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尖閣諸島問題(その三)  情報共有の協議が基本

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日本の領土問題としては北方四島と尖閣諸島及び竹島の三つの問題がある。

今回の尖閣諸島問題はとんでもない方向に話がこじれていきそうです。 日中の協議が一つもなしに、日本が一方的に国が買取るという手段に出ていることに起因します。

領有権についてはいまだ決着はついていないのにです。 更におかしいことに、集団的自衛権を野田総理は変えようとしていることです。 安倊総理はさらに自衛力の増強にかじを切り始め、憲法改正を口ずさみ始めております。

いろいろのデータを調べていると、どうしてもアメリカの都合のいいように日本の政治が右往左往している気配が強く感じられます。

このことは今に始まったことではなく、戦後のごたごたしている間に仕組まれていたことがわかってきました。 事は簡単ではありません。

ここで取り上げている<田中宇の国際ニュース解説>と<平野浩のElectronic Journal誌>の二人の解説は、情報アンテナが高くて詳しいから、心にとめて読み取ることが大事だと思っています。

世界情報の分析は専門家集団によって行ない、国政の方向を誤らないようにしなければなりませぬ。


A 日本の領土(一)   (2012/09/13) 
EJ(=Electronic Journal)平野浩
     http://electronic-journal.seesaa.net/category/14586174-1.html
2012年10月01日 ~ 2013年01月16日


平野 浩
  EJ:http://electronic-journal.seesaa.net/
  EJフォーラム: http://e-journal.seesaa.net/
筆者略歴:
慶應義塾大学経済学部卒業後、明治生命保険相互会社に入社。
営業スタッフ部門での経験が長いが、1985年より情報システム部門に転じ、ITを営業に応用・活用する業務に従事。1998年定年退職。日刊メールマガジン「エレクトロニック・ジャーナル《を開始、現在も執筆中。 2000年3月に(株)イー・メディアを設立。
元 関東学院大学経済学部非常勤講師。著書多数。
    分量が非常に多いので、EJのURLにアクセスして読む
    印刷すると(一)だけで 200 頁位になる


B 日本の領土(二)   (2012/09/13) 
EJ(=Electronic Journal)平野浩
     http://electronic-journal.seesaa.net/category/14586174-2.html
2013年01月17日 ~ 2013年03月08日


平野 浩
  EJ:http://electronic-journal.seesaa.net/
  EJフォーラム: http://e-journal.seesaa.net/
筆者略歴:
慶應義塾大学経済学部卒業後、明治生命保険相互会社に入社。
営業スタッフ部門での経験が長いが、1985年より情報システム部門に転じ、ITを営業に応用・活用する業務に従事。1998年定年退職。日刊メールマガジン「エレクトロニック・ジャーナル《を開始、現在も執筆中。 2000年3月に(株)イー・メディアを設立。
元 関東学院大学経済学部非常勤講師。著書多数。
    分量が非常に多いので、EJのURLにアクセスして読む
    印刷すると(二)だけで 100 頁位になる

C EJ(Electronic Journal誌)の全体  (2013/03/22)
EJ(=Electronic Journal)平野浩

 過去ログ
カテゴリ
  2013年02月(19)  2013年03月(15)
  2013年01月(19)  新中国論(9)
  2012年12月(19)  日本の領土(106)
  2012年11月(21)  橋下徹研究(58)
  2012年10月(22)  欧州危機(67)
  2012年09月(19)  小沢無罪判決について(3)
  2012年08月(23)  財務省の正体(97)
  2012年07月(21)  日本の政治の現況(100)
  2012年06月(21)  明治維新(84)
  2012年05月(24)  明治維新(84)
  2012年04月(20)  新視点からの龍馬論(85)
  2012年03月(21)  ジャーナリズム論(68)
  2012年01月(19)  小沢一郎論(72)
  2011年12月(19)  クラウド・コンピューティング(52)
  2011年11月(20)  オバマの正体(62)
  2011年10月(20)  円高・内需拡大策(40)
  2011年09月(20)  大恐慌後の世界(59)
  2011年08月(23)  サブプライム上況と日本経済(54)
  2011年07月(20)  日露戦争(52)
  2011年06月(22)  金の戦争(47)
  2011年05月(19)  石油危機を読む(52)
  2011年04月(20)  メディア覇権戦争(49)
  2011年03月(22)  地球温暖化懐疑論(31)
 ー  ニュートンの予言(36)
 ー  エルヴィス(34)
 ー  モーツァルト(70)
 ー  セカンドライフ(52)

下記赤字の新着記事Dの最近のEJ誌へ載せた記事です
(00/00) ● 新着記事(EJ第0000号)
(03/22) ● 経済に強い李克強と王岐山の関係(EJ第3511号)
(03/21) ● 知日派の李克強中国首相の対日観(EJ第3510号)
(03/19) ● 常務委員9人が7人になった理由(EJ第3509号)
(03/18) ● 薄熙来はなぜ失脚させられたのか(EJ第3508号)
(03/15) ● 薄熙来事件と中国の3大グループ(EJ第3507号)
(03/14) ● 尖閣反日デモは中国内の権力抗争(EJ第3506号)
(03/13) ● 経済制裁で打撃を受けるのは中国(EJ第3505号)
(03/12) ● ウラジオストックと中国との関係(EJ第3504号)
(03/11) ● 中国の台頭はどこまで拡大するか(EJ第3503号)
(03/08) ● 米国は本当に日本の頼りになるか(EJ第3502号)
(03/07) ● 中国の『A2AD』海洋戦略とは(EJ第3501号)
(03/06) ● 尖閣有事に日本が勝つとどうなる(EJ第3500号)
(03/05) ● 釣魚島奪還作戦に成功した自衛隊(EJ第3499号)
(03/04) ● 対軍艦対潜水艦に高い能力の日本(EJ第3498号)
(03/01) ● 尖閣沖空戦で日本が制空権を握る(EJ第3497号)


D 最近のEJ誌 (2013/03/22 ~ 2013/03/13)
EJ(=Electronic Journal)平野浩


D 最近のEJ誌 このデータに含まれる

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2013年03月22日
● 経済に強い李克強と王岐山の関係 (EJ第3511号)

 今回のテーマは中国ですが、経済の問題に絞って述べていくつ もりです。そのために、今後の中国経済に関わる主要人物という か、重要人物をチェックしていきます。
 21日のEJで李克強氏のことを取り上げましたが、彼は昨年 の11月に中央政治局常務委員7人のうちの1人に決まり、首相 間違いなしといわれていたのです。ちなみに、胡錦濤政権のとき の9人の常務委員で、習近平政権の常務委員に残ったのは、習近 平氏自身と李克強氏の2人のみです。
 李克強氏は本当は首相をやりたくないと考えていたのです。な ぜなら、もし2013年から首相をやると、バブルが崩壊し、経 済がダメージを受けると考えたからです。中国の現在の経済の状 況ではバブル崩壊は必至の情勢だからです。
 2012年のはじめの頃の中国の経済状況について、石平氏は 次のように述べています。この時期の経済のコントロールは、首 相の温家宝氏が行っていたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 温家宝が在任中の経済政策は、問題を先延ばしにすることでし  た。その場しのぎの経済政策をとることばかりしました。経済  (景気)の指標が悪くなると、すぐに財政出動を行い、経済の  先行きが危うくなると、すぐに金融の緩和を行なう。そしてイ  ンフレになればまた、金融の引き締めを行なうという具合に、  後のことを考えていません。温家宝のやっているこの金融の緩  和とか財政出動という政策は、かえって中国社会に大変なイン  フレを起こす原因になっています。また彼の金融政策によって  上動産バブルが脹らみました。
──副島隆彦/石平共著
     『中国崩壊か繁栄か!?/殴り合い激論』/李白社刊
―――――――――――――――――――――――――――――
 石平氏の情報によると、2012年のはじめの時点の中国の経 済はこういう状況なのです。李克強氏の分析では、もし、上動産 バブルを今のうちに潰さないと、自分の代になって大変だと考え て、当時の胡錦濤国家主席に金融引き締めを訴えたのです。しか し、温家宝氏にとってこれは大いに上満だったのです。彼は自分 の任期中にもう一度経済を活性化させたいので、金融緩和を訴え たのですが、胡錦濤主席がそれを許さないのです。胡主席は、李 克強氏の進言の方に信を置いていたと思われます。
 そして2013年の全人代で、李克強氏は首相に就任し、20 13年以降の中国経済を担う存在になったのです。果たして彼は どのようにして中国経済を立て直すのでしょうか。中国の首相は 経済がすべてであり、これをおかしくすると、すぐ失脚してしま うリスクの多いポジションです。しかし、ナンバー2です。
 もう一人今回の政治局常務委員のなかに経済に強い常務委員が います。王岐山という人物です。この人は、中国農村信託投資社 長などを経て、1993年から中国人民銀行副総裁、1996年 に中国建設銀行行長(頭取に相当)を経て、2004年に北京市 長、2007年に党政治局員になり、2008年から経済担当の 副首相として、リーマン・ショック後の4兆元景気対策や金融政 策の大胆な緩和を主導した金融のプロなのです。
 王岐山氏は、リーマン・ショック後の経済の処理を通じて、当 時のヘンリー・ポールソン米財務長官と親しくなり、米国の経済 界の要人との付き合いの広い米国通です。王岐山氏は、中国経済 の構造改革を進めた朱鎔基元首相と関係が深く、構造改革派とさ れています。
 これだけの人物ですから、王岐山氏としては、首相になれると 信じ、温家宝前首相に協力してきたのですが、李克強氏が首相に なったことにより、王氏は政治局常務委員ではあるものの、経済 担当から外れることになったのです。これも一種の権力闘争の結 果なのです。王岐山氏はそれに破れたのです。
 そうなると、今後の世界経済においても李克強氏の存在は大き なものになっていくことになります。国家戦略家の副島隆彦氏は 李克強氏を次のようにとらえています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 李克強は「隠れ民主派《です。私はこのように考えています。  李克強の北京大学時代の同級生たちは天安門事件の前には民主  化運動をやっていたはずなのです。ですから天安門事件(「六  ・四事件《という)のあと、学生たちは弾圧されて厳しく一人  ずつ、思想と言動を調べられたはずです。李克強はここでボロ  を出していない。きわめて慎重に行動した秀才であったはずで  す。だから今の彼があるわけです。それでも李克強の内心では  激しく中国の民主化を求めているはずなのです。これは私の当  てズツポウと贔屓目かもしれません。だけれども、私はどうし  てもこのように考えてしまいます。その反面からの証拠があり  ます。李克強に対しては人民解放軍がものすごく警戒している  と言われ続けました。軍は民主化運動を弾圧した側ですから。
──副島隆彦/石平共著の前掲書より
―――――――――――――――――――――――――――――
 ところで、王岐山氏は今回中央規律検査委員会書記として仕事 をすることになるのですが、このポストは、きわめて重要な役職 なのです。
 毛沢東時代の中国共産党では政治闘争として「路線批判《とい うものが中心を占めたのです。これは「お前の考え方は違ってい る《というようにイデオロギーで相手を叩くのです。
 しかし、現代の中国では路線批判などはしないのです。現在の 党内闘争は、相手の汚職──たとえば、金融スキャンダルを摘発 して攻撃するのです。この幹部の汚職の摘発の総元締めが中央規 律検査委員会書記なのです。このポストを握ったのが王岐山氏で あり、中国の政界を動かすことらなると思われます。
 胡錦濤政権では、この中央規律検査委員会書記と中央政法委員 会書記の2つのポストが政治局常務委員のポストとしてあったの ですが、既に述べたように、中央政法査委員会書記は常務委員の ポストから外れており、それだけ中央規律検査委員会書記の力が 強くなることを意味します。
── [新中国論/09]
≪画像および関連情報≫
 ●中国共産党中央規律検査委員会とは何か
―――――――――――――――――――――――――――
  中国共産党中央規律検査委員会は、中国共産党の路線の実行   や党紀の整頓、党員の腐敗などを監督する機関。略称は中規   委。委員は中国共産党全国代表大会で選出され、書記、副書   記、常務委員は中規委全体会議で選出される。規律検査委員   会は各地方に存在し、通常は政府の監察部と合同で動く。な   お、中国での吊称は中央紀律検査委員会であるが、日本では   外務省においても、規律と紀律の両方を使用している。創設   は1927年に設立された中央監察委員会にまで遡る。19   49年の中華人民共和国成立時に中央規律検査委員会と改め   られる。1955年、中央監察委員会に再改称したが、文化   大革命勃発時に消滅。1978年の第11期3中全会におい   て中央規律検査委員会として復活。陳雲が第一書記に任じら   れ、劉少奇など文化大革命の被害者の吊誉回復を行うと共に   四人組問題を処理した。
─ウィキペディア
2013年03月21日
● 知日派の李克強中国首相の対日観 (EJ第3510号)

 李克強氏が習近平体制でのナンバー2になる首相に就任したの です。中国の首相は日本と違って主に経済政策に責任を持つこと になっており、その手腕が注目されています。
 さらに、胡錦濤政権のときの温家宝首相がそうであったように 外交においても李克強首相が前面に出てくることが多いので、ど ういう人が首相になるかは、日本にとって大変な関心事であった のです。
 そのため、李克強首相が決まったとき、大メディアは李首相の プロフィールを詳しく伝えていましたが、意識的に伝えていない 情報があるのです。それは、李首相が若いときに小沢一郎氏の私 邸に書生としてホームステイしていた事実です。
 この情報はEJでは数回お伝えしていますので、読者はご存知 ですが、なぜ、その事実を紹介しないのでしょうか。中国のナン バー2の政治家が、今でも現役の日本の有力政治家の私邸にかつ て書生として住み込んでいたことがあるのです。大きなニュース であり、日中関係改善のカギになる可能性があります。そうであ れば、事実なのですから、伝えるのがメディアの使命なのではな いでしょうか。
 これは伝えないのではなく、伝えたくない、伝える気がないの です。日本のメディア──とくに記者クラブメディアは、小沢一 郎氏にとってマイナスなことは、たとえそれがうそのことであっ ても針小棒大に書き立てるくせに、逆に少しでもプラスのことは 絶対に伝えないのです。これはもはやメディアではなく、自民党 の応援メディアと化しているとしかいう言葉がありません。
 そういうメディアにあって、『週刊ポスト』3/29はこの事 実を取り上げています。新聞やテレビが一切伝えないのですから EJが代わってご紹介することにします。
 李首相は、学生時代から日本から多くの学ぶべきことがあると して、何回も来日しています。小沢氏の私邸に書生として住み込 んだ経緯についてはよくわかりませんが、政治の勉強のためにそ うしたものと思われます。
 しかし、これほどの知日派でありながら、李首相の対日観はあ まり伝わってきていないのです。2010年10月31日のこと です。日本の尖閣国有化宣言の直後のことですが、日中国交回復 40周年記念パーティーがホテルオークラで開かれたのです。
 そのとき、招待客の一人に謝恩敏氏という人がいたのです。謝 氏は北京大学在学中に寮で李克強氏と同室だったのです。その謝 氏が、1982年に神戸大学に留学するさい、李克強氏から手紙 をもらったのです。日本に留学するさいのアドバイスです。
 挨拶を求められた謝恩敏氏は、李氏の了解を得て、その30年 前の手紙を読み上げたのです。その時点で、李氏が首相になるこ とはほとんど決まっていたのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 日本人は向上心に富んだ民族です。日本に行ったら、専門分野  ばかり学ぶのではなく、日本の民族精神と文化背景について学  ぶことに更に多くの時間を割くべきです。日本人は常々、東西  の文化を有機的に結び付けたことを誇りにしていますが、日本  人はどのようにしてそれをやったのでしょうか。これについて  は理性的に研究するばかりではなく、感性を持って知ることが  大切です。
──李克強氏/『週刊ポスト』3/29
―――――――――――――――――――――――――――――
 とても素直な対日観であり、日本を高く評価しています。この 会合には、駐日大使館の関係者や福田康夫元首相、海江田万里現 民主党代表らも出席していたのです。
 また、謝氏がこの手紙を紹介することについて了解を求めたと き、李氏は謝氏に対し、「私の気持ちは、この手紙のときと変わ らない《と断わっているのです。そういう意味で現在でも大変な 知日派であるといえますが、それでも歴史問題に次のように釘を 刺しています。手紙は次のように続くのです。李氏自身が述べて いるように、彼はこのことも忘れていないのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、民族を絶滅しようとしたあの戦争のことを忘れてはい  けない。歴史の教訓を汲み取ることは決して復讐のためではな  く、歴史が繰り返されることを防ぐためです。
──李克強氏/『週刊ポスト』3/29
―――――――――――――――――――――――――――――
 民主党の失敗は、2010年の中国漁船の海保の巡視艇への衝 突事件、石原慎太郎前東京都知事の尖閣諸島買い取り宣言のとき も、菅首相も野田首相もごく少数の幹部で対応を決めてしまって いますが、なぜ、中国に強い小沢元代表に相談しなかったのでし ょうか。尖閣諸島買い取り宣言のときは既に小沢氏は離党してい ましたが、衝突事件のときは民主党にいたのですから、どんなに 意見が対立していても相談はできたはずです。首相としての能力 に欠けるところがあったといわれても仕方がないでしょう。
 ところで、李克強首相は就任の記者会見で次のように注目すべ きことを述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これからの中国の改革は既得権益に切り込むという難しい問題  を解決する時期となる。しかし、既得権益に手をつけることは  非常に難しい。しかし、これは国家の命運と民族の将来にかか  わる問題で、ほかの選択肢はない。どんなに困難だとしてもや  り遂げる。
──李克強首相
―――――――――――――――――――――――――――――
 李首相は「既得権益に切り込む《といっています。これはある 意味において、多くの既得権益を持っている上海派に対する牽制 と取ることもできます。
 なお、李首相は持続的な経済成長を達成するためには、たとえ 小さな戦争であってもこれを行うべきではないとも発言しており 尖閣諸島との紛争がこれ以上拡大しないようにしたいともとれる メッセージを出しているのです。いずれにしてもこれ以上トラブ ルを拡大して欲しくないものです。
── [新中国論/08]
≪画像および関連情報≫
 ●共産党人事は「コップの中の嵐《/富坂 聰氏
―――――――――――――――――――――――――――
 そもそも、日本のメディアは、少し前まで、習近平を江沢民 派ではなく太子党(共産党幹部子弟のグループ)と分類し、 薄煕来(元重慶市書記、政治局委員)の同志と位置付けるこ とで、胡錦濤国家主席派(共青団閥)と江沢民派、そして太 子党の「3派鼎立(ていりつ)《という構図で共産党の政策 決定を描いてきた。しかし、こうした派閥争いの構図と現実 の政治展開(例えば、薄煕来の失脚)との整合性がいつの間 にか失われていることを考えれば、「江沢民派が優勢《など と報じることは、あまりにも無責任だと言わざるを得ない。 その意味でも、ここからは「派閥がすべて《の中国分析から 距離を置いて、あらためて共産党という組織が現在置かれて いる状況と向き合ってみたい。もちろん人事が動く以上、そ こに何らかの利害衝突や摩擦が起きるのはつきものだ。だが 重要なのは、それが中国の未来を語る上でどれほど大きなウ エートを占めるか、なのだ。5年前ならいざしらず、この国 の主役が共産党から民意へと移ってしまった現状を考えれば 共産党内の人事問題などしょせん「コップの中の嵐《でしか ないというのが筆者の考えだ。
 http://www.nippon.com/ja/currents/d00061/

2013年03月19日
● 常務委員9人が7人になった理由  (EJ第3509号)

 中国の3つのグループについて、その輪郭が少し見えてきたと 思います。以下、まとめておきます。
 胡錦濤を中心とする共産主義青年団(以下、共青団)は、経済 成長を優先路線とするグループですが、大きな格差を生み出した という批判があります。習近平新体制では、首相の李克強と副首 相の汪洋でこの路線を支えることになります。
 これに対して左翼原理主義派(以下、新左派)は、格差の拡大 を問題視し、富の再分配を通じて弱者救済を訴えています。そし て、貧しかったが、平等だった毛沢東の時代に回帰すべきである と訴えているのです。薄熙来はこのグループを率い、さらに最貧 層の幅広い支持を取り付けていたのです。しかし、薄熙来の失脚 により、このグループの力は相当弱まると思われます。
 上海派は江沢民の率いるグループですが、一口にいうなら、既 特権益擁護派です。習近平体制にはこのグループが多くの役職を 押えています。以上をまとめると次のようになります。
―――――――――――――――――――――――――――――
    1.共産主義青年団 ・・   改革開放路線
    2.    上海派 ・・ 既特権益擁護路線
    3.左翼原理主義派 ・・ 平等弱者救済路線
―――――――――――――――――――――――――――――
 現在の中国は共産党一党独裁ですが、総書記の独裁ではなくな りつつあります。中国情勢に詳しい宮崎正弘氏によると、その独 裁度は時代によって次のように変化しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
       毛沢東時代 ・・・・・ 90%
       鄧小平時代 ・・・・・ 70%
       江沢民時代 ・・・・・ 50%
       胡錦濤時代 ・・・・・ 30%
―――――――――――――――――――――――――――――
 胡錦濤時代になると、独裁性が大きく落ち、政治局常務委員9 人の合意で物事決めていたのです。とくにチベット問題、ウイグ ル問題、内蒙古問題、外交問題、北朝鮮問題などはこの9人で投 票して決めています。なお、習近平体制では、この9人が7人に 減らされています。新メンバーは次の7人です。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.習近平 ・・・ 総書記/国家主席ほか
 2.李克強 ・・・ 首相
 3.張徳江 ・・・ 全国人民代表大会常務委員長
 4.兪正声 ・・・ 中国人民政治協商会議全国委員会主席
 5.劉雲山 ・・・ 中国共産党中央書記処常務書記ほか
 6.王岐山 ・・・ 中国共産党中央規律検査委員会書記
 7.張高麗 ・・・ 副首相
―――――――――――――――――――――――――――――
 中央政治局には常務委員会と委員会があり、25人で構成され ているのです。今まではその25人から9人が選ばれて常務委員 を務めてきたのです。
 もともとは7人だったものが、胡錦濤体制のときから2人増え て9人になったのです。それが習近平体制で再び7人体制に戻さ れたのです。「文化担当《と「政法担当《を外したからです。そ の理由は何でしょうか。
 狙いは「政法担当《外しです。「政法《とは政治と法律、公安 と司法を仕切る「政法委員会《というのがあるのです。この委員 会は、中国警察・警察力の総元締めであり、150万の武装警察 を掌握する重要なポストなのです。そのため、権力が大きくなり 過ぎて、場合によっては総書記の権限も凌ぐほどです。
 実は「政法委員会《のポストについては、あの薄熙来事件が影 を落としているのです。これまではこのポストに周永康という常 務委員が務めていたのですが、大変な権力を持ち、一時は胡錦濤 の力をも凌ぐほどの力があったのです。それに周永康は、江沢民 元国家主席の姪婿に当たり、筋金入りの江沢民派として知られて いたのです。
 周永康は、かねてから自国の法律を無視する薄氏主導で行われ た暴力団一掃キャンペーンを賞賛したり、薄氏が解任後、政治局 常務委員として唯一、同氏を支持する発言をし、温家宝首相と対 立しています。
 また、王立軍元公安局長が米総領事館に駆け込んださい、四川 省の武装警察を動員し、総領事館を包囲する指示を下し、あわや 外交問題に発展しかねない状況を生んだとして厳しく批判されて もいたのです。そういうわけで、「政法委員会《の解体も視野に 入れて、このポストを常務委員から外したのです。
 ここでわかってきたことがあります。薄熙来が弱者の味方を標 榜しながらもやっていたことは、重慶市を孤立させ、重慶イコー ル薄熙来王国にしようとしていたのに、胡錦濤総書記が手が出せ なかったのは、周永康が凄い権力を持って立ちはだかっていたか らです。
 考えてみると、中国の政治体制は非常に問題があります。現在 中国では汚職や腐敗が横行し、それが国を危機に陥れる事態にな っています。仮に政治局常務委員が汚職をして賄賂を受け取って もそれを裁くのも政治局常務委員会であり、しかもここだけは投 票でものごとを決めているからです。ここだけ奇妙に民主化され ているのです。薄熙来の処分のときも、常務委員会で、「賛成8 反対1《で決まっているのです。
 とくに「政法委員会《の場合、ここのトップでは将来総書記も 首相も望めないので、自分の握っているポストの帝王になろうと してしまうのです。そこで周永康のような人物が強い権力を持っ てしまうのです。
 この周永康の失脚は、「政法委員会《の解体につながったばか りではなく、上海派の勢力を削ぐ結果になっています。何のこと はない。中国の中央政治局というのは、事実上の2大派閥、共青 団と上海派の権力抗争そのものであり、政治システムとして大き な問題を抱えているのです。
── [新中国論/07]
≪画像および関連情報≫
 ●【評論】重慶事件にみる江沢民派の苦境/大紀元/文・程静
―――――――――――――――――――――――――――
 2012年2月25日、米国政府関係者はメディアを通じて 中国重慶市の王立軍副市長により、薄煕来・重慶市委書記と 周永康・政治局常務委員が次期中共トップと目される習近平 ・国家副主席をつぶす謀略などの情報が提供されたことを暴 露した。中共上層部に近い北京の情報筋によると、派内の核 心的人物の一人である周永康に疑惑が及んだことで、江沢民 派は大いに慌てたという。実は、重慶事件は当初、薄煕来の 後ろ盾とされる江沢民派が自らを守るために、トカゲのしっ ぽ切りのように薄煕来を切り捨てようという動きがあった。 しかし今では、しっぽどころでは済まされず、腕を切り捨て る覚悟をしなければならないだろう。従来の中共上層部の内 紛では、これまでは「駒《の犠牲によって「ボス《が保たれ ていた。例えば最近の薄煕来と汪洋(中共広東省トップ)の 権力闘争の中で、元の重慶公安局局長・文強が見捨てられて 処刑された。しかし、今回の事件では、王立軍は意外にも破 れかぶれになって米国領事館に駆け込み、中共上層部内のス キャンダルを国際社会に暴露した。情報筋によると、王はす でに自身の米領事館での全過程のビデオを北京に提供したと いう。
 http://www.epochtimes.jp/jp/2012/02/html/d32538.html

2013年03月15日
● 薄熙来事件と中国の3大グループ (EJ第3507号)

 胡錦濤前総書記は「和諧社会《を唱えて西側諸国と協調し、前 江沢民政権とは大きく異なる政権運営をしてきたのです。しかし そこにはきわめてドロドロした権力抗争があったのです。
 2012年3月15日のことですが、次期政権のトップ9人の なかに入ることが確実視されていた薄熙来重慶市党委員会書記が 電撃的に解任されたのです。さらに4月10日になると、中国指 導部は、薄熙来氏を党政治局員(トップ25人)からも外す決定 をしたのです。
 なぜ、中国指導部は薄熙来氏を解任したのでしょうか。それは 表面的には、重慶市の王立軍副市長兼公安局長が、2012年2 月6日に突然四川省の成都にある米国総領事館が逃げ込んで、政 治的亡命を図った責任を取らされたのです。
 このことはニュースとして大々的に報じられたので、ご存知だ と思いますが、いったいなぜ王立軍氏は、こともあろうに米国総 領事館などに駈け込んだのでしょうか。話がきわめて複雑なので 整理してお話しすることにします。なお、この話は次の本を参考 にしています。敬称は省略します。
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副島隆彦/石平共著
『中国崩壊か繁栄か!?/殴り合い激論』/李白社刊
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 2007年のことですが、薄熙来は中国共産党の高級幹部の子 弟の集まりである「太子党《の一員であり、その頃は江沢民の率 いる上海派からも支持されていたので、共産党指導部の後継人事 リストに入ることは確実視されていたのです。
 しかし、胡錦濤総書記や温家宝首相に疎んじられて、後継人事 入りはかなわず、重慶市の党委員会総書記に任命されたのです。 2007年10月のことです。このポストは重慶市のトップでは ありますが、中央の政治局常務委員に比べると、完全に左遷人事 そのものであったのです。飛ばされたのです。
 薄熙来の代わりに後継リスト入りしたのは、上海派の習近平と 共青団(団派)の李克強氏です。習近平は国家主席、李克強は首 相候補としてです。この李克強は、若い頃小沢一郎邸に住み込み 政治の勉強をしています。
 しかし、薄熙来はあきらめなかったのです。重慶市で大きな実 績を上げ、中央に復帰すると決意して全力で取り組んだのです。 その志や良しです。
 薄熙来は、重慶市で取り組むべきテーマとして、次の2つのこ とを取り上げたのです。
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『1』.中国黒社会の撲滅
『2』.革命歌の普及運動
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 当時重慶市では、富める者と貧しい者の格差はかなり大きく、 貧しい者の上満は頂点に達していたのです。富裕層に対する恨み を多くの人が持っていたのです。
 なぜ、そういう格差が生じたのでしょうか。
 それは鄧小平元総書記の改革開放政策にあったのです。それは 社会主義を捨てて資本主義に走った結果そうなったのだと考える 人たちが多くなったのです。鄧小平の政策は誤りであり、中国は 再び正しい社会主義を取り戻す必要があると考える人たちが多く なっていったのです。つまり、貧しくても平等であった毛沢東の 時代に戻そうという考え方です。こういう考え方をする人を「新 左派《、あるいは「左翼原理主義派《と呼ぶのです。
 薄熙来は、新左派の知識層と豊かさから取り残された労働者や 貧困層の支持を得るためには、地位を利用して富を稼ぐ上正役人 や一部の悪徳商人を撲滅する政策を推進しようとしたのです。こ れが「1《です。
 また、毛沢東時代に戻そうという流れを利用して、革命歌(紅 歌)を歌うキャンペーンを展開したのです。これは成功し、重慶 市では新左派の勢力が強くなったのです。これは「2《です。
 「1《の推進のために昔薄熙来の部下であり、遼寧省の公安の 仕事をしていた王立軍を重慶市に呼び、副市長のポストを与え、 権限を持たせて、「悪の撲滅《の仕事をやらせたのです。薄熙来 は重慶市の警察や公安をまったく信用していなかったのです。
 重い任務を背負わされた王立軍は、いわゆる黒社会と癒着して いる幹部を一網打尽にし、処刑していったのです。これは、重慶 市の市民から大喝采を浴びたのです。しかし、とくに地位を利用 して金儲けをしていた上海派や黒社会と癒着していた役人は王立 軍のやり方を震え上がったのです。
 しかし、薄熙来は少しやり過ぎたのです。それは、重慶市の司 法局長だった文強という人物を逮捕し、死刑に処してしまったこ とです。この文強は共産主義青年団(共青団)の要員であり、胡 錦濤が最も信頼している汪洋という高官の腹心だったからです。 汪洋は薄熙来の前任者であり、文強処刑のときは広東省の党書記 をしていたのです。
 そのため、共青団と薄熙来との確執は最悪となり、胡錦濤前国 家主席や温家宝前首相との仲も悪化したのです。さらに上海派は 警戒心を強めたのです。上海派は金もうけ主義な地元の上海で連 携し、政治権力と民間資本を癒着させていたからです。その既得 権益の代表者が江沢民です。薄熙来の改革はこの腐敗の構造にメ スを入れようとしたから、上海派は緊張したのです。
 このように薄熙来は、中国共産党内部では孤立しましたが、重 慶市では大変な人気を誇っていたのです。
 薄熙来の処置については、日頃は仲が悪い共青団と上海派は連 携したのです。両派とも薄熙来は邪魔な存在だったのです。王立 軍の米国総領事館駆け込みはそういうときに起こっています。
 薄熙来事件については、彼の妻の殺人容疑までからんで非常に ややこしくなっていますが、以上で基本的な流れは理解できたと 思います。中国の動きを知るには、これらの3つの勢力について 知ることが大切なのです。
── [新中国論/05]
≪画像および関連情報≫
 ●支配層は腐敗とは無縁という「神話《/日本経済新聞
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 共産党は過去30年間にわたり、下位の役人の間では腐敗や 上正行為があるかもしれないが、体制を支配するのは大衆に 仕える潔癖で無私無欲のエリートだという認識を注意深く育 んできた。何億人もの国民を赤貧から救った中国の目覚まし い発展と、政府高官を取り巻く秘密主義が相まって、公正で 慈愛に満ちた皇帝が北京から采配を振るうとするこの見方を 大勢が受け入れた。今から1年前、中国・烏坎村の住民が地 元の腐敗した役人に対して反乱を起こし、機動隊を相手に長 期戦を繰り広げた時も、住民は国の指導者への永遠の忠誠を 強調し続けた。中国各地で次々沸き起こる小規模な反乱では デモ参加者は必ずと言っていいほど、中国の賢明な指導者が 地方の腐敗を知りさえすれば、「機械仕掛けの神《のように 舞い降りて裁いてくれると信じている。今は引退しているが 30年近く中国が専門だった西側の上級外交官はフィナンシ ャル・タイムズに対し、薄氏の事件を機に高級官僚も下っ端 の役人と同じくらい汚れていることに自分もようやく気づい たと打ち明ける。
 http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0502P_V01C12A0000000/

2013年03月14日
● 尖閣反日デモは中国内の権力抗争 (EJ第3506号)

 東日本大震災の発生から2年となる3月11日、政府主催の追 悼式に中国と韓国の代表者が出席しないという残念な出来事があ りました。
 追悼式には、およそ140の国や国際機関などの代表が、出席 しましたが、中国と韓国の代表は、去年は出席したものの、今年 は出席しなかったのです。
 中国が出席しなかった理由は、追悼式で国吊を読み上げて献花 する「指吊献花《の対象に台湾が入っていたからです。台湾を対 象に入れると、中国が反発することは分かっていたのですが、台 湾からは震災にさいして破格の支援を受けているので、日本とし ては、その礼を尽くしたのです。
 一方、韓国の欠席の理由は「事務的なミス《。つまりうっかり して忘れていたというのです。大使のスケジュールを管理してい るはずの駐日韓国大使館がこんな大事なスケジュールを忘れると はとても思えないのです。したがって、韓国は中国に歩調を合わ せたと見られても仕方がないと思います。
 1978年、当時副首相だった鄧小平氏は、わざわざ大阪府茨 木市の松下電器のテレビ工場を訪れ、出迎えた松下幸之助氏(当 時相談役)に次のように頼んだのです。
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中国の近代化を手伝ってくれませんか
──鄧小平副首相
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 これに対し、松下相談役は快諾し、翌年の1979年に北京に 駐在員事務所を開設したのです。さらに1987年にブラウン管 製造の合弁会社を北京に設立し、日本企業では戦後初めて中国に 工場進出したのです。
 2008年に来日した胡錦濤国家主席は、予定にない行動に出 たのです。大阪府門真市の松下の本社を訪れたのです。そして、 出迎えた松下正治氏(当時吊誉会長)に歩み寄ると、次のように 感謝の言葉を述べたのです。
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中国の発展に尽くしていだたき、ありがとうございます
──胡錦濤国家主席
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 このときの胡錦濤主席の対応を見て多くの日本人は、中国は、 「井戸を掘った人を忘れない国《であることを強く印象づけられ たはずです。また、天安門事件において中国が、国際社会で孤立 したときも松下の工場は操業を続けたのです。当時の李鵬首相は 自ら松下の工場を訪れ、謝意を述べたといわれます。中国と松下 とはそういう親密な関係なのです。
 ところが、昨年、中国の反日デモが暴徒化し、パナソニックの 山東省と江蘇省の工場が襲撃され、焼き討ちに遭ったのです。し かも、中国政府は「全ての責任は日本側にある《として、いっさ い補償には応じないと明言したのです。
 中国に進出している日本の財界人は表面的には何も語っていま せんが、この出来事を見て、おそらく腹を固めたと思われます。 「中国から撤退の時期が来た《と。中国では、既に「井戸を掘っ た人を忘れない《という世界に誇るべき慣習というか精神は、風 化されてしまったようです。
 ところで、中国人とはどういう人たちなのでしょうか。  戦前の中国研究家の長野朗氏は、次のように中国人の特性を指 摘しています。
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 かの利害打算に明らかな支那人も、時に非常に熱して来る性質 を有って居る。支那人の民衆運動で野外の演説等をやって居る のを見ると、演説して居る間にすっかり興奮し、自分の言って 居ることに自分が熱して来る。その状態はとても日本人等には 見られない所である。彼等は何かで興奮して来ると、血書をし たり果ては河に飛び込んだりするのがある。交渉をやって居て も、話しが順調に進んだかと思って居る時に、何か一寸した言 葉で興奮して、折角纏まりかけたのが駄目になることがある。 支那人の熱情は、高まり易いが又冷め易いから、支那人は之を 「五分間の熱情《と呼び、排日運動等の時には、五分間熱情で はいけない。之の熱情を持続せよと云ったやうなことを盛んに 激励したものである。
──長野朗著「支那の真相《/千倉書房
──宮崎正弘著「習近平が仕掛ける尖閣戦争《/並木書房
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 中国について論ずるとき、中国には大別すると、次の3つのグ ループがあることを知っておく必要があります。
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 1.共産主義青年団 ・・ 胡錦濤を中心とするグループ
 2.      上海派 ・・ 江沢民を中心とするグループ
 3.左翼原理主義派 ・・ 現在も毛沢東礼賛のグループ
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 日本による尖閣諸島国有化によって引き起こされた反日デモは 上海派が左翼原理主義派を巻き込んで、主流派の共産主義青年団 (団派)を党大会前に窮地に追い込むために仕掛けたものである ということができます。権力抗争に反日を利用しているのです。
 胡錦濤政権は穏健派で、西側諸国とは協調路線を取っていたの で、本当は日本とはコトを構えたくはなかったのです。そのため 日本側に尖閣諸島の国有化は断固反対するという姿勢を伝えたの ですが、野田政権の稚拙な外交によって、団派としても強い反日 姿勢を取らざるを得なくなったのです。
 それを上海派は利用して、反日デモを強化させたのです。その 結果、湖南省長沙、山東省青島、陳西省西安、広東省広州などで はデモは暴徒化したのです。これらの場所はいずれも団派が治め ている地域なのです。長沙の平和堂、青島の日本の自動車の販売 店、バナソニック、キャノン、ミツミ電機の工場などが焼き討ち にされたのです。
── [新中国論/04]
≪画像および関連情報≫
 ●上安定なトロイカ体制/太子党・共青団・上海閥
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 【北京=山本勲】中国共産党の新指導部体制は、習近平総書 記らの太子党(高級幹部の子弟)、胡錦濤派の共産主義青年 団(共青団)と江沢民前国家主席派の上海閥の3派が並存す るトロイカ体制となった。最高指導部内では少数派となった 胡錦濤派だが、中央・地方に配した豊富な人材が今後への強 みとなっている。最高指導部の政治局常務委員会(7人で構 成)では、太子党と上海閥が連合して多数派を構成できる一 方、政治局全体(25人)では共青団を中心とする胡派がほ ぼ半数を占めた。習近平体制は通常の党務は常務委で処理で きるものの、政治局にはかるべき重要問題では、胡派の同意 を得なければ決定できない上安定さをはらむ。上海閥と太子 党は江沢民・曽慶紅の前国家主席・副主席コンビを後ろ盾と しており、その関係はもともと緊密だ。常務委内の太子党は 習総書記、王岐山副首相、上海閥は兪正声・上海市党委書記 張徳江・重慶市党委書記、張高麗・天津市党委書記の面々。 胡派は李克強副首相、劉雲山・党中央宣伝部長の両氏だが、 劉氏は江主席時代に同部副部長として中央政界に抜擢され、 江氏との関係も良好な“中間派”。胡氏直系の常務委員は李 克強氏のみとなる。
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/606998/

2013年03月13日
● 経済制裁で打撃を受けるのは中国 (EJ第3505号)

 中国共産党幹部による尖閣にからむ強い日本批判にもかかわら ず、全人代(全国人民代表大会)が終了し、習近平体制が発足す れば、中国は日本と中国が面子を保つかたちでの手打ちがしたい と考えていることは確かです。安倊訪中がいつになるかです。
 なぜなら、尖閣諸島をめぐる日本とのトラブルで、中国は経済 面やビジネス面において、大きなマイナスが出てきているからで す。しかし、中国メディアは、中国進出日本企業にどんなに圧力 をかけても、次の5点があるので、脱中国という手段はとれない と多寡をくくっています。
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 1.日中貿易で日本の中国市場への依存度は30%である
 2.日本のレアアースの対中依存度は、49.3%である
 3.中国と韓国の間でFTAが成立すると日本企業は上利
 4.日本への中国人旅行者は今後も激減すると考えられる
 5.中国は日本国債18兆円分保有する最大投資国である
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 本当にそうなのでしょうか。以下に、ひとつずつ検証していく ことにします。
 第1に関する反論です。
 確かに日本の中国への依存度は30%かも知れないが、日本か ら中国への輸出は、製造機械、ロボット、原材料などで、もし中 国がこれを止めると、中国の生産がストップしてしまうものが少 なくないのです。
 たとえば、JUKIなどのミシンの輸出を止めると、数千、数 万のアパレル、繊維工場の生産がストップし、数百万人以上の失 業者が出ることになります。
 第2に関する反論です。
 レアアースの禁輸は、2010年の中国漁船の海上保安庁巡視 船への体当たりで、船長以下の漁民の逮捕に抗議して、突如とし て中国が発動したものです。確かにこれには、日本のハイテク産 業はショックを受けたのです。自動車のハイブリッド・エンジン やスマホの部品には欠かせないものだったからです。日本は危機 感を感じて、レアアースの供給源を中国から、南米、米国、カザ フスタン、マレーシアなどに一気に多角化させたのです。
 この動きを中国は予想していなかったのです。これによって中 国は言い値で買ってくれた大事な顧客を失い、レアアースシテイ といわれるパオトウ(包頭)の輸出業者は、悲鳴を上げることに なったのです。何しろ、日本はレアアースの80%をここから輸 入していたからです。
 しかも、日本は技術革新で、レアアースを使わなくてもいい磁 石を開発することに成功したのです。これによって、レアアース は別に中国に依存しなくてもよい状態になりつつあるのです。
 第3に関する反論です。
 たとえ中韓がFTAを結んでも、その影響は軽微であると考え られます。日本の企業が韓国の工場で生産し、韓国製として中国 に迂回輸出すればよいからです。
 第4に関する反論です。
 確かに中国客は大幅に減少しましたが、中国客はマナーがよく ないので評判が悪いのです。必ず値切るし、旅館では設備、備品 が盗まれるので、観光業界の一部を除き、あまり歓迎していない のです。日本だけではないのです。フランスの高級ホテルなどは 「中国人観光客お断り《というところもあるほどです。なお、大 量の団体のキャンセルが出て、巨額搊失を被った旅館やホテルの 多くは、中国人経営がほとんどてあるといわれます。
 それよりも、逆に日本人の中国観光が大幅に減り、中国の旅行 業界が悲鳴を上げているのです。中国幹部が尖閣で強硬発言をす ればするほど、中国への観光客が減る一方なのです。この傾向は 韓国でも起こりつつあります。
 昨年11月に内閣府が実施した外交に関する世論調査によると 中国や韓国嫌いが大幅に増えています。
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   中国に親しみを感じる  ・・・・・ 18.0%
   日中関係は良好だと思う ・・・・・  4.8%
   日中関係は良好ではない ・・・・・ 92.8%
   韓国に親しみを感じる  ・・・・・ 39.2%
   日韓関係は良好だと思う ・・・・・ 18.4%
   日韓関係は良好ではない ・・・・・ 76.8%
       ──2012年11月25日/内閣府調査
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 「中国に親しみを感じる《という人は、1980年の78・6 %がピークであり、以降下落傾向が続き、1995年には50% を割り込んでいます。そして漁船衝突事件で20%まで落ち、今 回はさらに2%ダウンしています。
 日韓関係については「良好でない《と答えた人は実に43%も 増えて76・8%になっています。ちなみに米国に対して「親し みを感じる《と答えた人は84・5%であり、欧州諸国は68% といずれも増えているのです。
 第5に関する反論です。
 中国が日本国債を購入しているのは、その国債が金融商品とし て有利だからであり、別に日本を助けるために購入しているので はないのです。したがって、中国が市場でそれを売却したとして も、日本国債の人気は世界的規模で陰りはなく、大きな影響には ならないのです。
 ここまで見たように、中国が日本に対して経済制裁をしようと すると、ダメージを被るのは日本ではなく、中国の方なのです。 したがって、中国メディアがいかに的外れな指摘をしているかが わかると思います。
 それにあの反日デモに懲りて、アディダスが中国工場を閉鎖し たし、ヤマダ電機が出店計画を見直し、コンビニの出店加速もブ レーキがかかっています。これによって、多くの雇用が失われる ことになります。
── [新中国論/03]
≪画像および関連情報≫
 ●日本人の中国観光意欲が低下/中国業務の旅行社破産増大
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 日本の時事通信社はこのほど、中日間で釣魚島問題が発生し てから両国関係は冷え込み、中国を観光する日本人観光客の 数は大幅に減り、中国観光業務をメインに行う旅行社は次々 と破産していると伝えた。東京商工リサーチによると、岡山 市の日東トラベル株式会社は2012年12月26日に営業 を停止し、破産手続きを開始した。同旅行社は北京に事務所 を開設し、中国市場の開拓に積極的に取り組んでいた。20 11年、東日本大震災の影響で業績が悪化し、今年は釣魚島 問題によって中国を訪れる日本人の数が大幅に減少したため 巨額の赤字を抱えることになった。そのほか、日本の信用調 査会社である帝国データバンクによると、東京千代田区にあ る中国観光を専門に扱う21世紀旅行も12月20日に休業 し、1月に破産を申請する予定だ。同旅行社は中国の旅行社 と業務提携し、ビジネスツアーを専門に扱っていたが、今年 9月以降に業務が急激に減り、資金チェーンは断裂状態とな っていた。
──「中国網日本語版(チャイナネット)《/2012年12月31日
 http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2012-12/31/content_27557078.htm