5.都市施設の整備

 この区画整理事業は、商店街近代化事業を併せて行なうということもひとつの目的ではあったが、それよりは街全体の都市機能を整備する、ということが最大の目的であったことは言うまでもない。
 当橋場地区は前にも述べたとおり小海線が布設されてから急激に発展した街だけに、公共施設の整備は市内の他地区に比べて劣っていた。
 道路は狭く曲がりくねっておりバキュームカーや消防自動車が入れないような小路は何本もあった。商店街や料飲店街周辺部は家屋、倉庫、事務所などが密集混在してしまい、到底発達した車社会、あるいは急速に変貌する経済社会に対応できる状態ではなかった。また、排水路などは整備されていなかったため、家庭や飲食店の雑排水は、タレ流し状態で夏などは悪臭が漂い、環境的にも劣悪であった。
 そこでまず、都市計画の用途地域指定に従って、区域内にあった工場、倉庫など工業関係の業種は中込原の工場団地に移転して貰った。その結果、橋場地区は実質的に商業地域(近隣商業地域を含む)と住居地域だけになった。この事業による都市機能の整備は徹底して行われたため、今では昔の面影を残しているところはほとんどないと言っていいくらい変わってしまった。かつての中込の姿を思い出すには静かに目を閉じて、在りし頃の街並みを頭の中で描いてみるか、当時の写真でも見ない限りよみがえってこない。

区画整理事業により整備された主な施設は次のとおりである。

○道 路
 国道、都市計画道路(12〜16m)を主要幹線として、いずれも歩車道を分離し、これに補助幹線(9m)とこれらの間を区画街路(4〜6m)で繋ぎ通過交通を排除した。

○特殊街路
駅前広場を起点に巾員18m、延長412mの歩行者専用道路(グリーンモール)を設け、買物やコミュニティ広場としての利用を図った。なお、国道部分は地下道により連結した。

○公園・緑地
 地区内児童の遊び場、防災広場、緑地空間等を考慮して、5ヶ所に公園を設けた。

○河川・水路
 幹線用水路は有蓋コンクリート構造とし、すべてを道路敷内に設置し、流未には温水溜池を設けた。

○駅前広場
 乗降客の便益と中込商店街の"顔"にふさわしいよう次の施設を整備した。(面積3,105u=940坪)
 駐車場・緑地帯・時計塔・照明設備

○下水道
 佐久下水道組合により、道路築造工事に併せて下水道管の埋設工車を行い、昭和57年8月より順次供用開始した。

○電話線
佐久電報電話局の協力により、道路築造工事に併せてはぼ全地域を地下配線にした。

○電灯線
 電話線同様地下配線を要望したが実現できなかった。ただし電柱の位置は、交差点を除きすべて民有地に移設した。

○ガス・水道
既設のものを道路築造工事に併せて布設し直した。

○街路樹
幹線道路の歩道部分に植樹マスを設置して、街路ごとに樹種を変え街にうるおい感を持たせた。
高大・・・ケヤキ・ハナカイドウ・サルスベリ・ヤナギ・シナノギ・ハナミズキ・モミジ
低木・・・ツツジを主嘩

○街路灯
歩行老専用道路内にガス灯形式による街路灯を35基設置。その他幹線道路及び商店街の街路灯は、中込商店会が事業主体になつて、県・市の補助金を得て159基(駅前商店会47基・千曲商店会55基・橋場中央線商店会30基・佐太夫町商店会27基)設置した。


国道254線通り


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