童話集3

 

 

 

 

 

 

 

かわむらあきら創作童話集

(第3集)

 

21回 そらを とぶ ネズミ

 

チュウタは ネズミなので、 てんじょううらに、 おとうさんと   おかあさんと おにいさんとで すんでいました。

あるひ、 あまりに おてんきが よかったので、 ひとりで てんじょううらから そとに あそびに でかけました。 くさむらのあいだを かけているうちに、 まいごに なってしまったのです。ひとりぼっちで チュウタは うろうろと はやしを さまよいました。

はやしの なかの じめんに、 きれいな あおいろの とりのはねが 二ほん おちています。

「 おそらみたいに まっさおだ! 」

チュウたが それを ひろって  せなかに さしてみました。 すると かぜが ひゅっと せなかを かけぬけて、 チュウタの からだが ふわっと うきあがったのです。 びっくりして せなかの はねを ばたばたさせてみると、 なんと! とべるではありませんか!

そらから みおろすと せかいが ひろびろと していて、 どんな ものも、 かわいく きれいに みえました。

やますその どうくつまで とんでいくと、 どうくつの  おくから コウモリが いちどに 100ぴきも とびだしてきたのです。びっくりした チュウタが じめんに おちそうに なった とき、

100ぴきの コウモリが チュウタを かかえて どうくつの  なかに つれていきました。 いちばん おくのほうに コウモリのおうさまが、 てんじょうから さかさまに ぶらさがっていました。

「おまえは だれじゃ? コウモリでは あるまい・・」

「ぼくは、チュウタだよ。」

「チュウタ といえば ネズミのこだな?」

「はい。」

「ネズミが そらを とぶなんて けしからんことだ。 チュウタ。おまえは いまから コオモリになるか、 カケスの とこに いくか、 どちらかにしろ。」

と、 コウモリの おうさまが どなりました。 どうしょうかな?と かんがえて、 チュウタは やっぱり コウモリになりたくなかったので、

「カケスの ところへ いくことにします。」

チュウタは こたえました。 すると、 100びきの コウモリが、 チュウタを どうくつの そとへ ほうりだしました。 すばやく チュウタは あおいろの はねを はばたいて やまの いただきまで おもいきり とびあがりました。 やまの てっぺんの すぎの てっぺんに、 カケスの おうさまが、 けらいを ひきつれて とまっていました。

「おまえは だれじゃ? カケスでは あるまい。」

おうさまが ききました。

「ぼくは チュウタだよ。」

「なに? ネズミの チュウタか。」

「はい。」

「ネズミの くせに やまの てっぺんまで とんでくるなんて まぎらわしい。」

と、 カケスの おうさまが めを つりあげました。

「きょうかぎり カケスになるか、 いやなら かみさまの とこへでも いけ。」

チュウタは、 カケスには なりたくなかったのです。 このまえ  ノネズミが カケスに たべられているところを みたことが あるのです。

「でも、 かみさまのところへは どうして いけばいいんですか?」

「そんなことを カケスの わたしが しる わけがない。 カケスに なるのが いやなら、ここを とっとと とびされ! ガアッ!」

けらいの カケスも いっしょになって、

「ジャー、 ジュー、 ジェー!」

と、 がなります。 おどろいて チュウタは、 あおい とりのはねを はばたかせて、 そらへ まいあがりました。 くもを みっつも とびこえたけれど、 そらは どこまで いっても たかくて かぎりがありません。 そのうえ、 おひさまが ちかづくにつれて、めが ちかちかして たえられなくなりました。

「もう だめだ! お母さん!」

ちからつきて、 チュウタは たかい そらから まっさかさまに おちだしました。

くもを みっつも おちたところで、 ふわっと からだが とまりました。 てんしの こどもたちが、 チュウタを ささえてくれていました。

「ぼくは どうなったの?」

「かみさまの ところへ いく とちゅうだったんだよ。」

と、てんしの ひとりが いいました。

「ぼくは もう かみさまの ところへなぞ いきたくない。」

チュウタは なきべそを かきました。

「どうしてさ。 ぼくたちのような はねが もらえるんだよ。」

「でも ぼくは やっぱり おうちがいい。 おとうさんや おかあさんや おにいちゃんと、 てんじょうを かけまわるほうが いいんだ。」

と、チュウタが いいはりました。

「じゃあ おかえり。 ちじょうに かえしてあげるよ。」

てんしが おうちまで おくってくれました。

「ただいま!」

「どこへ いってたんだ。」

と、おとうさんが おこったり、 ほっとしたりしました。

「さあ ごはんが できてるよ。 チュウ太。」

と おかあさんが にこにこして ゆうごはんの よういを してくれました。

 

 

第22回 なおしやさん

 

あるあさ、すずめの チュンチュンが かわいい ミカちゃんの うちに でかけました。

「こんにちは ミカちゃん。」

「おや、こんにちは チュンチュン。 どうしたの? そんな にわさきから。 おへやの なかへ とんでらっしゃいよ。」

「それが ミカちゃん。ぼく とべないんだよ。 はねが きのうの かぜで やぶれちゃった。」

「それは こまったわね。」

「だから ミカちゃん。 そうだんに きたんだよ。 きみは なやしやさんだろう? ちょっと なおしてよ。」

「どれどれ、 これは ひどい。 かぜさんも かぜさんだわね。もうすこし おだやかに ふけばいいのに。 チュンチュンの はねを いためるなんて。」

「だめかなあ。 なおらないと ぼく、 がっこうへ いけなくなる。」

「じゃあ こうしましょう。 わたしの たけトンボを あげるわ。 これを まわせば、 チュンチュンなら とんでいけるでしょう。」

「なるほど! さすが ミカちゃんだ。 どうもありがとう。」

チュンチュンは、 ミカちゃんに もらった たけトンボに のって、 がっこうへ とんでいきました。

チュンチュンが かえると、 こんどは はつかネズミの ジュウジュが やってきました。

「こんにちは、 かわいい ミカちゃん!」

「やあ こんにちは、 ジュウジュ。 しんぱいそうな かおをして、 いったい どうしたの?」

「きのうの ばんから、 ずっと しんぱいなんだよ。 どらねこの ドンに ねらわれてるんだ。」

と、 かおを くもらせて、 はつかネズミの ジュウジュが いいました。

「よるも おちおち ねてられない。 こまった こまった。」

「それじゃ、わたしに いい かんがええが あるわ。」

ミカちゃんが にこにこして いいました。 そして、おとうさんの へやから くろい ペンキと ふでを かりてきました。 ふでに タップリ ペンキをつけて、

「しばらく わたしが いいと いうまで おしりを むけて じっと していなさいよ。」

ミカちゃんは、 ゆっくりと ジュウジュの しろい おしりに めだまを ふたつ かきました。 そして、うちわで おしりを あおぎながら、

「これで いいわ。 いくら ドンだって、 あたまと おしりと りょうほうで にらまれたら にげだすに きまってるわ。 そう おもわない?」

「なるほど! たしかに そうだ。 ぼくだって、そんなのを みたら こわいよ。 ミカちゃん、 きみは テンサイだ。 どうも ありがとう。」

おれいを いって、 うれしそうに はつかネズミの ジュウジュは かけていきました。

つぎに、おひるから やってきたのは、 とかげの ギョロリンです。 かたてに ちぎれた シッポを つかんで、 わんわん なきながら はいってきました。

「どうしたのよ。いったい!」

ミカちゃんが びっくりして さけびました。

「かまきりの ザクリに しっぽを きられちゃった。 あーんあーん・・・」

「どうして また かまきりのザクリなんかに しっぽを きられたの?」

「わたし おなかが へってたのよ。 ちょうど おひるだったので、 たべるものを さがしてたの。 ちょうど かまきりの ザクリが めのまえを とおりかかったのよ。 とっても おいしそうな みどりいろだったので、 たべようとしたら、ザクリが とびかかってきて、 わたしの しっぽを あの カマで ざくり!」

「なるほど、はなしは わかったわ。 わたしに いい かんがえがある。 まっててね。」

かわいい ミカちゃんは、 おかあさんの へやに いって、 まっかな リボンを とってきました。

「さあ ギョロリン。 あなたの しっぽを もういちど おしりに もどしてごらん。 わたしが この きれいな リボンで ゆわえてあげる。 どう? りっぱに なったでしょう。」

「わあ すてき!」

と、 とかげの ギョロリンが かんせいを あげて、 とびあがりました。 あまり とびあがったので、 しんぱいになって、 ふりかえったけれど、 しっぽは ちゃんと リボンで つながっています。

「ありがとう かわいい ミカちゃん! あなたも どうぞ おしあわせに!」

そういって、 しっぽを ふりふり かわぎしの おうちのほうへ かえっていきました。

みなさんも もし、 どこかで しっぽに まっかな リボンを まいた とかげを みつけたら、 ひとこと こえを かけてやってください。

「ギョロリン。 そのご、しっぽの ぐあいは どう?」

と。

おしまい・・

 

第23回 カルガモの あかちゃん

 

ゆみちゃんが うたを うたいながら おがわの ほとりを あるいていると、 みずべの くさむらから カルガモの おばさんが かおを のぞかせて、

「 おじょうさん、 おねがいだから しずかにしてくれませんか。 」

と こえを かけました。

「 ええ? だつて ゆみちゃん、 おうたが うたいたいんだもん! 」こまった かおで いいかえしました。 「 こんなに いい おてんきなのに おうたを うたわないなんて つまらないじゃないの。 」

「 おじょうさんの うたが おじょうずなのは よく わかっているんです。 」

と、 カルガモさんが いいにくそうに いいました。

「 じつは、 わたしに ちかぢか こどもが 生まれるんです。 赤んぼうが・・・ 」

「 へえええ! 」

ゆみちゃんは びっくりぎょうてんして しまいました。

「 あかちゃんが うまれるって! それ ほんとうなの! 」

「 ほんとうなんです。 たぶん あしたの あさには・・・ 」

ゆみちゃんは おうちまで いきせききって はしって かえりました。

「 おかあさん! 」

げんかんの とを あけるなり さけびごえを あげて おへやに かけあがったので、

「 どうしたのよ。 びっくりするじゃない。 」 と、 おかあさんが だいどころから かおを だしました。 「 また おもての とを しめずに あがってきたでしょう。 」

「 ごめんなさい。 でも その ひまが なかったのよ。 きいて きいて! カルガモの おばさんが あかちゃんを うむんだって! 」

「 へえ。 ほんとうなの? 」

「 ほんとも ほんと、 ダイほんとよ! 」

「 それで、 いつなの? 」

「 あしたの あさだって! 」

ゆみちゃんは、だいすきな ハンバーグの ばんごはんを たべおわると、 おかあさんに いいました。

「 ねえ、 きょうは はやく ねようよ。 」

「 どうして? 」

「 だって、 あしたの あさには カルガモの あかちゃんが みられるのよ。 」

おかあさんは わらいながら、

「 でもね ゆみちゃん、 いくら はやく ねたからって よるが あけるのは おなじ じかんなのよ。 」

「 おひさまに おねがいしてよ! 」

「 おひさまだって ごつごうが おありだし、 だいいち おつきさまは しょうちなさらないと おもう。 だって、 じぶんの よるが いつもより みじかく なることには はんたいなさるに ちがいないもの。 」

それでも ゆみちゃんは、 じぶんで フトンを しいて、 さっさと ねてしまいました。

つぎの あさは くも ひとつない いい おてんきでした。 ゆみちゃんは、 ちかくの おがわに はしって いきました。 かわのなかほどを カルガモの おばさんに ひきつれられた コガモが 5ひき、 ならんで およいで おりました。

「 あれ? もう こどもに なっちゃつたの? 」

いつのまにか、 うしろに おかあさんが たっていました。

「 そうよ。 カルガモさんの あかちゃんは うまれたら すぐに およげるの。 でも、 ゆみちゃん。 にんげんの あかちゃんは だめなのねえ。 らいねん、 おかあさんも あかちゃんが できるかもしれないの。 そうしたら ゆみちゃん、 だいじに かわいがってね。 」

「 バンザイ! 」

と、 ゆみちゃんは とびはねながら りょうてを あげました。 そして、

「 おかあさん、 いまから ゆみちゃんのこと おねえちゃんて よんで! いいでしょ。 」

にこにこしながら おねがいしました。 

 おしまい・・

 

第24回 おまつり ひろば

 

おかあさんが あかちゃんを うばぐるまに のせて、 こうえんへ さんぽに つれていきました。 おおきな クスノキの 木かげに うばぐるまを とめて、 あかちゃんが すやすや ねむっているのを たしかめると、 おかあさんは かたわらの ベンチに すわりました。 にちようびでも、 どようびでもない、 おひるまえの こうえんは だれも あそびに やってきません。 おにいさんや おねえさんは ようちえんと がっこうに いっているし、 おとうさんも かいしゃへ おつとめに でかけておりました。 きの はっぱは  つやつやとした はっぱいろ、 おそらは みわたすかぎりの そらいろで、 そのなかを ヒバリが さえずりながら おおきな マルや サンカクを かいて ちいさく ちいさく とびまわっておりました。 さむくもなく あつくもなく、 きもちの よい かぜが ゆるやかに おかあさんの ほおを なでて とおりすぎると、 おかあさんは あさから おせんたくに せいを だしたので、 つい うとうとと ベンチで いねむりを はじめました。

しばらくすると、 こうえんの はしから プップクプップクプー・・・と きこえてきました。その おとに、 すやすや ねていた あかちゃんが ぱっちりと めを さましたのです。そして、 いまの いままで ひとりで たちあがることの できなかった あかちゃんが、 うばぐるまの なかで、 しばらく てあしを ばたばた させていたかと おもったら、 よっこらしょと つかまりだちを したのです。 でも おかあさんは ベンチで いねむりの まっさいちゅうです。 こうえんの はしから おさるさんたちが ラッパを ふきながら こうしんしてきて、 あかちゃんの めのまえを とおりすぎて いきました。 その つぎは、 おうまさんたちが くびを ふりふり ヒョッペ ヒヒン ヒョッペ ヒヒヒン! と うたいながら とおりすぎました。 つぎに トラさんが ドドンドン ドドンドン・・・ タイコを たたきながら とおりすぎました。 あかちゃんは すっかり よろこんで、

「 ふふふふ へへへへ けっけっけ・・・ 」

と 笑っています。 その つぎに やってきたのは、 ヒツジさんたち。  ソララー レレレー ドミソミソー! とか うたいながら おどって いきます。 フクロウが とびながら  ドタフタ ドタフタと はねで じぶんの からだを たたきました。 どこからか クマが あらわれて、

・・・のそのそ クマさん・・・・

と うたって、 「 のそのそ クマさん 」 に なりました。

キリンさんたちは ピロロン ピロロンと ふえを ふきながら あるきました。 キリンさんの あたまに とまって うたっているのは さきほどまで そらを とびまわっていた ヒバリさんです。

「 ふふふふ へへへへ けっけっけ・・・ 」

と 赤ちゃんは うばぐるまの はしに つかまりだちをして、 ひとりで わらっています。どうぶつたちは おまつりをしながら、 やがて こうえんの でぐちの ほうに きえていきました。

おそらに とびあがった ヒバリたちが また さえずりながら おおきな マルや サンカクを かいて ちいさく ちいさく とびまわっています。

あかちゃんは ちいさな くちを せいいっぱい あけて あくびを ひとつ すると、 じょうずに うばぐるまの そこに もどって すやすやと ねむってしまいました。 さきほどの そよかぜが、 いねむりしている おかあさんの ほっぺを もういちど なでて とおりすぎました。

「 あれ いつのまに ねむってしまってたのかしら? 」

しんぱいそうに いそいで うばぐるまを のぞきこみます。 きもちよさそうな あかちゃんの ねがおを みて、 にっこりと わらうと、

「 さあ おうちに かえりましょ。 おうちで タッチの れんしゅうを しましょうね。 」

ねむっている あかちゃんに はなしかけました。

「 ぼくは もう 立てるんだよ! 」

そう いう あかちゃんの こえは、 おかあさんには きこえませんでした。

おしまい

 

 第25回 タコの きょうだいだい

 

ひろい ひろい うみの まんなかあたりの いわの うえに、 タコの きょうだいが すんでいました。 いわの まわりには わかめが ぎっしりと ならんで はえていて、 とびらのように ひらいたり しまったり ゆらいでいました。 ふかい うみの なかから みあげた てんじょうは よるのように あおくて、 あめも ゆきも ここへは ふってはきません。 ときどき、 おほしさまだけが うっかり おちてきて、 シクシク ないていました。

一ばんにいさんの タコは、 一ばん はじめに サメに たべられて しんでしまいました。たべる まえに サメは、

「 おまえは 一ばん みにくいから たべられるんだ。 」

と いいました。一ばんにいさんは かなしそうな かおを しましたが、 サメはたべるのを やめませんでした。

つぎの ねえさんの タコも、 サメに たべられて しんでしまいました。 ねえさんの タコを たべる まえに サメは、

「 おまえは、 二ばんめに みにくいから たべられるんだ。 」

と いいました。

三ばんめの いもうとダコも、 やっぱり サメに たべられてしまいました。

「 こいつも 三ばんめに みにくいから たべてしまった。 」

と、 サメが タコを たべてしまってから いいました。

こどもを つぎつぎに サメに たべられて、 かなしくて しかたなかった タコの おかあさんは、 さいごに のこった すえっこを そばに よんで、

「 ひとりでは けっして あそびに いっては いけません。 」

と ちゅういしました。

ところが、 まだ ちいさくて いたずらざかりの おとこのこは、 おかあさんの いいつけを まもらず、 わかめの あいだから ひとりで あそびに でかけました。 そこへ サメが やってきたのです。 こどもダコの あしを 一ぽんだけ かじってみて、

「 まずい まずい。おまえは まだまだ はらの たしには ならん。 」

 すてぜりふを のこして いってしまいました。 タコのこは ぐったりと うみの そこに

たおれこんで しまいました。 てんじょうは よるのように くらくて、 おほしさまも きょうは ひとかけも おちては きません。 おかあさんダコは そんなときにでも どんなときにでも、 すぐに さがしだして こどものそばに やってきてくれました。 そして おさかなの びょういんへ つれていきました。 おさかなびょういんの せんせいが、「 ねむりぐすり 」と 「 めあけぐすり 」を のませてくれました。 ベッドで ぐっすり ねむってから、 あさの  八じになって こどもの タコは めを あけて いきかえりました。 よろこんだ おかあさんの タコと こどもの タコは、 てを つないで おうちに かえりました。

 てんじょうは ひるまのように あおくて、おひさまが すけて みえていました。

 おしまい・・ 

 

第26回 こひつじと おおかみ

 

はる、 おひゃくしょうの にわで こひつじが うまれました。 げんきな こひつじは うまれると すぐ たちあがって、 やがて よたよた あるきだしました。 二三にちすると、もう かけあしが できるように なったのです。 おかあさん ひつじは きがきでありません。

「 そんなに いきなり かけては だめ。 もどってらっしゃい! 」

「 はあい! 」

と、 こひつじは いそいで おかあさん ひつじの そばへ 、かけもどってきて、 おなかの したに もぐりこみ、 おっぱいを たっぷり のみました。

「 いい? おかあさんの いうことを よく おぼえておくのよ。 まんがいち こわいことに であったら、 てんから いただいた じょうぶな うしろあしが あるんだから、 おもいっきり あいてを けってやればいい。 そのうえで いちもくさんに かけて、 にげてらっしゃい。 わかった? 」

「うん、 わかったよ おかあさん! 」

 

いくにちか たちました。 ぽかぽかと あたたかくて、 あぜみちには たんぽぽの はなの れつが、 むこうの たけやぶ まで つづいておりました。 こひつじは からだじゅうが むずむずして、 かけださずには おれませんでした。 きがついたら めのまえに、じぶんより すこしばかり おおきな どうぶつが にこにこと こひつじを でむかえました。

「 ねえ、 いっしょにあそぼうよ。 」

「 きみは だあれ? 」

「 ぼくかい。 おおかみだよ。 」

「 おおかみって、 ひょっとして つよくて いじのわるい どうぶつじゃない? 」

「 とんでもない! ぼくは みてのとおり きみより むしろ ちいさいだろう。 きみと おなじように まだ 子どもなのさ。 あそぼうよ。 」

「 そうだね。 なにをして あそぶの? 」

「 むこうに たけやぶが みえるだろう。 そこまで かけっこ しよう。 」

「 いいよ。 かけっこなら まけないから。 」

こひつじは おもいきり かけだしました。 その あとから、 おなかをすかした おおかみが ついて はしりました。

「 きみは ずいぶん はやいんだね、 ほれぼれするよ。 こひつじくん。 でも きみの おしりは それ いじょうに たまらなく うまそうだ。 」

そう いって おおかみが こひつじを おしりから まるのみ しようとしました。 しかし ふりかえった こひつじは おかあさんの いいつけを おもいだして、 じょうぶな うしろあしで おもいっきり おおかみの くちの あたりを けりあげげたのです。

「 いててて! 」

おおかみは うえの はと したの はを かちんこさせて、 ぼろぼろに はが おれてしまいました。 げんきな こひつじは いちもくさんに おかの ふもとへ かけて にげました。

「 ちくしょう! 」

せっかくの ごちそうに にげられた おおかみは くやしさに なきだして しまいました。すると いよいよ おなかが へってきて、 みさかいもなく そばの たけやぶの たけのこに かぶりつきました。 しかし、  はが ぼろぼろで やわらかい たけのこさえ かめなかったのです。 それではと まるごと のみこもうと しましたが、 のみこんでも のみこんでも たけのこは どんどん おおきくなってくるのです。 おなかの なかで たけのこが まっすぐ そらに むかって のびていったので、 かわいそうな おおかみは あしで じめんに た立って いられなくなり、 くうちゅうに つきあげられて しまいました。 それから というもの、 まいにち まいにち おおかみは やぶの たけに まじって、 そらに はためいていた ということです。

おしまい・・

 

第27回 きんくろ 

 

きのうの おおあめで なんと! ようちえんの おにわに みずたまりが できたのです。 そこへ また どうしたことでしょう! まっくろな かもが 一わ いつのまにか とんできて みずあびを しだしました。 ヨシコちゃんたちは おおさわぎです。 ちっちゃくて そう、 たぶん こどもの かもだと おもいます。 ふさっとした くせげのある あたまから しつぽまで まっくろで、 おなかだけが まっ白です。 そして、 めだまは なんと! きんいろでした。

「 フランスの かもだよ。 めが きんいろだから! 」

と、 タケシくんが しったかぶりを して みんなを ふりかえりました。

「 アメリカの かもって ことも あるわよ。 」

マリちゃんは きんじょに アメリカじん人が すんでいるのを おもいだして いいかえしました。

みんなが、 くろい かわいい かもを ほしいと おもいました。 そこで、 ジャンケンで まけたものが もらうことに きめました。 どきどきしながら じゃんけんを して、 ヨシコちゃんが まけたのです。

「 あぁあ、 まけちゃった・・・ 」

と いってから、 「 まけたものが かち 」 と きめたことを おもいだして、

「 そうだ! わたしが もらって かえれるんだわ! 」

ヨシコちゃんは からだじゅうが うれしさで いっぱいに なりました。 みんなが うらやましそうに みおくる なかを、 りょうてで こがもを かかえて、 おうちへ はしって かえりました。

「 おかあさん! これ みて! かわいいでしょう。 」

「 おやおや、 どうしたの?・・・ でも この かも、 あしに けがしてるよ。 」

さっそく おかあさんは こがもの みぎあしに ほうたいを まいて くれました。

「 ・・・ヨシコの おかあさんは ほんとに やさしいわ・・・ 」

おかあさんの ようすを ながめながら、 ヨシコちゃんは かんげきして、 うれしくなりました。 おかあさんは おにわの かたすみに おおきな たらいに みずを はって くれました。

ゆうがたに なって、 かいしゃから おとうさんが かえってきました。

「 ただいま。 」

「 ねえ! おとうさん これ みて! かわいいでしょう・・・ 」

ヨシコちゃんが こがもの ところへ おとうさんを つれて行きました。

「 あれ? たいへんだ。 これは キンクロだよ。 」

「 キンクロ? 」

「 そう、 キンクロハジロっていうんだ。 げんきに なったら そのうち シベリアの ほうへ とんでいくだろうよ。 」

「 じぁ、 フランスじんでも、 アメリカじんでも ないの? 」

「 そりゃそうさ。 」

「・・・ヨシコのおとうさんて スゴイ! 」

ようちえんで あした みんなに じまんできると ヨシコちゃんは おもいました。

「 このこ、 ずっと ここに いるわけには いかないの? 」

「 そんなことを すれば かわいそうだよ。 」 と、 おとうさんが わらいながら さとしました。 「 とりは とべるんだから。 」

そんな かいわを ききながら、 キンクロは、

「・・・ぼくにだって おとうさんも おかあさんも いるんだ。 はやく あいたいなあ ・・・」 と、 ひとりごとを いいました。 「 でも、 かわいい ヨシコちゃんとも わかれたくないし、 どうしたものかなあ ・・・」

さびしそうな ヨシコちゃんの かおを その きんいろの めで、 ちらっと ふりかえりました。

「 このめ、 なんて かわいいんだろう! 」

ヨシコちゃんの かおに えがおが もどってきました。

おしまい・・

  

  第28回 ねこの ごろすけ

 

むかし、げんのじょう という わるい おさむらいが いました。 よるに なると いつも よっぱらって むらの れんちゅうに くってかかっては、 あげくのはてに かたなを ぬいて きりつけて おおけがを させたり、 たまには ほんとに ころして しまうのです。

むらの ひとは こわがって おさむらいの こえが とおくから きこえてくると もう こわくて あぜみちから にげてかえり、 うちの とを しめました。

ある 夕方、 けんきちが うらにわで おっとうの つくってくれた ぶらんこで あそんでいると、 まだまだ おひさまが にしの やまに しずんで いないと いうのに、 もう おさむらいの どなりごえが とおげの いざかや あたりから きこえてきました。

「 けんきち! さっさと かえってこおっ! さむらいに ころされちまうぞ。 」

いえの とぐちから おっかあが よんでいます。

けんきちは いままで いっしょに あそんでいた ねこの ごろすけが いないので、 しんぱいになって、 なやや かきのきの えだを さがして まわりました。 むらびとは みんな はやばやと にげて かくれてしまって あたりには もう だれも いなかったのです。 よっぱらった おさむらいは とおくから けんきちを みつけて よびとめました。

「 やいやい ひゃくしょうの こども! おまえは にげださないのか? おれを だれだか しらないのか。 」

「 しってるとも。 ひときりの げんのじょうだろ。 」

「 おや? ひとを よびすてにして、 なまいきな こぞうだ。 なまえを なのれ。 」

「 いいとも。 けんきちだよ。 」

「 けんきち か。 まっておれ、 そこまで いったら ぶったぎってやる。 」

いえの なかから おっとうが びっくりして とびだしてきて、 むりやり けんきちを ひっぱりこみました。

「 ごろすけが いないんだようっ! 」

「 ばかなことを いってないで! ねこに かまっていたら じぶんが、ころされるど。 」

おっとうは けんきちを いれるや  とを しめて、 すじかいを はさみこみました。 すぐに おさむらいの げんのじょうが とぐちに やってきて とを たたきました。

「 やいやい! あけろ、あけろ! あけないと いえに ひを つけて あぶりだしてやる。 」

そう いいながら こんどは うらにわに まわってきました。 すると、 そこに ぶらんこに のった ねこが いました。

「 なんだ おまえは? ねこの ブンザイで ぶらんこになんか のりあがって! 」

「 おいおい おれの なまえは ごろすけだぜ。 」

「 それが なまいきだってんだ! 」

まっかに なって おさむせらいは かたなを ふりかざし、 ねこの ごろすけを ぶらんこごと まっぷたつに きりさきました。 すると! あら ふしぎ。 そこに ごろすけが 二ひきになって それぞれ ぶらんこを ゆらしているでは ありませんか。

「 ぎょっ! 」

おさむらいは それぞれの ごろすけ めがけて、 ふたたび きりつけました。 すると、ごろすけが 四ひきに なりました。

「 ぎゃあっ! 」

こうして、 ひとごろしの げんのじょうは にどと むらには やってこなくなりました。 ごろすけは どうなったって?

四ひきとも けんきちが そだてております。 いまではもう とらのように おおきくなりましたがね。

おしまい

 

 第29回 かえるの ゲロ

 

むらの ちいさな ためいけに、 ゲロは おとうさん おかあさんと くらしていました。 いけには メダカや アメンボウが、 のはらには もんしろちょうも とんでいて、 なにふじゆうは なかったのですが、 それでも ゲロは いなかの くらしに あきあきしていました。

 かえるの こども と いっても ゲロは、  おたまじゃくし では ありません。

「 ねえねえ! 」 と、 あるひの おひる じかんに ゲロが おかあさんに いいました。

「 ぼくを いちど とかいに あそびに やらせてよ。 」

「 ええ?・・・ 」 おかあさんは せんだくものの てを やすめて かんがえこみました。

「 ・・・おとうさんが なんと おっしゃるか・・・ 」

それでも おかあさんは、 ゲロの おねがいを おとさんに つたえて くれました。

その つぎの あさ、 ゲロが おきだすと、 おかあさんが まちかねて いいました。

「 おとうさんが ゆるしてくださったよ。 」

「 ゲロ。 」 もりに はたらきに でる まえの おとうさんが くちを ひらきました。 「 とかいへ いったら にんげんも のりものも いっぱいだし、 たてものが たてこんでいて、 そらも ろくろく みえない くらいだ。 みちは みずくさみたいに からんでいて、 いなかそだちの ゲロだと すぐに まいごに なってしまう。 でも、 どうしても いきたいと いうなら いって みてくるがいい。 いつでも かえっておいで。 」

「 わあぁい! おとうさん おかあさん、 ありがとう。 では いってきまあす! 」

と、 ゲロは もう ぴょんぴょんと はしりだしました。

「 そんなに あわてたら ころんで けがするだけだ。 」

と、 おとうさんが ゲロを よびもどし、 まあたらしい みどりいろの リュックを くれました。

「 これを もって ゆきなさい。 」

「 なになの これ? 」

おもいがけない おもい にもつを もらって、 ゲロは、 ちょっと めいわくそうな かおを しました。

「 おりたたみしきの ヘリコプターが はいつて いるんだよ。 」

おかあさんが よこから にっこりして みせました。

 

バスに のり しんかんせんに のって ゲロは とかいへ やってきました。

「 すごいなあ! 」

じどうしゃが あっちの みちからも こっちの みちからも やってきては、どっちの みちやらへ はしっていきます。 そらの うえにも じめんの したにも でんしゃが つうじているのです。 いろとりどりの にんげんたちが こみあいながら じょうずに うごきまわって おりました。 ゲロの こと なんか だれも きも つきません。 ちいさく なって なみきの ねもとに つったって いると、 めの まえに タクシーが とまりました。

「 おきゃくさん、 どこまで いく つもり? 」

ゲロは おもわず つぶやいて おりました。

「 どこか、ためいけ・・・ 」

「 オッケー! はやく のってください。 」

リュック もろとも ゲロが のるが はやいか、 タクシーは まるで、 はやしの なかを とりが かけぬける ように ものすごい いきおいで はしりだしました。

「 はい、ここですよ。 」

まるで そこは うみの ようで、 ゲロの いなかの ためいけの ひゃくばいは ひろいのです。 どまんなかに、 てんまで とどきそうな ふんすいが ふきあがっている こうえん なのです。 おおきな あかい さかなや、くろい さかなや、 あおい カメが およいでいて、 いけの まわりを にんげんの おやこづれが ぞろぞろと あるいて おりました。

「 こんにちは・・・ 」

ゲロが おそるおそる カメに あいさつ しました。

「 なんだ おまえは? なにものだ。 いなかくさい においだなあ! 」

「 カエルだよ。 カエルの ゲロだよ。 」

「 こうえんに カエルが やってくる なんて とんでもない はなしだ。 だれか はやくとっつかまえて どこかへ うつしておくれよ。 」

こうえんの かんりにんさんが はしって きました。そして、 こうしゅうでんわから でんわすると、 やがて パトカーが きて、 おまわりさんが ゲロを ざせきの バケツに ほうりこみました。 サイレンを ならしながら パトカーは ゲロを のせて はしって いきました。

「 おまえの いばしょは ここだ。 」

「 ここは どこですか? 」

「 どうぶつえんの ためいけさ。 おまえは フラミンゴの エサが おにあいだ。 」

ためいけの まんなかに ちいさな しまが あり、 たくさんの カエルが よじのぼって があがあ ないているので まるで カエルの ほうそうきょくの ようです。

「 いやだよ、 いやだよ。 ぼくは とかいに あそびに きた だけ なんだ。 」

「 ここが おまえの とかいだ。 なかまが ひゃっぴきいるから、 くわれる までの あいだ なかよく なるんだな。 」

それでも、 ボスの カエルが くちを きいて くれました。

「 きにくわない やつだが その リュックの なかみに よっては なかまに してやっても いい。 あけてみろ。 」

ゲロは こう いいました。

「 この なかには、かいちゅうでんとうが ひゃっこ はいって いるんです。 ひとつずつ みんなに あげようと おもって もってきました。 でも、 きゅうに あけると めが まぶしいから、 ちょっとの あいだ めを つぶって いてくれますか? 」

みんなが めを つぶっている すきに、 ゲロは リュックサックを あけ、 なかの ヘリコプターを くみみたてはじめました。

「 まあだだよ。 」

くみたて おわると すぐさま、ぶるんぶるんと とびあがりました。

ビルより たかく たかく とびあがった とき、 はるか かなたに なつかしい いなかの ためいけが みえてきました。

「 おとうさぁん! おかあさぁん! 」

と そらから ゲロは さけびました。

まめつぶほどの おとうさんと おかあさんが、 ゲロに てを ふっているのが みえました。

 おしまい

 

第30回 ミーばあさん

あるおやしきに シャムねこが 一ぴき すんでおりました。 「 ミー 」 という なまえに にあわず もう ずいぶんの おばあさん ねこ でした。

あるひのこと、 だいどころで カンヅメの さかなの すりみを たべていたら、 うっかり カンヅメの ふたの きりくちに だいじな ひげを ひっかけてしまったのです。 ひっぱって みると、 しろい ながい ひげが 一ぽん ぬけて おりました。 しかたがない  と あきらめたのですが、 よるに なると どうしたことか、 あっちの はしら こっちの はしらに と、 コッツンコ ばかりするのです。

つぎの ひ、 こんどは はるの ひざしの ふりそそぐ にわの しばふで ひるねを しているところへ、 かみきりむしが とんできて、 ミーの だいじな しろくて ながい ひげを 一ぽん きりとって いってしまったのです。 その ばんは、 かいだんから ころげおちて、 おでこに たんこぶが 二だんこぶに なりました。

それからは もう にわの ぶらんこに のって いちにちじゅう くらすように なりました。

それを ききつけて いえねずみの キーキが やってきました。

「 ミーおばあさん こんにちは。 なんでも さいきん からだが わるいんだって? 」

「 と いう わけでも ないんだけど、 やるきを なくしてね。 」

「 それは いけないや。 おばあさんに げんきに なって もらわないと わたしたちも  こまるんだよ、 うんどうぶそくでね。 ちかごろ だれにも おっかけられなくてさ。 」

ねずみの キーキは さも バカに したように ぶらんこで りょうてが ふさがっている ミーの せなかから あたまに かけあがって、 その ちからの ない、 やせた みみの さきを かじったり するのです。

「 いたいじゃないか。 よしてくれ。 」

でも、 ミーは むかしの ように この いたずらものを おっかけ、 つかまえて、 まるかぶりに することも できなくなっていました。

そんな あるひの こと、 おやしきが かじに なりました。

ミーは やっとの おもいで ひを くぐって にげだし、 いのち だけは たすかったのですが、 のこっていた 二ほんの ひげも その とき とうとう やけこげて なくして しまったのです。 みうごきも できずに みちの はたに ねていると、 そこへ ねずみの キーキが やってきました。

「 ミーおばあさん こんにちは。 こんどは また たいへんな めに あったね。 」

「 わたしも もう おしまいだ。 このままじゃ たべるものも なし、 あしたまでも いきられまい。 」

「 じあ・・・ 」と キーキが かおの まえまで ちかよって、 いたずらっぽく もうしました。 「 いろいろ せわに なったから おんがえしだ。 さいごに ぼくを たべてみない? げんきが もどるかも しれないよ。 ハッハッハ 」

もう すっかり きを ゆるして、 ひげの ない ミーばあさんの あごの あたりを キーキの ちっちゃな てのひらが、なでなで するのです。

その とき、 どうした わけか、 ミーに ちからが わいて きたのです。 と いうより、 しっぽの あたりに ちからが まだ のこっていて、 じぶんでも おどろく ような いきおいで つぎの しゅんかん ねずみの キーキに とびかかり、 もう くちに くわえて いたのでした。

「 た、たすけてくれ! じょうだんだよ。 ごめん ごめん! ミーばあさんは としよりだけど ぼくは まだ わかいんだ、 しにたく ないんだよ。 ねえ、 ミーばあさん! 」

と、 キーキが きーきーごえを あげました。 ミーおばあさんの みみにも その こえが きこえたのです。 くわえていた ねずみの キーキを じめんに しずかに おろしました。 そして、 シャムねこの ミーおばあさんは それっきり うごかなくなりました。 ちょうど しぬ ときが きて いきが たえたのです。

ねずみの キーキは、 まだ ふるえながら、 それでも かちほこったように いいました。

「 ざまあみろ、 どっちみち おれの かちだよ。 」

おしまい・・