自然治癒力

自然とは、
おのずからそうなっているさま。天然のままで人為の加わらないさま。あるがままのさま。
・哲学上(physisギリシア・naturaラテン・natureイギリス・フランス) 人工・人為になったものとしての文化に対し、人力によって変更・形成・規整されることなく、おのずからなる生成・展開によって成りいでた状態。超自然や恩寵に対していう場合もある。
・おのずからなる生成・展開を惹起させる本具の力としての、ものの性。本性。本質。
・山川・草木・海など、人類がそこで生れ、生活してきた場。特に、人が自分たちの生活の便宜からの改造の手を加えていない物。また、人類の力を超えた力を示す森羅万象。「自然破壊」「自然の猛威」「自然の摂理に従って生きる」

治癒とは、
病気やけががなおること。

力とは、
物理学上静止している物体に運動を起し、また、動いている物体の速度を変えようとする作用。ベクトル量で、単位は国際単位系ではニュートン(N)。電力・馬力など、エネルギーまたは仕事率(動力・工率)の意に用いることもある。
・気力。精神力。根気。精根。
・能力。力量。実力。
・たよりとするもの。よりどころ。

つまり、生物体に元来備わっている、外傷組織の自己修復能力や罹患した疾病からの自己回復能力のことで、 生物の恒常性(ホメオスタシス homeostasis)の一側面ととらえることができます。

恒常性(ホメオスタシス homeostasis)とは、
(ホメオは同一の、スタシスは状態の意で、アメリカの生理学者キャノン(W. B. Cannon 1871〜1945)の命名によるもので、 生物体の体内諸器官が、外部環境(気温・湿度など)の変化や主体的条件の変化(姿勢・運動など)に応じて、統一的・合目的的に体内環境(体温・血流量・血液成分など)を、ある一定範囲に保っている状態、および機能をいい、哺乳類では、自律神経と内分泌腺が主体となって行われます。
後に、精神内部のバランスについてもいうようになりました。

この自然治癒力という言葉を最近見聞きする機会が多いことと思いますが、近年の造語のようで正式な辞書には掲載されていません。
また、どうやらちまたでは自然治癒力の言葉本来の意味を離れて、反乱多用されているようで、医薬品や健康産業の売り上げ上昇のキーワードになっているというのは、誠に皮肉な話と言うほかありません。

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