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【宝のお部屋へ】②

TPP・関税協定 他国との関税協定  




A TPP・関税協定


  【日本に係わる関税協定】

  TPP   環太平洋経済連携協定
  ASEAN  東南アジア諸国連合
  ASEAN+3 東南アジア諸国連合と日・中・韓
  ASEAN+6 東アジア包括的経済連携構想と日・中・韓・印・豪・NJ  CEPEA
  EPA   地域と経済連携協定
  FTA   自由貿易協定

  世界各国の関税率を調べるには
   http://www.jetro.go.jp/library/reference/tariff.html

  世界と日本のFTA一覧(2012年10月)
   http://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/reports/07001093

  東アジア包括的経済連携構想,ASEAN+6(印刷すると43頁となる)
   http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07001086/asean_rcep.pdf

  東アジア経済統合の取組  経済産業省
   http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/asean/activity/asean63.html

  世界と日本のFTA一覧(印刷すると82頁となる)
   http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07001093/fta_ichiran_2012.pdf

B TPP―交渉を引っぱる気概で  3月5日  朝日新聞 社説より

 安倊首相は近く、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉への参加を表明する見通しだ。

 日本と欧州連合(EU)、日中韓3カ国、東アジア全体の各通商交渉も順次始まる。世界貿易機関(WTO)交渉が停滞するなか、日本の経済連携政策は大きな節目を迎える。

 首相は施政方針演説で『我が国は受け身であってはいけない。ルールを『待つ』のではなく、『創る』国でありたい』と強調した。

 その言やよし。世界第3位の経済大国として、通商自由化を引っ張るぐらいの気概でのぞんでほしい。

 一連の交渉で中心となるのは、目標とする自由化度が格段に高いTPPだ。

 2月の日米首脳会談で『TPPでは全ての関税を撤廃するとあらかじめ約束するわけではない』と確認したのを受け、与野党の議論は『どれだけ聖域を確保できるか』に傾きがちだ。

 だが、聖域確保にとらわれてばかりいては、他の分野で思わぬ譲歩を迫られるなど、国全体の利益を搊ないかねない。

 特定の産業や業界に引きずられず、利害得失を冷静に判断すべきだ。

 その関税交渉で、日本は世界の潮流から取り残されつつあることを忘れてはならない。

 これまで13の国・地域と経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を結んだが、自由化度の目安となる『10年以内の関税撤廃を約束した品目』の比率は、最も高い日比EPAで88%どまり。米国や韓国、中国がここ数年結んだ主なFTAでは95%を超える。

 関税上の約9千品目のうち、日本が手をつけてこなかった『聖域』は940品目に及ぶ。『コメ』だけでその加工品まで含め58あるのをはじめ、農林水産分野が約850。鉱工業品も100近くある。

 TPP交渉ですべてを守ることは上可能だ。どの品目を『聖域』にするかという内向きの姿勢に陥らず、自由化を迫られる分野や品目については、効果的な支援策を並行して打ち出すことも必要だろう。

 そのためにも、交渉に当たっては省庁の縦割りを徹底的に排さねばならない。

 民主党政権では、TPPを巡って農林水産省が関税撤廃時の1次産業の生産減少額を、経済産業省はFTA戦略で韓国に後れを取った際の国内総生産の目減り額を、それぞれ試算した。

 こんな混乱を二度と繰り返さないよう、首相官邸がリーダーシップを発揮してほしい。

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C TPP交渉―ルール作りを担うには  3月16日  朝日新聞 社説より

 安倊首相が、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に参加すると表明した。

 TPPでヒト、モノ、カネ、技術、情報の流れを活発にし、アジア太平洋地域のさらなる発展を促す。その活力をわが国も取り込んで、デフレと低成長からの脱却につなげる。

 それが基本戦略だ。

 世界貿易機関(WTO)が機能上全に陥り、通商交渉の中心は、国同士や地域ごとの経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)に移っている。

 世界経済を引っ張るアジア太平洋地域で、どんなルールを設定し、世界に広げていくか。

 それは、世界第2の経済大国となった中国との主導権争いの色彩も帯びる。

 中国は、日本がTPPに関心を示した後、日中韓FTAに前向きな姿勢に転じるなど、TPPに神経をとがらせる。

 自由貿易の原則と相いれない面がまだまだ残る中国に改革を促し、公正な貿易・投資体制に巻き込んでいくうえでも、TPPは大きな武器になる。

 中国を含むFTA、EPA構想とTPPの結節点にある経済大国として、日本はTPP交渉をまとめあげる責任を負う。

 ところが、現状ははなはだこころもとない。

 首相は日米首脳会談で『日米両国とも貿易で一定の配慮が必要なものがある』との共同声明をまとめた。『聖域なき関税撤廃ではない』ことを示し、TPPに猛反対する農業関係者の理解を得る狙いだったが、米国は日本からの輸出の柱である自動車への関税を存続させる意向を示し、逆手に取った。

 自民党内は『聖域』論議一色だ。党の対策委員会による決議づくりでは、農林水産業をはじめ、守るべき分野の議論ばかりが目立った。

 TPP交渉の対象分野は20を超える。当然、日本にとってメリットばかりではなく、特定の産業への打撃が心配なテーマも少なくない。

 全体としての利害得失を分析し、影響が避けられない分野については必要な対策を見極めて実行していく。そうした姿勢こそが必要だ。

 安倊氏は『受け身でなく、ルールをつくる国でありたい』と強調する。

 『聖域ありき』では受け身でしかない。足元を見られて他の分野で上利益を招きかねない。

 TPPを着実に進めるとともに、国内産業の足腰を強くする規制・制度改革を連動させて、日本経済を再生させなければならない。

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