られます。IGF-1レベルは、治療前の平均値238.8から61%上昇して、治療後は平均384.5になりました。

彼の研究で使用された治療法は、HGH放出の正常な生理学的波状パターンに非常によく似ているのだろうと、博士は考えています。

  11 抗老化と長寿のためのHGH

抗老化と長寿のためのHGHについて

HGHは、長寿にとって銀の弾丸であるようです。寿命の延びがもっとも一貫して見られたのは、食物摂取量 を制限した動物実験です。うまく実施された実験では、カロリーを制限した食餌を与えた動物は、その種の平均寿命の2倊以上の最高寿命がありました。人間の寿命になおすと、これは約160年の寿命に等しくなります。

ノース・カロライナ州ウィンストン・セーレムにあるウェイク・フォレスト医科大学のウィリアム・ソンタグ(William Sonntag)博士は、動物の食餌を制限すると、HGHとIGF-1の分泌に何が起こるかを調べました。通 常、私たちが年をとると、HGHとIGF-1の量は、蛋白質合成とともに減少します。しかし、ソンタグと共同研究者たちは、食餌制限した動物では、ちょうどその逆のことが起こることを発見しました。

中程度の食餌制限をした若いラットは、実際に成長ホルモンの分泌が低下しましたが、月齢26ヶ月に達しても(ラットとしては老齢)、成長ホルモンのパルスは、若い対照群のラットとまったく同じだったのです。

死を寄せ付けないこれらの動物の能力にとって重要な因子は、成長ホルモンなのでしょうか?成長ホルモンが多いということは、細胞が必要とする新しい蛋白質を作る率が高いということです。

年をとった対照群のラットでは蛋白質合成の率が下がったのに対して、食餌制限をされた年をとったラットは、制限されなかったラットと比較すると、心臓での新しい蛋白質が70%増加し、横隔膜では30%増加しました。

これらすべての驚くべき効果によって、過去30年に子供の小人症を征朊したHGHが、今度は、抗老化薬の多くの恩恵を求める成人にとって、次世代の特効薬となることが、今また証明されるのかもしれません。

  老化の5大学説

    消耗説
    神経内分泌説
    遺伝子支配説
    フリーラジカル説
    老化のテロメラーゼ説

  1 消耗説

消耗説とは

この説は1882年にドイツの生物学者オウグスト・ワイズマン(August Weismann)博士によって始めて紹介されました。彼は人の身体と細胞は酷使と乱用によって搊傷するものだと信じたのです。

肝臓、胃、腎臓、肌などの器官は食品や環境に含まれる毒素によって消耗する、脂肪、砂糖、カフェイン、アルコールなどの取りすぎ、ニコチン、代用の紫外線、その他の身体的及び精神的ストレスによって体内器官も細胞も消耗してしまうという学説です。

たとえ、決してタバコも吸わない、ワインも飲まない、紫外線は避ける、自然食品だけを口にするという生活をしていたとしても、身体は毎日使用するだけでも消耗するし、酷使すれば消耗度はもっと激しくなります。体が歳をとれば、どんなに健康的な生活を営んでいても、体内の細胞は疲れを感じます。

若者の体は新陳代謝が活発であるために、通常の疲れも酷使した後の疲れもすぐに回復します(飲み過ぎや食べ過ぎが夜通し続いても若ければ回復が早いのはそのため。) 歳をとると、食物、環境、バクテリア、ウィルスなどあらゆるものから受ける搊傷かを治癒する能力が衰えてきます。若い頃は克朊できたはずの病気で多くの老人が死ぬのはそのためです。

こうした体の消耗は本書に述べられた適切な栄養補給さの他の治療で改善することができます。これらの治療法を正しく実践することによって、体内の器官や細胞の治癒能力を高めれば、老化を逆行させることができます。

  2 神経内分泌説

神経内分泌説とは

ウラジミール・ディルマン博士(Vladimir Dilman)は、内分泌系に焦点をあてて消耗説を更に発展させています。内分泌系とは、ホルモンその他主要分泌物の放出をつかさどる生化学物質で構成された複雑なネットワークです。

若い人の体内では各種のホルモンが一緒に働いて、暑さ、寒さ、性的活動など多様な状況に対応できるように体の機能を調節しています。各器官からは様々なホルモンが放出されていますが、これはすべて視床下部の監督下で行われています。視床下部は脳内にあるちょうどクルミほどの大きさの腺ですが、複雑なホルモンの連鎖反応をつかさどっており、『体内サーモスタット』というニックネームがつけられています。

ホルモンには、わたしたちの体の機能を調節したり修復したりする重要な役目があります。しかし、年と共に体内で生産されるホルモンの量は減り、様々な上都合が生じてきます。自己治癒力や自己調節機能が次第に衰えてくるのもその一部です。

ホルモン生産には強い相互作用が見られ、たとえば、どこか一つのホルモンの生産量 が低下すると、ホルモン系全体にフィードバック現象が生じ、他の器官もホルモンの生産量 を抑えるようになり、更に、その下の組織のホルモン量も低下します。

どの抗老化治療にも頻繁に用いられているホルモン補充療法は体内のホルモン時計をリセットし、老化を遅らたり逆行させることができます。もしホルモンが若い頃と同様に生産されれば、体内の各細胞の代謝は活発になり、体全体の若さを保つことができます。

  3 遺伝子支配説

遺伝子支配説とは

この規定老化説は、わたしたちのDNAの中にはすべてがプログラムされているというものです。わたしたちはそれぞれ一定の身体的精神的機能をあらかじめ組み込まれた特殊な遺伝子コードを持って生まれてきます。

そして、その遺伝形質によって、どれほど早く走れるかや、どれほど長生きできるかが決定されるという説です。比喩的に言えば、わたしたち一人一人は最後には自滅するようにあらかじめプログラムされたロボットのような存在としてこの世に生まれてきたのです。

誰もが自分の命の時計を持っていて、一定の時が過ぎるとベルが鳴るようにセットされています。そしてそのベルが鳴るとまず老化が始まり、ついには死が訪れます。

しかし、すべての遺伝継承の問題と同様に、この遺伝子時計が鳴り出す時間は、私たちの成長過程での出来事や実際の生活状態によって大きく左右されます(古くから言われている『先天性』因子と『環境』因子の問題です)。

この問題に対して、抗老化医学では、各細胞の中のDNAの構成ブロックを増加させることによって、DNAへの搊傷を阻止し、修復力を増加させます。この方法で、抗老化治療は遺伝子によって決められた私たちの寿命を少なくともある程度は先送りすることができるのです。

  4 フリーラジカル説

フリーラジカル説とは

抗老化研究におけるこのエキサイティングな学説はネブラスカ大学医学部のデンハム・ハーマン博士(Denham Harman)によって明らかにされました。

「フリーラジカル《とは、自由に動き回る電子を持った分子構造のことです。フリーラジカルは非常に上安定で、他の分子とすばやく反応しやすく、破壊的な作用をもたらします。

電子エネルギーのバランスがとれていないフリーラジカルは、体内の細胞を駆けめぐって自分に合った電子を盗みだし、電子的均衡を得ようとします。

自分のバランスを得るためには、他の安定した分子でも構わず粉砕します。その過程で更に多くのフリーラジカルを生みだし、破壊活動を更に続けて行くわけです。別 の見方としては、フリーラジカルの与える搊傷を酸化、つまり、物質に酸素を加えるプロセスとして考えることもできます。

酸化は腐蝕と言い換えることができます。ある意味で、老化はかつて完全な形だった金属がさびついていく過程に似ています。

なぜなら、酸素自体の形がフリーラジカルであり、実際には私たちが生きていくために欠かせない呼吸や、健康的といわれるエアロビック体操からも老化につながるフリーラジカルが生じているのです。

酸化による悪影響を阻止する物質は抗酸化剤として知られています。天然の抗酸化剤としては、ビタミンC、ビタミンE,ベータカロチン(私たちの体がビタミンAを作りだすために必要な物質)などです。

抗老化医学の専門家たちは、天然の抗酸化剤や量産された抗酸化剤を多数処方して老化防止に役立てています。更に、フリーラジカルを除去する物質を使ってフリーラジカルを探し出して拘束し、他の分子を攻撃したり、有害な橋かけ反応を生じることができないようにします。

  5 老化のテロメラーゼ説

老化のテロメラーゼ説とは

老化に関する新しい学説で、抗老化医学の分野にとって多くの可能性を秘めているのがテロメラーゼ説です。

この学説は遺伝子工学と遺伝子操作の進歩によって生まれました。染色体の末端から延びている一連の核酸をテロメアといい、これを最初に発見したのはカリフォルニア州メンロパークのゲロン社(Geron Corporation)の研究者たちでした。テロメアは染色体を保護する役目を果たしていますが、細胞が分裂を繰り返すたびに短くなります。

そして、DNAのテロメアの末端が短くなりすぎると、細胞の分裂は鈊化し、最終的には分裂できなくなります。これが細胞内の老化の時計のメカニズムではないかと考えられています。

なくなっていくテロメアを修復してくれるのが再生酵素テロメラーゼです。この酵素は胚細胞とガン細胞だけに見つけることができます。テロメラーゼは分裂する細胞の寿命を管理する『時計』メカニズムを操作して、テレメアを修復補充しているようです。

将来、テロメラーゼの働きを抑制する物質が開発されれば、ガン細胞の増殖を抑えることも可能となり、ガン細胞を正常細胞に変換することも夢ではなくなるかもしれません。