第十六番 水澤寺(水沢観音)
(群馬県北群馬郡伊香保町水沢)


1400年以上も前に、伊香保姫を救った千手観音が本尊である。寺は、伊香保姫の夫・高光中将が創建した。かつては、堂宇の数30余、仏像1200体を誇る大寺だったが、再三の火災のため焼失。現在の建物は江戸中期の大改築されたものである。観音堂の隣に立つ六角二重塔は、六地蔵を安置し、地蔵堂とも呼ばれ六道輪廻の相を表したもので、輪蔵を回しながら供養を願うと言う。

水沢観音


第十七番 満願寺(出流観音)
(栃木県栃木市出流町)


1200年あまり前、役ノ行者がこの地を訪れ、山腹に紫煙がたなびくのを見て観音の霊窟を発見し、鍾乳石の十一面観音を拝したことに始まる。開基は勝道上人で、20歳から約4年間出流山にこもり、天平神護元年(765年)、日光開山のご加護を仰ぐため、現在の本堂後に大御堂を建てて千手観音を奉安。満願寺と名付けた。現在の大御堂は明和元年(1764年)に再建されたものである。本道の裏から10分あまり行くと切り立った岩壁にはりつくように建つ朱色の建物が奥の院の拝殿である。

出流観音

出流観音2


第十八番 中禅寺(立木観音)
(栃木県日光市中禅寺歌ヶ浜)


延歴3年(784年)、日光を開山した勝道上人による。男体山山頂をきわめていた勝道上人が小舟で中禅寺湖を周遊していると、湖の上に千手観音を感得。その姿をカツラの巨木に、立ち木のまま刻んだのが本尊の「立木観音」で、国の重要文化財に指定されている。明治35年(1902年)、山津波によって観音堂が湖畔に押し流されたが、本尊はまったく損傷もなく湖の上に浮かび、大正2年(1913年)現在の歌ヶ浜の地に観音堂を再建した。また、境内は映画「愛染かつら」のロケ地になった。

立木観音

立木観音2