新生児医療について
未熟児や問題を抱えて産まれてくる赤ちゃんに対する積極的な治療が行われるようになってきたのは昭和45年頃から。昭和51年、日本初の5つ子誕生が日本の周産期医療を前進させる契機となったのだそうです。(5つ子ちゃんとその母に感謝!)現在は500g以下の赤ちゃんでも元気に育つ時代になってきました。

M-FICU、NICUについて

M-FICU(母体胎児集中治療管理室)
妊娠中なんらかの危険が生じた場合に入院するところです。
★胎児側の要因:切迫早産、切迫仮死、前期破水等。
★母体側の要因:重症妊娠中毒症、多胎妊娠、胎盤位置異常、合併症(HIV感染、糖尿病、血小板減少等)等。


NICU:新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit)
早く生まれた赤ちゃんは、感染症に対する抵抗力が少ないので特別な注意が必要です。
NICUの中は清潔区域(中で手術も行えるくらい)ですので、いくつかのドアをくぐらなければ中に入れないようになっています。

↓樹のいたNICUを例として記します。
★面会:面会時間は1日30分の予約制。原則、両親のみ入室可。(それ以外は窓越し面会)
★入室手順:1.まず滅菌済みの上履きに履き替え、ロッカールームへ。2.予防衣(使い捨ての不織布の服で、長丈の割烹着風)、キャップ、マスク(風邪の疑いの場合)を装着。3.中間室に入り、手指消毒。ひじまで洗う。(洗剤&ブラシを使って時間をかけ丁寧に洗ったあと、消毒液でも洗う。)持参したカメラ等は、消毒液をしみ込ませた布で拭き、消毒してから持ち込む。冷凍母乳は、ここで看護士さんに手渡す。4.NICU内に入室。またここでも手指消毒。(先と同じように洗う)

これでやっと赤ちゃんの側へ行けます。日々、状態が変わるので、先に担当の医師(または看護士)から先に今までの経過説明を聞き、状況が良ければ、保育器の小窓を開けて声掛けや、触れたりすることが出来ます。
たいてい面会時間が短いので、医師への質問等あれば、事前に聞きたいことを書いたメモを持参していくとスムーズです。

(医師の許可があれば)たくさん声掛けをし、いっぱい触れてあげてください。パパやママの声も温もりも、赤ちゃんはちゃんと感じて、そして安心しています。


樹のいた病院ではNICUの他に、GCU(Growing care unit)という病室が、壁を挟んだ隣にありました。「人工呼吸器が不要」「チューブによる授乳がほぼ可能」という2点を満たせば、GCUへ移動になります。入室や規則等はNICUと同じですが、(NICUと比較して)中等症、または回復期にある赤ちゃんがGCUへ移動になるため、ピリピリしたムードは少し薄れた感がありました。

ちなみにGCUから出られる基準は、低出生児の場合「体重:2200〜2300g以上」「口からミルクを飲める」の2点です。

東京都・NICUへの搬送システム
(昭和53年に作られた)

産科施設で早産で出生後、なんらかの異常があった場合には、図のような流れでNICUのある病院へ転院となる。現在は、早産の可能性等、胎児の異常が予想される場合は母体ごと搬送されることがほとんど。そのため、早産児の救命率も上がっている。


私の場合:胎児の心拍が薄れたため、母体搬送ではなく、個人病院で緊急出産。
NICUの医師が救急車に乗ってきて、赤ちゃんだけが、大きな病院のNICUへ搬送された。

NICUでの赤ちゃんの一日

NICU入院中は面会時間も少ないし、赤ちゃんが今、何をしているのか気になりますよね?樹のいたNICUの一日を参考までに…。


授乳:8時 11時 14時 17時 20時 23時 2時 5時、の1日3時間おき8回が基本形。

オムツ交換:授乳の前後。

保育器の清掃、シーツ交換、体重測定、清拭(身体を拭く)等:朝8時の授乳のあとに2人1組で行う。(一時的に人工呼吸器を外すので手早く済ませる)

検温:1日6回または9回(医師の指示によって)

沐浴:容態が安定したら始まる。

治療等:(それぞれ必要な子に)毎日午前中にレントゲン撮影、抗生剤の投与、点滴の内容変更、眼科医による眼底検査等が行われる。(その他の科の医師も必要に応じて)

ずっと泣いてる子がいると、看護士が抱いてくれていました。両親の面会できる時間が短いので、そういった細やかなケアをしていただけてるのを見ると、とても安心できました。

カンガルーケア

カンガルーケアとは、保育器に入っていて触れあう機会の少ない赤ちゃんとママやパパのためのケアです。ママ(パパ)の裸の胸の上に胸をあわせるよう、うつ伏せ気味に赤ちゃんを抱きます。部屋はほの暗くし、環境音楽等を鳴らし、リラックスした雰囲気の中で行います。

赤ちゃんの呼吸が規則的になり安定する、眠りが深くなる、また、ママにとっても母乳の出が良くなったり、親子の実感等、様々な良い効果があるそうです。