プッシュロットのセッティングを考える。
解りやすく説明するために、図解にしてみました。
まず上の図で各パーツの名称、動き等を確認してもらうと、この後の説明が良く分かると思います。
上図はランクルのポンプ図面を参考に私が簡素に引き直した図で細かい部分は本物とは違いますが
その仕組みは上図の通りともらって結構です。
上図のヘッドアジャスター(橙色) プッシュロット(黄色) レスポンスダイヤル(空色)
コネクティングピン(赤色)の位置をまず基本として以降説明します。
最初に「ヘッドアジャスター」の働き及び説明です。
左図の状態はヘッドアジャスターを上図に比較して
180度回転させた時の各パーツの動きを示した物です。
ヘッドアジャスター(橙色部分)のテーパー部が上図に比べ厚みの薄い
部分でプッシュロット(黄色)の頭を押さえているのが分かると思います。
薄い部分で押さえつけることで厚みが減った分プッシュロットが
上側に移動してくることになりロットに接触しているコネクティングピンは
ロットのテーパ部分削り方の少ない部分に接触していることになるので
ブーストのかかり初めの噴射量は最初に比べ「薄めのセット」となります。
※噴射量はコネクティングピンが多く動けば(左図赤矢印とは反対方向
右に動けば)動く程 噴射量は増えます。
次はレスポンスダイヤル(空色部分)の説明です。
レスポンスダイヤルはネジを切った筒状のパーツ
(中にロットが入っている)に取り付けられており その上には
シャフトスプリングが乗っかっています。
レスポンスダイヤルは「右回し」で下方向に下がり
「左回し」で上側に移動します。移動することにより上に乗っかっている
シャフトスプリングの押さえ方が「弱くなったり」「強くなったり」します。
シャフトスプリングを弱く押さえると言うことはプッシュロットが付いている
ダイヤフラム(シャフトスプリングの上側に乗っている)を動かすのに
少しの力(柔らかい)で動かすことが出来ます。
逆に強く押さえると言うことはダイヤフラムを動かすのに
多くの力(固い)が必要と言うことです。
と言う事は同じ加給圧がかかった場合(同じ力)シャフトスプリングを
柔らかめに押さえつけるようにレスポンスダイヤルをセットした
(右回し)場合はそれだけプッシュロットは下がりやすく
左回しのシャフトスプリングが固いセッティングに比べると
同じ加給圧でもプッシュロットは多く下がるので
「噴射量は濃いめ」のセッティングと言うことが出来ます。
「薄めのセッティング」の場合は逆に考えればいいのです。
左図の例えでは上図に比べると「レスポンスダイヤルを左回し」に
セットした状態、緑色の矢印が示すようレスポンスダイヤル自体が
上方向に移動しシャフトスプリングが最初に比べ縮んだ(固く)状態に
なっています。つまりロットが押さえ込みにくい「薄めのセッティング」
と言う事になります。
左図は過給圧(矢印緑色)がかかった時の各部の
動きを表した図になります。
加圧されたエアー(過給圧)でダイヤフラムが下側(緑色↓)へ
押し下げられ、同じようにプッシュロットも下がります。
下げられたプッシュロットのテーパ部分(削られた箇所)を
トレースするようにコネクティングピン(赤色)もロットの
プロフィール通りにトレース(突出)しその動きに比例して噴射量が
決まります。
上記の「ヘッドアジャスター」「レスポンスダイヤル」を調整
することで、プッシュロットの「どの部分をどの位置から
どの深さまで」移動させるかをセッティング出来ます。
※ロットのどの位置をトレースしているかはロットに
コネクティングピンの「移動した跡」が付きますから
セッティングする前後に確認しておけば、何処を
どの位動かせばどう変化するかが確認出来ると思います。
要約すれば下記のようになると思います。
噴射量を濃いめ....レスポンスダイヤルを右回しにセットすれば同じ加給圧でもロットの下がる量が大きくなるので濃いめになる。
ヘッドアジャスターの調整のみで濃くすればロットの下がり始めの
位置は濃いめだが過給圧がかかった時はヘッドアジャスターで
ダイヤフラムに付いているロットごと押さえつける事になるので
シャフトスプリングをレスポンスダイヤルで堅めに(左回し)セット
したのと同じになります。 ゆえにロットの下がる最大量は
変わらない事になります。(ロットのMAX位置は変わらない)
左図は純正ノーマルロットと私が現在入れている
オリジナル加工ロットです。
最大深さで約3o多く削られています。
上がノーマル 下がオリジナル。