国別ワインの概説と銘柄例4
更新日 2003.8.1
- イタリアのワインの生産量は世界一であるが、イタリアワインの中心は赤ワインである。ピエモンテ地方などのネッビオーロ種とトスカーナ地方などのサンジョベーゼ種(Sangiovese)の赤ワインが多くを占める。
- イタリアのワイン法(格付け/規定)は、DOCG(保証付き原産地管理呼称)、DOC(原産地管理呼称)、VdT
などの規定があるものの、フランスの格付けに比べてあまり意味をもたない、多くの産出業者が規定に関係なく巾広い品質のワインを産出するので選択/購入は困難を極める。
- Brunello di Montalcino ブルネッロディモンタルチーノ、Barolo
バローロ、Barbaresco
バルバレスコ等は有名なイタリアの高級赤ワインであるが、フランスのブルゴーニュと同様、同じワイン名で、産出業者の多数が出しており、味もピンキリとくるから選択/購入は難しい。
- ネッビオーロ種(Nebbiolo)の銘柄には、バローロ(Barolo)、バルバレスコ(Barbaresco)、ガッティナーラ(Gattinara)等があり、有名なイタリアの長期熟成型の赤ワインである。バローロは100%ネッビオーロ種を使い、遅摘みのため天候に左右され、年により出来の差が出る、値段も¥3,000-20,000/本と開きがあり、安いバローロは名ばかりで旨くない、旨いものは値は高く確かに素晴らしいが、同じコストなら私ならボルドーの赤を選んでしまう。
- ブルネッロ種(Brunello)はイタリアの中央部トスカーナ州が産地、サンジョベーゼ種の系統で高級赤ワインを生む、ブルネッロディモンタルチーノ(Brunello
di Montalcino)、ロッソディモンタルチーノ(Rosso di
Montalcino)等がある、¥3,000-10,000/本。
- サンジョベーゼ種を主体で作られるキャンティーはイタリアのDOC,DOCGワインの中で最も生産量の多いワイン(1億本/年も)、値段も¥700-10,000/本と開きがあり、生産者もめちゃくちゃ多く選択/購入は困難を極める、試飲して購入するか、1本購入し試飲し、気に入ると買い足しするしかない。
キャンティクラシコ(Chianti
Classico)はキャンティの上級ワイン、樽熟成3年以上のワインをriserva
レゼルバと表示される。
- サンジョベーゼ種のワインは赤でありながら、酸味もあり、白ワイン的な性格も持ち合せるので広範囲に料理との相性をしめし、イタメシのみでなく、日本のお惣菜とも巾広く合うので重宝する、安いワインでも意外と飲みやすい。サンジョベーゼ種のワインは癖がなく、安いワインでも飲みやすいものが多い、¥500-/本でも嫌みはないし、お惣菜との相性の範囲も広く素人でも無難。日常的には¥1,000-2,500/本の範囲で試飲し、気に入ったもので充分。フランス/ブルゴーニュの赤ワインで¥2,000-3,000/本ならキャンティーの方が良いと思う。
- ネッビオーロ種、サンジョベーゼ種、ブルネッロ種以外の品種としては、コルビィーナ種(ヴァルポリチェッラに使われる)、アリアーニコ種(イタリア南部の赤に)その他他多くの品種があり種々混醸される。ヴァルポリチェッラやアリアーニコのワインはワインショップやイタリアレストランでもよく見かける(安めの値段でイタリアの赤ワイン全般によく似たワインである)。
- ヴァルポリチェッラ(Valpolicella)(DOC)はイタリアの東北部ヴェネト州ヴェローナの近郊で作られる赤、コルヴィーナ・ヴェロネーゼ種主体(約70%)で、ロンディネッラ種、モリナーラ種、サンジョヴェーゼ種の混醸、クラシコ(Classico)は限定された区域(古くからあるぶどう園)で産するもの、スペリオーレ(superiore)はアルコール分12%以上で1年以上熟成させたもの。バルドリーノ(DOC)もヴェネト州ヴェローナの同様のワインで淡い色の赤で夏向きの軽いワイン、¥800-3,000/本。
- 一般のヴァルポリチェッラに対してアマローネ(苦味の意)は数ヶ月間半乾燥状態にしたぶどうを使う、色調は濃いめのルビー色、凝縮された味、樽熟2年以上のもの、熟成型赤ワイン、¥3,000-10,000/本。
- マアジ (MASI)
は地理的名称(イタリア北東部ヴェローナ市の北部に拡がる丘陵地)で産出業者の一つ、バルドリーノ、ヴァルポリチェッラ、アマローネその他を産出している。
- ネグロ・アマーロ種(Negroamaro)はイタリアの南/プーリア州で最も多く栽培され、暗紫色をした濃いルビー色の赤ワイン、濃厚で酸は柔らかく凝縮感がありタンニンは柔らかい、トマトソースにも合い、価格も安く(¥700-1,500/本)、野外のバーベキューにも最適、サリチェ・サレンティーノ(
Salice Salentino D.O.C. )がある。
- 試飲して購入するか、1本購入し試飲し、気に入ると買い足しするのが原則。
- イタリアワインはやはり赤が良い、白で旨いものはあまり無いと云われているようだが、価格の高めなものを除いて私も同感。
- イタリアワインの低中価格帯でそれだけ飲んでも旨くなくともイタリア料理と合わせると旨く感じ満足することが多い。
- イタリア料理店では、絶対にイタリアワインの赤を選ぶ、家庭内でもイタリアン中心なら、イタリアワインの赤とする。
私がよく使用するワインは、
- Chianti /Chianti Classico
キャンティ/キャンティクラシコで必ず試飲したもの(¥800-2,500/本)
- Valpolicella ヴァルポリチェッラ、Amarone アマローネ、Toar
トアール(MASI)(¥800-3,000/本)
- Barolo
バローロも良く飲むが、旨いワインは高価(¥5,000-10,000/本)。
- ブルネッロディモンタルチーノ(Brunello di
Montalcino)、ロッソディモンタルチーノ(Rosso di
Montalcino)等、¥3,000-5,000/本。
スペイン
- スペインワインの経験は浅いが、近年リオハ地区の赤ワインを大変重宝している、これはテンプラニーリョ種で作るスペインを代表する赤ワインである、プラム、バナナのような香りとやわらかく、濃厚なワイン。
- 理由は赤ワイン系に合う料理は広範囲にOK、スペイン料理、中華料理、寿司、日常のお惣菜、イタリアン等であり、晩酌に1本のワインを開けるなら、万能型で便利である、白ワインはあまり使用しない。
- 赤ワインで、クリアンサ、リゼルバ、グランリゼルバとラベルに表記されているが、クリアンサは6ケ月又は1年間オーク樽で熟成させ、3年目に出荷するもの、リゼルバは樽で1年、ボトルで2年熟成させ、グランリゼルバは樽で2年、ボトルで3年熟成させるもの。
- 低中価格帯(1000から2000円)のコストパフォーマンスは高い(下記)。
私がよく使用するワイン(赤)は、
- Marques de Murrieta マルケスデムリエータ リゼルバ
(リオハ)
- Marques del Puerto マルケスデルプエルト リゼルバ
(リオハ)
- Marques de Riscal マルケスデリスカル リゼルバ (リオハ)
- Valduero Bodegas ボデガスバルドウエロ クリアンサ
(リベラデルドウエロ)
- Yllera イリェラ クリアンサ (リベラデルドウエロ)
- Gran Feudo グランフェウド クリアンサ (ナパラ)
カルフォルニア(USA)
- カルフォルニアの主要ワイン産地は10地区あるが、有名なのは、Napa
Valley ナパヴァレー、Sonoma ソノマ、Mendocno&Lake
メンドシーノ&レイク、Central Valley
セントラルヴァレー、Carrneros カーネロス等。
- 葡萄品種はシャルドネ種、カベルネソービニヨン種、メルロ種、ヒュメブラン種、ジンファンデル種、ピノノワール種等がある。
- カルフォルニアのワインのラベルは分りやすい、ブランド名、収穫年、原産地名、葡萄品種(75%以上使用を表示)、生産者名、所在地、アルコール度数などが整然と表示している。
- カルフォルニアのワインの特徴を挙げると、カルフォルニアは太陽の国、成育期から収穫期にかけて雨が少ないため、ヨーロッパのように収穫年による品質の差が少ない。
- 白(シャルドネ種)は酸味は少なめ、濃いワインとなるが、熟成によるデリカシーさは乏しい。
- 赤(カベルネソービニヨン種)はタンニンは多めで、濃いワインとなり、若いうちから飲める。
- カルフォルニアでは収穫期に雨が降らないので葡萄が完熟してから収穫するのでよく熟し、タンニンの分子の結合が大きくなり若くても渋味を強く感じない、熟成にも耐えるが、フランスワインに比べると繊細さはない(但し高級品対象)。
- フランスでは収穫時期の秋に雨が降るので、葡萄が完熟する前に収穫する、そのため葡萄のタンニンの分子の結合が弱くタンニンの渋さが出る、このため瓶での長期熟成を必要とする、この熟成過程で見事なフレーバーと、シルキーで繊細なヴィンテージワインを生む。
- 又カルフォルニアワインはオークの樽の香りが強めのものがある、特に中高級のシャルドネ種に強烈なものが多い、私はこれはこれで利用価値があるがオークの樽の香りは時間とともに抜けていく。
- カルフォルニアワインの高級品はやはり需要と供給の関係でかなり高価であるが、低中価格帯(1000から3000円)ではフランスワインよりコストパフォーマンスの高いワインが多い(下記)。
私がよく使用するワインは、1例として、
- Fetzer
フェッツァー(メンドシーノ地区)は入手しやすく、シャルドネ、カベルネソービニヨン、メルロ、ジンファンデル等はお値打ち。
- Beringer ナパヴァレーのシャルドネとカベルネソービニヨン
- Montdavi,Robert ナパヴァレーのシャルドネとカベルネソービニヨンとピノノワール
- Clos du
Val ナパヴァレーのシャルドネとカベルネソービニヨン
- Simi ソノマのシャルドネとカベルネソービニヨン
- Ernest&Julio Gallo
E&Jガロワインセラーのシャルドネ(800円前後)
チリ
- チリワインは近年輸出用ワインを近代化して力を入れ、質は急速に向上している。コストパフォーマンスの高いワインを日本に大量に輸出している。チリはカルフォルニアと気候がにており(収穫期に雨が降らない等)、葡萄の生産にとって理想的な気候である。
- 葡萄品種はカベルネソービニヨン種、メルロ種、シャルドネ種、ソービィニョンブラン種等の代表的な品種がどれも成功している。
- 価格は700円から1800円位でコストパフォーマンスは多分世界一高いと思われる(下記)。但しフランスワインのような繊細さはない、素人にはチリワインが無難でしょう。
- チリワインのシャルドネ種、ソービィニョンブラン種の白ワインと同メルロ種のものと、イタリアのキャンティー、スペインのテンプラニーリョ種の赤ワインがあれば、殆どの日常のお惣菜のお供が出来る。
私がよく使用するワインは、1例として、
- Conchay Toro (Marques de Casa C.)
マルケスデカサコンチャイトロのシャルドネ
- Conchay Toro (Casillero del Diablo) カシエロデルディアブロ
コンチャイトロのカベルネ
(コンチャイトロは有名だが 同じ名で、多数の銘柄があり、味もピンキリ)
- Cono Suru Select Reserve コノスル
セレクトリザーブのシャルドネとカベルネ
- Isla de Maipo
イスラデマイポのシャルドネ、メルロ、カベルネ、ソービィニョンブラン
- Santa Carolina,Vina ビーニャサンタカロリーナのシャルドネ
- Vina TarapakaのGran
Reserva(ビーニャ・タラパカのグラン・レゼルバ)のカベルネソービニヨン、メルロ、シャルドネ
- Montes Alpha モンテスアルファのシャルドネ
オーストラリア
- オーストラリアワインの主要産地は、ヴィクトリア、サウスオーストラリア、ニューサウスウェールズ、ウェスタンオーストラリア等で日本で入手出来るワインも増えつつあり、コストパフォーマンスも良い、今後も注目。
- オーストラリアワインの主要葡萄品種はカベルネソービニヨン種、シラーズ種、シャルドネ種、リースリング種等、カベルネソービニヨン種とシラーズ種のブレンドのワイン。
- カベルネソービニヨン種とシラーズ種との混醸はオーストラリアのワインにあり、日本のお惣菜にも合わせ易く、値段の手頃のものが多い(¥900-3,000/本)。
- シラーズとグルナッシュ種又はムールヴェードル種をブレンドするのもある
- シラーズ種はスパイシーな香りがあり、白ワイン的な相性も持ち合せ、日本のお惣菜にも合わせ易く値段の手頃のものが多い(¥900-3,000/本)、赤白兼用にもなり重宝する。
- シャルドネ種とセミヨン種との混醸もあり、飲みやすいワイン。
私がよく使用するワインは、1例として、
- Orlando 社のJacob's
Creekのシャルドネ ー 安価(900円前後)でしかも入手しやすい
- Rosemount
のシャルドネ、カベルネソービニヨンとシラーズのブレンド
- Capel Vale
(ケイペルベール)のシャルドネとカベルネソービニヨン
- Leeuwin Estate
(ルーウィンエステイト)のシャルドネとカベルネソービニヨン
- Penfolds 社のRawson's Retreat
のカベルネソービニヨンとシラーズのブレンド ー 安価(1200円前後)でしかも入手しやすい
- Wyndham Estate
(ウインダム・エステイト)のシャルドネ、シラーズ
- BeresfordのSt.Yvette(ベレスフォードのセイント・イヴェット) のシャルドネ
- Wolf Blass(Bilyara)のシャルドネとセミヨンのブレンド
ニュージランド
ニュージランドワインは白がメインで、シャルドネ種は酸味の利いたフルーティなものが多い。
その他南アフリカ、ブルガリア、アルゼンチンのワインも見かけるが、気にいったものはほとんどなかった。