子供の話

 

 

 

 

 

 

2002.7.9掲載開始 

子供たちのお話集

長男が小学校一年生、長女が幼稚園児のころに、

遊びの中で、私が聞きとって書きとめておいた

たどたどしい「お話」集です。 

 

川 村 あきら 編

 

第一章 天国と死について

 

七夕の由来を父親が話してやったところ、

一年坊主の太郎がケゲンそうに、

「お空のお話が、なんで地球に聞こえて来たん?」

と訊くんです。

 

あれれとうらら (かなこ)

 

「あれれ」と「うらら」という姉妹がいました。二人のお母さんはもういなかったのです。

ある日、雪が降ってきて、そして、雪がお話を告げました。

「お母さんが今戻ってきましたよ。」

すると、目の前にお母さんがいたのです。

「さあさあ、きれいなおうちに連れて行ってあげよう。」

「でも、あれれ・・」

と、うららが言いました。「わたしのお母さんとちょっと違うなあ。」

「そうかなあ。」

「でも、まあいいや。」

お母さんが雪傘をさしてくれました。

「さあ、おはいり。」

それはとても大きくて、みんながはいれたのです。あれれと、うららと、お母さんと、いっしょに歩いて行くと、やがて、きれいなおうちが目の前に現れました。あれれとうららがはいって行くと、本当のお母さんがそこにいました。大きな天のおうちでした。

 

ゴキブリ (かなこ)

 

ゴキブリは、いつも台所で散歩していました。

ある日、人間に見つかって、踏まれて殺されてしまったのです。

天国に行くと、ごきぶりはもう散歩しても誰かに踏まれたりしません。

でも、やっぱりおうちに帰りたかったので、

「おうちに帰してください。」

と神様に頼みました。でも神様は、

「帰してやりたくても、天国に来たらもう帰れないのだよ。」

と言いました。ゴキブリは、自分一人で帰ろうかなあ、と考えました。どうしようと思ってもどうしようもなかったので、とうとう諦めました。

いつの間にか、ゴキブリは人間の子供になっていました。人間になって散歩しながら、よかったなあ、と思いました。

 

 

 天国てどこにあるの?と、かなこに私が訊く。

 「空の向こうの、雲の向こう!」と答える。

 ・ ・ ・「地獄は?」

 「お墓の下。」

 

 

かなこの帽子 (たろう)

 

「かなこ」という名の女の子がいて、その子は、トメを一番大事にしていました。

いつも頭にパチッと止めて、

「お花のトメですよう!」

と自慢するんです。だから、かなこは帽子が大嫌い。

ある日、お母さんとかなこが帽子をかぶって出かけました。すると風がすうっと吹いてきて、帽子がふわっと飛んで行きました。それから、どこかへ見えなくなってしまったのです。

どこへ飛んで行ったかと言うと・・

それは神様が欲しがっていたので、神様が取って、自分の娘にやったのです。

 

色鉛筆の兄弟 (たろう)

 

色鉛筆は兄弟が二十四人いて、箱の中に住んでいました。そこは真っ暗闇です。どうしてかというと、色鉛筆のおうちは男の子の机の中にあったからです。

たった一度だけ、本に落書きするのに、男の子が引出から出して使ってくれただけで、赤鉛筆も青鉛筆も黄色鉛筆も、「ああ、出たい、出たい。」と、毎日思っていました。

ある日神様にそう頼むと、

「よし、七月十五日に外に出してやろう。」と約束してくれました。

やっと七月十五日になりました。外は雨が降っていたけれど、それでも鉛筆たちは喜んで、雨に伝って天に登って行きました。天に着くと、一面の白い雲です。鉛筆たちは雲に絵を描きました。キリンやオオアリクイの絵を描きました。

 

 

ふいに、かなこが・ ・ ・

「カバさん大好き。そやかて、カバさんはなにも

食べ殺さへんもん!」

            

 

モン吉という名のトラ (たろう)

 

あるところに「モン吉」という名のトラがいました。モン吉のお兄さんは死んで天国にいます。

ある日森に行くと、ウサギがやって来たのです。モン吉は捕まえてお昼の時間に食べようと考えました。ウサギはびっくりして、

「食べないでください!」と頼みました。モン吉はお腹がへっていましたが、しかたなく自分の足や手を食べておくことにしました。まず、手の指を骨ぐち食べました。それから左手全部をたべました。次に足も食べているうちに、だんだん気が遠くなってきました。そして、天国へ行きました。

天国では兄さんのトラが、「モン吉、モン吉。」と呼んで迎えてくれました。

 

シャム猫とブランコ (たろう)

 

ある家にシャム猫が飼われていて、それはもう大分おじいさん猫でした。

ある日のこと、台所を通り抜けようとして、うっかりネズミ取りにひげを引っ掛けてしまいました。引っ張ると、三本も大事なひげが抜けて、夜になると、あたりにコッツンコしてばかりでした。

次の日のこと、庭の木に登って行く途中で、カミキリ虫にまた三本ひげを切られてなくしました。その晩もコッツンコ、コッツンコして、たんこぶが二段こぶから三段こぶもできたのです。

それからはもう庭でブランコに乗って暮らすようになりました。

なん日か経ったある日、家が火事になって、人は全部死んでしまいました。シャム猫とブランコだけが残ったのです。自分も大やけどをしていました。もうそろそろ天へ行く時だとシャム猫は思いました。

やがて、ブランコに乗っていると、ふわっと体が浮かんで、天に行きました。

 

 

・ ・ ・死んだらどうなると思う?・ ・ ・

たろう「骨になってお墓に埋められる。」

かなこ「天国に行って神様の子供にされる。」

 

 

けんかばかりする姉妹 (かなこ)

 

あるところにお母さんと子供たちが住んでいました。子供というのはお姉さんと妹のきょうだいです。

二人はいつもけんかばかりしていました。けんかをすると、お母さんがお菓子をくれないので、いつもいつもお菓子を食べられません。パンもご飯も野菜も玉子も食べられなかったのです。

「わたしの。わたしの。」

「違う。違う。」

とけんかばかりするからです。

アメチョコやら、ふうせんガムやらが食べられないので、歯がとても丈夫になりました。でもご飯もたべられないので、病気になって、二人ともとうとう死んでしまったのです。

お母さんは死んだ姉妹のお墓にお菓子と野菜をあげました。それから、今住んでいる家を壊してぴかぴかにして、お母さんだけ一人で暮らしましたとさ。

 

木 (たろう)

 

お山にとても背の高い木が一本、地面から生えておりました。見るからに頑丈そうで、木の汁もたくさん出て、カブトムシやカナブンがよく来るのです。

ある日、雨が突然降らなくなりました。すると木の汁が出なくなって。虫たちも来なくなったのです。いつもの冬には虫たちが幹に穴を掘って冬越しのおうちを造るのでした。冬になっても今はもう虫はいません。

木は寂しくなりましたが、もっと寂しがっているのは、木の葉です。一枚ずつ寂しがっていました。木の幹には字が書いてあって、それは「山」という字と、「川」という字でした。きっと一年生が書いたのです。字も寂しそうでした。雪が積もり始めました。木はだんだん細くなって行くようで、心細くなってきました。いつまでも冬が続いて、晩になっても雪が降っています。昼間に目を覚ましてみると雪だけが見えました。

やがて春になったけど、クワガタ虫もカブト虫もとうとう来ませんでした。

ある日、きこりのおじさんがやって来て、木を切り倒して行きました。それで、木は死んで、百歳で終わったという話です。

 

以下2002.7.18追加更新

第二章 争い、または戦争

  

 

「わたし、ええ馬?悪い馬?」

かなこはヒノエウマなんです。

「そら、ええことしたら、ええ馬やし、

悪いことしたら悪い馬や。どうして?」

「そやかて、ふみちゃんが自分のこと、

お嫁に行けん馬や言うてはった!」

  

 

ボスの子馬 (かなこ)

 

あるところに意地の悪いおさむらいがいました。おさむらいは、隣のボスの子馬が大嫌いで、いつか刀で切って、殺してしまおうと思っていました。子馬もおさむらいが大嫌いなので、おさむらいが来るたびに、足で蹴ったり、噛みついたりして、やっつけるのでした。

幾日もたちました。その幾日目におさむらいは、今度こそ隣のボスのところの強い子馬をやっつけようと思ってやってきました。でも、子馬はそれを知っていて、

「来たな!」

と叫ぶよりも早く、蹴って倒して、とうとうおさむらいを死なせてしまったということです。

 

 

悪者さむらい (かなこ)

 

むかし、悪いおさむらいがいました。おさむらいは、赤ちゃんでも誰でも、人を殺していたのです。みんなは困って、どうしようかと考えたけど、いい考えはありませんでした。

やっと考えが浮かびました。あのやつは朝になったらやって来るのです。だから、朝ご飯を食べてから隠れようと決まりました。いつも朝の十時にやってくるのです。それで、ふとんを入れる押入れに、赤ちゃんもみんなで隠れました。

十時になっておさむらいがやって来ました。

「おや、みんなどこへ行ったのかな。」

とキョトキョトとしました。庭のブランコに子供が乗って揺っています。

「やつらはどこへ行った!」

「知らないよ。」

「本当か?」

「本当だよ。」

と子供が言いました。押入れのみんなはそれを聞いていました。それから音がしました。もう帰って行く音でした。隠れていたみんなが覗くと、おさむらいはまだ玄関にいました。こちらを見付けて、

「やや、ふとんのとこにいたな!」

と言いました。それを聞いたみんなが戸を押さえて開けられないようにしましたるおさむらいは開けようとしても開けられないので、家来の者を十三人と十五人も呼んできました。まだ開きません。おさむらいと家来がどなりました。みんなは黙っていました。とうとうおさむらいは誰も殺さずに行ってしまいました。

 

 

「ニュースなんか、かなこにはまだよう分らんやろ。」

すると、かなこは膨れっ面で、

「双子が首絞められて殺されたんやてえ。よう分るわ。」

 

 

お魚のきょうだい (かなこ)

 

お魚のきょうだいのうちで、最初に生まれた男の子はサメに食べられて死んでしまいました。

次に生まれた女のお魚は、いなかに住んでいて、いなかで戦争があったので、殺されて死んでしまいました。

次の男の子は病気にかかって死んでしまいました。

お魚たちのお母さんもサメに食べられて死にました。

お父さんは悪い薬を飲まされて死にました。

最後に残った一番下の女の子も、やっぱりサメにかじられかけになったのです。でも、大急ぎでお魚の病院へ行って、眠り薬と目開け薬を混ぜて飲んだので、朝の八時になると目を開けて生き返りました。

生き返ってからはまた、毎日泳いで暮らしました。

 

桃太郎 (かなこ)

 

むかしあるところに、桃太郎という男の子がいました。

桃太郎がある日散歩に出掛けると、向こうから女鬼がやって来ました。それは鬼の女王です。桃太郎を見つけると、戦う決心をして、さっそく家来を連れてきました。桃太郎も大急ぎで犬と猿を呼びました。でも、犬は病気で来られないし、猿は戦うのが嫌になっておうちに隠れていました。キジだけががんばって飛んできて、羽根をパンパンしてやっつけたので、とうとう桃組が勝って、鬼組が負けたとさ。

 

 

ヤドカリンという怪獣がウルトラマンの剣で突き抜かれるのを見て、たろう、

「中の人どうなるんやろ。」

 

 

ケズラー (たろう)

 

鉛筆削りの顔は怪獣の顔によく似ていました。

うちの人たちはこれに光を当てるとだめだと言うのです。子供は当てたくてたまりません。とうとうがまん出来なくなって光を当ててしまいました。すると、鉛筆削りがどんどん大きくなってきて、手や足が出てきました。そしてケズラーになりました。人間を捕まえて口の中にねじ込んで鉛筆にしてしまうのです。ケズラーは、子供のいる家を順番に回って、そこの家の鉛筆削りに光を当てていきました。どんどんケズラー怪獣が増えていきました。そんなふうにして、世界中をケズラー怪獣だらけにして征服しようと思ったのです。

人間は戦車で向かって行きましたが、ケズラーは戦車も捕まえて削ります。とうとう世界中を壊して、ケズラー怪獣の世界にしてしまったので、人間は火星へ逃げて行って火星人になりました。

地球はケズラー星という名になって、、ほかの動物は全部死にました。宇宙人も怖がって来なくなり、やがて、ちぎれてなくなりました。

 

 

怪獣戦争 (たろう)

 

町で女の人が編み物をしていると、編み棒の頭から目玉がニョキッと出たので、女の人は、

「助けてえ!」

と叫びました。編み棒は飛んで行って、女の人に突き刺さりました。どうしてかというと、いつも女の人が編み棒に仕事をさせていたからです。女の人は死んでしまいました。どこのうちの編み棒も飛んで行ってみんなを殺しました。編み棒はどんどん大きく成長して、ロケット弾になって、方々で爆発しました。日本の町はそれで、戦争は全部編み棒に任せることにしました。

山のほら穴にはハナゴンが住んでいました。ハナゴンは花をいっぱい食べる怪獣です。どんな花かというと、ナンデモ花です。花を食べてどんどん大きくなって、山じゅうを荒らし始めました。

そのうち、町の編み棒怪獣と山のハナゴン怪獣が大げんかを始めました。日本が戦争を怪獣たちに任せたので、人間は全部殺されてしまい、大嵐になって世界中がめちゃくちゃになりました。今度は木の怪獣、次が風の怪獣、どんどん怪獣ばかり増えて、世界の恥になりました。そして世界中がちぎれて、やがて怪獣も死んでしまいました。

 

 

子ザメとクジラの決闘 (たろう)

 

海の底のほら穴にサメのお母さんが卵を生みました。やがてそれがかえると、お父さんとお母さんが子供の育て方のことでけんかを始め、それから毎日けんかばかりしていました。

でも子ザメがが大きくなって自分で餌を探すようになると、お母さんたちはもう子供の育て方のことでけんかするのは詰まらないと思ってやめました。

ある朝のこと、クジラがのっそりと泳いで来ました。

「やい、食いしん坊。」と子ザメが言いました。

「なに、生意気!おれと決闘する気かい。」とクジラが言い返しました。

「よし、やろう。」

二匹が決闘を始めると、ほかの魚たちも見物にやってきました。勝負はすぐつきました。やっぱりサメが勝って、クジラは泣きながらのそのそ逃げ出して行きました。

 

 

以下2002.7.28追加更新

第三章 世の中は広いということ

  

 

冒険というのは、人がまだ行ったことがないとこへ行ったり、

したことのないことをすることだと教えると、長男が、

「そんなら、悪いこと?」

 

 

キリンの冒険 (たろう)

 

森のキリンは一度本当の冒険をしたいと思っていました。ある日そうすることに決心しました。

キリンは、森のはずれの方に歩き始めて、やがて虫たちの住んでいる木の側を通りかかりました。

「キリンさんこんにちわ。」とカミキリムシが声を掛けました。「どうしてここへ来たの?」

「冒険に来たんだよ。」

「もうあんまりあっちこっちへ歩いて行かない方がいいですよ。お腹を空かしたトラがいるから。」

カミキリムシはそう言って飛んでいきました。キリンは冒険に来たので、忠告を聞かずに首を伸ばしてそのまま歩き続けました。

すると、トラが大きな口を開けて出てきました。キリンがすばやく木の影に隠れて木に化けると、トラは化かされて通り過ぎて行ってしまいました。

今度は猟師がやって来ました。猟師はキリンを捕まえてお肉にして食べるつもりでいたので、見つけるなり鉄砲を狙って打ちました。キリンは大急ぎで駈けました。でも弾の方が早く飛んで来たのです。キリンはケガをしながら一生懸命に駈けました。やっと殺されずに助かりました。

キリンは元の森に帰ることにして、びっこをひきながら帰りました。その森でキリンは死ぬまで暮らしました。

 

 

おじいさんと豚 (かなこ)

 

あるところにおじいさんが一人おりました。おじいさんは豚を一匹飼っていました。豚の名前は次郎というので、「ジロー、ジロー」と可愛がっていました。

ところが、町の人は次郎をとてもこわがっているのです。どうしてかと聞くと、豚のくせに頭の真中に角を生やして、とても怒り虫だとみんなが言うのです。町の人たちはおじいさんの家の前をあまり通りません。

ある日のこと、おじいさんと豚が急にいなくなったのです。留守の間に、みんながおじいさんの家を調べると、すごいオンボロでした。

おじいさんと豚が、宇宙船に乗って飛んで行くのを一人が見ていたので、町の人たちはおじいさんを探しに、ロケットで月へ行きました。でも、月中探してもおじいさんはいませんでした。

おじいさんと次郎は火星へ行ったようです。地球にいたらいいのに行ってしまって、もう帰って来ないのです。

 

 

大きくなったら何になるの?

すると、かなこ。

「ちょっと大きなったら学校に行って一年生になる。

もっとお大きなってお姉さんになったら結婚する。

それからお母さんのお手伝いするの。」

 

 

お猿のチー子 (かなこ)

 

はじめ、動物園にお猿のチー子がいました。チー子は、一度村へ行けばいいことがあるかもしれないと思いました。そこで、動物園のおじさんにそう頼みました。

「じゃあ、来年になったら帰っておいで。」

とおじさんが言いました。

チー子は電車に乗って村へ行きました。村でキャッキャッと踊って暮らしました。

やがて、来年になったので、チー子が元の動物園に帰ることにすると、村の人はバイバイと言いました。

動物園に帰ってからチー子は、村の人に手紙を書きました。

「元気に暮らしています。」

と書きました。それからチー子の絵と動物園のオリの絵を描いていつしょに送りました。

 

 

さる吉 (たろう)

 

山小屋のおじさんの家に、お猿のさる吉が住んでいました。さる吉はとても忘れっぽくて、今日も仕事に行くことを忘れてしまい、気が付いた時にはもう時間が過ぎていたのです。仕事というのは、えさ拾いの仕事でした。

「もうお前は出て行きなさい。」

と言われて追い出されてしまいました。お医者さんに聞いてみると、忘れ病だということです。一人で山を歩いて暮らすようになって、食べ物は自分で探しました。冬になると、どうしようもないので、自分で小屋を造りました。冬の食べ物も慌てて集めないといけません。間もなく雪が降ってきました。さる吉は食いしん坊なので、蓄えの食べ物を二日で食べてしまい、次の日からは木の皮を食べることになりました。皮をはがされた木は、

「寒い、寒い。」

と文句を言います。木の皮もとうとうなくなって、お腹がぺこぺこになりました。やっと春になると、雪の解けるのを待って、木の実を拾ってお腹いっぱい食べました。

春から今度は夏がやって来ました。セミが鳴いていました。一人ではさびしいので、熊さんに頼んで泊まらせてもらいました。しばらくしてから、

「長いことありがとう。」

と言って、さる吉は今度は町へ行くことにしました。町には自動車や地下鉄が通って賑やかでした。それからは町でずっと一人で暮らしました。

 

 

「みやこ」というのは、国の中心のこと。

今は東京だが、昔は奈良だったと教えると、たろう・・

「奈良が東京やったの?奈良に東京タワーがあったの?」

 

 

アヒルの子 (かなこ)

 

アヒルの子が道を歩いて来ました。子供たちが集まってきて、みんながアヒルの子を欲しがったので、じゃんけんで負けた人が貰うことに決めました。よしこちゃんが負けたので、アヒルの子を持ってかえりました。よしこちゃんのお父さんが、アヒルの家を作ってくれました。でも、アヒルの子は自分のおうちに帰りたくて逃げ出しました。アヒルはアヒルの汽車に乗って遠いところへ帰って行きました。おうちにはお友達がぎょうさんいたからです。お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも全員いたからです。おうちに着くと、

「お母ちゃーん!」

と泣き出してしまいました。アヒルのお母さんは、

「どうしたの?」

と言って、アヒルの子をレストランに連れて行ってくれました。

  

 

以下2002.8.8追加更新

第四章 お金持ちと貧乏と

 

 

たろうのグチ・ ・ ・

ぼくの家には部屋が四つくらいしかない。

庭は日当たりが悪いし、お風呂もない。

向かいにはきれいな家があってうらやましい。

 

 

ガラスのおうち (たろう)

 

全部ガラスで出来ているおうちがありました。その家の名前は「五百万千万円」と言いました。お金持ちだから、なんでもかんでも買ってきては、きれいに飾っていました。お父さんとお母さんとお姉さんが住んでいました。お姉さんはあまりきれいではありませんでした。

ある日のこと、子供たちがやってきて、石をぶつけてガラスを全部割ってから、みんないっせいに逃げて行ってしまいました。それで、その家は、「はげちょろびんちょろ」になって、お姉さんも怪我をして死にました。そのうち、お父さんもお母さんもハゲになって骨になりました。

 

 

お魚売りのおじいさん (かなこ)

 

お魚売りのおじいさんがいました。おじいさんはお魚を飼っていて、それを売っていたので、少しずつお金が貯まってきました。お金はジャムの空き瓶に入れて仕舞っておいて、ジャムの瓶がいっぱいになると、今度はマーマレードの空き瓶に入れました。おじいさんの名前は、「お金持ちお料理博士」と言いました。お魚を買う人はなにもお金は貯まらなかったので、「貯まりません博士」と言いました。

「お金持ちお料理博士」はどれだけお金が貯まったかは、内緒にしていて言わなかったので、誰も知りません。

 

 

おじいさんとおばあさん (かなこ)

 

むかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。二人はいつもいっしょに山へ行って、食べ物を探していました。でも、昨日までに木の実も全部取ったあとなので、今日はなにも見つかりませんでした。おじいさんとおばあさんは、お金もないので、どうしようかと考えて、やっと知り合いのお金持ちのうちへ行って分けてもらうことにしました。二十円、五十円、千円と分けてもらったら、お金持ちさんの方のお金が少なくなりました。それで、お金持ちさんは、もうこれからは人にお金を分けて上げないことにしました。

おじいさんとおばあさんは、お金を持って帰りました、帰り道に、クリとお菓子を買って帰りました。

 

 

かなこが申します。

「泥棒さんは朝から来やへんの。

ご飯食べてから来るんや。」

 

 

泥棒さん (かなこ)

 

お金が財布にはいっていました。

すると、泥棒が靴がないかどうか見に来ました。玄関に靴が全部ないので、家へ入ってお金を盗って帰りました。それはお金持ちになるために盗って行ったのです。

次の晩にも泥棒がまた来て、お金を盗って行きました。その泥棒さんは、元は普通の人でした。一度泥棒になって人の物を盗ってから、働かないで楽をしようと思って泥棒になった人です。

そこの家の人はお金がなくなって、なにも買えなくなって困りました。それで警察に知らせると、警察は急いで外へ出かけて、泥棒をタイホに行きました。

 

 

(かなこの即興詩)

おじいちゃんの頭の毛はなんにもなし

お母さんのお腹はもうすぐ赤ちゃんが生まれるの

お父さんの足はおっきいけど、ボインはちっちゃいな

 

 

泥棒親子 (かなこ)

 

いつもピッピーといわせている人がいました。だれかと思うとお巡りさんでした。

お巡りさんの笛がある夜、一人で歩いて行きました。歩きながらピッピーと鳴るので、見張りの泥棒が驚いて、あたりを見回しました。でも、お巡りさんは見えません。ピッピー、ピッピーという音だけが聞こえてきました。泥棒は怖くなって、父ちゃん泥棒と母ちゃん泥棒に知らせようと思いました。そこへお巡りさんが笛を探しにやつて来ました。見張りの泥棒を見つけて、

「こら、泥棒だな!」

と怒鳴りました。それを聞いて父ちゃん泥棒が出てきて、

「この子はうちの子です。許してやつてください。」

と頭を下げました。

「あ!こっちが本当の泥棒だな。」

とお巡りさんが大きな声で言いました。父ちゃん泥棒と母ちゃん泥棒と子供の泥棒は逃げ出しました。

「こら待て!」

とお巡りさんが追っかけました。泥棒たちは家に駈けて帰って、急いで入口に鍵をかけました。

「開けろ、開けろ!」

とお巡りさんが外から戸を叩きました。そして、引っ張っても開からないので、

「また明日にしょう。」

と言って帰りました。

 

 

ラッパ先生 (たろう)

 

貧乏なおじいさんがいました。おじいさんの家はおんぼろでした。

ある日、すごい雷が落ちてきて、天井に大きな穴が明きました。するとその穴からラッパが降ってきたのです。おじいさんが吹くと、プーッとお金が千円出てきました。おじいさんがびっくりして、もう一度吹くと、今度は机と椅子が出てきました。そこでおじいさんは勉強を始めました。赤ちゃんの初めから、おじいさんはずっと貧乏だったので、学校へ行けなかったのです。

一生懸命勉強するうち、お金はみんなに分けることが大事だと思うようになりました。魔法のラッパを吹くとお金がいくらでも出てくるので、それをみんなに分けました。みんなはおじいさんのことを、「親切なおじいさんの、ラッパ先生」と呼びました。

 

 

花々じいさんの不思議な花 (たろう)

 

花々じいさんは貧乏です。でも、おじいさんは、お庭にいっぱい花を咲かせて楽しんでいました。その中に不思議な花が一つあって、朝になるとしぼんでいるのです。夜中に咲くのにちがいないと、おじいさんは考えて、こっそり夜に起き出してよく見ると、白い花が咲いていました。昼間でも暗い物置に入れるとパッと咲きました。

種を取って、もう一度育てると、今度は朝に咲きました。青色でぶらぶらゆれているのです。もう一度種を取って育てると、今度は昼に咲きました。赤い花がやっぱりぶらぶらゆれていました。その不思議な花の種を取って売ると、十万ドルに売れました。ぶらぶらするので、「ブランスの花」と名付けました。

 

 

誕生日が近付いたある日、母と子の会話・・

(たろう)お母さんには動物図鑑、お父さんにはゲーム買うてもらう!

(母)お母さんとお父さんはいっしょやで。

(たろう)おじいちゃんは?

(母)おじいちゃんは別や。

(たろう)へえ、おじいちゃん一人で可哀想、お金ないのに・・

 

 

髪どめ (かなこ)

 

女の子はいつも「とめ、とめ」と言っていました。でも、お父さんは、

「買うて買うて言うたら余計買うたらへん。」と言います。

はじめ、女の子はトメを十個持っていました。それでも無くすばかりで、お父さんもお母さんも買ってくれないので、とうとう全部なくなってしまいました。女の子は、早く大きくなって自分でお金をもうけて買おうと思いました。ご飯をいっぱい食べたので、とても早く大きくなりました。大人になるとたくさんお金がもうかったので、自分のお金でトメ屋さんに行きました。

「どれがいいかなあ。」

と見ていると、

「これがいいでしょう。」

とトメ屋さんが教えてくれました。桃色のさくらんぼうのトメでした。女の子はうれしくなって、ぴょんぴょん飛び跳ねました。

 

 以下2002.8.18追加更新

第五章 こわい話

 

たろうは夜一人でトイレに行くのが怖くて、

いつもかなこについて行ってもらいます。

「かなこ、トイレ行くの付いて来い。」

「いやや!」

「ぼくが付いてるさかい怖ないやろ。」

 

 

女ゆうれい (たろう)

 

夜、変な家に女の人の声が聞こえてきました。北風がびゅーびゅー吹いてきて、ちょうちんが動きました。その家には鉛筆がたった一本で住んでいたので、こわくて、筆箱にもぐり込んでいました。

次の日、消しゴムが遊びに来ました。鉛筆から女ゆうれいの話を聞くと、消しゴムは勇気があったので、ずっと起きて待っていると言いました。すると、夜中に、人がそこに立っていたのです。さすが勇気のある消しゴムも、

「助けてくれー!」

と逃げだしました。その家の裏にはお墓があって、こわい歌が聞こえてきました。消しゴムは鉛筆といっつしょに筆箱にもぐり込んで震えていました。

次の日、坊さんが来てお経を読みながら、お経を一冊埋めました。するともう二度とゆうれいが来なくなりました。朝になってよく見ると、画用紙に女ゆうれいの絵が描いてあります。ずっと前に鉛筆が落書きして忘れていたのです。消しゴムがそれを消してやりました。それから鉛筆と消しゴムはたいへん仲良しになりました。

 

 

気ちがいイノシシ (たろう)

 

山の奥に貧乏な男が一人だけで住んでいました。畑仕事をして、けものたちと遊んで暮らしていました。ある朝、イノシシがやって来て貧乏を殺してしまったのです。

次の日、イノシシの家へ貧乏がやって来て立っていました。それは幻です。イノシシは怖くてたまらないので、電灯を点けたまま寝ることにしました。でも、知らない間にだれかがパチッと電気を消すのです。よく見ると貧乏がそこにいました。刀で切ると、さっと消えてしまいます。イノシシはとうとう気ちがいになって、山のふもとの方へ走りだしていきました。

 

 

「恐る恐る、を頭につけて文を作りなさい。」

たろうの作文・・

「おそるおそる近よってみると、お母さんの死体が横たわっていました。」

先生の評・・

「間違ってはいませんが、△ということにしておきます。」

 

 

こわい出来事 (たろう)

 

ある日のこと、ねずみのチュー吉が散歩をしていると、知らないおじさんが来て、チュー吉にお菓子をくれました。次の日また知らないおじさんが来てアイスクリームをくれました。気味が悪くなったチュー吉はお母さんに言い付けました。また次の日、家の中で遊んでいると、変なおじさんが窓からはいって来て、チュー吉の口を押さえて、車に積んでグーンと行ってしまいました。町を越え、山を越え、海へやってきました。おじさんはチュー吉を海にはめようかと考えたようです。でもやっぱり別な方法がもっとよさそうだと思って、自分の家に連れてきました。毒を飲ませてから。効き目が回るまで椅子に鎖で縛りつけておきました。やがてどくが回ったのか、チュー吉はぐったりとなって死んでしまったので、おじさんはチュー吉の死体を山の頂上に捨てました。

その時、チュー吉のお母さんが警察に言い付けていたのです。警察はその悪者が、苗字がウソ、名前がワルイというウソワルイに違いないと言いました。その男を前から探していたので、ウソワルイはすぐに捕まりました。お母さんはチュー吉のためにお墓を作ってくれました。それでチュー吉はやすらかに眠りました。

 

 

おばけ時計 (たろう)

 

ある家で、夜中にふと時計を見ると、針が一本になっているのでした。朝になるとまた二本に戻っています。

「夢でもみているのかな?」

と、そこの家の人は考えました。すぐ警察に届けることにしました。

お巡りさんが夜になってやってきて、ずっと見張りをしていました。夜中になると針が一本すうっと消えるのです。お巡りさんが自分の家に帰ってみると、自分の家の時計も針が一本でした。たちまち世界中の評判になりました。

みんなが夜中に自分の家の時計を見ると、やっぱり時計の針が一本すうっと消えていきます。テレビのニュースがこの事件のことを伝えたので、世界中が恐ろしがりました。

話を聞いた学者がよく考えてみることにしました。

「それはきっと針が一本取れていたのを見間違えたのでしょう。」

やっとみんなも安心しました。そして、世界に平和が戻りました。

 

 

ブランコゆうれい (たろう)

 

ブランコ屋さんは毎日ブランコを作って売っていました。お店のブランコたちは、いつか売られて行くので、悲しそうな顔をしていました。

ある夜に、ブランコ屋さんが目を覚まして見ると、天井にぶらぶら顔が揺れているのでした。ギーコギーコと誰かがブランコに乗っている音もします。何回も何回も聞こえてくるのです。

次の晩も聞こえてきました。ぴゅーっと言いました。それから何かがドカンと落ちてきました。それはブランコゆうれいでした。

ブランコ屋さんはその晩から別の家に行って寝ることにしました。

 

 

母が洗濯しているところへかなこがやって来て、

「お母さん、おばけが洗濯機にはまったら

まっ黒になるんや。これアルビヤの話。おもしろい?」

 

 

ゆうれいのおうち (かなこ)

 

ぼろのおうちが一軒ありました。そこにゆうれいたちが住んでいました。なかでもフトンゆうれいは一番こわいゆうれいでした。驚かす時には目を横に引っ付かせて驚かしました。いつもは真中に目のあるゆうれいです。傘ゆうれいは、傘のところに目が一つあって、雨が降ると泣いていました。胴体は棒で、足は下駄をはいています。壁ゆうれいは、たくさん目で、のっしのっしと歩き回りました。ゆうれいたちはみんな、人を怖がらせて、仲良く暮らしていました。

ある日、一人で歩いている傘がいました。それは傘ゆうれいが散歩にでかけたのです。人が夜歩いて行くと、やっぱり一本で立っている傘がいました。それでみんなは、怖いので道を歩けなくて、家の中を歩くことにしました。警察だけが道を歩きました。

 

 

からすの歌 (かなこ)

 

〜からす、なぜ鳴くの〜

という歌が、いつも夜中に聞こえてくるのです。次の晩も次の番も聞こえてくるので、子供たちは怖がって早く寝ました。

また次の晩、今度は、

〜からす、なぜ鳴かないの〜

と聞こえてきました。すると、村のからすが鳴かなくなりました。

「あの歌のせいで、からすが鳴かなくなったぞ。」

と村の人たちは言いました。でも、どうしてその気味の悪い歌が聞こえてくるのかわかりませんでした。ずいぶん経ってから、やっと歌を歌うからすがその歌を歌っているのを、村の人が見付けました。それで、からすを捕まえて、「からす、なぜ鳴くの」を歌わせました。すると、からすが、「かあ、かあ」と鳴くようになったということです。 

 

  以下2002.8.28追加更新

第六章 ふしぎな出来事

 

 

かなこがふいに・ ・ ・

夢を食べると、口が夢になるの!

 

 

きれの魔法使い (たろう)

 

赤いきれやら、青いきれやら、ぼろぎれやら、きれがたくさんたくさんありましたのココロ。

ある日、きれの山がふわふわふわ、

「きれの魔法使いだぞう。」

と魔法使いになりました。

「みなさん今日わ。私は魔法が得意なので、魔法を見せてあげましょう。何を出しましょうか。」

「鳩を出してください。」

「はいはい、鳩出てこおい!」

するときれの中から鳩がぱたぱたと出てきて、飛び回りました。

「次は赤ちゃん出てこい。」

するとホギャーホギャーと出てきました。三つのきれを一つにすると好きなものが出てくるというので、村の人が、

「東京タワーを出してください。」

と頼むと、目の前にワアーッと東京タワーが出てきました。きれをパタパタするとなんでも出てくるのです。パタパタ旗が出てきました。

「次はね、おふとんを出してあげましょう。さあ出ろ!バンバンバン!」

おふとんが出てきましたるテレビも出てきました。望遠鏡も出てきました。

「もっともっと、いろんなものを出してください。」

と村の人が欲張りすぎたので、きれの魔法使いは急に全部片付けてしまいました。そして、魔法使いも元のきれに戻って、もう誰もいません。

 

 

アラビヤ人の踊り (かなこ)

 

アラビヤにいる男はいつも歌を歌って踊っていました。歌って踊っていたら、女のアラビヤ人がやってきて、二人はいつしょに踊りました。それから遊んで、また踊りました。次には踊ってから遊びました。

ドンドロドンドロと暴れました。暴れてから踊って、また遊びました。遊んでから暴れました。

今度はお風呂に行って、いっしょにキュッキューとこすりました。すると、アラビヤ人達はだんだん小さくなりました。小さくなって目玉くらいになりました。頭をこすると大きくなって、足をこすると小さくなるのです。小さくなったり大きくなったりして、そのうちとうとう、「小さ大っきい」になってしまいました。

 

 

ハイキングに出かけるたびに採集してきた蝶が四十種にも達すると、

私もまんざらでなくなり、たろうに、「大きなったら昆虫学者にならんか。」

すると、たろう、「自分がなったら。ぼくは日曜だけでええ。」

 

 

蝶々採り (かなこ)

 

太郎とお父さんが住んでいました。日曜日は会社が休みなので、太郎とお父さんは蝶々採りに出かけました。

バスを降りてしばらく行くと、蝶々が飛んできました。太郎が駈けていってパッと捕まえました。すると、パッと消えましたるまたもう一匹飛んできたので、今度はお父さんが捕まえました。でもやっぱり消えてしまいました。いくら捕まえても消えるばかりなので、もう帰ることにして、かわりにお菓子を買って帰りました。

 

 

ねずみの大臣 (たろう)

 

ねずみが冷蔵庫から玉子を取ってきてねそれを割ると、ねずみの王様と女王様が生まれて出ました。もう一つ取って割ると、今度は大臣のねずみが出てきました。もう一つの玉子からは大臣の服と帽子が出てきました。それをパッと着てパッとかぶると、ねずみの大臣になりました。大臣はねずみどもに言い付けて、パイナップルや、みかんや、パンを持ってこさせて、王様と女王様に差し上げました。

王様と女王様はまだ結婚されてなかったので、りっぱな結婚式を挙げて、ねずみの国を守ることになりました。

王様と女王様が通るとねずみたちはみんなお辞儀をしました。そして大臣にもお辞儀をしました。

 

 

象と忍術 (たろう)

 

象動物園には「ふとっちょ」という名の象がいて、アフリカへ帰りたいと思っていました。

ちょうど動物園には桜の花が咲いていました。お花に水をやるのはふとっちょの仕事で、お鼻でやるのです。

象動物園の裏にはかば動物園がありました。かばが一匹住んでいて、忍術を使うのがとても上手でした。かばは、ばかの反対だから本当はとても利口で、忍術もすぐに憶えたのです。誰に習ったかというと、忍術のおじさんに教えてもらったのです。天気がカンカンしてるのに夕立を降らせたりできるのでした。

ふとっちょも忍術を使いたくて、かばには黙って、忍術のおじさんに一生懸命頼みました。おじさんはとうとう忍術のやり方を書いた本をくれました。大喜びでふとっちょは本を始めから仕舞いまで三回繰り返して読んでから、一度かばを驚かしてやろうと考えましたる呪文を唱えて、

「虎出ろ!」

すると、魚が一匹飛び出しました。がっかりしたふとっちょは、アフリカへどうしても帰りたくなって、

「アフリカになれ!」

と大きな声で唱えました。すると、そこはアフリカでした。おうちへ帰ったふとっちょは、お父さんに忍術の本を見せてあげました。

 

 

母親がかなこに、「赤ちゃん欲しい?」と聞くと、

(かなこ)うん、赤ちゃん欲しい。

兄ちゃんが赤ちゃんになってくれたら一番ええのになあ。

 

 

赤ちゃんになった おばあさん (かなこ)

 

あるところに歯抜けのおばあさんがおりました。朝から晩までチョコレートばかり食べていたので、歯がぎょうさん抜けてしまったのです。

今日は虫歯が特別に痛かったので、道を走って、途中で花の咲いているところを曲がり道してから、今度まっすぐ行くと、目の前に歯医者さんがありました。順番が8番目なのでなかなかで、やっとおばあさんの番になって行くと、

「これはハブにトゲがそささっている。それで歯が痛い病気にかかったんだなあ。」

とお医者さんが言いました。

「帰って寝て、この薬を飲みなさい。」

おばあさんは花のとこを廻って家に帰りました。でもおばあさんは薬を飲むのをうっかり忘れて寝てしまったのです。夜中に思い出して、はっと起きて薬を飲もうと慌てたので、畳の上に瓶をひっくり返してしまいました。すると急にまた歯が痛くなってきたので、おばあさんはわんわん泣き出して、いつまでも泣いていました。

泣くうちにおばあさんは次第に縮んできました。そしてとうとうおばあさんが赤ちゃんになりました。赤ちゃんは指をちゅうちゅうと吸いました。

 

 

お花畑と魔法使い (かなこ)

 

お花畑がありました。

ある日、お花畑のお花がパッと飛んでいきました。それは魔法使いのおうちまで飛んで行ったのです。魔法使いのおうちは、お花畑のそばの落とし穴にありました。魔法使いは時々そこから目を出して見ているのです。

そこへ警備隊がやってきました。

「誰がお花畑のお花を飛ばしたんだ!」

とどなりました。穴から魔法使いがシューッと飛んできました。

「お花を勝手に飛ばしたらだめだ!」

と警備隊が言いました。魔法使いはなんにも言わずに、魔法のほうきでパーッと残りのお花を吹き飛ばしてしまいました。パッパッと吹き飛ばして、なんにもなしになくしてしまいました。

 

 

おじいさんとねずみ (かなこ)

 

むかし、おじいさんがいました。おじいさんは毎日山へ虫取りに行きました。

ある日のこと、山に鬼が出て来ておじいさんをつかまえると、オリに入れて行ってしまいました。オリの中にはねずみもはいっていて、2匹ですもうを取っていました。

「誰か助けてくれ。」

とおじいさんが叫びました。ねずみが地面に穴を開けて先に逃げ出すと、次におじいさんも逃げ出しました。鬼が追っかけて来たので、ねずみは畑のキャベツを食べました。するともりもり力が出てきて大きくなりました。そして鬼をやっつけてしまったのです。次ににんにくを食べると、ねずみは元通りに小さくなりました。それでおしまい。

 

以下2002.9. 8追加更新

 

第七章 知恵の始まり

 

夏、琵琶湖真野浜にて

(たろう)砂がどうしてここにあるか分った。

体にかけるためにあるんや。

 

 

はかせ博士 (たろう)

 

はかせ博士はボロの家に住んでいました。けれど、実験室には、あんな格好したのやら、こんな格好したのが、いっぱい置いてあって、毎日実験をして暮らしていたのです。

博士の研究は「鉛筆がなぜ書けるか」という研究でしたが、ある日、ついに「シンが書けるから書けるんだ」と分ったのです。

それで博士はもう次の研究を始めました。今度は「オルガンがどうして鳴るか」という問題です。毎日何時間も何時間も、「ドミソシレソ」と鳴らす実験をしました。なかなか分りません。最後にオルガンを分解してみると、とうとう分りました。それは機械が働くので一万と十個も鳴るのだと分ったのです。

はかせ博士の研究のことをみんな大変感心しました。

 

 

なぞなぞおじいさん (たろう)

 

おじいさんが一人で住んでいました。

ある日、

「泊まらせてくださいませんか。」

と、おばあさんがやってきました。

「なぞなぞが解けたら泊まらせてあげよう。」

「早く問題出してちょうだい。」

と、おばあさんが言いました。

「いつも空に浮かんでるけど、水になると落ちてくるものなあに。」

「雲!」

「当たり!」

それで、おばあさんを泊まらせてあげることにしました。

「泊まらせ賃は何円ですか?」

「九百五十六円です。」

とおじいさんが答えました。

「お安いですね。」

おばあさんは荷物の中からお金を出して払いました。

「一晩だけですよ。」

「一晩だけと言ったでしょう。」

朝になるとおばあさんは出て行きました。

その晩また別のおばあさんがやつてきて、なぞなぞを解いて泊まりました。次の晩も、次の次の晩も、別のおばあさんがやってきました。

「どうしていつもいつもおばあさんが来るんだろう?」

と、おじいさんがふしぎに思いました。

「それは私たちが神様だからです。」

おじいさんはびっくりしました。

「神様がどうして来るのですか?」

「おじいさんがよい人かどうか見にきたのです。」

と言って消えて行きました。

 

 

「昔は人間を売ったり買ったりしたんだよ。」と、母親が人身売買の話をしてやると、

少し考えたのち、(かなこ)

「よかった。わたしその時分ゴリラやつたもん。」