1.暖かい家が欲しい

 冬暖かい家に住みたいと感じたのは、両親を相次いで心筋梗塞で亡くしてから、この家はやはり冬寒いとつくづく思った時からである。

 今の家は、暖房している室内はともかく、廊下やトイレ・風呂場に至っては急激に温度差を感じ、身震いをすることさえある。トイレに電熱器をつけたり、厚い絨毯マットをしいたりしたが、タイル貼りの床・壁では室温の違いは解消しなかった。電熱器も常時使えるものならば良かったかもしれない。これを思うと、老いた両親には、室内とはいえ過酷な環境であったのではないかと反省している。家の中での温度差のない住宅に住みたいということである。北海道の弟の家に泊めてもらうと、家全体が暖かく、かえって北海道の方が暖かく過ごしている。これは、根本的に寒さに対する家の造りが違っていること、暖房の考え方がことなっている。

 そこで、本格的に冬暖かい家というものを本気で考えてみた。  

 今までの家は、在来の軸組工法で、壁床にグラスウールの断熱材が入っているが、増築の時に露出した場所では、経年変化(湿気をすって、べちゃんこで黒く黴が生えていて機能低下になっている)と施工性の悪さ(完全に壁面を埋め尽くしていない、特に垂れ下がっている)のため、効果はかなり低下していたのであろう。 それでは、経年変化にも強く、冬暖かく、夏、蔵の中のように涼しい家はできないものかと考えた。
 それは、断熱材を隙間無く十分に入れ気密性を高めて、断熱材にカビ等が生えないよう完全な湿気対策を講じた壁や屋根の家で、開口部は気密性の高い断熱サッシをつけて、家の中の空気が均一に循環して、一度冷暖房したら、温度変化が生じないような造りの家ではないだろうか。

    1.大がかりな冷暖房設備をしないで、快適にすごしたい
    2.イニシャルコストやランニングコストを安くしたい。
      

 以上の問題を解決できる住宅を求めたいので、検討してみる。
 まず、家の断熱や気密の基本的な性能を確保したい。そして、太陽の恵みを最大限利用し、耐久性のある維持費の安いシステムを導入したい。それには、まず、基本的な断熱や気密の条件は何なのだろうか。そして、断熱材にしっかりしたものを使う。さらに、太陽の日射を最大限利用し、昼間の暖房経費を軽減し、その余熱で夜間のエネルギーコストを下げていきたい。 暖房としては、ファンヒーター等の排気ガスを直接放出するものは避け(健康の問題)、家全体に暖気が行き渡るように、温度を均一にすることにより、寒さ知らずの家を実現したい。

 ここでは、冬暖かく、夏涼しい家を造るための問題点を整理していく。