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イヴの七人の娘たち ミトコンドリアDNA
「イヴの七人の娘たち」 <ThE SEVEN DAUGHTERS OF EVE>
著者 ブライアン・サイクス <BRYAN SYKES>
・(表帯書) あなたは誰の子どもなのか?
母系でのみ受け継がれるミトコンドリアDNAを解読し、幾千の世代、幾万の生命を遡ると、
誰もが太古の昔に生きた自分の祖先に出会うことができる。
人類をつなぐ固い絆があきらかになった。
・(裏帯書) 6億5千万の現代人の共通祖先、「イヴの七人の娘たち」
第一の娘*アースラ
4万5千年前、ギリシャで誕生。
アースラの一族は全ヨーロッパへ広がり、ネアンデルタール人を
絶滅へと追い込んだ。
第二の娘*ジニア
2万5千年前、マンモスの時代に誕生。
ジニアの一族は凍原のなか食料をもとめ移動生活をしていた。
第三の娘*ヘレナ
2万年前の最終氷河期、地中海沿岸に誕生。
浅瀬では貝をとっていた。ヘレナの一族は、狩り道具を洗練させていき、
洞窟に描いた壁画の前では儀式を行なった。
第四の娘*ヴェルダ
1万7千年前、北スペインで誕生。
キャンプ地に暮らし、男は狩猟のための旅に出た。
ヴェルダは芸術的センスに恵まれていた。
第五の娘*タラ
1万7千年前、トスカーナで誕生。
海が好きで海岸をよく散歩していたタラは、浜辺に打ち上げられた
木の幹を発見。それがきっかけでボートをつくることとなる。
第六の娘*カトリン
1万5千年前、最終氷河期の終わりに、ヴェネチアからアルプスに
広がる平原で誕生。
カトリンはある夜、焚き火の向こうに狼の姿を見つけた。
狼は飼いならされてやがて「犬」となった。
第七の娘*ジャスミン
1万年前、ユーフラテス川の近くにある村で誕生。
狩りの下手な夫と知恵をしぼり、農耕をはじめた。
それは食料の安定供給をもたらし、
村の人口は増加したが、同時に伝染病も生んだ。
・ 表紙カバー裏書き(表紙裏)
四万五千年前、地球が現代よりもずっと寒く、氷河で覆われていた時代、イヴの第一の娘アースラが誕生した。それから三万五千年後、第七の娘ジャスミンが生まれたころに、農耕生活が始まっていく。
水平線の向こうに、地平線の向こうになにが待ち受けているのかわからなかった遥か昔、アースラ、ジニア、ヘレナ、ヴェルダ、タラ、カトリン、ジャスミン――イヴの七人の娘たちとその一族は海へ挑み、新たな大地へ踏み込んでいった……。
遺伝学者のブライアン・サイクスが、五千年前に死んだヒトの化石をきっかけにミトコンドリアDNAの重要性を発見し、現代人の共通祖先を探し当てた。本書は、従来の定説を覆し、驚愕の事実を明らかにするまでの、不断のチャレンジと「知」の格闘の物語である。
・ 表紙カバー裏書き(裏表紙裏)
ブライアン・サイクス(著者)
イギリス、オックスフォード大学で人類遺伝学教授を務める。DNA遺伝子が古い骨にも残っていることを突き止め、採取に成功。1989年の「ネイチャー」誌で発表して以来、その分野における国際的権威のひとりとなる。彼の研究チームはホモ・サピエンスのDNAの系図をまとめあげる偉業を達成した。現在はテレビのレポーター、議会の科学アドバイザーとしての顔も。
開設中のウェブサイト<www.oxfordnacestors.com>では、人々が本書で取り上げるDNAタイプのどれに属するかを調べる機会を提供している。
大野晶子(訳者)
成城大学文芸学部卒。翻訳家。訳書に「ファウジーヤの叫び」「迷子になったわたしの惑星」「ネットフォースエクスプローラーズ仮想破壊者」など多数。
「イヴの七人の娘たち」 <ThE SEVEN DAUGHTERS OF EVE>
情報考学 Passion For The Future
情報技術+書評+日々雑感 橋本大也 2007
2006年02月26日 イヴの七人の娘たち
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004279.html
今日の60億人の全人類には、たった一人の”母”がいるという。
母系でのみ受け継がれるミトコンドリアDNAを解読すると、15万年前にアフリカの地で生まれたたった一人の女性「ミトコンドリア・イヴ」が人類共通の祖先であるという有名な学説である。生殖のたびにDNAは複製される。ミトコンドリアDNAの突然変異の確率は安定しているので、現在の子孫のDNAと比較すれば、おおよその生存年代を測定できる。世界中の現代の人類のDNAを集めて分布を調べることで、その骨を残した人間がどこに住んでいた人間なのかも判明する。
現代ヨーロッパの6億5千万人のDNAを解析すると、4万5千年前から1万年前の異なる時代、異なる地域に生まれた7人の女性の誰かにつながることが分かっている。この本は、その7人のミトコンドリア・イヴの娘たちの世代の物語である。
最初のイヴの娘はギリシアで生まれたアースラ。アースラの一族は全ヨーロッパへ広がり、ネアンデルタール人を絶滅に追い込んだ。第2の娘アースラは2万5千年前にマンモスと生きた。第3の娘のヘレナは2万年前の最終氷河期に地中海沿岸で暮らした。科学的データに基づいて、7人の娘たちの人生がフィクションとして語られる。
イヴの娘たちはおそらくそれぞれの社会で特別な存在ではなかった。ふつうの女性としてふつうに生きた可能性が高いらしい。もちろん自分から始まる家系が、後世の人類の大部分を生み出す重要な位置にいることなど知る由もなかった。
イヴの娘たちは遺伝学上、何が特別なのか。それは彼女らのミトコンドリアDNAが広く現代の人類に共有されていることである。イヴの娘たちの世代には他にも女性はいっぱいいた。その人たちも子供を産んでいただろう。しかし、何万年もの間に人類が複雑に交雑する中で、少数のイヴの娘たちのDNAが勢力を広げていった結果、今の人類のDNAから辿れる家系は彼女らだけのものになってしまったということだ。
日本人、アメリカ人、フランス人などというが、DNAの観点では分類の意味がない。純粋な民族という概念はナンセンスだ。全員が完璧な混血である。それにも関わらず世界で33、ヨーロッパで7の少数の母系のDNAが、いまの私たちの中にも生き残っているのだ。それは、母系の文字通り、へその緒でつながり、抱きしめ、乳を与えた女性たちの愛で結ばれた大きな家系である。もっともっとたどれば一人のグレートマザー「ミトコンドリア・イヴ」がいる。
イブの娘らに共通する点が2つ。1つめは娘を産んだこと。ミトコンドリアDNAは女系にのみ引き継がれるからだ。そして、2つめは、二人の娘を産んでいること。これは少しわかりにくいのだが、母系のみのDNA系図を描いてみれば分かる。今生きる女性は無数にいる。だが母親、祖母、曾祖母と系を上へたどればたどるほど、枝の数は少なくなり、やがて、たった二つの枝が一つになる世代があるはずだ。そこにイヴたちはいる。
この本は研究が成功するまでの経緯と、時代考証、科学考証のもと想像力を発揮して書かれたイヴの娘たちの7編の物語からなる。私たちは何者か?という普遍的な疑問に、ひとつの答えを提供してくれる興味深い研究である。
オックスフォード大学の人類遺伝学教授の著者ブライアン・サイクスは、化石化した古い人骨からDNAを抽出することに成功した同分野の第一人者。同教授は自分の祖先がどのイヴなのかを調べる研究ビジネスを運営している。
・OXFORD ANCESTORS : Explore your genetic roots - DNA sequencing, Professor Sykes, Adam's Curse, Family Tree Searches, Your Ancestry DNA analysis, tracing ancestors
http://www.oxfordancestors.com/
日本人向け解説もある。95%の日本人には9人の”母”がいるそうだ。
・Sony Magazines -- OFFICIAL WEB SITE --
http://www.sonymagazines.jp/mmt/200111080700.html
あなたのDNAも調査してもらえます!
日本人の95%は、9人のDNAの母から生まれています。あなたは誰の子どもなのか?
→【DNA母系図】
---ミトコンドリアDNAを調べて、あなたもDNAの母を知ることが可能です(有料)。ご希望の方は、「オックスフォード・アンセスター」(http://www.oxfordancestors.com/)へ直接、お申し込みください。日本語書類の添付された「調査キット」が届きますので、指示に従って提出してください。
見つけ出した本
日本人になった祖先たち 994円 篠田謙一
DNAでたどる
日本人10万年の旅 2484円 崎谷 満