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喬木村の教育  【教育の原点は0歳教育に在り】

児童虐待・自殺


児童虐待・自殺

① 2013年07月25日
  児童虐待、最多6万7千件 昨年度、10年前の2.8倍

写真・図版

 【見市紀世子】全国の児童相談所(児相)が2012年度に対応した児童虐待の件数(速報値)は6万6807件で、前年度より6888件増えた。統計を取り始めてから22年連続で過去最多を更新、10年前の02年度と比べて2・8倍となった。また、11年度に虐待で亡くなった子どもは99人(うち無理心中は41人)にのぼった。厚生労働省が25日に集計結果を公表した。

◆児相は即応体制強化

 虐待件数は、児相が18歳未満の子どもについての被害通報を受け、対応したケースを集計したもの。厚労省は、児童虐待に対する意識の高まりや児相と警察などの連携が進んだことなどで相談・通報が増えたほか、虐待そのものも増えているとみている。

 虐待防止のために昨年4月に始まった新制度に基づき、児相が親権停止を家庭裁判所に申し立てた件数は、1年間で27件あった。

 一方、11年度に虐待で亡くなった99人のうち、無理心中以外は58人。0歳児が25人と最も多く、2歳児以下で全体の3分の2(39人)を占めた。主な加害者は「実母」が57%で最も多く、「実父」は19%、「実母と実父の両方」が9%だった。虐待の種類では、殴るなどの「身体的虐待」が66%、食事を与えないなどの「ネグレクト」(育児放棄)が28%だった。

 これらの結果を分析した厚労省の専門委員会は、行政側の対策として、望まない妊娠の相談を受ける窓口の充実や、児相職員の専門性確保などの体制強化を提言した。



② 2013年07月25日
 虐待から子を守れ! 児相は即応体制強化、途切れぬ通報

 【帯金真弓、山田佳奈】児童相談所(児相)が対応した児童虐待は過去最多の6万6807件。通報は途切れることがない。

◆児童虐待、昨年度に最多

 3年前、3歳と1歳の姉弟が虐待で亡くなった大阪市。幼い命にかかわる第一報を見落とさないよう、児相職員は臨戦態勢にある。

 「今、子どもがすごい声で泣いてる。大人の怒鳴り声もする!」

 大阪市こども相談センター(児相)の児童虐待ホットラインには365日昼夜を問わず電話がかかる。「どこですか。どんな泣き方ですか」。職員が聞き取る。集合住宅で部屋が不明でも、上の階か下の階か、できるだけ手がかりを集める。「今」何かが起きているという通報なら、深夜でも現地に向かう。

 3年前の虐待死事件では、未明に「泣き声がする」との通報があった。しかし職員が足を運んだのは日中で、親子に会えなかった。この重い教訓から、即応・夜勤体制を整えた。

 訪問と同時に住民基本台帳ネットワークで子どもがいる家を探し、保育所などに問い合わせることもある。親に会うと、「歯を磨くのを嫌がって泣いただけ」と分かることもある。

 多いと1日3、4回出動する。大阪市の昨年度の虐待相談は約2800件で、前年度より600件増えた。児童虐待防止法が施行された2000年、虐待担当は2人だけだった。ケースワーカーや児童心理司など51人の虐待担当職員がいる。昨年より7人増員した。それでも1人のケースワーカーが担当する児童虐待は100件を超す。

 ベテラン職員は対応の難しさを打ち明ける。「同居人がわかりにくかったり、地域とのつながりが乏しかったり。人を増やしてもそれを超えて件数が増える」

 近年の傾向は、警察からの通報が増えていることだ。DV(家庭内暴力)の件数が増え、DVを子どもが見て受ける「心理的虐待」への認識が広まってきたためとみられる。

 関東地方のある児相職員は「DVで家庭に子どもがいれば、原則全件、児相に通報しているという警察署もある」と話す。ただし、警察から書類が届くのに1週間以上かかり、すでに親子が避難して、児相職員が会えないこともある。

 警察が子どもを児相に連れてきて通報する「身柄付き通報」も急増している。

 そうした子どもは児相に併設した一時保護所に入ることになる。だが、すでに定員超過で、簡易ベッドなどでしのいでいる状態だ。緊急保護対応のためにある程度の空きが必要だが、この数年は空きを確保することが難しくなっているという。

 厚生労働省によると、全国で2011年度に一時保護した件数は3万274件。このうち、虐待に関する保護は44%の1万3251件。また、一時保護したうち、一時保護所がいっぱいなどの理由で、他の福祉施設や里親などに委託した数は9985件に上った。

     ◇

 《児童虐待防止全国ネットワーク理事長の吉田恒雄・駿河台大教授の話》 児相では若い職員が増えている一方、扱う虐待事例は複雑化し、対応は難しくなっている。英国では虐待に対応する職員1人の担当件数は12~15件と少なく、6人に1人の割合で具体的な助言をする熟練の職員がついていた。児相の人員増は不可欠。加えて実務経験を積み重ねられる体制が必要だ。さらに英国では併せて育児支援に力を入れており、日本でも虐待件数そのものを減らす予防策にも注力するべきだ。



③ 2013年7月26日
  親の心、震災の影 児童虐待、被災地で深刻化

 全国の児童相談所が2012年度に対応した児童虐待の件数(速報値)は6万6807件で、過去最多を更新した。東日本大震災と原発事故の被災地でも、児童虐待の深刻化が懸念されている。避難生活の長期化に伴うストレス増や仮設住宅暮らしによる孤立化が背景にある。

 福島県によると、児童虐待に関する相談のうち助言や施設入所などの対応をした件数は県全体で2010年度が224件、11年度259件、12年度311件と増加。県内4カ所の児童相談所のうち、避難自治体を含む県沿岸部を管轄する浜児童相談所(いわき市)が10年度51件、11年度56件、12年度120件と急増が目立つ。

 宮城県の場合、対応件数は県全体では12年度757件で、震災前からほぼ横ばい。しかし、沿岸部の被災地を管轄する県中央児童相談所(名取市)では10年度の339件から12年度374件と約1割増えた。

 福島県の担当者は「震災前から家庭が抱えていた問題や、住環境の変化、避難によるストレスが子どもなど弱い部分に向かっていると考えられる」と話す。

 ■仮設住宅 薄い壁、隣が気になりストレス

 「子どもを殴ったりたたいたりしている」――。東日本大震災から1年近くたった頃、津波に襲われた宮城県沿岸部の被災地の仮設住宅に住む人から、役所に通報があった。

 「お前なんかいらない」

 30代の母親が金切り声をあげながら、幼い長男をたたく様子が住民に目撃された。

 面談に訪れたベテランの保健師に、専業主婦の母親は打ち明けた。

 「仮設は狭くて、隣の部屋との壁も薄いのに、子どもは静かにしない。イライラをぶつける先がなかった」

 保健師が母親と面談を繰り返した結果、長男への直接的な暴力はなくなったようだった。だが、今年6月に、母親が長男の行動に腹をたて、食卓をひっくり返す出来事があった。

 「震災前は児童虐待の通報はほぼゼロだった。隣近所が気になるストレスが親にあるのは間違いない」と保健師は話す。「震災前に戸建てに住んでいたころは気づかなかった虐待が、仮設暮らしになってあらわになったケースも多い」と見る。

 震災と原発事故に見舞われた福島県大熊町では、震災からこれまでの2年4カ月で12人の子どもが、虐待やその疑いなどで児童相談所に一時保護され、うち6人は児童養護施設などに入所した。

 同じ仮設住宅の住民らの通報や学校からの相談がきっかけで分かり、多くは親が育児を放棄する「ネグレクト」という。親が「もう育てられない」と助けを求める例もある。

 町の担当者は「一時保護などは震災前は2、3年に1回あるかないかだった。避難で祖父母ら家族と離ればなれになり、サポートが得られなくなったことも大きいのではないか」と話す。

 ■県外避難 母と子だけ、慣れぬ土地で孤立

 「最近、ついイライラしてしまう。子どもの寝顔を見てると、なんであんなに強く叱っちゃったんだろうって」。原発事故のあと福島県から3歳の息子を連れて県外へ母子避難している女性は、訪れた支援団体の富田愛さん(43)に後悔を口にしたという。雑談のなかでつぶやいたこの言葉を富田さんは「SOS」と感じた。

 富田さんが所属する「東日本大震災中央子ども支援センター福島窓口」(福島市)は県の委託を受け、被災した子どもや家庭を支援している。

 わずかでも子どもと離れる時間が必要だ。富田さんはそう考え、子どもの一時預かりサービスの利用を母親に勧めた。その後母親は少し余裕ができたようで、笑顔が戻り、家族や料理など色々な話をしてくれるようになった。放っておけば児童虐待につながりかねないケースだった、と富田さんは言う。

 「福島にいた時は夫や両親、近所の人の助けがあったが、今は慣れない土地で子どもと自分だけの生活。自分がしっかりしなければと肩に力が入る。子どものことを考えてきたのに、ストレスや不安から、つい子どもにあたってしまい、お母さんも自己嫌悪になっている」と、富田さんは母親を気遣う。

 避難生活の疲れから、本来は入院が必要なのに「自分が倒れたら子どもを見る人がいない」と、点滴を打ってしのぐ母親もいるという。

 富田さんらは、山形、新潟、埼玉や東京など、福島からの避難者が多い自治体を回っている。避難先の支援団体と連携し、母親たちが集まる場などで話を聞き、要望を探っている。「虐待に至る前の段階でSOSを見逃さないようにしたい」

 (清野有希子、伊藤喜之)



④ 2012.9.11
  児童生徒の自殺、25年ぶりに200人超える いじめ認知は7000件減少
    http://sankei.jp.msn.com/life/news/120911/edc12091122100001-n1.htm (産経)

 平成23年度に全国の小中高校から報告があった児童生徒の自殺者数は前年度より44人増加し、200人となったことが11日、文部科学省の問題行動調査で分かった。平成に入って以降は100人台で推移しており、200人以上となるのは25年ぶり。ただ、いじめが原因とみられるのは前年度と同じ4人だった。一方、いじめの認知件数は約7万件で前年度より約7千件減少。現行の調査方法となった18年度以降、最も少なくなった。

 児童生徒の自殺者数は、高校で前年度より45人も増加し、157人。小学校でも3人増え4人、中学校では4人減って39人だった。

 自殺した児童生徒が置かれていた状況は、最も多かった「不明」(58%)を除くと、「父母の叱責」(12%)、「進路問題」(10%)などが多かった。「いじめの問題」は、昨年10月の大津市の中2男子を含め中学校で4人だった。

 文科省は、高校で大幅に増加した理由について「背景が『不明』という回答が半数以上で分析できない。今後は背景調査の徹底を求め、効果的な対策を取っていきたい」としている。

 警察庁の統計では、集計時期が異なるものの23年に自殺した小中高生は353人と開きがある。

 同省によると、事故死にしてほしいと望む遺族に配慮するケースなどがあるためという。

 一方、いじめの認知件数は7万231件で、前年度より7399件減少した。

 いじめ認知に有効とされるアンケート実施率が前年度よりやや低下したほか、都道府県別で児童・生徒1千人当たりの件数は、最大54倍の開きもあったことから、文科省は「いじめの認知が不十分な地域があるのではないか」とした。

 都道府県別では熊本が32・9件で最多。最少は佐賀で0・6件だった。文科省調査