黒兵衛がいない日々
2010年 | |
2/6 快晴 |
主役というか、このサイトを立ち上げた本人(くろが主催者というコンセプトだった)がいない今、「黒兵衛の小屋」を挙げておくのはおかしいのかもしれない。 閉鎖しようかと思うものの、いざとなると忍びなく現在に至っている。 また、ここを訪れる人もいなかろう。そう思っていると、時折「更新しましたね!」といったメールをいただいたりする。 犬繋がりの交友だが、つまるところ人と人との繋がりだ。 ありがたいことで、これもくろのおかげ。 今月の命日には、くろが先に入っている私の墓に花でも供えに行こう。 |
1/7 晴 |
初夢は見たような気もするけど覚えていない。 ということは大したもんじゃないんだろう。 夢といえば、去年の12月半ばに、かなりリアルなくろの夢を見た。 芝浦時代であった。 散歩に行こうとすると、おしっこが溜っていたのか、喜んではしゃいだ。 もう歳なのだから、Pタイルの床は滑るから危ないよ、と抱き上げて階段を下りた。 そのときの毛の感触は長く風呂に入っていなくてふわふわではなかった。 顔も舐められた。 腕にかかる体重は、末期のような軽いものではなかった。 これほどリアルな夢を見たことがなかったから、とても嬉しかった。 その翌日、孫娘と総出で神宮のスケート場に行った。 スキーはまだまだできるだろうが、スケートは初めてに等しい。 それでも30分ほどで慣れてきて、調子に乗って大きく滑ったところで、思いっきり真後ろにひっくり返ってしまった。 激しく天頂に近い後頭部を打った。 近くにいた人が心配して、すぐ助け起こしてくれたり、係の人が即席氷嚢を持ってきてくれたほどだから、相当音もしたのだろう。 2、3日腫れが引かなかったほどの大きなこぶになった。 夢の話に戻る。 くろに「床が滑るから危ないよ」と注意した夢は、実は天界のくろが私に示唆してくれたものだったように思える。 去年の10月末には、老母が地下鉄のプラットホームから転落した。 怪我は11針後頭部を縫ったのと、肋骨を折っただけで済んだが、その後の1ヶ月は、精神のハイ状態が続いて手に負えなかった。 今年もまた何か波乱があるのだろうか。 |
1/2 快晴 |
IEを起動するホームページをこの黒兵衛の小屋にしているのに、10ヶ月以上も更新していないことに気づかなかった。 くろのことを忘れてしまったわけではない。 毎日とは言わないが、くろを思わぬ日が1週間と続いたことはない。 そこらに写真があるせいばかりではない。 もうすぐまる2年。3回忌ということになるのか。 遠いようでもあり昨日のようでもある。 年賀状は今年も一枚も出さなかった。 とんと往来のない人に「年賀状が来ないから死んだと思った」と冗談半分に言われた。 仏教徒じゃないが、というより無宗教だが、3回忌という節目でもあり、近況報告ぐらいしておこうと思う。 |
2009年 | |
4/11 快晴 |
真夏日だそうで、どうりでこの二日暑かった。 のり地の石垣工事で傾いたラティスフェンスを、汗だくで立て直した。 暖かくなって土が柔らかくなったらしようと思っていた。 暖かいを越して暑くなるとは。 作業上、フェンスとフェンスの間を40センチほど空けた。 その隙間の埋め草に、2m弱のブラシの木を植えた。 ラベルには耐寒性があると書いてあるが、大丈夫だろうか。 二日間の土木工事で体中痛い。 くろの遺骨の一部を、庭の片隅、自称わんこ霊園に埋葬した。 やっと芽が出てきた透かし百合と日本水仙の球根の隙間を狙った。 土に返してあげる意味と、肥料代わりというけちくささ。 ムクのときは百合の最盛期だった。 くろのときは二月だからこれといった花がない。 早春の花ということで水仙にしたが、当地ではかなり遅くなる。 ホームセンターで子犬を売っている。 ドッグフード売り場でさえ近寄らないのに、嫌々見せられた。 子犬時代は柴犬が一番かわいいと思う。 売約済みのレッテルが貼ってあった。 妻はしきりに「癒しのため」と小型犬を飼いたがっている。 一切面倒を見ないけど、それでよければご勝手にどうぞといっている。 またあのつらい別れがいやだというわけではない。 ムクのときはそうだったが。 犬がいれば楽しいだろう。 しかしもうあの介護を繰り返す気力も体力もない。 なにより、くろと同じような関係を築ける自信がない。 それでも目の前に、助けを必要としている犬がいたら・・・ また手を出してしまうのだろうなあ。 |
3/30 晴 |
いつまでも空気が冷たい。 前ほど犬に興味がなくなってきている。 実は犬好きじゃなかったのかも知れない。そんな気さえしている。 それでも自動車屋のレディちゃんのことは気にかかっている。 今日もそこを通りかかったら、歩道の真ん中にひとりで佇んでいた。 体重が半分近くになっているにしても、やっと立っているという感じ。 自転車から降りて、「おい、どうしたの?」と呼びかけてしまった。 媚びを売るタイプじゃないのに、鼻をちょっと上げてよたよた寄ってきた。 車道に飛び出す力ももうないけど、放ってはおけない。 店の中に入って階上にいたあんちゃんを呼んだ。 どうやら店の奥に寝ていたのが、店の戸の隙間から出てきたらしい。 ついでに「お歳は?」と尋ねた。14,5歳だという。 大型犬だからくろぐらいの年回りになると思う。 すぐに店の中に引っ張っていかれた。 用事がなければ、一緒に歩道で立ち話でもしたかった。 |
3/18 晴 |
名前はレディちゃんらしい。 やっと暖かくなって、通りがかりに見ても辛くなさそうでいい。 移動用か散歩用か、犬車(?)が用意されていた。 さすがに大きい。 【噛みつきます】の大きな貼り紙があるけど、昔は事故がなかった。 加齢で気むずかしくなったか、視力の衰えからだろう。 本気噛みでなくても、大きいから噛み痕はきついかもしれない。 |
3/15 晴 |
通りの斜向かい、といっても二百メートルほど先にピレネーがいる。 よほどの雨でもない限り、店先に繋がれている。 くろが健在な頃はもっさもさした毛が美しい子だった。 去年の夏以降、めっきり老け込んで、今は見るのも痛々しい。 コンクリートの上に毛布一枚では、巨体だし、辛かろうと思う。 店の若い衆が、近場を連れて歩いているのはたまに見かける。 もう足下もおぼつかない。 毛が抜けて細くなった腰周りから、今年いっぱいかと思ってしまう。 人様の犬でも、その日がくるのを待つのは辛いもの。 それでいて、その前を通るときは声をかけずにはいられない。 |
3/13 曇 |
供花がもう汚くなっているだろうとお墓に寄ってみた。 きれいに片付けられていた。管理費は伊達じゃないみたい。 手を合わすと語りかけたくなる。 ほとんどの遺骨は位牌とともにまだリビングにある。 ベッドのぬいぐるみの胸にもカロートペンダントが入っている。 それなのに、墓標を前にすると涙がわき出てくる。不思議なものだ。 |
3/9 曇 |
数日前、たまたま見ていたTVでくろそっくりさんを見つけた。 藤波辰爾というプロレスラーが飼っている犬。ペロという雑種。 やはり捨て犬だったらしい。 控え目な性格というのが泣かせる。 どうしても会いたくなった。そして写真を撮りたい。 どうにかならないものだろうか。 |
2/26 小雨 |
急に春が遠のいた感じの今日この頃。 くろと一緒にしたことを思い出すとまだうるうるとなってしまう。 山登り。ドッグランフェスティバル。雪遊び。 思い出が全然色あせない。 ムクとのことはだいぶおぼろげになってきた。 15年、20年という歳月が必要なのだろうか。 ということは、くろのことは文字通り終生忘れないことになる。 |
2/22 快晴 |
きのうが一周忌。孫娘を含めて家族で墓参り。 早いものだ。 この一年間、自分は何をしていたのだろう。 何もしなかったように思える。 今年も年賀状を誰にも出さなかった。 せめて昨年中に年賀の欠礼状を出しておくべきだったのだろう。 むくのときはそうした。 ただでさえ横着なのが、くろがいなくなって輪をかけてひどくなった。 初夢にくろが出てきてうれしかった。 少し散歩した。 その後ばったりだったが、先月末にまた出てきてくれた。 そのときは抱っこさせてくれて、顔も舐めてくれた。 |