晟俳句集5

 

 

 

 

 

 

あきら俳句集

 

第五集

 

平成十一年一月

破魔矢持つ児を背車に人の波

電卓で年玉加算孫の知恵

願い事無きもめでたき初詣

福笹が団栗橋で立ち往生

ひよどりが天振り仰ぐ寒の入り

引き潮にシギら沖へと移動せり

風邪最中うどんの湯気に顔かざす

鵯と目白ニアミス狭き庭

初雪や置き自転車に降りかかる

初雪も朝には消えて夢のよう

 

 

平成十一年二月

日本中だるまばかりの雪予報

雪予報はずれて庭に陽の溜まる

屋根の雪三日目に消え青天井

近頃は朝寝続きで外は雪

セキレイが二羽いて湖岸雪原野

トイレまであと一息の雪の道

鴨川の鳥軽くなり春はそこ

立ち話するひと増えて春間近

風邪抜けず二羽のメジロをガラス越し

電話先やはり風邪だと咳の音

 

平成十一年三月

洗顔を冷水でする今朝の春

初鳴きを隣の人にも知らせたい

春寒に灯油さらえて使い切る

春彼岸人込み抜けて墓の前

春彼岸昔ながらの団子店

雨やまず芽吹き激しい庭青木

ぼくも樹も一つ年取る花つぼみ

長雨の音の途絶えた枕元

春選挙雨足分けて耳元へ

露地からも駆け出してくる新入生

 

 

 

平成十一年四月

花便り聞こえてきても腰痛む

北は雪南は桜中は風

花の道通り抜けてのとんび空

切り花の桜を捨てる収集日

今日の比叡雪消えており裾の花

風光る御池通りの模様替え

古木にも青葉噴き出す鳥巣穴

オオルリがやってはました青紅葉

昼寝してナイトゲームに備えおく

椋鳥の体埋まる春野原

 

平成十一年五月

人の住む気配はなくて麦の秋

野の墓に蓮華畑の供え物

北陸のからすも黒い春の旅

鴨川の日差し新し鳥帰る

羽咋(はくい)には水鳥残る曇り空

輪島にてホウボウ美味い朝ご飯

半袖にセーター羽織る洋上船

旅終えて内湯に浸る初夏の昼

渓流音かき消すばかりミソサザイ

空リフトばかり登って夏の山

 

 

 

平成十一年六月

クリンソウ人目はいらぬ蝶の舞う

ユキノシタ雪のごとくに山の寺

梅雨一服増水の池蛇泳ぐ

サンコウチョウの水浴び涼し醍醐寺

ジュンサイの緑の敷布糸かがり

ヒメコウホネ化石の花と思わずに

ノアザミやトラックの泥かぶり咲く

カタバミを踏みし片足持ち上げる

一面のミゾホオズキに山とかげ

荒降りに話聞こえぬ隣傘

 

平成十一年七月

近づくにつれ雲消え果るヒメジョオン

青空に蟻這い登るノゲシかな

裏塀にドクダミ登る一軒家

雨模様急ぐ山路にキンポウゲ

ヘビイチゴ実と花と葉の信号機

木漏れ日にコナスビ咲いてあと一里

醍醐寺の鐘鳴り止みぬユキノシタ

虹とかげ尻尾隠せりワルナスビ

ツユクサを見つけて妻に手を上げる

なるほどとハキダメギクの咲き所