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ミトコンドリア  活力の源



ミトコンドリアといえば、人のミトコンドリアDNAを調べることによって、人の共通祖先を辿ることができることがわかっている。

   『イヴの7人の娘たち』(ソニー・マガジン社 2001/11/10発行)

そしてまたこの項は Google の検索によっていくつもの解説が載っている。 いちおうコピーしてまとめた

‘ミトコンドリア サプリ’の検索を見ると次のサイトが紹介されている。

   明日の卵子は今日より老化 ミトコンドリア治療で卵子の老化を改善
      <http://www.e-tamago.biz/ovum_antiaging/>

結婚が遅くなると目にみえて妊娠しにくくなる。 このサイトも学んでほしい。




A ミトコンドリア

ミトコンドリアとは何か・・・・・・
      http://www.geocities.jp/hakodatereports/mitokond.htm

ミトコンドリアはほとんどすべての生物(動植物や菌類など)の細胞に広く含まれている細胞内構造物の一つです。 高校の生物の教科書などで細胞の構造図を見た覚えがあれば、その中でたいていは丸いカプセルのような形で描かれていたでしょう。 このミトコンドリアは一つの細胞に(細胞の種類によって違いますが)数十から数万という大変な数が含まれています。

これらのミトコンドリアは細胞の中で呼吸をしてエネルギーを生産しているのです。 我々が肺から吸い込んだ酸素は、血液によって体内の細胞に運ばれ取り込まれ、ミトコンドリアによって糖や脂肪を燃やす燃料として使われていることになります。 燃やすといっても生化学的に糖などを分解していく過程でエネルギーが発生するわけで、我々はそのエネルギーを利用して体温を保ち運動をして生きていることになります。

ところで我々の体を構成する細胞一つ一つには、ごく特殊なものを除いて核があり、その中には遺伝情報がぎっしりと詰まった遺伝子(染色体)が含まれています。 ヒトの場合には23対46本の染色体があり、父親と母親から23本ずつうけついだ遺伝情報が記録されているわけです。

1968年にミトコンドリアの構造の中に細胞の核が持っている遺伝子とは別の遺伝子が発見されました。 これをミトコンドリアDNAと呼びます。 DNAのことは別に調べていただくとして、動物のミトコンドリアDNAは丸い輪になった形をし端末がありません。 動物の場合大体17000前後の梯子段がつながったまま折り畳まれ、ミトコンドリアが自分自身を複製して増えるための遺伝情報の一部が乗っています。

その後の研究によると、ヒトを含め大部分の動物でミトコンドリアDNAは母系遺伝をすることが確認されました。 ヒトの精子も細胞ですから20程度のミトコンドリアが存在しています。 しかし卵子と融合した後でなぜか精子由来のミトコンドリアは消滅してしまい、元々卵子にあったミトコンドリアだけが生き残るのです。
 従って我々の体内にあるすべてのミトコンドリアは、体細胞のDNAと違い、すべて母親から受け継いだものなのです。

もう一つ大切なことがあります。 DNAというのは4種類の塩基が延々と繋がったものですが、様々な要件で塩基の並び方が変わったり、ある塩基が別の塩基に置き換わったりします。 DNAの繋がりに変化が起こると病気になったり、場合によっては致死的な条件になることもありますが、一方生物の進化や環境への適応など重大な役割を果たしています。 さらに、長い配列の中にはその生物が生存していく上で必要がなくなっている部分が大量に見つかっています。 その部分は配列に変化が起きても生存のためには何ら支障が出ません。 DNAの塩基配列が長い期間を通じてみれば、おおむね一定の割合で変化していることは、各種の動植物のDNA配列を調べた結果確認されています。
動物の種類の違いでも、ヒトとヒトの血縁関係でも、スケールは違いますが、共通の祖先が遠いほど違う配列になっている部分が増えるのです。

人のミトコンドリアDNAの場合、現在では特定部位の変化の数から、共通祖先を辿ることが出来るようになっています。(詳しいことは、「イヴの7人の娘たち」 を参照してください。)
      「イヴの7人の娘たち」ソニー・マガジン社(2001/11/10発行) 1600円+税

ミトコンドリア・イブとは誰でしょうか
     http://www.geocities.jp/hakodatereports/mitoibu.htm

 このミトコンドリアが持っている独自のDNAは母親からのみ受け継がれ、決して父親のDNAが子に伝わることはありません。 あなたのミトコンドリアDNAは母方の祖母から受け継いだものです。その祖母も母方の母から受け継いでいるのですから、何代さかのぼっても、ミトコンドリアを伝えてくれた先祖はたった一人なのです。 何万年遡っても同じことです。 現在地球上にすむ60億人が持っているミトコンドリアの起源をたどれば、すべてのヒトが、ヒトとして姿を現した太古の集団まですべて一本の線で繋がっているのです。

 ミトコンドリアDNAが持っている塩基配列の数は約16500対です。 アメリカのアラン・ウイルソンを中心とする研究者は、100万年あたり約2%の割合で突然変異が起こっていると推定しました。 1987年当時、世界各地の147人を無作為抽出して、そのミトコンドリアDNAの変異の内容と割合に従い系統樹を作成し発表しました。

 各個人のつながりと変異率による年代の測定です。この系統樹は人種間の遺伝的距離を測るものでなく、あくまでも資料提供者個人間の遺伝的距離を示している点に注意してください。

 結論は、147のミトコンドリアのうちに133の異なるDNA配列が見つかり、7例のアフリカ住民の型とその他の各地の型に大きく二つに分かれ、アフリカ系は他のものに比べ、それぞれのグループ内での突然変異率が2倍だったのです。 人類はアフリカで生まれしばらくとどまった後、各地に広がっていったと解釈できたのです。

 その上現代人にミトコンドリアDNAを残せたご先祖様はたった一人の女性で、他の系統は消えてしまっていると結論づけました

この名誉ある女性にミトコンドリア・イブの名称が与えられたのです。 現世全地球人共通の大祖母の誕生です。

 ミトコンドリア・イブが生きていた時代はいつでしょうか。 現存するミトコンドリアDNAの変異の数から逆算して、14万年から29万年前の間と発表しました。当時アフリカとユーラシア大陸に散在していた原人のうち、おそらくはアフリカのキリマンジャロ山の麓、大地溝帯に生存していたある原人集団の一人として誕生したのです。

 この分子生物学の分野から出した結論は、当時考古学者の間では批判的な意見が多かったようです。 今でもDNA配列の変異を利用した年代測定(分子時計といいます。)は、誤差や仮定が多すぎるとして絶対年代を出すのは難しいようです。

 2001年11月、ソニーマガジン社から「イヴの7人の娘たち」という本が発売になりました。 オックスフォード大学の遺伝学教室教授ブライアン・サイクス教授が書いた科学ドキュメントです。 1987年以来ミトコンドリア・イブをどのように探求し、いかなる結論に達したのか、非常に面白く興味深い話がわかりやすく、予備知識なしでも理解できる内容で書かれています。
 「イヴの7人の娘たち」ではミトコンドリア・イブが15万年前にアフリカで誕生し、現代ヨーロッパ人の90パーセントはイブの子孫の7人の女性を共通先祖として持っていると結論づけています。 ヨーロッパ在住の現世人類は大きく分けて7回の分裂を繰り返していることになります。
 さらに、その後世界中の現世人類は、ミトコンドリアを調査分類の結果、35の分岐点を持つ系統樹によってわけることが可能であると発表されました。
 1996年のサイクス教授の発表は学会に大きな波紋を投げかけ、大論争が5年近く続いたそうですが、2000年11月、ほかの研究からの結論と一致し、ミトコンドリア・イブの存在が人類学の分野で正当性を持つ説として承認されたそうです。
 ところで日本人は、95パーセントの人々が9人のイブの娘たちの子孫と判定できるそうです。 日本人が9人ものイブの娘を共通祖先を持つということは、とりもなおさず日本人の多様性を示しています。日本列島への人類の渡来の歴史について新しい知見が生まれることを期待したいと思います。 (「イヴの7人の娘たち」紹介ページ)

 サイクス教授はミトコンドリア・イブの存在の証明はしましたが、ミトコンドリア・イブが現世人類の共通の大祖母となることができた原因についてはふれていません。 私にはそれが偶然であったとは思えません。

 彼女は何らかの理由でイブになるべく運命づけられていたのです。 それも科学的に説明できる理由で。私はミトコンドリア・イブがミトコンドリア・イブになるべき必然性を持った女性だったと思うのです。 その必然性は彼女自身のDNAの変化に起因する、突然変異にともなうものであったろうと推測しました。それについて第5話で取り上げています。

 同時代に生きていたミトコンドリア・イブの子孫以外の人類はどうなったのでしょう。彼らはネアンデルタール人などと呼ばれていますが、おそらくは2~3万年ほど以前にその血統が途絶えてしまったようです。その理由についても第4話でふれてみました。

 現在では毛髪が一本あればミトコンドリアDNAの塩基配列が決められるそうです。 最近報道された、歯による縄文人のミトコンドリアDNA配列の決定など、資料が蓄積されていけば、より精密な人類史が構築されることだと楽しみにしています。

 2001年2月11日ヒトゲノム(ヒトのDNA配列)がほとんど全部解析され、約3万の遺伝因子が確認されたと報道されました。同時に現存する各人種間のゲノム配列の共通性は、99.99%と非常に高い一致率を見ました。
 これは、現在地球上に住んでいる全人類の共通の祖先は、原人以来の進化の中で、ごく近い過去に生きていたことを示しています。


B 疲れやすい体にサラバ!スタミナUP若返り術

ためして ガッテン  NHK 2015年08月26日放送
      http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20150826.html

40歳を過ぎるころから、誰もが自覚する「体力がなくなった…」「無理がきかなくなった…」。そんな、疲れやすい皆さんに朗報です!

疲れにくい体のカギ、スタミナを左右するのはズバリ、細胞内の「ミトコンドリア」。これを増やすことが、活力や持久力を向上させる決め手だったのです!

ミトコンドリアは細胞の中にある器官で、その働きは「体を動かすエンジン」。年とともに減ってしまうと、若い頃のような馬力がきかなくなってしまいます。

でもご安心。
実は、「エネルギー不足の状態」をわざと作ってあげると、ミトコンドリアを増やす細胞のスイッチがオンになることが分かってきました。

例えば運動なら、たった1分「ちょいキツ」の動きで十分。さらには、食事のカロリーを抑えたり、空腹の時間を長くとることでもミトコンドリアは増えてくれるのです。


夏バテぎみの体に効果が高い「本当のスタミナ食」とあわせて、詳しくは、お役立ち情報のページへどうぞ!

【“ちょいキツ運動”でスタミナアップ!】

スタミナ=持久力をアップさせるポイントは、細胞の中のミトコンドリアを増やすこと。

ミトコンドリアは、食事から得た糖や脂質、そして呼吸から得た酸素を使って、ATPという物質を作っています。ATPは、体を動かす“エネルギーのもと”。手足や心臓の筋肉、脳の活動など私たちが生きていくために欠かせないもので、スタミナの有無に大きく関係しています。

ATPとは何ですか?

筋肉を動かす時のエネルギー源となる物質はATP と呼ばれていて、ATPはアデノシン三リン酸(DNAの構成要素であるアデノシンにリン酸を二つ余計にとりつけたもの。いいかえればADPとリン酸が酵素の働きで結合したもの)のことですが、化学エネルギーの通貨ともいわれています。分かりやすく言えばATPはリン酸基が3つあり、1つのリン酸を放出した時に(ADPになります)エネルギーを出す物質ですので、細胞自体から発生するものではありません。

私達が食事で摂取した炭水化物、たんぱく質、脂肪は人体で消化吸収され、その分子は三つの段階(解糖、クエン酸回路、電子伝達)を経てエネルギー源となるATP=アデノシン三リン酸をつくります。

これは「クエン酸サイクル」を知るのがその働きが分かりやすいのですが食事から摂った糖質・疲労の原因物質である乳酸 体脂肪などを分解し、エネルギー(筋肉)に変換するサイクルのことで、下記サイトが比較的分かりやすいと思います。
     http://www2.tokai.or.jp/shida/heaith_assist/ATP.htm

ミトコンドリアは、30代以降減っていきます。でも、暮らしの中に「あること」を取りいれることで、量を増やすことができます。それは、自分が少しキツイと思うくらいの運動をすること。

細胞の中には、「細胞内のATPの量」を監視している酵素があります。通常のウォーキングなどの場合は、それほどエネルギーを使わないためATPが不足することはなく、この酵素が働くことはありません。でも、少しキツイ運動をすると、ATPが不足し、酵素の働き(スイッチ)がONに!より多くのATPを作ろうと、ミトコンドリアが分裂を始めて増えてくれるんです。

【1分ずつ繰り返せばOK!】

“ちょいキツ”の運動の例として、まずご紹介したのは「インターバル速歩」。「早歩き3分間→ゆっくり歩き3分間」×5回(計30分)を週に4日以上行うトレーニング法で、これまでも“筋力アップ”の方法として何度かご紹介してきました。実は“スタミナ(持久力)アップ”にも効果があったんです。

でも、仕事や家事が忙しく、1日30分も時間が取れないという人も多いはず。ご安心ください。ミトコンドリアを増やす“スイッチ”は、少しキツめの運動を1分続けるだけでONになるんです!通勤や買い物の合い間に、小まめに1分ずつ早歩きをしたり、エレベーターを使わず階段を上ったりするだけでもスイッチはONになります。ポイントは「少しだけ、しんどいな」と思うくらいの負荷を体にかけること。動けなくなるほどキツイ強度は必要ありません。外に出るのが面倒なら、家の中でスクワットを10回するだけでもOKです。スイッチは1回ONになると、一定時間その効果が続きます。小まめに繰り返すことで、ミトコンドリアが着実に増え、スタミナアップ=疲れにくい体を手にいれられます。信州大学の能㔟博教授の研究では、1週間に合計60分間積み重ねられれば以下のような効果があることが分かっています。

  1週間後 汗をかきやすくなって夏バテしにくくなる
  2週間後 2週間で体重が1キロ減少 *太り気味の人の場合
  1ヶ月後 歩くのがラクになる
  2ヶ月後 体が疲れにくくなる

★まだ暑い日が続いていますので、早歩きや激しい運動をする場合は朝夕の涼しい時間帯を選んでください。

【食事でミトコンドリアを増やす方法】

ミトコンドリアは「カロリー制限」をしたり、「空腹感を感じる」ことでも増やすことができます。「長寿遺伝子」というものが働くためだと考えられています。逆に食べ過ぎは、ミトコンドリアがATPを作り出すのに必要な量より、糖や脂質を摂取することになり、“メタボ”へとつながっていくのです。
とはいえ65歳以上の人は、やせすぎでスタミナ不足の場合が多いので、しっかり栄養をとることが大切です。

ミトコンドリアを増やしたり、その働きを助ける栄養素もあります。イカやタコ、貝類などに多く含まれる「タウリン」は、ミトコンドリアを増やす働きがあるとされています。一方、ウナギや豚肉などに多く含まれる「ビタミンB群」、レバーなどに多く含まれる「鉄」は、ミトコンドリアがATPを作り出すのを助ける働きをしています。


C 太りやすい体、太りにくい体 差は「ミトコンドリア」

働きもののカラダの仕組み 北村昌陽 日本経済新聞 2014/3/30 6:30
      http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1100J_R10C14A3000000/


春になると天気のいい日には、思わず体を動かしたくなったりしませんか? 運動をすれば、体の中で「エネルギー」が消費されます。もともとは食べ物から摂取したものです。エネルギーを取り出して、消費する。この何気ないプロセスの背後に、実は壮大な体の構造が隠れていました。

 仕事や運動を頑張って、そろそろお腹が空いたな、というとき「あ~ガソリンが切れた」なんて言うことがあると思う。これは、人間の体を車に例えているわけだけれど、体のエネルギー収支を考えるとき、とてもわかりやすい表現だ。食べ物がガソリンで、筋肉や脳がエンジン。体を動かすにはガソリンのエネルギーを使う。ガソリンが消費されるとお腹が空く。

 もっとも、実際にガソリンを燃焼させる車のエンジンと異なり、筋肉は炎を出して食べ物を燃やすわけにいかない。もっとマイルドにエネルギーを取り出すしくみが必要だ。

 「そのしくみの主役が、ミトコンドリアです」と、今月のカラダガイド、東京都健康長寿医療センター研究所の田中雅嗣さんは話す。ミトコンドリアと代謝や寿命の関係を研究する、この分野の第一人者だ。

◆「電子」の流れで動くミクロのポンプ

 「ミトコンドリア」は、細胞の中にあるごくごく小さな袋だ。大きさがおよそ1マイクロメートルほど(1ミリメートルの1000分の1)。人間の細胞はだいたい数十マイクロメートル程度なので、細胞を高性能の顕微鏡で観察すると、その中に点々とシミのように見えるという。

 「基本的にすべての細胞に、ミトコンドリアがあります」。平均すると細胞1個中に数百個ほどあるという。「エネルギーをたくさん使う細胞ほどミトコンドリアも多い。拍動を続ける心臓の筋肉細胞は、ミトコンドリアでびっしりですよ」

 では、どんなやり方で、“マイルドにエネルギーを取り出す”のだろう。カギを握るのはミトコンドリアの「膜」だという。ミトコンドリアは、2層の薄い膜で包まれている。外側の膜は滑らかだが、内側の膜は複雑に入り組んだ形をしている。「内側の膜に、膜を貫通するように穴の開いたタンパク分子がたくさん埋まっています」。この穴あきタンパクは、水中に溶けたプロトンという小さなイオン粒子を通すことができる。

 さて、胃腸で消化・吸収された栄養成分(炭水化物、脂肪など)は、やがて細胞に取り込まれる。そこで徐々に分解されながらミトコンドリアに入り、さらに分解されて、最終的に多数の「電子」を放出するという。

 放出された電子は、前出の図1の赤矢印を通って流れる。するとこの穴あきタンパク分子は、ちょうどコンセントにつないだ電動ポンプのように「ウィーン」と動き始めるらしい。

 動き出して何をするのか? 「2層の膜の間に、プロトンをくみ出すのです」。すると、この2層のすき間で、プロトン濃度が高くなる。一方、右端にある別のタンパク分子には、すき間→内側向きのプロトン流が生じる。この流れを利用して、ATPという高エネルギー分子が合成される。筋肉や神経など体の中の活動はすべて、このATP分子のエネルギーでまかなわれる。いわば、食べ物由来のエネルギーを体内利用向けに変換した「エネルギー通貨」だ。

 「膜の面積が広いほど、ATPをたくさん作れます」。内膜がうねうねと波打っているのは、少しでも面積を稼ぐため。全身のミトコンドリア内膜総面積は、なんと東京ドーム数個分に及ぶ。こんな大規模な仕掛けが、細胞の中に隠れているのだ。

 ところで、ミトコンドリアの起源は細菌だったと考えられている。太古の昔、何かの事情で我々の祖先の細胞内に寄生した細菌の仲間が、そのまま住み着いてしまったらしい。「運動で鍛えると、筋肉中のミトコンドリアが細菌のように分裂して数が増えるんですよ」(田中さん)

 「ミトコンドリアが多い体は、代謝が高くて太りにくく、健康的」と話す田中さん。最後に意外なことを教えてくれた。

 「それに、ミトコンドリアが多い肉の方がおいしいのです」。お好みはカモの胸肉だそうだ。なるほど確かに、何だかみっしりつまっていそうです。