◎ はじめに ◎

ここで取り上げる(漢方医学)とは、古代中国哲学を思考基盤とした(鍼灸)・(湯液)〔毒薬〕・(動因)〔按摩他〕を総称したものを指します。

     鍼治療って何?

 鍼治療とは、体の特定の場所に金属の細い鍼を刺して病気や症状を抑えたり治したりするものです。
 昔々外傷や病気のときに痛む場所を手や手近に有った片石などを当てたりすると和らぐことに気づいて、
いろいろな病気の種類や方法を経験の中から知識として蓄積して行くうちに、ツボと言うものを夛久さん発見して、
それが川の流れのように何本かツボを繋ぐように全身を巡っていることにも気づきました。
その流を始めの内は鋭利な片石で・やがて加工技術が発達すると共に細い金属の鍼を用いてツボに刺激を加えることで、
よりいっそうその治療効果を徐々に高めて行くようになりました。
其のうちに自然の動きを理解するための様様な哲学理論が勃興するようになり、
やがてそれらの理論と鍼の運用とが結びついて理解され整理されるようになりました。

このような鍼の発展段階は、現在の鍼の運用方法にも消えずに残されています。
鍼を勉強している人が先ず始めにできる簡単な鍼の運用方法として(痛をもって癒と成す)と言う、痛みのある部位に直接鍼を刺入する
方法がそれです。
この方法は、広く治療院を始めとして現在は病院の整形外科などの機能回復訓練などにも用いられています。
これは鍼の作用によって、一時的に痛みをブロックしている間に、体の事故回復機能の働きに期待する治療法で、
利用範囲は広いもののトラブルの本質に迫る治療法では無いので、あくまでも自己回復能力の補佐的な役割を果たすに過ぎません。

次に挙げられるのは、特定の症状や病気に効果が認められるツボヲ利用する(特効穴治療)と呼ばれる治療法です。
これは、胃痛のツボ・腰痛のツボ・眩暈のツボ・せき止めのツボというように、痛みだけではなく、眩暈・せき・下痢や便秘などいろいろな
症状にの効果の有るツボヲ数多く覚え利用する事で対応しようとする前述の治療法を発展させた者ですが、多くのツボのち識が必要に
なるのに比べその効果には個人差が多く見られまだまだ満足の行く治療法とはいえず、これもまたトラブルの本質に対する治療法では無く、
しばしの間選択的に症状を抑える事によって、自己回復能力を最大限に発揮させるための補助的な役割を期待する治療法といえるでしょう。

次に挙げられるのが、痛みの有る場所ではなく離れた場所のツボを利用する治療法で、体のいたむ場所の反対側、右ならば左に・
左ならば右に・上ならば下に・下ならば上に刺入するという治療法です。
これは患部を直接刺激しないため、体に対するダメージが少なくてすみ、人体の生命活動の平行を保つという哲学理論とも合致する
治療法です。

今述べた哲学理論と言うのは、(気・陰陽・五行)という三つの理論で、これらを駆使して複雑な病理現象を解明し・適切な治療方針を
導き出し・個々人に合った刺激料をコントロールするという一連の治療の基礎となる理論です。
この理論をどのように解釈し・運用するかによって様様な流派が生まれてくることになりました。
其のうちツボヲ「結計落)の(気血の虚実){そこを流れるエネルギーの過不足}を調整することを目的とした治療法を一般的には
(計落治療)または(漢方鍼治療)と呼ばれています。

この流とは別に、西洋医学的アプローチによる鍼治療があります。
これは、最近になって薬や外科的な治療法に限界を感じている一部の医師やスタッフの中から生まれてきた流で、
最新鋭の検査機器を導入し人体に対する鍼刺激がどのような作用を及ぼすかと言う実験による基礎データを新たに蓄積して西洋医学の現場に
優効な治療法の一手段として導入しようとするものです。

鍼師が医師と一銭を劃して独立した一個の治療家として生き残って行くためには、前述の哲学理論に則った鍼治療を学習し技術を練磨する
必要があると思います。
なぜならば法律上医師と並んで鍼師は診断を下すことができること・それに巨額な施設機器が不用であることが上げられます。
その代わり最新鋭の検査機器に変わる、患者の表す微妙な心身の変化を見逃すことの無い研ぎ澄まされた五感を養うこと・そしてそこから
得た情報を的確に分析するための漢方医学に習熟する必要が求められます。
何れを選択されるかはそれぞれ個人の裁量に任されているのでしょうが・・・。

ここからは、計落治療・漢方鍼治療の概略を簡単に紹介して行くことにします。


    特徴
1) 我々が普段耳にする病名や症状に対応した治療があるのではなく、その病気や症状がどのような原因によって引き起こされたのか?
罹患部位はどこか?どのような性質状態にあるのか?を気・陰陽・五行理論を駆使して診察分析することによって、患者の全身状態を
相対的に把握して、生体に負担を掛けることなく、生命が本来備えもつ自然治癒力を最大限に発揮させることによって病気の回復や
症状の軽快をはかる治療法です。

2) 人間も自然界の一部として様様な時間のリズムの影響下に有ると考え、それぞれの時間や季節の持つ性質に同調することが、健康に
過ごすことができる大前提と考えて診断治療を行います。つまり、昼には昼の夜にはよるの・春には春の夏には夏の・・・というように、
生体は常に時間のサイクルに合わせて盛衰変化しているものとしてとらえています。

3」 それでは鍼治療は病体に対してどのように作用するのかといえば、[虚実]という体内を循環する[気血]というエネルギーの
過不足を、補捨という方法を駆使して正常に回復させると、病因によって引き起こされた自然治癒力の変調や減弱が、回復再生し
発揮されることになり、その結果として病気の本体を自力で排除できるようになるのです。

4) あくまでも生体には負担を掛けてはいけないという観点から、当然はりの刺入に際しては無痛であることは勿論のこと、
蚊が留まるようにと古人が述べたように接触感も与えないようにします。そして一瞬の変化にも対応できるようにそして微妙に刺激料を
調整できるように皮膚に接触する前から抜き取るまでの間は、てから離さないようにして用います。

5) 漢方医学では、肉体も精神も密接な関係性を持っていると考えており、診断治療の中で精神状態の把握は極めて重要な要素として
とらえられています。精神的なストレスが胃潰瘍を引き起こしたり、体長不良から精神の平静を失うことなどで一般的にも受け入れやすい
考え方では有りますが、漢方医学では学問的に整理された理論の本に詳しく解釈されています。

 このような特徴を有する漢方〔経落〕治療の技術や知識を収得するためには、全ての基礎となる自然観を的確に理解する事がどうしても必要になってきます。
ここで言う自然観とは、鍼の発生進化と共に発展してきた所謂古代中国哲学の事であり 気・陰陽・五行に代表される運用のための
基礎理論や、この世界をそれぞれの目的によって 時間と空間・天と地と人・気と形と性質などの条件要素に分類する考え方など、
現在の私たちが学校で学ぶ知識や自然観とは異質な部分も多々ありますが、実際の現象や患者さんの診断治療などの分析や理解する際には
光や熱や運動を理解するための物理学や論理的思考を展開するための数学などの知識も必要となります。

この漢方〔経落〕鍼治療は、色々な面で問題を抱え過渡期にある医療現場において可能性に満ちた興味深い治療法ではありますが、
学習テキストが漢文表記であり、文科系の知識と自然科学といった理科系の知識の療法が求められ、親しみ難くなかなか普及しないのが現状です。
 このような難点を克服し、出来るだけ身近な物として理解できるようにポイント別に説明して行くことにしましょう。







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  更新日・・・2001年3月30日

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